見せかけの経済政策と欧州金融危機

コラム詳細

見せかけの経済政策と欧州金融危機

 

1 真水はたったの7.5兆円

 
政府は2日、総額28兆円を上回る新たな経済対策を閣議決定しました。安倍首相は「総合的かつ、大胆な経済対策」と説明していますが、どの部分が大胆な内容となっているのでしょうか。
 
この事業規模には、融資や民間企業による支出も含まれます。純粋な意味での政府支出(真水)は約6兆円(地方を合わせると7.5兆円)しかありません。予算規模という点で比較すると2013年1月に発表された経済対策の6割です。また6兆円のうち2016年度2次補正予算で対応するのは約4兆円で、残りの2兆円は2017年度予算から手当てします。つまり、すぐに効果が期待できるのは4兆円であまりにも規模が小さい。
 
28兆円の新経済対策も絵に描いた餅。そのためいよいよ安倍内閣は終わりで黒田日銀総裁も終わりが見えてきたとの見方が急速に広がっています。
 
 

2 リスク要因

 
国内経済の重大なリスク要因は、不動産市場です。
 
7月4日の日本経済新聞は、実体経済が停滞して借入需要が盛り上がらないなかで、投資マンションをはじめとした賃貸住宅向けの銀行貸出(いわゆるアパートローン)が過熱し、貸家着工件数の推移がバブル経済期やリーマン・ショック前のような様相を示していることを報じました。銀行による不動産業向け新規貸出額が昨年バブル期を超え、26年ぶりに過去最高を更新しています。これは本年度から相続税が増税になり相続対策向けの不動産投資による借入増によるものと思われます。ただ、賃料は、バブル経済期やリーマン・ショック前ほど伸びていないのに、空室率が中期的なピーク水準に達しているのです。賃貸需要がない中で負債のみ膨れ上がっているのが現在の不動産バブルであって、調整が生じた時の反動の大きさが懸念されます。
 
そして、7月1日に発表された6月の日銀短観では、リーマン・ショック前並みの勢いを示していた不動産業の業況DIが、前回3月の24ポイントから20ポイントに低下しました。日本国債の金利が上がり始めました。短期から超長期まで一斉に金利が上がり、特に10年満期国債は金利が一時ほぼゼロ近くまで上昇です。日本の不動産5社の借入金残高は10兆円を超え、今後金利上昇と共に不動産バブルが崩壊すると再び巨大な損失が出ると同時に投融資した銀行や投資信託にも損失が広がります。
 
 

3 欧州金融危機

 
欧州主要51行の健全性審査(ストレステスト)が発表された。ストレステストでの自己資本率ワ-スト10行のうち主なものは、次の通り。国際業務を行う銀行は、8%を超えていなければならないが時価評価(過去に取得したものを時価におきなおす)しなくてこの悪い数字です。
 
1 モンテ・パスキ -2.4% 債務超過
 
2 アライド・アイリッシュ 4.3%
 
3 バンク・オブ・アイルランド 6.1%
.
.
7 バークレイズ 7.3%
 
8 コメルツ 7.4%
 
9 ソシエテ・ジェネラル 7.5%
 
10 ドイツ 7.8%
 
51行の中に、ギリシャとポルトガルの銀行が埒外に置かれています。
最大級の金融破綻が近いと思われます。ドイツやイタリアばかりか、本命筋にスイスの銀行、中国の大銀行、そして豪州、英国の銀行まで名を連ね始めました。
 
今週から3週間は要注意です。NY市場に注意して下さい。