世界各国の政治的不安の顕在化と米大統領選挙の行方

コラム詳細

世界各国の政治的不安の顕在化と米大統領選挙の行方

Ⅰ嵐の前の静けさ

 米国が世界の警察の地位を放棄して世界各国で政治的不安定感が増して、テロ、難民、経済問題、民族対立、宗派対立等国内外の対立が激化の一途です。
 Chinaでは、昨年7月のバブル崩壊により仮装した経済のメッキが剥がれはじめ経済の減速が本格的になってきたようです。Chinaからの受注が止まり9月以降減産、生産停止が日本の製造業を襲うのではないかとあちこちで言われ始めました。Chinaよりの日経27日の7面に民間投資の失速の責任を巡り人民銀行と発展改革委との間で金融緩和か財政出動かで摩擦が生じていると報じています。
 欧州のリスクに関しては、金融問題で時限爆弾を抱えた中で英国なきEUのリスクが浮き彫りになり始めています。英国は、悪者になりながら(ほとんど悪者?)も主導権を握り、物事を決定調整してきました。英国離脱後、フランスとドイツ、イタリア、スペインなどの大国間の調整ができず、ドイツ主導の政治体制へ移行するが確実です。現在でもドイツ主導で不満が高まっていますのでその不満が強まるでしょう。英国のEU離脱から始まる欧州分裂の動きと難民移民の大量流入で冷戦崩壊後に創り上げたシステムがバラバラに壊滅しようとしています。
 南米圏に関しては、ブラジルのデフォルトなどオリンピック終了後のリスクが囁かれています。南米は資源に頼る国が多く、中国など貿易相手国の資源需要減退で金利の支払いなどに悪影響をうけており、いつデフォルトが起きてもおかしくない嵐の前の静けさの状況です。経済の大変動は、夏に来ると申し上げましたが来ませんね。大方の人は、大変動など来るとは思っていないでしょうが米国株の10%下落は直ぐそこだと思います。10%下落後が本番です。
(2016.8.24サンケイニュ-ス)
中国の金融機関が抱える潜在的な不良債権の残高が昨年末時点で12兆5千億元(約190兆円)に達したとの試算を、大手シンクタンクの日本総合研究所が24日までにまとめた。中国の公式統計の約10倍に当たる。経済成長の減速で隠れた不良債権が増えているとみられる。うまく処理できなければ、中国で金融危機が発生する恐れもある。

Ⅱ米国大統領選挙

 ヒラリー・クリントン大統領候補にパーキンソン病の疑いが浮上しています。今までも度々、人前で癲癇(てんかん)性の発作を起こすところが目撃されているようです。こういった神経症状を隠しようがなくなれば、ヒラリー候補は大統領選から撤退せざるを得ないでしょう。
 今回の大統領選では、ヘッジ・ファンドは圧倒的にヒラリー支持です。ヘッジ・ファンドに分類される金融会社7社だけで、ヒラリー・クリントン支持団体への献金は総額4850万ドルに及んでいます。一方、共和党のドナルド・トランプへのヘッジ・ファンド業界からの献金は僅か1万9000ドルに留まっている。トランプは、金融業界の紐付きではなく全く支持されていない。
 トランプが大統領になれば、国民経済全体を健全化する金融規制を安易に緩和しない。逆にヘッジ・ファンドの紐付きであるヒラリー・クリントンが大統領になれば、ヘッジ・ファンドに有利な規制緩和を行ない、ドッド・フランク法などの金融規制を骨抜きにするでしょう。大方の予想はヒラリ-の圧勝ですが個人的にはトランプの勝利を予想します。トランプ勝利の時は円高株安です。
 どちらの候補が勝っても米国は分裂し、混乱が生まれ、それは世界に波及せざるを得ません。

Ⅲ円と株

 イエレン議長は先日の講演で、利上げの時期については明示しませんでしたが、金利の正常化に意欲を示した格好です。この結果、年内の利上げはまず確実になったといえます。来週発表される8月の雇用統計が強くなれば、9月の米国利上げの可能性が高まります。利上げと言っても小幅なものに収まる可能性が高く、その後も影響を見ながらの調整になるのではないでしょうか、
 利上げ観測がさらに高まれば、金利上昇・ドル高で米国株の大幅調整は不可避になると考えています。昨年12月の利上げでは、世界の株式市場は暴落しドルは売られました。今年7月頃から米国の短期金利の高さが世界で目立つようになり、今やドル資金の調達不足で危機を招きかねない状況です。
 基軸通貨国である米国の利上げは、世界中にばら撒かれたドルが本国へ還流することを意味しますので、新興国通貨やコモディティは下落しやすくなります。また、金利上昇の結果、世界的に株式が調整しやすくなります。リスクオフ時、円はゴールドを並び安全資産として買われますので、今回も円は対ドルで売られますが長続きはしないでしょう。世界的に調整色が強くなるに連れて、ドル以上に円が買われ易くなるでしょう。
このとき、日本株には米株安と円高になるでしょう。イエレンFRB議長が利上げを言及しようがしまいが最後は円高・株安です。
 ドル円が100円の際の日経平均株価の理論値は14,150円です。理論値にならないのは、日本国が株価を支えているためです。
 ドル円は100円割れを回避して、103円近くまで上昇,105円辺りまで戻す可能性が出てきました。2009年から始まったドル高は2015年までで終わり、2016年からの7年間はドル安基調になるということです。ドル円については、少なくとも5年程度の円高を予想します。日本の財政問題などから、いずれ急速な円安になるでしょうが・・・
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8/30日経 市場関係者の年末までの予想レンジ

円:94~106円、97~105円
株:15,000~17500円、15000~18000円
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Ⅳ日本の経済指標

・銀行の長期プライムレートは上昇 住宅ローン金利も5か月ぶりに引き上げられる
・東京の中古マンションの価格も2年1か月ぶりに下落
・建築受注額 7月は前年同月比14%の下落
・7月の実質消費支出は同0・5%減と5カ月連続の減少
・全日空は中国、東南アジア向けの航空貨物定期便の輸送量を15%削減
自動車、電子機器の部品の荷動きが悪い
・消費者物価は7月が同0・5%減と3年4か月ぶりの下落幅

Ⅴ余談

瑞穂の国
安倍総理大臣が2012年12月の総選挙を前に、『月刊文藝春秋』で発表した政権構想「新しい国へ」です。
日本という国は古来から、朝早く起きて、汗を流して田畑を耕し、水を分かちあいながら、秋になれば天皇家を中心に五穀豊穣を祈ってきた、「瑞穂の国」であります。自立自助を基本とし、不幸にして誰かが病に倒れれば、村のみんなでこれを助ける。これが日本古来の社会保障であり、日本人のDNAに組み込まれているものです。
 私は瑞穂の国には、瑞穂の国にふさわしい資本主義があるだろうと思っています。自由な競争と開かれた経済を重視しつつ、しかし、ウォール街から世間を席巻した、強欲を原動力とするような資本主義ではなく、道義を重んじ、真の豊かさを知る、瑞穂の国には瑞穂の国にふさわしい市場主義の形があります。
 安倍家のルーツは長門市、かつての油谷町です。そこには棚田があります。日本海に面していて、水を張っている時は、ひとつひとつの棚田に月が映り、遠のく漁り火が映り、それは息を飲むほど美しい。
 棚田は労働生産性も低く、経済合理性からすればナンセンスかもしれません。しかし、この美しい棚田があってこそ、私の故郷なのです。そして、この田園風景があってこそ、麗しい日本ではないかと思います。市場主義の中で、伝統、文化、地域が重んじられる、瑞穂の。日本銀行は上場55社の筆頭株主です。
 東証一部上場企業の4社に一社の筆頭株主が「日本政府(公的)系」となっており、日々この比率が拡大していっており(時価総額は500兆円、政府系持ち株は39兆円分)、大手機関投資家は、「企業分析を重視する普通の投資家は手を出しにくくなる」としており、日本株式市場が今やまともな分析では理解できない株価水準になってきているとしているのです。
 道義を重んじ、真の豊かさを知るとは国家が市場に意図的に介入することでしょうか?TPPを導入すれば棚田など守れません。農業は、先進各国と同様補助金が必要です。又、TPPは非関税障壁の問題です。伝統、文化、地域が重んじられなくなり、グローバリズムが闊歩します。
 TPPが日本の農業や雇用などに与える影響も大きく、今あるFTAやEPAを活用した枠組み十分です。
 お坊ちゃん首相を始め自民党は秋の臨時国会でTPPを強行採決するでしょう。幸い、米国の次期大統領候補は、内向き思考のためTPPに反対です。

Ⅵ余談 外務省

外交とは力の行使をする前の交渉ですが日本の外交は、先進国の中で一番交渉力がない国です。何故か?第一に日本外交には、最大の後ろ盾となる軍事力がない。軍隊で責めてくることがない国との交渉ほどなものは無い。第二に日本は国力が衰えたために以前より気前よくお金を出せないからです。第三に、外交官に野武士的な人がいなくなったからです。外交官は外交官関係の中で姻戚を持とうとしているため魅力的な人がいなくなっています。外交官は国内の勤務を望みません。国内にいると税金を取られるし飲食
代、家賃がかかるため無税で飲食代がかからず高級ワインを飲める海外勤務を望みます。個人的に財産が蓄積できる魅力有る職場のため外務省内での姻戚が自ずと増えるのです。
 外交員、外務省の劣化は次の韓国との「慰安婦10億円合意」や我が国の明治産業革命遺産について、ユネスコ登録が決定された際に、世界遺産委員会において、韓国側がこだわった、「against their will」(本人の意思に反して)「forced to work(働かされた)」という表現を日本サイドが受け入れてしまった点からも明らかです。
終戦後の8/23日にスタ-リンの命令で日本人50万人をシベリアに拉致しました。日本の教科書は拉致でなく抑留されたと記述しています。太平洋戦争で日本人の戦死者は約300万人。米国人はその1/10です。この戦争で米国駐在の外交官は宣戦布告を宴会とやらで米国に通知しませんでした。職務怠慢のこの外交官は戦後出世されたそうです。外務省の劣化は戦前からなのかも知れません。

以上