2020-07-14

決められるときに決める! ~辣腕社長が二度の予備校売却を通して実感した金額よりも大切なコト

売り手(法人):匿名

(※写真はイメージです)

<健康上の理由による第三者承継事例>

 

健康上の理由から、医学部受験生を対象とした二つの予備校を半年間でそれぞれ数千万円で売却したSさん。売却するときに重要視したのは“スピード感”。なぜ、そこまでスピード感にこだわったのでしょうか。またスピード成約を実現するコツとは。Sさんにじっくりお話を伺いました。


(医学部予備校を譲渡したSさん)

【コロナ禍で利用者2割増加。案件公開後、問い合わせ殺到!】

- まずは売却にいたった経緯を教えてください。
直接のきっかけは、私の健康上の理由です。私は50歳を超える年齢ですが、今から5年前に急性大動脈解離で倒れ、24時間生死をさまようような大病をしました。その後、回復したものの、日常的に血圧管理なども必要なため、以前のように長時間働ける状態ではありません。

1回目に売却した医学部予備校は実在校でしたが、今回売却した医学部予備校は通信制。通信制といっても、講師がオンラインで授業をするというより、医学部を志望する学生の医学部進学から進級、卒業後の開業まで、一人一人をサポートする要素が強いので、予備校とコンサルティングを兼ねているような形です。

受験生だけでなく保護者の方と話すことも多く、それゆえ人数が増えれば、それだけ仕事が増えて、体にも負担がかかるので、いっそ譲ってしまって、ノウハウだけお伝えすれば、私も楽だなと考えました。

- 掲載してすぐに問い合わせが殺到したと聞いています。
そうですね、30人以上の方から買いたいというお申し込みをいただきました。医学部受験生を対象にしたこの業界は、市場は狭いですが、それだけに参入が簡単ではありません。いろいろなノウハウが必要になります。

ただ最近は業界再編が活発ですし、生徒単価も高いことから、やりたいという人が増えています。そこで、どう参入していいのかわからない、ノウハウを知りたいといったことから、多くの方が当社に興味を持ってくださったのではないでしょうか。

実際、市場規模は小さくても、ノウハウと人脈さえつながれば、どんどん深く掘っていけます。スタッフをしっかりと抱えて顧客管理できる会社であれば、シナジーが期待できる事業ではないかと思っていました。

今回の新型コロナウイルス災禍でも、来年の受験を見越して準備される保護者の方も多く、昨年の同じ時期に比べると、生徒は2割ぐらい増えました。


(※写真はイメージです)

【経営者の気概。人の食い散らかしたものは買わない!?】

- 1回目は約2週間、今回も基本合意までは約2週間のスピード成約。なぜこんなに早く売却できたのでしょうか。
私は高校生の時から株式売買を行っていて、上場会社の大株主や個人筆頭株主として四季報に名前が掲載されていたくらいの経験は持っています。ですので、M&Aについてもよく知っていましたし、周りの人からのお話も数多く聞いています。

そもそもM&Aというのは、売りに出して、売り損ねると今度は逆に売れないものなのです。たとえば10社が手を挙げてくれて、そのうちの1社に決めたけれど、最終的にうまくいかなくなったとします。そこで、お断りした9社に「買えますよ」と連絡すると、たいていはどこからも「もういいです」と言われてしまう。「1回断ったでしょ?、そんな人の食い散らかしたものは買わないよ」という経営者の気概があるからでしょうね

2番手、3番手を持って1番手と価格交渉する売り手の方もいますが、それにより、うまくいくはずのM&Aもご破算になるという、デメリットもあるということを忘れてはいけません。

ですから私は最初から金額が安くなっても、早く買ってくれるところに確実に売りたいと考えていました。面談では、どなたにも希望金額を入れた資料を見ていただき、一番早く決めていただいたところに決めたいということを伝えていました。最初からこちらの情報をあまさず開示したことで、結果的に早く成約できたのかもしれません

【スピード感、相性、会社規模、すべてに言うことなし】

- 売却の決め手となったのは?
やはり第一に“スピード感”です。

当時は多くの申し込みがあり、1日8人ぐらいの方と面談させていただいていました。買い手さんの前にも後にも人がいらっしゃって、買い手さんも早く決めないと買えなくなると焦りを感じられたのかもしれません。実際に成約した方は、2回目の面談で実印を持ってこられましたから、圧倒的な早さでしたね

また買い手さんのコミュニケーション力の高さも決め手になりました。

非常にざっくばらんにお話をされるかたで、こちらの聞きたいことを率直に話していただきました。コミュニケーション能力が優れている人はこちらの考えていること、知りたいことを先回りして話してくれるので、短時間で多くの情報を得ることができるんですよね。話せば話すほど、どんどん話が発展していくところにも相性のよさを感じましたね。

今後1年ぐらいは、私が顧問という形で、ノウハウをお伝えしたり、人脈をつないだりしますので、やはりお互いの相性は大切だと考えていました。

相性もさることながら、ある程度資金能力が高く、それなりにスタッフを抱えて、社会的責任を持った会社さんに買っていただきたいと思っていましたので、その点でも、こちらの買い手さんは申し分ありませんでした。「こんなの一つ引き受けたって大丈夫ですから、どんとこい」という感じでしたので、安心して売却を決断できましたね。

先方は介護関係の事業をされている方で、病院や医療関係の方とのネットワークを持てることにも魅力を感じていただいたようです。

- 交渉の際にご苦労されたことは?
そういった形で基本合意は2週間足らずで決まりましたが、買い手さんの会社の最終結論が2カ月ぐらいかかったのには、焦りに近いものを感じました。

先程もお伝えしたように、ここで売れなければ、ミソがついてしまい他でも売れなくなる。しっかり売り抜かなければと考えていましたので。ですから、最終的に100%決定したという連絡をいただいたときには、心底ホッとしました。

【仲介会社は玉石混交。売るなら直接オーナーに】

- 今回は二度目の売却。前回の経験をどう活かされましたか?
前回掲載したときも、たくさんお問い合わせをいただきましたが、その多くがM&Aの仲介会社さんでした。仲介会社さんのなかには、たとえば「この内容なら5000万円で10社ぐらい連れてきますから、端から相性のいい人を選んでください」というところもあります。そう言われると、最初はあてにしますよね。でも結局、1社しか連れてきてくれないうえに、ただ話を聞きにきただけで……。

1回目で仲介会社さんも玉石混交だとわかりましたので、今回は仲介会社さんを経由せず、事業規模の安定しているオーナーさんに直接買っていただこうと決めていました。

- 前回は実在校、今回は通信制、譲渡の際に異なる点を教えてください。
たとえば予備校という実在校なら、建物や講師、生徒さんなど、いろいろなものが目で見てわかるので、買い手さんは「購入したら、こういうふうにやりたい」という理想が働きます。ですから引き継ぎをすると、今までの進め方とは異なる方法をとられる場合も数多く出てきます。私もそうですが、顧問として残っても、あまりこちらのカラーは出さないほうがいいように感じますね。

一方、通信制の事業はノウハウで成り立つ要素が強く、形が目に見えないものなので、買い手さんはノウハウを大事にして、それに沿って発展させていこうという気持ちが強くなります。私からアドバイスをすれば、じゃあそうしましょうという形で、非常に引き継ぎもしやすいし、今後のお付き合いもしやすいように思います。

【もたもたしていると、何が起こるかわからない!】

- これから事業譲渡される方にアドバイスを!
一言でいうと「決められるときに決める」ではないでしょうか。

あまりもたもたしていると、今回の新型コロナウイルス感染症問題のように、世の中がいつどう変わるかわかりません。何が起きるかわからないので、決められるときが決めるのがベストなタイミングでしょうね。

そのときに金額は、それほど重要ではありません。希望とは異なり、1割ぐらい減額になったとしても、それを確実に相手が買えるかどうか。売ることを実現させることが何よりも重要なのです。

- ありがとうございました!

 

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  • 池田純子)
  • ライター紹介池田純子

    大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーのライター・編集者に。暮らしやお金、子育てにまつわる雑誌記事の執筆や単行本の製作に携わる。さまざまな生き方を提案するインタビューサイト「いま&ひと」を主宰。