事業承継・M&A成功事例

クラウドワークス×グラヴィー

2018-02-16

爆速M&A、上場会社とスタートアップが出会って1ヶ月でゴールイン


※本事例は、Biglife21の承諾を得て掲載しております


2017年にクラウドワークスの子会社となったgraviee(グラヴィー)。両社は出会ってから1ヶ月という異例の早さで、クラウドワークスがグラヴィーを買収する運びとなった。その裏には、日本最大の事業承継・M&Aマーケット「TRANBI(トランビ)」の存在があった。
 
インターネット経由の新しいM&Aは、仲介会社を通して行う従来のM&Aとどのような違いがあったのだろうか。

今回は、新時代のM&Aのあり方について、クラウドワークス代表の吉田浩一郎氏とグラヴィー代表の大野康介氏にお話を伺ってみた。

 


M&Aは、新規事業を生み出すための1つの手段

−まずは、それぞれのご事業の内容をご紹介いただけますでしょうか?
 
大野康介(以下、大野):
株式会社graviee(グラヴィー)は2012年に設立したスタートアップで、今年で7期目になります。主な事業は、週3日の仕事スタイルがコンセプトの「3スタ(サンスタ)」というサービスです。Webのクリエイティブ領域(エンジニア・デザイナーなど)に特化して、その領域で活躍されているフリーランスの方に対し、週3日からの常駐や在宅での仕事をご紹介するサービスを提供しています。
 
吉田浩一郎(以下、吉田):
株式会社クラウドワークスは、日本最大級のクラウドソーシングであるクラウドワークスを運営しているメガベンチャーです。日本中の大企業から中小企業、小規模事業者などを含め約22万社に登録いただいており、仕事の受け手である個人の方々には全国で165万人に登録いただいております(2018年1月現在)。インターネット上で、仕事を依頼したい側と受けたい側をマッチングするサービスになります。
 
仕事の種類としては、約200種類くらいあって、クラウドワークスで得られる個人の最高年収が2,400万円。発注者側である企業にとっては日本中の多様な個人のスキルを活用できます。一方、個人にとっては、常勤でフルタイムで働く仕事とは異なり、業務単位での契約になりますから、時間と場所に囚われない自由なワークスタイルを選べるということが、メリットになっています。


―クラウドワークスとして、買収を検討された背景を教えていただけますでしょうか?
 
吉田:
我々は20世紀の大企業の正社員という働き方に対する1つのイノベーションとして、クラウドソーシングを世の中に提供することが主業務です。ベースがフリーランスという個人の方々に対し、単発のプロジェクトをインターネット上でマッチングするという形で、2012年からサービスを提供しています。

当社は、インターネット上で様々な仕事をマッチングすることに強みはあったのですが、昨今の副業解禁などの働き方の変化や複雑化に、正社員とフリーランスという2項対立的なものだけではなく、より細かく対応していく必要がありました。こうした背景をもとに、新しい事業・サービスを拡充するための選択肢としてM&Aを検討する過程でトランビの存在を知りました。


左:グラヴィ-大野氏、右:クラウドワークス吉田氏
 


実は事業を売却するつもりはなかった

―グラヴィーが売却を検討した理由、背景には何があったのですか?
 
大野:
実は、トランビに掲載をした当初の理由は、資本提携先というよりも、3スタを一緒に成長させられる業務提携先を探していました。当社のお客様であるフリーランスのワーカーの方々にサービスとして価値を提供し続けていくことを考えると、スタートアップ企業である当社よりも規模の大きい会社と組んで、今まで以上により大きな価値を提供していくことが必要だと考えていました。

なので、初めは会社を売却するつもりは全くなく、当社の成長に資する事業シナジーが見込める先を探していました。そのときに、仲介会社を通さず直接提携候補先と出会えるサービスがないかと探す中で見つけたのが、トランビでした。
 
結果、トランビ経由でクラウドワークスと接点を持つ機会をいただきました。そこから色々とお話していく中で、「資本提携という形にまで踏み込んだ方がより良いサービスや価値を提供していけるのではないか」という話になり、売却を決断しました。
 

−当初は売却の意図はなかったけれども、とりあえず登録しておいてアライアンス先が出てこないか探されていたとのことですが、クラウドワークス以外からも、声はかかったのですか?
 
大野:
何社かアプローチはありました。連絡は10社以上からいただいていて、実際にお会いしたのは3、4社ですかね。
 



−最終的に、クラウドワークスグループ入りを決められた理由は何でしょうか?
 
大野:
理由は大きく3つあります。1つ目は、当社とクラウドワークスさんとの事業領域が近く、大きな事業シナジーを見込めたことです。2つ目は、バックオフィス業務をサポートいただける点です。当社は社員数が少なく、当時5名くらいの会社でした。代表である私自身が営業から採用面談、契約書のチェックや経理業務など全てをやっていたので、事業の成長に直結する業務に100%の力を注ぎ込めていなかった面がありました。そのため、クラウドワークスグループ入り後は、バックオフィス業務を本社でサポートいただけることが大きな魅力でした。そこが解消されれば、より強い経営基盤を形成できる可能性を感じたところが大きかったです。3つ目の理由としては、当社の価値観や経営方針、文化を非常に尊重していただけたという点です。
 
−例えば、グラヴィーの文化のどのようなところを?
 

大野:
当社が目指している方向性、具体的には、「ワークスタイルを主体的にデザインする世の中へ」という自由な働き方を広めていくという方向性がクラウドワークスの目指している方向性と近しいところがあり、非常に尊重していただきました。目指している世界観、理念の部分がとても近かったというのは、これから一緒にサービスを成長させていこうとタッグを組むときには大きかったと思います。その一方で、具体的なサービスプランや営業方針などは自由にやらせていただいたところがあり、経営は任せてもらいながらもサポートが必要な所は手厚く支援していただけるところのバランスが非常に良かったと思います。
 

インターネットならでの爆速M&A

−クラウドワークスにお聞きしたいのですが、買収が決まるまでの流れと、最終的にグラヴィーの買収を教えていただけますでしょうか?
 
吉田:
トランビのサイトに掲載されていたグラヴィーさんの案件概要が非常にわかりやすく、業種や業務内容、会社の状況などの案件情報が丁寧に書かれていたので、まずアプローチがしやすかったです。交渉を申し込んですぐに大野さんからお返事もいただけて、とにかくやり取りが非常にスムーズで、スピーディーでした。
 
通常、M&A仲介会社は人がやってきて、訪問させていただいて、ヒアリングをして、というように訪問やメールを複数回経なければいけません。また、他の買い手と横並びで進むため、他社の都合で待たされるケースもあります。一方で、トランビでは、一連の手続きがインターネット上で完結しますし、売り手と直接交渉できるので、当社のスピード感で話を進めることができます。既存のM&A仲介会社を利用するフローと比較すると、時間的にも、時間に紐づくコストと人件費という意味でも、非常にリーズナブルなアプローチをさせていただけたと考えています。

当社のような規模のある会社が新規事業の種としてスタートアップ企業をトランビで探すというのは、理にかなった行動だと思っています。我々は社内にM&Aチームを保有していますので、案件を探す術が手に入れば、デューデリジェンス等は自分たちでやれます。積極的な買収・M&Aを考えてる企業にとっては、トランビは非常に良いサービスだと思います。

トランビの担当者によれば、当社以外にも上場会社が数多く利用しているようですので、M&AによるEXITを検討しているスタートアップがトランビで候補先を探すというケースが増えてくるのではないでしょうか。
 


 

出会いから1ヶ月の爆速M&A

−どういった形でお二人は交渉をされたのでしょうか?
 
吉田:
大野社長は基本的には業務提携、出資が絡むケースでも少額という前提でお話しされていました。しかし、当社としては、我々がまだやっていない市場領域で3スタというビジネスを立ち上げられていたので、私の方からは「出資というよりは一緒にグループでできないですか」と提案させていただきました。
 
大野社長はその段階では売却の意思があったわけではないので、大野社長を尊重する形で提案を考え、株式100%というのがもし問題になるようでしたら、51%でどうでしょうか、と。ある意味色々な選択肢を持った形でできませんか、とお話をさせていただいた次第です。大野社長としては、そういう提案を想定していなかったと思うので、すごく驚かれていましたね。
 
ただ、私が想うに、大野社長は今後の人生で取り組んでいきたいことは数多くある人だなと感じました。事実、この領域ではないことにも色々挑戦していきたいと仰っていて。だから我々はこの領域に集中している会社ですので、段階的な買収というようなことをご提案させていただきました。残り49%を買収させていただいたら、大野社長はそこで抜けられて新しいことをやられるのはどうでしょう、というような話を進めていったということですね。



−それは具体的にはいつ頃でしたか?
 
大野:
吉田さんとお会いしたのは、トランビでのやり取りが始まってから1週間後くらいですね。
 
吉田:
初めてご来社いただいた際に、当社グループで一緒にやりませんかと買収のご提案をさせていただき、「そういう方向でお願いします」と2週間後にはお返事をいただきました。結果的には、出会いからほぼ1ヶ月でまとまりましたね。これだけ早く話がまとまるというのも、トランビというインターネットでM&Aができるサービスのおかげかなと思います。

 
 

これからの時代は、M&Aもインターネット経由が当たり前になる
 
−トランビを利用した際、インターネット経由でのM&Aに不安や抵抗はありませんでしたか?
 
大野:
不思議と抵抗はなくて。メッセージ機能を使ったやりとりが非常にスムーズでしたね。先方の考え方や事業内容を聞いてしまえば、インターネットかどうかは問題ではなく、抵抗感みたいなところは全くなかったです。

 
−上場会社がインターネットで会社を買収する事例は、まだまだ珍しい先進的な事例と思いますがいかがですか?
 
吉田:
我々自体がインターネット上で、仕事を探しているフリーランスの方と発注者をマッチングするというイノベーションをやっていますので、会社の文化としてインターネットで会社を買収するということには全く抵抗はなかったのかなと思います。

  

−クラウドワークスとして、今回の買収で当初想定したシナジーは得られましたか?
 
吉田:
これまで当社が取れていない事業領域に関しての事業戦略が共に組めたということは明確です。直近は我々の想定以上の業績で、売上も営業利益も伸びている状況です。
 

−大野さんはどうでしたか?子会社になって何が変わったかなど教えてください。
 
大野:
数字が上振れした大きな理由は、クラウドワークスという上場会社のグループに入ったことにより会社の信用度が上がったからだと思っています。信用力を得られたことで、優秀な営業が採用できたことが大きかったです。そのおかげで売上、利益ともに計画を上振れする結果になったと思っています。やはり、会社の信用度が上がったというのが一番ですね。
 
業務面で言うと、当社が抱えている会員の方に対して、クラウドワークスが持っている多くの企業情報や仕事情報を共有できたところは、当社の会員であるフリーランスの方々にとっても非常にプラスに働いたと思っています。
 
あとはバックオフィスの部分で言うと、法務・会計周りを含め今ちょうど連携を活発に行っており、徐々に私がやっていたところが引き継がれ、支援していただきつつある状況です。今後は、私自身のリソースをより成長に直結する領域に投下できますので、更なる成長に向けて頑張っていきたいと思っています。

 
 
既存の考えにとらわれない、新しい働き方の実現へ向けて
 
−大野さんは様々な分野に挑戦していきたいというお話がありましたが、今後の青写真をどうお考えでしょうか?
 
大野:
当社のキーワードは「自由な働き方」でして、今後は週3日の方もいればリモートで働きたい方もいると思うので、それぞれが希望するワークスタイルに応じた自由な働き方ができるようなあらゆるサービスを作っていきたいと考えています。今後は3スタ以外の新しいサービスを考えています。3スタはクリエイティブ領域ですけども、職種を増やすという手もありますし、3スタ以外のまた違った働き方を提唱したいと思っています。
 
−クラウドワークスとしては、今後の働き方はどうしていきたいとお考えですか?
 
吉田:
弊社は、「働き方革命〜世界で最もたくさんの人に報酬を届ける会社になる〜」というビジョンを掲げています。我々のイノベーションの指標というのは、個人にインターネットを介して届けた報酬額であると考えていまして、この報酬額において日本一の会社になるということです。
 
日本で個人への報酬額を考えたとき、従来の概念(企業で正社員として働くこと)でのナンバー1企業はトヨタさんだと思います。トヨタさんで従業員36万人、仮に日本人の平均年収420万円で換算しますと、大体1.5兆円くらいになります。我々は今40万人×420万円というように置いていまして、そうすると約1.7兆円になります。1.7兆円の報酬を、インターネットを経由して我々のイノベーションによってお届けできると。
 
20世紀は大企業の従業員に対してトヨタさん、我々はインターネットであらゆる個人に対して報酬を届けるクラウドワークスとして、日本一を目指しています。そういった中では、日本最大の事業承継・M&Aのマーケットであるトランビのお力を引き続き借りて、我々が日本一のプラットホームになるというところを継続的にご支援いただきたいなと思っております。
 
―ありがとうございました。



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