調剤薬局・ドラッグストア業界の市場動向
高齢化の進展に伴う医薬品需要の増加を背景に、調剤薬局・ドラッグストア業界の市場は底堅く推移しています。しかし、その経営環境は大きな変化に直面しており、2年に一度の薬価改定による利益率の低下は、業界全体の収益を圧迫する構造的な課題です。
また、薬剤師の採用難と人件費の高騰は、特に中小規模の薬局にとって深刻な問題となっています。大手チェーンによる積極的な出店やM&Aで寡占化が進んでおり、競争はますます激化しています。
こうした状況下で、国は「かかりつけ薬局」としての機能を強化し、在宅医療やセルフメディケーションを推進する方針を打ち出しています。これに対応できない薬局は淘汰されるリスクがあり、業界再編の動きがさらに加速すると見られています。
調剤薬局・ドラッグストア業界のM&Aのポイント
ポイント①:薬剤師の確保と人材定着の見極め
調剤薬局の事業価値は、薬剤師の存在なくして成り立ちません。そのため、M&Aを検討する際は、人材に関するデューデリジェンスが極めて重要となります。
特に、管理薬剤師や店舗運営の中核を担う薬剤師の年齢、勤続年数、M&A後の継続勤務の意思を必ず確認すべきです。キーパーソンが買収直後に退職してしまうと、事業計画が根底から覆るリスクがあります。
また、従業員の労働条件や職場環境、人間関係といった定性的な情報も可能な限り収集し、潜在的な離職リスクを評価することが不可欠です。買収後の円滑な統合(PMI)を見据え、人材の定着に向けた具体的な施策を事前に検討しておくことが、成功の鍵を握ります。
ポイント②:収益構造と近隣医療機関との関係性分析
調剤薬局の売上の多くは、特定の医療機関から発行される処方箋に依存しているケースが少なくありません。したがって、主要な応需元であるクリニックや病院との関係性の強さが、事業の安定性を左右します。
デューデリジェンスでは、処方箋の集中度合いを数字で把握するとともに、その医療機関の経営状況を分析する必要があります。特に、医師の年齢や後継者の有無、将来的な診療方針の変更可能性は、薬局の将来価値に直接的な影響を与えるため、重点的に確認すべき項目です。
近隣に競合薬局が新規開業するリスクや、応需元の医療機関が敷地内薬局を開設する可能性なども考慮に入れなければなりません。医療機関との強固で良好な関係性が、買収対象企業の持つ無形の資産価値と言えるでしょう。
ポイント③:法規制対応と将来の付加価値創出ポテンシャル
調剤薬局業界は、診療報酬改定や薬価改定など、国の政策や法規制による影響を直接的に受けるビジネスです。過去に行政指導や監査を受けた履歴がないか、コンプライアンス体制が適切に整備されているかの確認は必須です。
加えて、将来の成長性を見極める視点も重要になります。国が推進する「かかりつけ薬局」としての機能、例えば在宅医療への対応実績や、健康サポート薬局の認定状況などは、将来の収益性を高める上で重要な要素です。
また、電子薬歴やオンライン服薬指導システムといったIT投資の状況も確認しましょう。これらの設備や体制が整っているか否かは、今後の制度変更への対応力や、新たな付加価値を創出するポテンシャルを測る指標となります。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
