建設・土木業界の市場動向
建設・土木業界は、政府による国土強靭化計画などの公共投資が下支えとなり、市場規模は堅調に推移しています。また、都市部の再開発やリニア中央新幹線関連の工事、インフラの老朽化対策なども活発です。
しかし、業界は深刻な課題に直面しています。特に、技術者や技能労働者の高齢化と若年層の入職者減少による人材不足は、多くの企業の事業継続を脅かす最大の要因となっています。
これに加えて、2024年4月から適用された時間外労働の上限規制(2024年問題)は、工期の長期化や人件費の増加に直結します。資材価格の高騰も収益を圧迫しており、生産性向上に向けたDX推進や、事業基盤強化のためのM&Aが不可欠な経営戦略となっています。
建設・土木業界のM&Aのポイント
ポイント①:有資格者と技術者の質と定着率
建設業のM&Aにおいて、最も重要な資産は「人」であり、特に有資格技術者の確保が成功の鍵を握ります。企業の技術力を示す経営事項審査(経審)の評点は、所属する1級・2級施工管理技士などの人数に大きく左右されるためです。
デューデリジェンスでは、従業員名簿と資格証を照合し、有資格者の人数や種類を正確に把握することが不可欠です。同時に、技術者の年齢構成を確認し、数年後に主力技術者が大量に退職するリスクがないかを見極める必要があります。
また、現場代理人や主任技術者といったキーパーソンの特定も重要です。M&A後も彼らが定着してくれるよう、面談を通じて労働条件やキャリアプランに関する意向を丁寧にヒアリングし、リテンションプランを検討することが求められます。
ポイント②:工事実績と許認可・行政処分の確認
対象企業が持つ技術力や事業の安定性を客観的に評価するためには、過去の工事実績と許認可の状況を精査する必要があります。官公庁工事と民間工事の比率や、得意とする工事の種類(建築、土木、専門工事など)を確認し、自社の事業とのシナジーを見極めましょう。
建設業許可の種類(特定・一般)や有効期限、経審の総合評定値(P点)の推移も必ず確認すべき項目です。P点の低下は受注機会の損失に直結するため、その原因が技術者の退職など構造的な問題に起因していないか、深く分析する必要があります。
さらに、過去に指名停止や営業停止などの行政処分歴がないかも重要なチェックポイントです。処分歴がある場合は、その原因と再発防止策が適切に講じられているかを確認し、コンプライアンス上のリスクを慎重に評価してください。
ポイント③:特有の会計処理と潜在債務のリスク
建設業の財務評価では、特有の会計処理に起因するリスクを見抜くことが極めて重要です。特に、工事の進捗に応じて売上を計上する「工事進行基準」を採用している場合、進捗度の見積りが甘く、利益が実態より大きく見えている可能性があります。
また、長期間にわたる工事では、引き渡し後の瑕疵担保責任や、予期せぬ追加工事費用など、決算書に表れない潜在的な債務(簿外債務)を抱えているリスクがあります。財務デューデリジェンスでは、未成工事支出金の中に不採算案件が隠れていないか、原価管理が適切に行われているかを厳しくチェックしなければなりません。
これらのリスクを正確に把握するため、会計や法務の専門家と連携し、個別の工事契約や原価管理資料を精査することが不可欠です。安易な財務評価は、買収後の想定外の損失につながるため、細心の注意を払いましょう。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
