太陽光発電業界の市場動向
太陽光発電業界は、カーボンニュートラルの実現に向けた再生可能エネルギーの主力として、引き続き重要な役割を担っています。FIT(固定価格買取制度)の買取価格低下に伴い、大規模な新規開発は落ち着きを見せる一方、既に稼働済みの発電所を売買するセカンダリー(中古)市場が活況を呈しています。
多くの発電所が稼働から数年を経て、実際の発電実績や運用状況が明確になったことで、投資対象としての評価がしやすくなったことが背景にあります。また、FIT期間が残っている高利回りの案件は、安定した収益源を求める事業会社や投資ファンドにとって魅力的な買収対象となっています。
今後は、O&M(運用・保守)体制の強化による発電効率の維持・向上や、蓄電池の併設による付加価値創出が競争力の源泉となります。こうした状況から、事業規模の拡大や効率化、技術力強化を目的としたM&Aが、業界の成長を支える重要な戦略として一層活発化していくでしょう。
太陽光発電業界のM&Aのポイント
ポイント①:事業計画の精査と発電シミュレーションの妥当性
太陽光発電所のM&Aにおいて最も重要なのは、売り手から提示される事業計画の収益予測を鵜呑みにしないことです。特に、将来の収益の根幹となる発電量シミュレーションは、その前提条件を詳細に検証する必要があります。
具体的には、シミュレーションに用いられた日射量データが信頼できるものか、パネルの経年劣化率やパワーコンディショナの変換効率が現実的な数値で設定されているかなどを確認します。買収監査(デューデリジェンス)の際には、第三者の専門機関に依頼し、客観的な視点から発電シミュレーションを再評価することが極めて重要です。
過去の発電実績とシミュレーション値に乖離がある場合は、その原因(天候要因、機器の不具合、出力抑制など)を徹底的に究明し、リスクを正確に把握した上で買収価格を算定することが求められます。
ポイント②:土地・設備の状態と権利関係の確認
発電所の価値は、物理的な設備の状態と法的な権利関係に大きく左右されます。M&Aを検討する際は、必ず現地調査を行い、太陽光パネルの汚れや破損、架台の腐食、雑草の繁茂状況、周辺の樹木による影の影響などを直接確認することが不可欠です。
また、土地の権利関係も重要なチェックポイントとなります。土地が賃借の場合は、賃貸借契約の残存期間、地代、更新条件などを精査し、将来にわたって安定的に事業を継続できるかを見極める必要があります。
さらに、電力会社との系統連系契約や、経済産業省からの事業計画認定(認定ID)が、M&A後も問題なく承継できるかを法務面から検証することも忘れてはなりません。特に、出力抑制(カーテイルメント)の対象となる発電所かどうか、そのルールや過去の実績は必ず確認すべき項目です。
ポイント③:O&M契約と将来の修繕・撤去コストの把握
太陽光発電事業の長期的な収益性を担保するためには、適切なO&M(運用・保守)が欠かせません。現在締結されているO&M契約の内容を精査し、点検の頻度や範囲、緊急時の対応体制、費用が妥当であるかを確認します。
M&Aを機に、よりコストパフォーマンスの高いO&M会社に変更したり、自社で内製化したりすることも検討すべきでしょう。同時に、将来発生しうる大規模修繕費用についても考慮が必要です。
特に、10年~15年で寿命を迎えるパワーコンディショナの交換費用や、FIT期間満了後の設備撤去費用が事業計画に織り込まれているか、またそのための資金が積み立てられているかは重要な確認事項です。これらの将来コストを見落とすと、買収後のキャッシュフローが大幅に悪化するリスクがあるため、デューデリジェンスで厳密に評価することが求められます。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
