自動車整備等業界の市場動向
国内の自動車保有台数は緩やかな減少傾向にあるものの、平均車齢は年々上昇しており、一台の車を長く使用する傾向が強まっています。これにより、車検や定期点検、故障修理といった整備需要は安定的に推移しています。
しかし、業界は深刻な課題に直面しています。特に、整備士の慢性的な人材不足と高齢化は事業継続を脅かす大きな要因となっており、多くの事業者で後継者問題が顕在化しています。
また、EV(電気自動車)やADAS(先進運転支援システム)といった自動車技術の急速な進化に対応するための設備投資や、専門知識を持つ人材の育成も急務です。
こうした背景から、事業基盤の強化や事業承継を目的としたM&Aが、業界の重要な選択肢として注目されています。
自動車整備等業界のM&Aのポイント
ポイント①:人材の質と量の評価
自動車整備事業の価値は、整備士の技術力と組織力に大きく依存します。そのため、M&Aを検討する際は、在籍する整備士の質と量を詳細に評価することが不可欠です。
具体的には、整備士資格(1級・2級・特殊整備士等)の保有状況や、事業運営に不可欠な自動車検査員の在籍を確認します。
加えて、従業員の年齢構成や平均勤続年数、近年の離職率を把握し、人材の定着度を測ることも重要です。
特に、工場長や経験豊富なベテラン整備士など、事業のキーパーソンがM&A後も継続して勤務する意向があるかを確認し、円滑な引き継ぎとリテンションプランを事前に検討しておく必要があります。
ポイント②:設備と許認可の確認
事業の継続性と将来性を見極める上で、工場の設備状況と必要な許認可の有無は極めて重要な確認項目です。まず、対象事業が地方運輸局長の認証を受けた「認証工場」か、車検ラインを持ち指定を受けた「指定工場(民間車検場)」かを確認します。
指定工場の資格は、ワンストップで車検サービスを提供できるため、収益性や顧客利便性の観点から事業価値を大きく左右します。
また、ADAS搭載車の整備に必須となる「特定整備制度」への対応状況も重要です。エーミング(校正)作業に必要なツールやスペースが確保され、電子制御装置整備の認証を取得しているかは、将来の競争力を測る指標となります。
デューデリジェンスの際には、これらの許認可が適切に維持されているか、また主要な設備の老朽化度合いや追加投資の必要性を精査することが求められます。
ポイント③:顧客基盤と収益構造の分析
安定した事業運営のためには、優良な顧客基盤とバランスの取れた収益構造が欠かせません。M&Aの検討においては、顧客ポートフォリオを詳細に分析することが重要です。
個人顧客と法人顧客の比率や、特定の顧客への依存度が高すぎないかを確認します。運送会社やリース会社といった大口の法人顧客がいる場合は、取引の安定性や契約内容を精査する必要があります。
また、収益の内訳も重要な分析対象です。収益源が車検に偏っていると価格競争の影響を受けやすいため、一般整備や板金塗装、部品販売など、収益が多角化されている方が事業の安定性は高いと評価できます。
顧客管理の方法やリピート率、地域での評判なども含めて評価し、M&A後にシナジーを発揮できる顧客基盤であるかを見極めることが成功の鍵となります。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
