動物病院業界の市場動向
ペットの家族化が進み、飼育頭数が増加傾向にあることを背景に、動物病院業界の市場規模は堅調に推移しています。ペットの長寿命化に伴い、高度医療や専門医療、予防医療、さらには終末期ケアといった飼い主のニーズは多様化・高度化しています。
こうした需要の拡大は業界にとって追い風である一方、多くの動物病院は深刻な課題に直面しています。特に、獣医師の高齢化による後継者不足は喫緊の課題であり、事業承継がスムーズに進まないケースが少なくありません。
また、医療機器の高度化に伴う設備投資の負担増や、獣医師・動物看護師の採用難と労働環境の改善といった問題も経営を圧迫しています。これらの課題を解決し、地域医療への貢献を継続するため、第三者への事業承継やM&Aによる経営基盤の強化を選択する動物病院が増加しています。
動物病院業界のM&Aのポイント
ポイント①:人材(獣医師・動物看護師)の確保と定着
動物病院の事業価値は、院長だけでなく、勤務する獣医師や動物看護師といった専門人材に大きく依存します。M&Aを検討する際は、まずスタッフの陣容と定着率を詳細に確認することが不可欠です。
院長が引退した後も、現在の診療レベルを維持できる体制が整っているか、勤務医の経験年数や専門性、動物看護師のスキルセットを精査しましょう。デューデリジェンスの過程では、スタッフの労働環境や待遇への満足度をヒアリングし、M&A後の離職リスクを慎重に見極める必要があります。
買収後に優秀な人材が流出することを防ぐためにも、承継後の待遇や役割について、事前に丁寧なコミュニケーションをとることが成功の鍵となります。
ポイント②:収益構造の健全性と設備投資の状況
動物病院は自由診療が基本であるため、収益構造の分析が極めて重要です。予防医療、一般診療、手術、物販など、売上のポートフォリオが特定の分野に偏りすぎていないかを確認し、安定性を評価しましょう。
また、客単価やカルテ枚数、新規顧客の流入状況を分析することで、将来の収益性を予測できます。さらに、CTやMRI、超音波診断装置といった高額な医療機器の状態も必ずチェックすべき項目です。
機器の老朽化が進んでいる場合、買収後に多額の追加投資が必要になる可能性があります。リース契約の内容や、将来的に必要となる設備投資の規模と時期を事前に把握し、事業計画に織り込むことが肝要です。
ポイント③:顧客基盤と地域における評判
動物病院は地域密着型のビジネスモデルであり、その価値は顧客基盤の質と量、そして地域での評判に大きく左右されます。アクティブな顧客数や商圏内のペット飼育頭数の推移を把握し、事業の将来性を分析しましょう。
また、飼い主からの信頼が事業の根幹であるため、インターネット上の口コミやSNSでの評価、近隣住民からの評判も重要な判断材料となります。マイナスの評判がある場合は、その原因と改善の余地を検討する必要があります。
M&Aによる経営者の変更は、顧客離れを引き起こすリスクも伴います。現院長に一定期間顧問として残ってもらうなど、スムーズな引き継ぎ計画を策定し、大切な顧客基盤を確実に承継できる体制を整えることが求められます。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
