ソフトウェア業界の市場動向
国内のソフトウェア業界は、あらゆる産業で進むデジタルトランスフォーメーション(DX)の波に乗り、堅調な成長を続けています。特に、初期投資を抑え月額課金で利用できるSaaS(Software as a Service)モデルが主流となり、市場拡大を力強く牽引しています。
近年では、AIやIoTといった先端技術を組み込んだ高付加価値なソフトウェアや、特定の業界・業務に特化したバーティカルSaaSの需要が急速に高まっています。一方で、開発競争の激化や深刻なITエンジニア不足という課題も浮き彫りになっており、事業継続や成長のために外部リソースの活用が不可欠な状況です。
こうした背景から、開発力や優秀なエンジニア組織、そして確立された顧客基盤を獲得する手段として、M&Aは極めて有効な戦略的選択肢となっています。技術革新のスピードに対応し、市場での競争優位性を確保するため、業界再編の動きは今後さらに活発化していくと予測されます。
ソフトウェア業界のM&Aのポイント
ポイント① 技術力と開発体制の評価
ソフトウェア企業の価値を正しく評価するには、ソースコードの品質やアーキテクチャの健全性を深く見極めることが不可欠です。将来的な機能追加や改修が困難になる「技術的負債」を抱えていないか、拡張性や保守性は確保されているかを確認する必要があります。
そのため、M&Aの実行プロセスにおいては、ITデューデリジェンスが極めて重要となります。専門家を交えて、開発体制やドキュメントの整備状況、セキュリティ対策のレベルを詳細に調査し、潜在的なリスクを洗い出してください。
また、属人化のリスクも軽視できません。特定のキーパーソンとなるエンジニアに技術やノウハウが集中していないかを確認し、M&A後に離職するリスクを考慮した上で、リテンションプランを事前に検討しておくことが成功の鍵を握ります。
ポイント② ビジネスモデルと顧客基盤の精査
SaaSビジネスのM&Aを検討する際は、事業の安定性を示す主要KPIを詳細に分析することが重要です。特に、MRR(月次経常収益)の成長率や解約率(チャーンレート)、LTV(顧客生涯価値)といった指標は、事業の将来性を測る上で欠かせない判断材料となります。
これらの数値が堅調であっても、その算出根拠が正確であるかをデューデリジェンスで厳しく検証する必要があります。同時に、顧客基盤の質にも注意を払ってください。
売上が特定の大口顧客に集中している場合、その1社が解約するだけで事業計画が大きく揺らぐリスクを内包しています。幅広い顧客層に支えられているか、また、その顧客層が自社の事業戦略と合致しているかといった観点から、多角的に評価することが求められます。
ポイント③ 知的財産権と契約関係の確認
ソフトウェアのM&Aにおいて、知的財産権の帰属は最も重要な確認項目の一つです。開発したソフトウェアの著作権が、対象企業に法的に正しく帰属しているかを徹底的に調査しなければなりません。
特に、外部の協力会社やフリーランスに開発を委託していた場合、契約書上で知的財産権が明確に譲渡されているかを確認する必要があります。また、オープンソースソフトウェア(OSS)の利用状況にも注意が必要です。
使用しているOSSのライセンス規約によっては、自社開発部分のソースコード開示義務が生じるなど、事業の根幹を揺るがすリスクが潜んでいる可能性があります。法務デューデリジェンスを通じて、これらの権利関係に瑕疵がないかを精査し、将来的な紛争リスクを未然に防ぐことが不可欠です。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
