【買い手用】交渉メッセージの書き方

返事が遅い…

M&Aに際して、相手に意思の強さを伝える有効な手段は回答の早さです。1週間経ってからの回答では遅く、本気度が低いと相手は判断するでしょう。通常のビジネスと同様に、基本的には当日中の回答を心掛け、正式な回答が遅れる場合には、追って連絡する旨だけでも先に相手に伝えるようにしましょう。

ビジネスマナーに欠けている文面でのやり取り…

交渉相手は、あなたがどのような年齢、性別、立場、バックグラウンドの方なのかが一切わかりません。文面から、あなたの性格や目的などを知ろうと慎重になっています。
ビジネスマナーに沿って正しく敬語を用いた丁寧な文面で、相手に誠意が伝わるように心がけましょう。

情報開示を求め過ぎる…

M&Aで最も大切なことは、自社の大切な会社や事業の情報が安易に外部に漏洩せず、適切な秘匿性が守られることです。
あなた自身の情報を伝えないまま過度に情報を求めると、相手が敬遠する可能性があります。まずは信頼関係の構築を大切にし、詳細な情報を求める・提示する際は必ず秘密保持契約を締結しましょう。

メッセージの基本形はビジネスメールの構成と同じ「①挨拶・②本文・③締め」です。

① 挨拶

宛名のあとに1行空けてから、挨拶文を入れます。初めてのメッセージであれば「初めてメッセージを送らせていただきます」、2回目以降のメッセージでは「お世話になっております」などが一般的です。
こちらからの質問に対する返信であれば「ご返信ありがとうございます」などでも良いでしょう。
実名交渉に移行した場合は、挨拶文の後に自分の名前と肩書を付けくわえると親切です。

② 本文

本文は簡潔に分かりやすく記載します。
初回のメッセージでは、簡単にこの案件に興味をもった背景などを伝えます。
2回目以降は、その都度メッセージの目的を本文の最初に記載すると、読み手に取って分かりやすいメッセージにすることができます。

③ 締め

最後にメッセージの締めとして、一文を加えます。
「お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします」「お忙しいところ恐縮ですが、何卒宜しくお願いいたします」など今後対応してもらうことへの感謝の気持ちを込めて締めることが一般的です。

買い手様の初回交渉メッセージ

法人の買い手

お世話になります。

建設業を営んでいる法人の経営企画担当です。

事業経過年数は40年になり、今後は事業の多角化を検討しております。

以前より不動産販売にも興味があり、今回貴社が掲載されました案件について非常に関心を持ちました。

貴社の案件分野については、まだまだ勉強不足の点もございますが、
事業の展開地域等を含めた将来性に魅力を感じております。

なお、本件M&Aにおける弊社の方針としては以下でございます。
・ 長期的な事業の運営を考えております。
・ 買収予算の資金調達方法としては、自己資金で考えております。

もし可能でしたら、案件に関して情報交換をさせていただければと存じます。
また、当方についてご質問等がございましたら、何なりとご連絡ください。

お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

個人の買い手

お世話になります。

東京にて勤務をしている会社員の者です。いきなりのご連絡失礼いたします。
勤務をしているコンサルティングファームにて、以下をはじめとする経験を積むうちに、 実際に自分自身で事業を経営してみたいという想いが強くなり、TRANBIにてM&Aを検討しております。
・ 中小企業のクライアント様向けのECチャネル開拓支援

その中で、自身の経験が活かせるECという領域にフォーカスして案件を探しており、この度ご連絡をさせていただきました。
また、今回検討をさせていただいているM&Aにおける当方の概況は以下でございます。
・ 早い期間での事業買収を検討しております。
・ 買収予算の資金調達方法としては自己資金を予定しております。

もし可能でしたら、案件に関して情報交換をさせていただければと存じます。
また、当方についてご質問等がございましたら、何なりとご連絡ください。
お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします。

案件に関する質問

匿名交渉時のメッセージ例

お世話になっております。

早速ではございますが、以下の点についてお伺いをさせていただきたく存じます。

・事業経過年数
・業績概要

お手数おかけしますが、何卒宜しくお願いいたします。

実名交渉に移行後のメッセージ例

○○様

お世話になっております。

株式会社○○の○○です。

ご開示いただいております情報を検討する中で、貴社のご事業の魅力を再度確認することができました。
その上で、より正確に理解をさせていただくために、以下の点につき、ご回答いただければと存じます。

・業績（売上・営業利益）の実績値と予想値 ・売却価格の根拠

また、いただきたい資料についてもまとめさせていただきました。
・ 第三期と第四期の月次損益計算書
・ 来年度の売上予測
・ 建物附属設備、工具器具部品の固定資産台帳
まずはいただけるものからで結構ですので、拝見できればと存じます。
お忙しいところ恐縮ですが、何卒宜しくお願いいたします

株式会社○○　○○

交渉の保留

○○様

お世話になっております。

株式会社○○の○○です。

質問に詳細にお答えいただき、誠にありがとうございます。
非常に魅力のある事業だと感じることができました。

しかし、数字の点を考慮したところ、ご希望金額の○○万円は、当方の想定とはかなり乖離のある印象です。

今後、社内で詳細な分析をして、必要があれば再度質問させていただければと存じます。

よろしくお願いいたします。

株式会社○○　○○

実名交渉に移行

お世話になっております。

質問にご回答いただき、ありがとうございました。

いただいた情報をもとに検討をしたところ、是非実名ベースでお話をお伺いしたく考えております。

当方より実名申請をさせていただきますので、ご承認いただければ幸いです。

お忙しいところ恐縮ですが、何卒宜しくお願いいたします。

面談日程調整

○○様

お世話になっております。

株式会社○○の○○です。

実名交渉に移行して以降、細かな質問にもお答えいただき、誠にありがとうございます。

もしよろしければ、実際に○○様にお会いして事業に対する想いなどをお聞きできればと存じます。

以下に希望の日程を記載させていただきました。

・ 〇月〇日（〇）〇時～〇時
・ 〇月〇日（〇）〇時～〇時
・ 〇月〇日（〇）〇時～〇時

場所に関しましては、○○様の事業所近辺とさせていただけたらと存じます。

お手数をおかけしますが、どうぞよろしくお願いいたします

株式会社○○　○○

交渉中止

○○様

お世話になっております。

株式会社○○の○○です。

いただいた資料をもとに検討した結果、●●の点でこれ以上の検討を進めさせていただくのが難しい状況でございます。
貴社のご意向にそぐわない形となり、申し訳ございません。
お預かりした資料は、○月○日を目途に貴社宛に郵送にて返還いたします。

この度はご検討の機会を頂戴し、誠にありがとうございました。

株式会社○○　○○