陸運業界の市場動向
陸運業界は、EC市場の拡大や経済活動の正常化に伴い、トラック輸送を中心に底堅い需要が続いています。しかしその一方で、業界全体が構造的な課題に直面していることも事実です。
最大の課題は、働き方改革関連法による時間外労働の上限規制が適用される「2024年問題」です。これにより輸送能力の低下や物流コストの上昇が懸念されており、各社は対応を迫られています。
さらに、ドライバーの慢性的な不足と高齢化、軽油価格の高止まり、脱炭素化に向けたEVトラック導入などの設備投資負担も、経営を圧迫する要因となっています。
こうした厳しい事業環境を乗り越えるため、DXによる業務効率化や生産性向上、そしてM&Aによる事業規模の拡大や経営基盤の強化を目指す動きが、今後ますます加速していくと見込まれています。
陸運業界のM&Aのポイント
ポイント① 人材・労務状況の精査
陸運業は、ドライバーや運行管理者といった「人」が事業価値の源泉となる労働集約型の産業です。そのため、M&Aを検討する際は、人材・労務に関するデューデリジェンスが極めて重要になります。
具体的には、従業員の年齢構成や平均勤続年数、ドライバーの定着率を詳細に確認し、将来の担い手確保に問題がないかを検証します。
また、「2024年問題」への対応状況として、労働時間や残業の実態を把握し、未払い残業代などの簿外債務リスクがないかを精査することが不可欠です。
M&A後に安定した事業運営を実現するためにも、キーパーソンの退職リスクや労務コンプライアンス体制を事前に見極める必要があります。
ポイント② 許認可と資産の実態把握
陸運業のM&Aでは、事業の根幹をなす許認可と、事業用資産の状況を正確に把握することが成功の鍵を握ります。対象企業が保有する一般貨物自動車運送事業などの許認可が、法令に則って適切に維持されているかを確認してください。
過去の行政処分の履歴や、営業所・車庫が認可内容と一致しているかの確認も必須です。
また、トラックやトレーラーといった車両の状態も重要なチェックポイントです。
車両ごとの年式、走行距離、メンテナンス履歴を精査し、M&A後に多額の修繕費や更新投資が発生するリスクがないかを評価します。自己所有かリースかの契約形態も、将来のキャッシュフローに影響するため見逃せません。
ポイント③ 取引基盤と収益構造の分析
対象企業の事業の安定性と将来性を測る上で、主要荷主との取引関係や収益構造の分析は欠かせません。特定の荷主への依存度が高すぎると、契約が終了した際に経営が立ち行かなくなるリスクがあります。
取引先ごとの売上構成や契約期間、運賃交渉の実績などを確認し、安定した取引基盤が築かれているかを検証しましょう。
また、コスト構造を詳細に分析することも重要です。
燃料費サーチャージの導入状況や、人件費、車両維持費の内訳を把握し、自社との統合によってどの程度のコスト削減が見込めるか、具体的なシナジー効果を算出します。この分析が、買収価格の妥当性を判断する上での重要な根拠となります。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
