倉庫業界の市場動向
EC市場の継続的な拡大を背景に、物流施設としての倉庫需要は極めて堅調に推移しています。特に、即日配送など高度化する消費者ニーズに応えるための高機能な物流センターのニーズは、今後も高まっていくと予測されます。
一方で、業界は「2024年問題」に端を発するドライバー不足や、倉庫作業員の高齢化・人手不足という深刻な課題に直面しています。これに加えて燃料費や人件費の高騰も、倉庫事業者の収益を圧迫する大きな要因となっています。
このような状況から、多くの事業者は業務効率化とコスト削減を迫られており、倉庫の自動化や在庫管理システム(WMS)の導入といったDX化が喫緊の課題です。事業基盤の強化や対応エリアの拡大、先進技術への投資を目的として、M&Aを経営戦略として選択する企業が増加しています。
倉庫業界のM&Aのポイント
ポイント① 立地と施設スペックの将来性を見極める
倉庫業の価値を左右する最も重要な要素は、立地と施設の物理的なスペックです。買収を検討する際は、対象倉庫が主要な高速道路や港湾、大消費地からどの程度の距離にあるかを確認し、配送効率を評価することが不可欠です。
さらに、建物のスペック評価も欠かせません。天井の高さや床の耐荷重、柱の間隔(スパン)といった基本的な仕様が、自社の取り扱い荷物や将来の事業展開に適しているかを精査します。
また、大型車両がスムーズに接車できるトラックバースの数や形状、待機スペースの有無も、オペレーション効率に直結する重要なポイントとなります。建物の耐震性や老朽化の度合いを把握し、将来必要となる大規模修繕のコストも事前に見積もっておくべきでしょう。
ポイント② 人材とオペレーションの質を評価する
優れた施設があっても、それを動かす「人」と「仕組み」が伴わなければ価値は半減します。M&Aの際には、現場を熟知した拠点長や熟練作業員のスキル、そして従業員の定着率を慎重に確認する必要があります。
キーパーソンがM&Aを機に離職するリスクは、事業の安定性を大きく損なうため、彼らの処遇やモチベーションは特に注意深くヒアリングすべきです。また、在庫管理システム(WMS)の導入状況や、業務プロセスが標準化・マニュアル化されているかも重要な評価項目です。
もし業務が特定の個人の経験や勘に依存している場合、その人が不在になるとオペレーションが滞るリスクを抱えています。主要顧客との契約内容や料金体系を分析し、収益の安定性と将来性を見極めることも忘れてはなりません。
ポイント③ 許認可とコンプライアンスのリスクを精査する
倉庫業は、国土交通省への登録が必須の許認可事業です。デューデリジェンスでは、まずこの倉庫業登録が適正に維持されているかを確認することが大前提となります。
さらに、冷蔵・冷凍倉庫や危険物倉庫のように、扱う品物によっては食品衛生法や消防法、薬機法などに基づく追加の許認可が必要です。これらの許認可が漏れなく取得・更新されているか、徹底的に調査しなくてはなりません。
また、近年特に重要度を増しているのが労務コンプライアンスです。「2024年問題」以降、労働時間管理はより厳格化されており、未払い残業代などの簿外債務が存在しないか精査が求められます。建築基準法や消防法への準拠状況も含め、法務・労務面のリスクを洗い出すことが、買収後の安定経営につながります。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
