設計・測量・地質調査業界の市場動向
設計・測量・地質調査業界は、国土強靭化計画に代表される政府の防災・減災対策や、高度経済成長期に建設されたインフラの老朽化対策を背景に、安定した市場環境が続いています。公共事業への依存度が高い一方で、これらの社会インフラの維持・更新需要は今後も継続的に見込まれるため、事業の安定性は高いと言えます。
しかし、業界全体では技術者の高齢化と若手人材の担い手不足が深刻な課題となっています。この人材問題は事業承継を困難にし、企業の存続を脅かす要因にもなっています。
このような状況から、技術力や有資格者を確保し事業基盤を強化するため、また、ドローン測量やBIM/CIMといった新技術へ対応するために、M&Aを積極的に活用する動きが活発化しています。
設計・測量・地質調査業界のM&Aのポイント
ポイント①:有資格者と技術者の継続雇用
この業界における企業の価値は、在籍する技術者、特に技術士、測量士、RCCMといった有資格者の数と質に大きく依存します。そのため、デューデリジェンスでは、従業員の年齢構成や資格保有状況、実務経験を詳細に確認することが不可欠です。
M&Aの実行後にキーパーソンとなる技術者が流出してしまうと、企業の競争力は大きく低下し、買収の前提が崩れるリスクがあります。
これを防ぐためには、PMI(統合プロセス)において、従業員の待遇や人事評価制度、企業文化のすり合わせを慎重に行う必要があります。技術者が安心して働き続けられる環境を構築し、モチベーションを維持する施策がM&Aの成否を分けます。
ポイント②:受注実績と官公庁との関係性
公共事業が収益の柱となるため、買収対象企業の過去の受注実績、とりわけ国や地方自治体からの元請け案件の実績は、安定性と技術力を測る重要な指標となります。継続的な受注実績は、その企業が持つ技術力や信頼性の証明に他なりません。
また、特定の官公庁との長年にわたる強固な関係性や、高い等級の入札参加資格は、目に見えない重要な経営資源です。
デューデリジェンスにおいては、過去数年間の主要顧客リストや受注案件の利益率を分析し、収益構造を正確に把握することが求められます。M&A後もこれらの関係性を維持・発展させられるか、キーとなる人材の処遇も含めて検討することが重要です。
ポイント③:技術革新への対応力と設備投資
近年、建設業界全体でi-ConstructionやBIM/CIMの導入が進んでおり、設計・測量業界においてもこれらのデジタル技術への対応力が競争優位性を左右します。ドローンや3Dレーザースキャナーといった最新測量機器の保有状況と、それを活用できる人材の有無は、企業の将来性を評価する上で極めて重要です。
デューデリジェンスでは、保有する機材リストとその資産価値、今後の設備投資計画を確認し、技術的な先進性を評価する必要があります。
もし最新技術への対応が遅れている場合は、買収後に追加の設備投資や人材育成コストが発生する可能性があります。その潜在的なコストも買収価格の交渉や資金計画に織り込んでおくべきです。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
