会計士・税理士・弁護士事務所業界の市場動向
会計士・税理士・弁護士事務所などの士業業界は、専門性の高さから景気変動の影響を受けにくく、安定した需要を持つ市場です。しかしその一方で、多くの事務所が共通の課題を抱えています。
最も深刻な問題は、所長の高齢化と後継者不足です。長年にわたり築き上げてきた顧客基盤やノウハウがありながら、親族や所内に適当な後継者が見つからず、事業承継が大きな経営課題となっています。
また、若手資格者の確保難や、クラウド会計・リーガルテックといったテクノロジーへの対応の遅れも、競争力を維持する上での障壁です。こうした背景から、事業基盤の強化や課題解決の手段として、第三者への承継、すなわちM&Aを選択する事務所が増加しています。
会計士・税理士・弁護士事務所業界のM&Aのポイント
ポイント①:人材の質と定着可能性
士業事務所の価値は、所長をはじめとする資格者や経験豊富なスタッフといった「人」に大きく依存します。そのため、M&Aを検討する際は、どのような人材が在籍しているかを詳細に把握することが不可欠です。
デューデリジェンスでは、従業員の年齢構成、資格の有無、勤続年数、専門分野などを確認し、事業の核となるキーパーソンを見極める必要があります。M&A後にキーパーソンが離職してしまうと、顧客流出に直結し、買収した事業の価値が大きく損なわれる恐れがあります。
円滑な事業承継を実現するためには、統合後の処遇や職場環境を慎重に設計し、従業員のモチベーションを維持して定着を促す施策が極めて重要になります。
ポイント②:顧客基盤の特性と依存度
事務所の収益性を評価する上で、顧客基盤の分析は欠かせません。安定した収益源である顧問契約の割合や、顧客の業種・規模のバランス、特定の顧客への売上依存度などを精査する必要があります。
特に注意すべきは、顧客との関係が所長個人のカリスマ性や人脈にどの程度依存しているかという点です。もし大口顧客との関係が所長個人に集中している場合、M&Aによる代表者交代が顧客離れを引き起こすリスクが高まります。
対象事務所の顧客が、所長の個人的な魅力だけでなく、事務所全体の組織力やサービス品質を評価して契約を継続しているかを見極めることが重要です。丁寧な引き継ぎ期間を設けるなど、顧客関係をスムーズに承継する計画を立てることが成功の鍵となります。
ポイント③:業務プロセスの標準化とIT化の状況
所長や特定のベテランスタッフしか担当できない業務が多いなど、業務プロセスが属人化している事務所は注意が必要です。業務が標準化されておらず、マニュアルなども整備されていない場合、引き継ぎに多大な時間と労力がかかり、M&A後の円滑な運営に支障をきたす可能性があります。
業務管理システムや情報共有ツールの導入状況、クラウド会計ソフトやリーガルテックへの対応度合いも重要なチェックポイントです。IT化が進んでいる事務所であれば、買収後の業務統合や効率化がスムーズに進むことが期待できます。
反対にIT化が遅れている場合は、買収後に追加のシステム投資が必要になることを見越して、買収価格や統合計画に織り込む必要があります。業務の透明性と効率性は、事務所の将来的な成長性を測る指標となります。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
