会計士・税理士・弁護士・社労士事務所業界の市場動向
会計士・税理士・弁護士・社労士事務所などの士業は、専門性が高く、継続的な顧問契約などで安定した需要が見込める分野です。その一方で、多くの事務所に共通する課題もあります。
代表的なのは、所長の高齢化と後継者の確保です。長年築いてきた顧客基盤やノウハウがあっても、親族や所内に後継者が見つからず、事業承継が経営課題になっている事務所があります。
また、若手の資格者の確保や、クラウド会計・リーガルテックなどへの対応も課題です。こうした背景から、事業基盤の強化や承継の手段として、第三者への承継(M&A)を検討する事務所もあります。
会計士・税理士・弁護士・社労士事務所業界のM&Aのポイント
ポイント①:資格が必要な業務と、引き継げる相手
士業の業務には、資格を持つ人や法人でなければ行えないものがあります。たとえば、税務代理・税務書類の作成・税務相談は税理士・税理士法人(税理士法52条)、法律事務は弁護士・弁護士法人(弁護士法72条)、労働社会保険の手続きの代行などの社会保険労務士の業務は社会保険労務士・社会保険労務士法人(社会保険労務士法27条)、監査証明の業務は公認会計士・監査法人(公認会計士法47条の2)が担います。
資格のない個人や株式会社は、これらの業務そのものを引き継げません。士業の法人の社員(出資者・構成員)も、原則として資格者に限られます。案件を検討する前に、引き継ぎたい業務と、自社や自分の資格が合っているかを確認しましょう。
ポイント②:人材の質と定着
士業事務所の価値は、所長をはじめとする資格者や経験のあるスタッフといった「人」に大きく左右されます。M&Aを検討する際は、どのような人材が在籍しているかを詳しく把握することが大切です。
デューデリジェンスでは、従業員の年齢構成、資格の有無、勤続年数、専門分野などを確認し、事業の中心となるキーパーソンを見極めます。M&A後にキーパーソンが離職すると、顧客が離れる原因になることがあります。
事業を引き継ぐ場合、職員の雇用を移すには原則として本人の承諾が必要です。統合後の処遇や職場環境を検討し、職員が働き続けやすい環境を整えることが大切です。
ポイント③:顧客基盤の特性と、所長への依存度
事務所の収益性を評価するうえで、顧客基盤の分析は欠かせません。顧問契約の割合、顧客の業種・規模のバランス、特定の顧客への売上の依存度などを確認します。
特に注意したいのは、顧客との関係が所長個人の人脈にどの程度依存しているかです。大口の顧客との関係が所長個人に集中していると、代表者の交代が顧客離れにつながるおそれがあります。顧問契約は委任契約なので、事業を引き継ぐ場合は顧客の同意を得る手続きも必要です。
また、士業には守秘義務があるため、交渉の段階で顧客の情報を開示するときは、顧客を特定できない形にするなど、開示の範囲と方法に注意が必要です。丁寧な引継ぎの期間を設けるなど、顧客との関係を引き継ぐ計画を立てましょう。
ポイント④:業務の標準化とIT化の状況
所長や特定のベテランスタッフしか担当できない業務が多いなど、業務が属人化している事務所は注意が必要です。業務が標準化されておらず、マニュアルも整っていない場合、引継ぎに時間と労力がかかり、M&A後の運営に影響することがあります。
業務管理システムや情報共有ツールの導入状況、クラウド会計ソフトやリーガルテックへの対応も確認しましょう。IT化が遅れている場合は、買収後に必要になるシステム投資を、買収価格や統合の計画に織り込みます。
価格の決まり方や、税理士事務所のM&Aの手続きの流れ・事例は、コラム「会計事務所・税理士事務所のM&A」で詳しく解説しています。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
