幼稚園・保育園・学校業界の市場動向
少子化の進行という大きな潮流がある一方で、共働き世帯の増加を背景に、特に都市部における保育サービスの需要は依然として高い水準で推移しています。待機児童問題は根強く、保育の受け皿拡充は社会的な課題であり続けています。
こうした中、業界では保育士や教員の慢性的な人材不足と高齢化が深刻な経営課題となっています。人件費の高騰や施設の老朽化に伴う設備投資の負担も重く、経営基盤の強化が急務です。
また、「こども家庭庁」の発足や幼児教育・保育の無償化といった国の政策も、業界の動向に大きな影響を与えています。このような環境下で、後継者不在に悩む小規模事業者の事業承継や、事業規模の拡大による経営効率化を目的としたM&Aが活発化しています。
幼稚園・保育園・学校業界のM&Aのポイント
ポイント① 人材の質と定着率を精査する
教育・保育事業の価値は、そこで働く職員の質に大きく依存します。そのため、M&Aを検討する際は、保育士や教員の量と質、そして定着率を徹底的に調査することが極めて重要です。
デューデリジェンスでは、職員の資格保有率や経験年数、年齢構成といった基本的な情報に加え、過去数年間の離職率の推移とその理由を深く掘り下げて確認しましょう。特に、園長や主任といった運営の核となるキーパーソンの存在は事業の継続性に直結するため、M&A後も勤務を継続する意思があるかを確認することは必須のプロセスです。
キーパーソンの離職は、他の職員の連鎖退職や、サービス品質の低下、保護者からの信頼失墜を招く重大なリスクとなるため、慎重な見極めが求められます。
ポイント② 許認可と行政監査の状況を確認する
幼稚園や保育園、学校の運営は、国や自治体の厳格な許認可と監督の下で行われる事業です。そのため、法令遵守(コンプライアンス)に関するリスクの有無は、M&Aの成否を左右する重要なチェックポイントとなります。
デューデリジェンスの段階で、事業運営に必要な許認可が全て適正に取得・更新されているかを確認してください。また、過去に行政から受けた立ち入り監査の結果や、指導・勧告事項の有無、そして指摘事項が適切に改善されているかを精査することが不可欠です。
補助金の受給状況やその算定根拠も詳細に確認し、M&A後も継続して受給可能かを見極める必要があります。許認可や補助金に関する問題が後から発覚した場合、事業停止や補助金返還といった深刻な事態に発展する可能性があります。
ポイント③ 地域での評判と保護者との関係性を把握する
教育・保育施設は地域に根差したサービスであり、地域住民や保護者からの評判が園児・生徒募集に直結します。そのため、対象事業の地域社会における評判や、保護者との関係性を把握することは、将来の事業性を評価する上で欠かせません。
デューデリジェンスでは、定員充足率や待機児童数の推移といった定量的なデータに加え、インターネットの口コミやSNSでの評判といった定性的な情報も収集しましょう。保護者会や各種イベントの運営状況、園だよりなどを通じたコミュニケーションの質を分析することで、保護者との関係性の深さを測ることができます。
M&Aによる経営者の変更は、保護者に不安を与える可能性があります。買収後の円滑な運営(PMI)を見据え、丁寧なコミュニケーションプランを事前に策定しておくことが成功の鍵となります。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
