通所介護・デイサービス業界の市場動向
日本の急速な高齢化を背景に、通所介護(デイサービス)の需要は中長期的に拡大を続けています。
団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」を目前に控え、介護サービスの市場規模は今後も堅調に推移すると予測されています。
しかしその一方で、業界は深刻な課題にも直面しています。
特に介護職員の慢性的な人材不足と人件費の高騰は、多くの事業者の経営を圧迫する最大の要因となっています。
また、3年ごとに行われる介護報酬改定は事業収益に直接的な影響を与え、制度変更への対応力が問われます。
こうした状況から、後継者不在に悩む小規模事業者による事業承継や、大手事業者によるエリア拡大・サービス拡充を目的としたM&Aが活発化しており、業界再編の動きが加速しています。
通所介護・デイサービス業界のM&Aのポイント
ポイント① 人材の定着率と労務管理体制の健全性
通所介護(デイサービス)事業の価値は、そこで働く「人」に大きく依存するため、M&Aにおいては人材に関する評価が極めて重要です。
デューデリジェンスでは、職員の離職率や平均勤続年数を確認し、人材の定着度合いを客観的に把握する必要があります。
特に、管理者や生活相談員といった人員配置基準に関わる有資格者の在籍状況や、M&A後のキーパーソンの処遇は事業継続の生命線となります。
加えて、未払い残業代の有無や社会保険の加入状況といった労務コンプライアンスの調査も不可欠です。
簿外債務のリスクを洗い出すとともに、介護職員処遇改善加算などが適切に運用されているかを確認し、将来的な行政指導や返還のリスクを精査することが求められます。
ポイント② 介護保険制度への準拠と安定した収益構造
介護保険法に基づく事業であるため、コンプライアンス遵守の状況は事業価値を大きく左右します。
過去に行われた行政による実地指導や監査の履歴、指摘事項とその改善状況は必ず確認すべき項目です。
特に、各種加算の算定については、その根拠となる個別機能訓練計画書やサービス提供記録などが適切に作成・保管されているかを詳細に検証する必要があります。
不適切な請求が発覚した場合、過去に遡って介護報酬の返還を求められるリスクがあります。
また、収益構造の安定性を見極めることも重要です。
利用者数や施設の稼働率の推移を分析するとともに、特定のケアマネジャーや居宅介護支援事業所に利用者の紹介を過度に依存していないか、その関係性を評価することが肝要です。
ポイント③ 立地・建物と地域における関係性
事業の物理的な器である施設の状態と、その立地環境もM&Aの重要な評価ポイントです。
対象施設が所在する商圏の高齢者人口の推移や競合施設の状況を分析し、事業の将来性を判断します。
また、建物が建築基準法や消防法などの関連法規を遵守しているか、専門家による確認が不可欠です。
賃貸物件の場合は、契約内容を精査し、事業譲渡に伴う貸主の承諾が円滑に得られるか、早い段階で確認しておく必要があります。
買収後に想定外の支出が発生しないよう、建物の老朽化の度合いや、将来必要となる大規模修繕、設備投資の有無についても精査することが求められます。
送迎効率や地域住民との関係性も含め、事業の継続性を多角的に評価することが成功の鍵となります。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
