訪問介護・看護業界の市場動向
急速な高齢化を背景に、住み慣れた地域で医療や介護を受けたいというニーズは年々高まっており、訪問介護・看護市場は継続的な成長が見込まれています。国が推進する地域包括ケアシステムの構築においても、在宅サービスは中核的な役割を担うため、その重要性は増す一方です。
しかし、業界は深刻な人材不足という構造的な課題に直面しています。介護職員や看護師の有効求人倍率は高止まりし、採用競争の激化と人件費の上昇が経営を圧迫しています。
また、事業収益の大部分を介護保険や医療保険に依存するため、定期的な報酬改定が経営に与える影響は少なくありません。さらに、経営者の高齢化に伴う後継者不足も深刻化しており、事業の継続性を確保するためのM&Aが活発に行われています。
訪問介護・看護業界のM&Aのポイント
ポイント①:人材の質と定着状況の精査
訪問介護・看護事業の価値は、サービスを提供する「人」に大きく依存します。そのためM&Aの検討においては、在籍する人材の質と定着状況を最重要項目として評価することが極めて重要です。
単に有資格者の人数を確認するだけでなく、管理者やサービス提供責任者といった事業運営のキーパーソンが持つ経験やリーダーシップ、そして職員全体の勤続年数や離職率の推移を詳細に分析する必要があります。
特に、キーパーソンがM&A後も継続して勤務する意向があるかは、買収後の円滑な事業運営を左右する決定的な要因となります。デューデリジェンスの段階で、労務関連のリスクを含め、人材に関する実態を正確に把握することが成功の鍵を握ります。
ポイント②:法令遵守と行政処分のリスク評価
訪問介護・看護事業は、介護保険法や健康保険法といった公的な制度に基づいて運営されています。収益基盤が安定している反面、法令を遵守した適切な事業運営が絶対的な前提となります。
したがって、買収対象の事業が過去に実地指導や監査で重大な指摘を受けていないか、行政処分の履歴がないかを確認することは不可欠です。人員配置基準や運営基準の遵守状況、レセプト請求の正確性など、コンプライアンス体制を徹底的に調査する必要があります。
万が一、法令違反が発覚すれば、介護報酬の減算や返還、最悪の場合は事業所の指定取り消しといった経営に致命的なダメージをもたらすリスクがあります。専門家を交えてデューデリジェンスを行い、潜在的なリスクを洗い出すことが重要です。
ポイント③:地域連携と事業の将来性
訪問介護・看護は、地域に深く根差した事業モデルです。利用者の紹介元となる地域のケアマネジャーや医療機関(病院・クリニック)との良好な関係性が、事業の安定性を支える生命線となります。
M&Aを検討する際には、こうした地域の連携先との関係性の質や、紹介実績をヒアリング等で具体的に把握することが求められます。経営者の交代によって、これまで築いてきた紹介ルートが途絶えてしまうリスクがないか慎重に見極める必要があります。
加えて、事業所が拠点を置くエリアの高齢者人口の推移や競合の状況を分析し、事業の将来性や成長余地を評価することも欠かせません。既存事業とのシナジーや、サービス拡充の可能性なども含めて総合的に判断することが大切です。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
