イベント・興行業界の市場動向
イベント・興行業界は、新型コロナウイルス禍による活動制限の緩和以降、市場は力強い回復を見せています。音楽フェスティバルやスポーツ観戦、企業展示会など、リアルイベントへの需要が急回復し、業界全体に活気が戻りつつあります。
この回復基調のなかで、オンライン配信を組み合わせたハイブリッド開催が一般化し、デジタル技術を活用した新たな収益モデルの構築が求められています。また、参加者の満足度を高めるため、没入感のある体験や独自性の高いコンテンツ提供が、他社との差別化を図る上で重要な要素となっています。
一方で、業界全体としては運営スタッフの慢性的な人手不足や、資材費・人件費の高騰といった課題にも直面しています。こうした経営環境の変化に対応し、事業基盤の強化や新たな成長機会の創出を目指して、M&Aによる業界再編や異業種からの参入が活発化しています。
イベント・興行業界のM&Aのポイント
ポイント① 収益構造と顧客基盤の精査
イベント・興行会社のM&Aを検討する際は、対象企業の収益構造と安定性を詳細に分析することが不可欠です。特定の大型イベントや一部の大口クライアントに収益が偏っている場合、契約終了やイベント中止のリスクが経営に直結するため注意が必要です。
安定した収益基盤を見極めるには、定期的に開催されるイベントの実績や、官公庁・大手企業との長期的な取引関係の有無を確認することが重要となります。また、保有する顧客リストの質や量、ファンクラブ会員数、過去のイベントにおける集客データやリピート率も、事業の将来性を測る上で欠かせない評価項目です。
これらの情報を基に、買収後の収益予測の確度を高め、安定した事業運営が可能かどうかを慎重に判断してください。
ポイント② 人材と運営ノウハウの承継
イベント・興行事業の価値は、企画力や運営ノウハウを持つ「人材」に大きく依存しています。そのため、M&Aのプロセスでは、事業の中核を担うプロデューサーやディレクターといったキーパーソンを特定し、買収後も継続して勤務してもらえるかどうかの確認が最重要課題となります。
もしこれらのキーパーソンが流出してしまえば、企業の強みであった企画力やクライアントとの関係性が失われ、買収した事業の価値が著しく低下する恐れがあります。デューデリジェンスの際には、対象企業の役員や従業員へのヒアリングを丁寧に行い、組織体制やキーパーソンの役割、そして彼らのM&A後の残留意思を明確に把握することが不可欠です。
さらに、長年の取引で築かれた設営会社や警備会社といった外部パートナーとの協力関係も、事業運営に欠かせない無形資産です。これらのネットワークを円滑に引き継げるかどうかも、事前にしっかりと確認しましょう。
ポイント③ 無形資産とコンプライアンスの確認
イベント事業のM&Aでは、有形資産だけでなく、イベントのブランド名や商標、著作権といった知的財産権の承継が重要なポイントになります。過去の実績から生まれる社会的信用やブランドイメージも事業価値を構成する要素であり、これらの無形資産が法的に保護され、買収後に問題なく活用できるかを確認する必要があります。
特に注意すべきは、権利関係のコンプライアンスです。音楽著作権や出演者の肖像権の処理が適切に行われているか、過去に権利侵害によるトラブルがなかったかを徹底的に調査してください。
また、イベント開催に関わる許認可の取得状況や、安全管理体制も厳しくチェックすべき項目です。過去の事故歴や行政指導の有無などを確認し、潜在的な法的リスクや偶発債務がないかをデューデリジェンスの段階で見極めることが、買収後の安定した事業運営を守る上で極めて重要です。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
