ECサイト・通販業界の市場動向
ECサイト・通販業界は、コロナ禍における巣ごもり需要を追い風に市場規模が急速に拡大し、消費者のライフスタイルに深く浸透しました。スマートフォン経由の利用が一般化し、いつでもどこでも買い物ができる環境が整ったことで、今後も市場は安定的な成長が見込まれています。
しかし、市場の拡大とともに新規参入が相次ぎ、競争は激化の一途をたどっています。大手プラットフォーマーの寡占化が進む一方で、広告費の高騰や物流の「2024年問題」に起因するコスト増が、多くの事業者の収益を圧迫する要因となっています。
このような環境下では、価格競争から脱却し、独自の商品やブランド力、質の高い顧客体験(CX)で差別化を図ることが生き残りの鍵となります。そのため、既存事業の強化や新規領域への参入を目的としたM&Aが、有効な成長戦略として注目されています。
ECサイト・通販業界のM&Aのポイント
ポイント① 顧客基盤とマーケティングの健全性
EC事業の価値の源泉は、その顧客基盤にあります。買収を検討する際は、売上高や利益といった財務指標だけでなく、顧客獲得コスト(CPA)と顧客生涯価値(LTV)のバランスが健全であるかを見極めることが重要です。
LTVがCPAを大きく上回っていれば、収益性の高い事業モデルであると判断できます。また、集客チャネルが特定の広告媒体やSEOに過度に依存している場合、アルゴリズムの変動や広告費の高騰によって事業が不安定になるリスクを抱えています。複数のチャネルから安定的に集客できているか、リピート顧客の割合はどの程度かなど、マーケティングの持続可能性を多角的に分析しましょう。
ポイント② ビジネスモデルとオペレーションの持続可能性
EC事業の円滑な運営には、効率的なオペレーション体制が不可欠です。商品の仕入れから在庫管理、受注、梱包、発送までの一連のバックエンド業務(フルフィルメント)が、誰でも再現可能な形で仕組み化されているかを確認する必要があります。
特定の担当者にしか分からないといった属人化が進んでいる業務は、買収後の事業継続における大きなリスクとなります。また、使用しているカートシステムや基幹システムが古く、将来の事業拡大に対応できない場合、大規模なシステム投資が必要になる可能性も考慮しなければなりません。安定したサプライヤーとの関係性や在庫管理の適切性も、事業の持続性を測る上で重要な評価項目です。
ポイント③ 無形資産と法的リスクの精査
EC事業のM&Aでは、サイトのドメインやSNSアカウント、顧客リストといった無形資産が重要な譲渡対象となります。これらの権利関係が明確であり、スムーズに譲渡可能かどうかを契約前に必ず確認してください。
特に注意すべきは、個人情報保護法に準拠した顧客データの取り扱いです。データの譲渡には顧客からの適切な同意取得が必要となるケースもあり、法務デューデリジェンスで慎重に精査する必要があります。その他にも、サイト上で使用している画像や文章の著作権、特定商取引法や景品表示法などの関連法規を遵守しているかなど、潜在的な法的リスクを事前に洗い出しておくことが不可欠です。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
