2019-05-14

特定事業への注力に向け、育てた事業を他社に託す!

株式会社INJUS 鹿山氏

売却案件を登録してから、わずか一週間で買い手先企業に面談、譲渡額も即決

左からトランビを紹介した西武信用金庫 長谷川氏、事業売却をした株式会社INJUS 鹿山氏

「正直期待していなかったのですが、あっという間に事業譲渡が決まりました」と語るのは株式会社INJUSの鹿山代表取締役です。

2018年11月、多言語翻訳のチャットボット*1アプリ事業の売却をTRANBIに掲載したところ、掲載当日から3件の問い合わせがあり、その後、計11件の買い申し込みが入ったそうです。

その中の1社と週内には面談をおこない、譲渡金額を含めた基本合意に至るという事実上の即決で事業の売却が決まりました。

株式会社INJUSは、サービスにお客様を呼び込むきっかけとなるチャットボットや、iPhone、androidなどのネイティブアプリ*2開発のほか、顧客管理データベースなどのエンタープライズシステム*3の開発、その他そのシステムの有効性を活かすための自社直営のサービス開発を実施しています。

今回の案件は、LINE 内のメッセージを同時通訳してくれるチャットボット翻訳ツール「Translater」の譲渡でした。

LINE内のメッセージを英語、韓国語、台湾語などに同時通訳する異文化コミュニケーションを支援するサービスで、広告を活用することなく、約7,000人のユーザー登録者が既に利用されていました。

そのため、自社開発にこだわるよりもきちんとサービスを伸ばしてくれる企業様にお願いした方が世の中に役立つサービスに成長するのではないか、との思いがありました。

*1 “チャット”(会話)と“ボット”(ロボット)を組み合わせた造語で、自動会話プログラムのこと
*2 パソコンに入れて使用するアプリのこと
*3 企業における情報システム全般のこと

TRANBI活用は、次の事業の注力に向けた金融機関への相談

鹿山氏が事業譲渡を考えた背景には、次に注力を考えている事業があったからです。

それは、職人と工務店をマッチングさせる建設業向けマッチングアプリ「ケンカツ」というサービスです。

職人の直感的な仕事探しを可能にし、労働力の効率化と職人の賃金アップ、更には建設現場における働き方改革を実現していくことに、サービスの狙いがあります。

このサービスは、建設業版クラウドソーシング*4に位置付けられるサービスで、工務店やゼネコンなどの元請け業者と受注者である職人や下請け業者に対して、マッチングを提供します。

ちょうど株式会社INJUSでは「ケンカツ」のLINE@版をリリースし、事業の成長に向けて仕掛けていくタイミングにあり、2019年6月から本格的な事業開始に向けて、今回の事業売却で得た資金を、この「ケンカツ」事業に投じ、事業の成長を加速させていきたいとの思いがありました。

1年ほど前から支援を受けている西武信用金庫長谷川主任に相談したところ、第三者への事業譲渡の手段として「TRANBI」のサービス紹介を受け、活用をしてみることにしました。

*4 ネットを介して不特定多数の人(ランサー)に、作業の業務委託を募集すること

譲渡先の決め手は事業展開のポテンシャル

鹿山氏が最終的に譲渡先を決めた理由は、譲渡先企業と譲渡事業の今後の展開について、戦略が一致したことが大きかったと言います。

譲渡先となったゼットエー株式会社を、「Translater」の単なる翻訳ツール活用だけではなく、「本質的な語学力の獲得にまで昇華できる企業力を有している」と判断して譲渡を決意したものでした。

事業譲渡先であるゼットエー株式会社は、語学留学・多言語翻訳・オンライン翻訳サービスなどを提供している企業で、同社は以前にもTRANBIを活用し、別の多言語翻訳事業を買収していました。

今回は、事業の更なる利便性を求め「Translater」の導入を検討していました。

株式会社INJUSとゼットエー株式会社は、今後の譲渡事業の展開においては譲渡とともに関係を終わらせるのではなく、アップデートを含めて今後のサービス向上を協働していくとのことでした。

TRANBIを活用して気づいたこと

鹿山氏のTRANBI活用の狙いは、自社の得意分野であるゼロイチを今後もやり続けること、と明確でした。

自社の経営方針として「ベンチャー企業がゼロイチを作り、その志と共にベテラン企業にバトンを渡す」を掲げています。

しかし、実際に活用してみると、TRANBIの新たな可能性に気づいたと言います。

「TRANBI経由で、ゼロイチのシーズ(新しい技術・材料・サービスなど)を自社で買収する。

それを育成して、売却するということもできる」というものです。

TRANBI上では、事業の売り手は買い手にも転じることができ、また当初は買い手を想定していたとしても売り手になることができることに可能性を感じたと言います。

「7~8割の中小企業は、アプリやシステムを活用した新規事業を模索しているものの、社内リソースは十分には足りていない可能性がある。

TRANBIはIT企業と中小企業のマッチングを生み出し、中小企業のIT化を推進させる可能性もある」と言い、「今回のような事業譲渡にとどまらず、今後も可能性を模索していきたい」と考えているようです。

金融機関がTRANBIを活用する意義

今回、株式会社INJUSにTRANBIを紹介したのは、西武信用金庫 事業コーディネート担当の長谷川主任です。

西武信用金庫は業界の中でも、ビジネスマッチング、特に力を入れている信用金庫です。

「TRANBIを活用することで、取引先支援の選択肢が増やすことができます。

非常に使い勝手がよいサービスと思います。

お取引先への金融支援だけでなく、事業支援との両軸で成長をご支援することが地域金融機関の理想の姿です。と長谷川氏は指摘します。

「お客様に使い勝手がいいサービスとしてご紹介しやすく、事業を売りたい企業だけでなく、買いたい企業にとっても、今まで敷居が高かったM&Aを身近にできるようになったことを私達も実感しながら、紹介しています」と長谷川氏。

「ただ、今回はあまりにもトントン拍子に話が進み、支援者としての私達の出る幕はありませんでした(笑)」との感想もいただきました。

Q&A

Q:それ以前に事業売却の経験はありましたか?

A:いえ、初めてでした。ただ、事前に事例から学んだり、勉強会に参加したりということはおこないました。
また、実際にTRANBIを使用してみて、謄本登録から反映までの時間はもっと短縮していただけないかと思いましたが、それ以外はいたってスムーズに進行しました。

Q:数ある問い合わせ先の中でゼットエー株式会社を選んだ決め手は?

A:それは先方代表者の方との間や呼吸のようなもので、こちらが返して欲しいと思った答えの返信があり、上手く連携できそうだと思ったことによります。

Q:同様のサービスを活用しましたか?

A: 活用しましたが、TRANBIからの申し込みがすぐにあり、他社サービスからの申し込みがくることなく、決まりました。



売り手

  • 社名
  • 株式会社INJUS
    http://www.injus.co.jp/
  • 代表取締役
  • 鹿山 瞬
  • 事業内容
  • スマホアプリ、SaaS、APIなど、各種webシステムの開発

買い手

  • 社名
  • ゼットエー株式会社
    http://www.za-group.com/
  • 代表取締役
  • 扇山 信二
  • 事業内容
  • 語学留学・多言語翻訳・オンライン翻訳サービス

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