2023-07-04
100万円以下でレンタルフィットネスジムをM&A!スムージーやシャワーヘッドも販売する独自のビジネスアイデアを構想中
買い手(個人):孫 賢龍さん(30代)
<個人の多角化を目的としたM&A・買収事例>
証券会社勤務を経て、現在は自営業をしている孫さん。副業としてスモールビジネスを始めようと、 今回M&Aでパーソナルトレーニング向けレンタルフィットネスジムを購入しました。
これは、レンタルスペースの中にウエイトトレーニングの器具を置いている、パーソナルトレーナーさんや個室で筋トレをしたい方をターゲットにした空間です。
集客はこれからですが、京都の繁華街の中心地である烏丸御池駅からすぐであり、周りに競合スペースも無いことから、伸びしろに期待できます。
この案件を購入した理由、交渉過程、そして売上を伸ばすために孫さんが構想しているアイデアなどを伺いました。
【目を付けていた、“レンタルスペース+フィットネスジム”の可能性】
- はじめに、孫さんのキャリアについて教えてください。
新卒で証券会社に入社して、10年間営業として働いていました。2023年3月に退職したのは、 「会社員で一生を終えていいのだろうか」、「このまま同じことの繰り返しの日々を送るのだろうか」と考えたときに、新しいことにチャレンジしようと思ったからです。
それで自営業を始めたのですが、現在の本業は時間に融通のきくものですし、副業として他のビジネスをすることも可能なので、M&Aに挑戦してみようと思いました。
- M&Aの知識は持っていましたか。
証券会社時代に、業務の一環としてM&A仲介会社にお客様を紹介していたので、M&Aは身近でした。時間や仕組みを買って最短で事業を立ち上げられるもの、あるいは事業承継の選択肢の1つといったポジティブな印象を持っていました。
個人的にも興味があったので、会社員時代からTRANBIなどのM&Aプラットフォームには登録していました。副業禁止だったので購入はできませんでしたが、案件情報を眺めていました。
周りに、個人でM&Aを行った経験のある人はいないものの、M&A成立後に前職の後輩に話すと「確かにM&Aは有効ですね」と話していました。証券会社の営業は、普段経営者と接することが多いからこそ、自然と経営に興味を持つ人が多いのかもしれません。
- 京都にあるパーソナルトレーニング向けレンタルフィットネスジムを購入されましたが、どのような条件で案件を探していましたか。
まず エリアです。大阪に住んでいて実家が京都にあるので、大阪か京都の案件が希望でした。他には、 手軽な金額で購入できて、リスクが少ないことです。経営の勉強をするつもりで、まずは小規模の案件から始めようと思っていました。
そして、自分の時間をあまり取られない、自走できるビジネスモデルであることも重視していました。事業成功が見込める業種を見つけられたら、いずれその事業を本業にする可能性はあるものの、現時点では別の仕事がメインであるためです。
今回購入した案件は、こうした条件に合致していました。また、もともと「レンタルスペースをジムのような空間にしたら、集客ができるのでは」と構想していたのでイメージ通りだったこと、筋トレに興味があって、この案件を購入すれば自分自身も顧客として利用できることをメリットに思い、購入を申し込みました。
(フィットネス仕様のレンタルスペース①)
【立地良し・設備良し・固定費安価が決め手に】
- 今回購入されたパーソナルトレーニング向けレンタルフィットネスジムの特徴を教えてください。
まず立地としては、京都の中心地である烏丸御池駅から1分のところにあります。
レンタルスペースの中に、ジムの器具が置いてある空間をイメージしていただければと思います。大きなマルチスミスマシンやバーベルなど、ウエイトトレーニング系の器具が一式揃っています。広さは22平米ほどで、2名ほどで利用する際にちょうどいい広さです。
集客は『スペースマーケット』への掲載や自社サイトで行っていて、売り手様はフリーランスのパーソナルトレーナーさんをメインのお客様にしていました。
フリーランスのパーソナルトレーナーさんは、自分でジムや器具を持っていないケースが多いので、こうしたスペースの需要があるのです。調べた限り、近場に競合となるようなスペースもありませんでした。
- 売り手様は、なぜこの案件を売却されたのですか。
別の事業が好調で、そちらに集中するためだと聞きました。
もともとは売り手様自身がパーソナルトレーナーで、このスペースを立ち上げられたそうです。その後1年ほどは、フリーランスのパーソナルトレーナーさんに場所を貸し出す形態でビジネスをしていました。
ただ、直近1年ほどは稼働させてなかったようです。スペース貸しのビジネスモデルなので、手間を掛けられなくても自走できるように感じますが、清掃にも手が回らず、かと言ってどこかの業者に委託することもしなかったため、放ったらかしの状態だったようです。
資金には余裕があったため、ここ1年は家賃だけ払い続けながら本業に集中していたようで、ようやく売却を決心してTRANBIに掲載されたようです。
(フィットネス仕様のレンタルスペース②)
- 交渉はどのように進みましたか。
一度だけオンラインでお話して、決めました。話を聞く前から購入を前向きに考えていたので、 その日の夕方には「買います」と連絡させていただきました。売り手様も早く売りたかったのか、即決してくださいました。
そのため、現地の下見もしていません。京都の土地勘もありましたし、立地が良いので、 もし想定外のスペースだったとしても、民泊として活用したらビジネスが成り立つだろうと思ったからです。家賃も6万円と、烏丸エリアの平均相場に比べると安く、コストがそれほど掛からないところにも惹かれました。
小さな案件なので収益についても詳しい資料などは要求せず、「売上や利益はどれほどですか?」と簡単に聞いた程度でした。
購入を決めた後に、現地を見学しました。長い間放置されていたので、想像よりは汚れていましたが、掃除すれば十分使える空間になりました。
- 譲渡金額は、どのように決まりましたか。
売り手様の希望金額に従いました。設置してあった大きなマシンは数十万円、重量を可変できるダンベルは10万円ほどするそうで、 設備費を加味するとかなりお得だと思ったので値下げ交渉はしませんでした。
不動産会社にも保証金や敷金、礼金を支払いましたが、トータルでも初期費用は100万円以下に抑えられました。
(フィットネス仕様のレンタルスペース③)
【飲食業や物販業も構想中。クロスセルで売上アップへ!】
- 引き継がれてからの状況を教えてください。
昨日からガスを契約して、シャワーのお湯が出るようになりました。貸し出しはこれからですが、すでに2件ほど予約が入っています。
集客については、以前利用されていたパーソナルトレーナーさんの名簿が残っていたので、まず案内をしてみました。ただ、10人ほどに連絡して、連絡が付いたのが2人ほどでした。想像以上に、集客に力を入れる必要性を感じています。
また、今後は個人で筋トレをしたい方にも貸し出す予定です。人との接触を避けられて、誰にも見られず、器具を独占できるといった理由から、個室での筋トレのニーズが高まっているからです。
着替えをする時間が面倒くさい・パパっと済ませて帰りたいという方にもぴったりです。月に1~2回だけ、あるいは気が向いた時に通いたいため、ジムの月額契約には二の足を踏んでいるようなライト層を中心に、集客を目指そうかなと。
入居しているビルは、テナントと住居が約半分ずつ。飲食店やネイルサロン、美容室や占い館が入居しています。
他のお店に来るお客様を集客できればいいのですが、看板設置を禁止されているので、まずはビルの入居者に向けたポスティングを行ったり、Instagramで広告を出稿してみたり、検索エンジン対策をしたりしながら、反応を伺っていきます。
引き継ぎに伴い、料金設定も変更して。もともとの基本料金は1時間2700円でしたが、 多少強気な設定をしていて私としては割高に感じたため、1時間1800円に値下げしました。
- 新しく始めようとしていることはありますか?
まず、飲食店の許可を取ろうと思っていて。レンタルスペース内に小さなキッチンがあるのですが、売り手様が改修していて、飲食店の許可を取れる規格を満たしているんです。
たとえば、予約が入っていない時間に私がレンタルスペースに行って、スムージーなどを作り、Uberのテイクアウト専門店を開店するのもありかなと思っています。そうすれば、空間をうまく活用しつつ、売上の柱を増やすことができるからです。
他に、物販も始めようかと考えていて。 うちのシャワーヘッドを『ミラブルzero』に変えて、かつ『ミラブルZero』を製造しているサイエンス社と代理店契約をしようかと考えています。
ジムの利用者の方にシャワーヘッドを試していただき、興味を持っていただいた方には、販売用の専用HPをご案内するといった流れです。
また、 YouTube番組『令和の虎』で話題になった『リライブシャツ』も、同じように代理店契約を結んで、ジム利用者の方に販売することを検討しています。
これら以外にも、代理店契約ができて、かつ事業に親和性のあるグッズがあれば、ラインナップに取り入れていきたいです。
売り手様が経営されていた時代は、赤字ではなかったものの売上はトントン程度。+αのことをしていく必要性を感じているので、チャレンジをしていきたいです。経営のアイデアを妄想する過程は、とても楽しめています。
- レンタルスペースの改善は行っていますか。
大きくは変えていませんが、私自身がスペースをよく利用してきた立場として「あって便利だった」と思うものは導入しました。
もちろん、お客様の声を受けての改善もしていて、この前は「まな板が見つかりづらいです」という意見をいただいて置き場所を変えました。
1スペースしか運営していないからこそ、すぐに改善に移せることはメリットだと感じているので、ここで運営ノウハウを溜めつつ、またTRANBIで条件に合うスペースに巡り会えたらM&Aを行って、スペースを2つ、3つと増やしていこうと考えています。
- 経営の勉強はしましたか?
していません。完全に手探りで、経験に基づいてトライをしています。ただ、証券会社時代に経営者のお客様と話す中で得た、経営者視点のような考え方や決算書の読み解き方のようなスキルは生かされていると感じます。
いずれ事業規模が拡大した際にはコンサルティングの力を借りるかもしれませんが、当面は自力で挑戦していきます。
個人的には、課題にぶつかって追い込まれたときに必死に考えるからこそ、知恵も湧いてくるし、解決に向けたアイデアを捻り出せると思っています。
今後M&Aへの挑戦を考えている方にも、 別で本業を持ちつつ、副業としてスモールビジネスから始めて、トライ&エラーを繰り返すことで経営のノウハウを学ぶことをおすすめします。
(フィットネス仕様のレンタルスペース④)
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■今回孫さんが買収した案件はこちら
■孫さんが現在運営している事業はこちら
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