2020-06-23

コロナ禍の個人M&A「リスクも受け入れることが私の覚悟」 ~夢である“衣食住”を融合させた事業をつくる

買い手(個人):庄司有毅氏

<個人の起業事例>

「キッズ向け海外ヴィンテージ洋服とスペシャリティコーヒーを提供するカフェショップ」案件を見つけたのが2020年2月、実際に交渉し始めたのが4月、と新型コロナウイルス騒動の渦中に譲渡を受けたpu`uwai合同会社の庄司有毅さん。現在は、引き継ぎをすべて終えて、自粛明けの営業に向けて準備を進められているとのこと。コロナ禍にあって「フィーリングの合う案件と出会えていいスタートが切れる」と前向きに語られます。M&Aに至るまでの経緯と事業への思い、これからの展望について伺いました。

 

【いつか衣食住をつなげる事業をしたい】

- そもそもM&Aに興味をもったきっかけは?
もともと飲食、不動産といった関係の会社で営業職として働いていました。妻は飲食、アパレル業界に長くいます。そのため、わたしたち夫婦が経験してきた飲食、不動産、アパレル、つまり“衣食住”の3つをうまくつなげる事業を展開できればと、2年前に妻が代表、私が役員とした法人を立ち上げました。立ち上げてすぐにTRANBIに登録しましたが、しばらくは会社に勤めていたので、事業計画が手つかずの状態でした。

M&Aのメリットは、何といってもすぐに事業を始められること。やりたい案件が見つかれば、すぐにでもやりたいと思っていたので、2020年2月、私が会社を辞めてから300万円の予算をもとに本格的に探し始め、この案件に出会ったのです。

 

(店舗の様子)

【「子ども向けヴィンテージ服」に商機あり】

- この案件のどんなところに魅力を感じましたか?
“USヴィンテージを扱うカフェ”ということで、アパレルと飲食という異業種をつなぐ事業が実現します。これは、まさに衣食住をつなげるという私たちのコンセプトにかなうものでした。

飲食業界もアパレル業界も経験がありますので、同じ業界に友人や知人も多いし、おつき合いのある業者さんもいます。これまでの経験や人脈をうまく活かしたシナジーが見込めるだろうと思いました。

そして、キッズのヴィンテージ服を多く扱っていることも魅力に感じました。アパレル業界を見渡してみると、大人のヴィンテージ服を扱う店は多いけれど、子どものヴィンテージ服を扱う店は少ない。競争相手が少ないのはビジネスとしてはチャンスですから、これからはさらにキッズに特化していこうと考えています。

 

(キッズ向けヴィンテージ服が店内に並ぶ)

- 店舗のイメージは具体的にどのようなものでしょうか?
キッズ服を扱うなら当然、子連れでも気兼ねなく立ち寄れる店にしたいなと思っています。というのも、わが家にも小学校4年生と2年生の息子がいますが、実際、子連れで外食を楽しめる店って少ないんです。

雰囲気のいい店には、そもそも入れませんし、結局、気兼ねなく入れるのはファミレスしかない。でも、たまにはファミレス以外でも楽しみたいですよね。

ここは特にお子さん連れのママの多い落ち着いた住宅街ですから、まずは女性の方に喜んでいただけるような店内に改装しました。そして料理もヴィーガン仕様のスイーツを取り入れたり、健康的な食材を使ったり、と健康志向の方や子どもに安心して食べてもらえるメニュー構成にしています。

以前は店舗のほとんどが洋服のディスプレイで、カフェスペースが十分にありませんでしたが、今後は洋服とカフェを半々の割合にするつもりです。洋服のディスプレイを減らした分、オンラインでも買えるようにしたいと思っています。

 

(ヴィーガン仕様のスイーツを考案)

【売り手の価値観に共感できたことが決め手】

- M&Aはスムーズにいきましたか?
サイトで案件を見つけて、自分の中で引き継いだあとのイメージがしっかりできたからか、実際に売り手さんとお会いしたときは、とてもフィーリングが合って話が弾みました。

やはり今ある箱をつくられたのは売り手さんですから、売り手さんには店に対する思いや愛着があるわけです。ですから私は基本的にコンセプトはそのまま引き継いでやっていくことをお伝えしました。

売り手さんとは事業のコンセプトだけでなく、お互いの価値観や物の見方、考え方についても、じっくりとお話しできたのも大きかったかなと思います。

20代で大きな店舗を立ち上げ、儲けを出していたものの、30代になり一人一人のお客様と対面で丁寧に向き合う時間を作りたいと、あえてこの小さな店舗に移られたそうです。そして次の夢であるアメリカ留学のため店舗を売却することに決めたと聞きました。やりたい夢をいつも追いかけている点で自分と重なるところが多く、自然と話は盛り上がりました。もしかすると、この売り手さんでなければ、同じ店でも引き継がなかったかもしれません

 

(開業に向けて始動する庄司さん)

【店舗の賃貸契約には要注意!】

- M&Aを進める中で苦労したことは?
トラブルというほどでもありませんが、売り手さんは個人事業主でしたので、財務や契約内容など、細かい情報を拾い集めるのは大変でしたね。

たとえば店舗は賃貸ですが、そういった賃貸借契約も、そのまま引き継ぐ前提で話が進んでいました。しかし、いざ引き継ぐ段階で、大家さんから待ったがかかった借主が代わるのであれば契約内容を変更したいということで、そのまま引き継ぐことはできなかったのです。

最終的に私が大家さんに直接お会いして、売り手さんから事業を引き継ぐ旨をご説明し、納得していただき、引き続きお借りできることになりましたが、そこはM&Aの難しさを感じたところでした。結局、売る人と買う人の話が、ある程度まとまった最後の段階で、大家さんが出てくるわけですから。

だからといって、最初の段階で将来の事業承継を見越して、完全に承諾を得るのも非常にハードルが高い。ですから買い手としては、引き継ぐ段階で新たに契約が発生すると考えておいたほうがよいでしょうね。最初の譲渡内容と相違点もありましたので、売り手さんには譲渡金額について相談にのっていただき、当初よりも下げていただきました。

 

(庄司さんと奥様の二人三脚で)

【コロナ問題も起こりえるリスクの一つとして受け入れる】

- 今回の新型コロナウイルス問題で気持ちは変わりませんでしたか?
案件を見つけたのが2月、交渉し始めたのが4月でしたので、交渉を進めるにしたがって新型コロナウイルス騒動もだんだんと大きくなっていきました。

実は、もう少し早めのタイミングだったら、考えが変わっていたかもしれませんし、実際やめようかなという考えもちらっとよぎりました。ただ、話が進み売り手さんとの信頼関係ができつつあるなかで、ここで自分のことだけを考えてやっぱり「やめた」というのは違うかなと。コロナ問題もリスクとして自分が受け入れて進めようと覚悟を決めました経営をする上で、こういう事態はいつでも起こりえますし、乗り越えなければならないひとつの経験としてとらえています。

それよりもフィーリングの合う案件に出会えて、よいスタートが切れそうだなというワクワク感のほうが強いですね。

- 今後はどのような事業展開を考えていますか?
今後もどんどんM&Aに取り組んでいきたいですね。事業を買うことは当然リスクがありますが、リスクを恐れて何もしなければ、サラリーマンをしていたほうがいい。やっぱり買わなければ何も始まりません。

今回のM&Aは、その第一歩です。衣食住の“衣”と“食”が実現したので、今後は“住”である不動産関係で面白い案件があれば検討してみたいなと思っています

今後も自分の食指が動かされることに関しては、どんどんチャレンジしていきたいです。

- ありがとうございました!

 


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  • 池田純子)
  • ライター紹介池田純子

    大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーのライター・編集者に。暮らしやお金、子育てにまつわる雑誌記事の執筆や単行本の製作に携わる。さまざまな生き方を提案するインタビューサイト「いま&ひと」を主宰。