2020-09-23

コロナで“脱・結婚式”! 老舗ブライダル演出事業者がECショップを1,000万円で買収

買い手(法人):(株)ユナイテッド

<中小企業の新規事業を目的とした買収事例>

   

結婚式事業はコロナ禍で相次ぐ延期やキャンセルが起こり、大きくダメージを受けた業種の一つです。主に結婚式の演出事業を48年もの間、手掛けてきた(株)ユナイテッドも例外ではなく、この状況を打開する策を探していました。もともとM&Aは3度の経験があり、今回TRANBIで家電製品を取り扱うECショップの購入を決断しました。「”脱・結婚式”を目指し、全くシナジーのない事業を探していた」とユナイテッドの代表 阿部 達也さん。その言葉の裏側にある狙いを伺ってきました。

【コロナで “脱・結婚式”、シナジーではなく補完できる新規事業を】

- なぜ今回M&Aという選択肢に挑戦しようとなったのですか?
本業はブライダル向けに演出事業をやっている会社で、もともとは新たな事業の柱をつくろうと思ったことがきっかけでM&Aに興味を持ちました。

これまでに3件のM&Aを実行し、業績を伸ばしてきました。しかし、このコロナ禍で結婚式の予約が軒並み延期やキャンセルになったことを受けて、大きなダメージを受けています。そこで影響を受けにくいビジネスを始めようと思ったのが今回のM&Aのきっかけです。

- どういう条件で案件を探されていたのですか?
①対面を必要としないオンラインの事業であること、②手元の資金で購入が可能な範囲の価格帯であること、③海外からの物流を考慮する必要がなく国内で入手できる商材であること、という条件で案件を探していました。

異業種シナジーはむしろ全くなくてよく、社会や経済がたとえ変動しても補完できるビジネスが良いと考えていました。



(※写真はイメージです)

 

【同郷であることが成約を後押し】

- それで家電製品を販売するECショップを見つけたのですね。交渉はどのように進めていきましたか?
2020年の3月末にTRANBIで家電製品を取り扱うECショップが売却に出されているのを見つけて、もともと描いていた条件にあうことからすぐに売り手さんへ連絡をとりました。

その後、ご承知のとおり、全国で緊急事態宣言が発令されたこともあり、直接会って交渉するまで2カ月強かかってしまいました。

- その間の売り手さんとのやりとりはどのようなものでしたか?
zoomなどのオンラインツールを使って、より詳細な質問や他の方との交渉状況を確認していました。ようやく最初に交渉の場を持てたのは6月ごろです。

私は古い体質の人間なのかもしれませんが、やはり直接話さないと事業の裏側にある部分や、注意すべき勘所、お相手の人柄が把握できません。細かい部分を感じとれるのはやはり直接ならではだと思います。

お相手の方が佐賀ということで、山形在住の私にしては少し距離がありましたが、実際に伺ってみると、話も弾みまして、売り手さんも山形出身ということで共感できる部分を持っていただけました。ほかに10社くらい交渉されていた方がいたようですが、自分たちが困っている状況を説明し、どうしても欲しいことを強く伝えました

- 交渉の際に注意した点はなにかありましたか?
私自身もこの案件が本当に買収すべきかどうかを判断する場でもありました。売り手さんの声に耳を傾け、言っていることと実際にやっていることに齟齬がないかを注意して聞いていました。交渉の場には自分以外のスタッフ、今回は奥さんにも立ち会っていただき、第三者的な視点で判断も仰ぎましたね。

あと、先方には仲介会社さんが間に入っていたので、その方の話とも総合して、最終的に購入をお願いすることを決めました。



(※写真はイメージです)

【ニッチなニーズをとらえた特殊なビジネスモデル】

- 買収した事業のどこに魅力を感じたのですか?
事業のビジネスモデルは独自のルートで仕入れた家電製品をアマゾンのECショップで販売するという単純なものですが、実は特殊なニーズに目をつけて利益の幅を大きくしています

家電品の一般的なニーズは、機能や価格、ブランドなどでの視点でよりよい最新のものを買いたいというものです。しかし、世の中を広く見てみると、使い慣れているものが壊れてしまった際、最新のものではなく使い慣れているものを継続して使いたいというニーズもあるんです。

ただ実際には、旧型の製品は販売中止になって購入できないケースが出てきます。そこでこの事業では廃番になりそうな人気商品を仕入れ、オンラインで販売しています競合も少ないため、最新家電品より多くの利幅を得ることができます。譲渡前の年間の営業利益は2500万円でした。

- なるほど、ニッチな領域で、確かなニーズがありそうです。
ただそのためには安定した仕入先の確保、長期間で大量の在庫を抱えることが必要です。今回売り手さんには今後も取引先として、仕入れの関係を継続いただきます。加えて、私の方でも地元のエリアで仕入れルートを開拓していく予定です。

実は契約当初はこのビジネスモデルの肝である在庫を軽視しており、売り手さんからは「それではうまくいかないですよ」と言われたものの、実際に少量からスタートしましたが、売上が思うように伸びませんでした

そこで在庫を急激に増やしていった結果、今では順調に伸びています。



(ECショップの商材としてストックされている在庫)

 

【大事なのは契約後の売り手のサポート】

- 売り手さんとの関係が契約して終わりではなく、今後も取引先として続いていくのですね。
こういった契約の際に私が大事にしているのは、売り手さんとの関係値と譲渡後のフォロー体制です。今回は事業で困ったときに売り手さんに1年間の間はいろいろ相談をさせていただけるような契約にしました。

そのため先のような売り上げが伸び悩んだ時に、原因や改善提案を気軽に聞くことができます。今回買収金額は1,000万円でしたが、この関係やノウハウを買っているといっても過言ではありません

- 確かに。なにかこれまでに売り手さんとの関係で失敗したことがありましたか?
私はこれまでM&Aを3回実行し、ブライダルの演出事業をやっていることで、実際にシナジーを高く見込める結婚式場そのものの買収をおこなった経験があります。

当時売り手さんからはどうしてもあなたに買ってほしいと頼みこまれました。社員が10名程度で、規模自体も1億円と実施可能な範囲の金額であったため、購入を決意しました。ところが一年もたたず売り手さん含め社員の半数以上がやめてしまい、運営が難しくなるという苦い失敗をしました。

なんとかテコ入れし持ち直していますが、売り手さんの本質が見抜けず、また関係値が築けていなかったことが反省としてあります。

- 振り返って今回のM&Aは成功でしたか?
今回のM&Aはコロナ禍において、非常に強みを発揮するものですし、やり方次第で安定的な利益を見込めます。私にとってM&Aは「時間を買う」ことであり、今後も積極的にTRANBIを使って挑戦していくつもりです。

- ありがとうございました!


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