塾・予備校業界の市場動向
少子化という構造的な課題に直面しているものの、塾・予備校業界の市場は根強い需要に支えられています。保護者の教育投資への意欲は依然として高く、特に個別指導やオンライン指導、プログラミングや英語といった特定スキルに特化した教育サービスのニーズが拡大しています。
一方で、生徒数の減少による競争激化や、優秀な講師の採用難・人件費の高騰は多くの事業者にとって深刻な経営課題です。特に個人経営の小規模な学習塾では、後継者不足も重なり、事業承継が困難になるケースが増加しています。
このような背景から、業界では大手による中小塾の買収や、IT企業による教育分野への新規参入が活発化しています。M&Aを通じて、経営基盤の強化、展開エリアの拡大、デジタル化の推進などを図り、変化する市場環境に対応しようとする動きが加速しています。
塾・予備校業界のM&Aのポイント
ポイント① 事業モデルと収益構造の精査
塾・予備校の事業価値を評価する上で、生徒数と収益構造の正確な把握は不可欠です。過去数年間の生徒数の推移や在籍期間、学年構成を分析し、事業の安定性を見極める必要があります。
夏期・冬期講習といった季節性の高い収益への依存度や、特定の学年・コースへの偏りがないかを確認することも重要です。デューデリジェンスの際には、公表されている生徒数や稼働率と、実際の入金記録を照合し、売上高に乖離がないかを厳密に検証することが求められます。
ポイント② 人材(講師)の質と定着率
教育サービスの根幹をなす講師の質と定着率は、M&Aの成否を左右する重要な要素です。正社員とアルバイト講師の比率や平均勤続年数、採用・研修制度の実態を把握し、組織としての指導力を評価します。
特定の人気講師に生徒が集中している場合、その講師の離職が事業に与える影響は計り知れません。M&Aの実行にあたっては、キーパーソンとなる講師の処遇を入念に検討し、買収後の円滑な引き継ぎと人材流出の防止に努めることが極めて重要です。
ポイント③ ブランド・立地とデジタル対応力
地域社会におけるブランドイメージや評判、そして校舎の立地は、安定した生徒募集の基盤となる無形の資産です。商圏内の人口動態や競合の状況を分析し、対象事業が持つ地理的な優位性や将来性を評価する必要があります。
加えて、オンライン授業の実施状況や学習管理システム(LMS)の導入有無など、デジタル化への対応力も今後の成長性を見極める上で欠かせない視点です。これらの無形資産や将来性を正しく評価し、買収後の具体的なシナジーを描くことが成功の鍵となります。
地域別売却希望平均価格
- 0円
- 1円
- 10万円以下
- 100万円以下
- 300万円以下
- 500万円以下
- 1,000万円以下
- 1,000万円〜3,000万円
- 3,000万円〜5,000万円
- 5,000万円~1億円
- 1億円~2億5,000万円
- 2億5,000万円~5億円
- 5億円〜10億円
- 10億円〜15億円
- 15億円〜20億円
- 20億円〜50億円
- 50億円〜100億円
- 100億円以上
