2022-09-06

22歳の若き挑戦!副業で立ち上げた映像制作事業を“怪しすぎる”ほど格安で譲渡

売り手(個人):田淵亮太さん(22歳)

<個人の事業売却・スモールM&A事例>

 

「動画の時代」といわれるほど、最近では企業・個人問わず、映像制作の需要が拡大しています。今回そんな映像制作の事業を売却したのは、京都府に住む田淵亮太さん。初めてのM&Aでありながら、20名のスタッフを抱える制作チームをスムーズに譲渡することができました。

TRANBIへの登録は「気軽なお試し感覚だった」と語る田淵さん。今はまた別事業での独立を目指し、新たな道へと踏み出しています。壮大なビジョンやガツガツした野心とは違う、好奇心を原動力に挑戦する姿が印象的。そんな22歳が挑んだ今回のM&Aストーリーに迫ります。



(※写真はイメージです)

【特別なスキルがなくても、チーム体制で映像制作の分野へ】

- はじめに、田淵さんのご経歴と、今回売却した事業の概要についてお聞かせください。
学校卒業後は2年ほど飲食店に勤めていて、店長のポジションまで任せてもらいました。その後、2019年11月からは不動産の営業をしております。

今回売却した映像制作事業は、不動産営業の仕事の合間に副業として立ち上げました。私自身は映像制作の技術を全く持っていないので、編集者さんとクライアントさんの間に入り、アニメーションの制作やYouTube動画のディレクションを行っています。

所属しているスタッフは20名。動画を依頼される案件ニーズがたくさんあったので、チームにした方が効率的だと思い、このような形で運営してきました。

- 映像制作事業を立ち上げた理由は、どんなところにありましたか?
不動産営業の給料だけじゃ物足りない、というところが最初のきっかけです。ただ、何か他のことをしたいと考えた時に、自分には特別な技術は何もない。そんな中、ココナラさんやランサーズさんで動画編集の仕事がたくさんあるのを見て、その間に入ることも一つの仕事になるのではと考え始めました。

もともとYouTuberの知り合いや、企業の広報担当の方とお付き合いがあったんです。飲食店時代にはお客様とお話しする機会も多く、幅広い方と出会うきっかけが少なからずありましたから。

そういった方々から話を聞くと、例えばPR動画の制作をする場合も、大手の制作会社に依頼するとかなりのコストがかかってしまうと。当然、高品質のものをできるだけ安く作りたいですよね。私が店長だった時も大手広告媒体にお金がかかっていましたし、もう少しリーズナブルにお願いできたらいいのに、という実感はありました。

一方、技術があっても、なかなか仕事を取れない動画編集者さんもいらっしゃいます。そこで、自分がうまくつなげられる部分があるかもと思ったんです。

- そこから、どのようにしてチーム体制を築いていったのでしょうか?
ココナラさんを通じてお声がけをした方が多いですね。また、一度実際にお仕事をさせていただいた方で、クオリティ面でもコスト面でも条件に合いそうな場合は「他にも色々案件があるのでぜひお願いしたい」とお伝えしました。

スタッフは、実績作りのために安く請けている駆け出しの方から、テレビ関係の仕事をしつつ副業で動画編集をしているプロに近い方まで、キャリアやスキルはさまざまです。

またチームといっても、きっちり管理をするというよりは、気軽に案件を取れる掲示板のような形で運営していました。最初はChatworkを使っていましたが、途中からLINEのオープンチャットに移行し、案件を流して参加したい人だけ参加できるシステムになっています。

- 案件の獲得、お客様の開拓はどのようにされていましたか?
単純に営業という形ですね。TwitterのようなSNSを通じて企業さんにアプローチし、「このクオリティの動画が数万円で作れますよ」と提案しています。あとはインターン参加中の大学生に声をかけて、インターン先の企業様を紹介していただいたことも何度かありました。

- このビジネスの強みはどのあたりにあると考えていますか?
映像制作はまだまだ需要がある仕事だと思っています。ジャンルも結構オールマイティに扱っていますし、企業案件もYouTubeの動画編集も、できるだけ幅広く応えられるように努力してきました。

特に価格帯の面では強みがあります。数千円で制作することもありますし、企業さんの30秒のPR動画でも、大手さんに依頼すると数十万〜数百万円かかるところを、私たちなら10万〜20万円で全部受けられます。およそ5分の1以下ですね。

- そこまで安くできるのは、何か秘密があるのでしょうか?
特に秘密というほどではないですが、例えば大阪の企業様からお仕事をいただいた際には、京都在住の私と兵庫在住のスタッフで直接お伺いして、そこで撮影から編集まですべて請け負うことができました。

20名のスタッフがいるので、チームをうまく組めれば人数やコストも抑えられますし、最低限の価格でご提案ができたと思っています。もちろん企業様にはご満足いただきましたし、そのスタッフにも内容・報酬ともに満足してもらえました。

ただ、同じような価格帯の競合さんもいらっしゃると思います。正直、周りとあまり比べたことがなく、それほど差別化は意識していません。レスポンスの早さや期日厳守など、基本的な部分をきちんとして、目の前のお客様を大切にするだけですね。

仕上がりについても任せっぱなしではなく、クライアント目線と視聴者目線で確認していました。自分に制作スキルがないからこそ、素人が見ても分かりやすいようチェックできたと思っています。



(今回映像事業を譲渡した田淵さん)

【「安すぎて怪しい」と言われるも、利益よりスピード感重視で価格設定】

- 今回の事業売却を決めた理由を教えてください。
事業自体はそれなりにうまくいっていました。立ち上げてから約4か月で売上48万円。まだまだ伸ばせそうではあるけれども、実は今、私が別事業で独立に向けて準備をしているため、そちらに全力を注ぎたいということが理由です。

運営がそれほど負担になっていたわけではありませんが、やはり全力で取り組んでいただける方にお任せした方が、ディレクションも円滑に進むだろうと判断しました。

スタッフの方々はフリーランスの業務委託という形で参加していただいているので、コストがかかるわけでもなく、個人的な絆ありきのチームでもありません。そのため、オーナーが変わることに関しても特に問題はありませんでした。

- 売却金額は32万円と伺っています。この金額はどのように決めましたか?
先ほどの、大阪の企業様の受注額が32万円だったことを一つのラインとして考え、企業案件一つ取れればペイできる金額感に設定しました。

売却価格の算定方法は色々調べましたし、TRANBIで出てくる譲渡参考価格(50万〜100万円程度)も見ましたが、私としてはそこで儲けるつもりはなく、それよりもスピード感を重視したんですね。初期費用もほとんどかかっていませんから。

といっても、企業案件を獲得することは簡単ではありませんし、そのラインの金額ならどなたでも気軽に買っていただけるのかなと。 結果的に、他の案件と比べてかなりリーズナブルだったこともあり、数多くの問い合わせにつながりました。

先方から「安すぎませんか、逆に怪しいですよね」と言われたこともありましたね。その時は「YouTuberさんの案件なら1本数千円から1万〜2万円になるので、そういった数をこなしつつ、企業案件が取れればペイできるようにしています」と、一連のイメージをお伝えすると納得していただけました。

- 実際の交渉はどのように進んだか教えてください。
TRANBIに登録してからすぐに問い合わせが来ました。合計で32件と、数はかなり多かったと思います。基本的に問い合わせのあった方には一人ひとりメッセージを返し、まずは面談という形で進めました。

ただ、私自身の本業が忙しい時期で、どうしても仕事終わりにしか時間が取れず、23時頃からの面談になったことは申し訳なく思っています。日中に対応できれば、もっと早く決まっていたのかもしれません。

面談でお話ししたのは、自己紹介と事業の概要、TRANBIに掲載している内容の詳細説明あたりでしょうか。案件獲得の方法については、やはり皆さん細かく質問されました。それに対しては、やはり営業的なアプローチと、ココナラさんやランサーズさんで一度いいものを提案できれば、継続的・長期的なお取引につながるとお伝えしています。

ちなみに、TRANBI上で「アシストコメント」が掲載されてから、問い合わせが増えた印象がありました。ポジティブな内容で褒めていただいたので、素直に嬉しかったですね。



(※写真はイメージです)

【「思いのほかサクッと売れちゃった」が正直な感想】

- 多くの問い合わせに対してどのように候補を絞り、最終的な譲渡先を決めましたか?
やはりレスポンスの早さでしょうか。実際に「買いたい」という方は数名いらっしゃいましたが、なかなか次の返事が返ってこないこともありました。その点、今回譲渡した相手はしっかりとレスポンスが返ってきましたし、お任せできる信頼感がありました

そして何より、自社でPR動画制作などの案件をたくさん持っていて、直接自社グループ内でも仕事を流せることが決め手になりました。そうすれば案件獲得の心配もありませんし、私のような人が間に入らなくても、円滑に運営できそうだと思ったんです。

あとは先方の税理士さんから、こちらの事業を確認して許可が下りたとのことだったので、そういった第三者からのお墨付きにも安心感がありました。ちゃんとプロセスを踏んでいるので、途中で「やっぱりやめます」といったことはなさそうかなと。

- 引き継ぎについてはいかがでしたか?
何度か面談を行い、PowerPointで作った資料や、チーム内で作ってもらったアニメーション動画を見ていただきながらご説明しました。「このクオリティの動画も5000円ぐらいで作ってもらいましたよ」と、実際に見ていただくと分かりやすく伝わったようです。あわせて、案件獲得からの一連の流れもお伝えしました。

また、業務委託契約書のひな形もデータで一式お渡ししています。これはオーナー(今回は私)と制作スタッフ、オーナーとクライアントさんとの間でそれぞれ結ぶ契約書ですね。

そこまで難しい運営をしてきたわけではないので、引き継ぎはスムーズに完了しました。M&Aは何かと手間がかかるだろうと考えていましたが、案外サクッと終わり、今回TRANBIに掲載して本当に良かったなと思います。

M&Aに挑戦する登録者数10万人以上、常時M&A案件数は2,500件以上を掲載中
「事業承継・M&Aプラットフォーム TRANBI【トランビ】」

 

- M&Aという可能性については、どのように知りましたか?
今回が初めてのM&Aですが、色々調べる中で「こんなものがあるのか」と試しに出してみたら、思いのほか早く売れちゃったという印象で。M&Aに関する知識もあまり無いまま、お試し感覚で登録したので、金額設定についても正直手探りだったんですよね。

といっても、M&Aについてはもともと少し興味がありました。おおまかな知識はネットで得て、YouTubeでも企業さんのバイアウトについて見ていたので、事業が売れるということは以前から知っていました。

- その中で、TRANBIを利用した理由を教えてください。
他のプラットフォームも使うつもりでしたが、結局TRANBIで早々に解決してしまいました。最初にTRANBIを選んだのは、M&Aの仲介サイトの中でもトップというか。検索でも上位に出てきますし、比較サイトでも上の方で紹介されていたので、まずはここから出してみようと思ったんです。

他の売り案件も、参考までに閲覧していました。周りを見ると、正直、もう少し高くても売れたのかな……とは思いますけどね。あとは、P/L(損益計算書)を細かく記載されている企業は分かりやすいなと、勉強になる部分もありました。利用してみて特に困ったところもなく、全体的に使いやすかったと感じます。

【次の目標はより大きなバイアウト】

- 今後は新しい事業に注力されるとのことですが、具体的にはどんなものでしょうか?
これからはSNSマーケティングの分野に挑戦しようと考えています。分かりやすいものだと、Instagramの運用代行のような仕事ですね。独学もしつつ、今はAIの技術や解析ツールも進歩しているので、上手に導入して取り組んでいきます。

今度は私の他にもう一人と、二人体制で進める予定です。その人は自分よりもマーケティングに詳しいので、私は営業のスキルを活かしながら、一緒にやっていこうと思っています。

新しい事業では、バイアウトというところが明確な目標になりました。今回初めてのM&Aを経験し、小さな数字ではあっても流れは理解できたので、次につなげようと。次回はしっかり売上も出して、数年後に大きな数字でのバイアウトを目指そうと、はっきり照準が定まりました。

- 若くしてM&Aに挑戦されましたが、人生のプランをどのように描いていますか?
そうですね……具体的に「将来何かになりたい」というものが、正直まだないんですよ。ですが、やってみたいと思うことはたくさんあります。大きな柱として一つ事業を確立した後は、色々なことに幅広くチャレンジしていきたいと考えています。それこそ今回は売り手側でしたが、買い手の立場にもなってみたいな、とか。

現在の本業である不動産営業は、自分の中でそれなりに成果や手応えを得られたので、また違う分野に踏み出したい気持ちの方が今は大きいですね。

- 最後に、これからM&Aに挑戦される方へアドバイスがあればお願いします。
今回は大きな事業を売却したわけではなく、交渉で苦労した場面もなかったので、私がお伝えできることはあまりないかもしれません。

でも、結局は「まずはやってみる」に尽きると思うんですよ。同世代を見ていると、何かしたくても実際に動く方はなかなかいません。そこをどれだけ動けるかが大事だと私は思っています。これは、もともと父親が経営者で、そういう考えを持てと教えられた影響もあるかもしれませんね。

次にやりたいことを見つけたら、まずはやってみる。私もその姿勢で、これからも楽しみながら挑戦し続けたいと思います。

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■田淵さまが譲渡した案件はこちら

「【固定費0ビジネス】映像制作ディレクター」

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