2023-04-18

ペット商品を扱うECサイトを売却!選定条件は“ビジネスへの情熱がある愛犬家”

売り手(個人):島袋 隼さん(30代)

<個人の選択と集中を目的としたM&A・事業売却事例>

 

個人事業主として物販事業を手掛けていた島袋さん。自ら企画してスタイリッシュなペット商品を開発し、ゼロから集客を行い販売を手掛けていました。

しかし 売上が思うように伸びず、ニーズが拡大していた別事業へシフトするために、事業売却を決断します。

売却の条件は、情熱を持ってビジネスを運営してくれる愛犬家であること。30万円と手頃な譲渡希望金額を設定したことで、ターゲットに合致する方からの応募が集まり、2週間で事業譲渡が成立します。

物販事業を育ててきた過程や交渉を振り返っての感想を、島袋さんに伺いました。

【中国のサプライヤーと連携して、愛犬の散歩をオシャレに楽しむためのグッズを開発】

- 島袋さんのご経歴から教えてください。
もともとはソムリエとして、バーやレストランのオーナー向けに試飲やテイスティングをセッティングするような仕事をしていました。それと並行して、サイドビジネス的に始めたのが物販の事業です。

最初はアパレルの物販からスタートしました。市場リサーチを行い、オンラインで売れそうな商品を見つけては販売して滑り出しは好調でしたが、 トレンドが過ぎ去ると売上が大幅に減少してしまって。

もう少し安定した市場で物販を行おうと、目を付けたのがペット向けグッズの販売です。

飼ってはいないものの犬が大好きなので、犬が散歩をするときに身に付けるハーネスを開発したいと思って。 市場リサーチをしたところ、競合も少なそうだったので挑戦を決めました

- どのようなステップで、商品開発を進めましたか。
基本的には、「こうした商品を作りたい」とサプライヤーさんに希望を伝えて、「このロット数なら希望商品を開発できます」という返答をいただいてから商品開発に移る流れになります。

2~3年前まで海外に住んでいて英語が話せるので、中国のサプライヤーさんに連絡を入れて、もともと彼らが製造していた商品に対して「追加でこんな機能を付けてほしい」とリクエストしました。

もちろん、最初は商品開発の流れなどわからなかったので検索したところ、 「アリババ」のようなプラットフォーム内でサプライヤーさんとコンタクトを取るか、現地のサプライヤーさんが集まる展示会のような場に出向いて商談をすべきだとわかって。今回はアリババを通してサプライヤーさんに出会うことができました。

- 開発したグッズについて教えてください。
犬の散歩をする時に使う、首輪とハーネスとリードとエチケット袋携帯ケースがセットになった、「愛犬とオシャレにお散歩しよう」というコンセプトの、機能性とファッション性を極めた商品です。

一番の特徴はハーネスです。一般的なハーネスはリードを留める箇所が2か所しかないのですが、 私が開発したハーネスは3か所で留められるため、犬にとって窮屈にならず心地良い箇所で留めることができます

また、犬の散歩中にはどうしても犬が速く歩いたり走ったり、飼い主さんが違う方向に連れて行こうとしたりして、リードが多少突っ張るようなシーンがあるので、 ハーネスのインナーを柔らかいクッション製にすることで、犬が快適に散歩をできるような仕様にしました。

- 商品開発後、どのようにマーケティングを行いましたか?
メールマーケティングの戦略を立てて、まずはメールマガジンの登録者数を増やすことから始めました。ゼロベースでブランドを立ち上げてしまったので、ブランドを知ってもらうことが何より重要だったからです。

メールマガジンの登録に繋げるようなFacebook広告を出稿した結果、 メルマガ登録数は1024件になり、開封率も約40〜50%ほどでした。



(売り手の島袋さん)

【ターゲットのニーズを汲んだマーケティングを行える人に、事業を託す】

- 事業売却を決断した理由を教えてください。
思い通りの商品開発はできたものの、1年ほど事業を運営しても売上がなかなか伸びなかったからです。その理由としては、 開発した商品が、飼い主の方に求められているものではなかったと想定できます

私は実際に犬を飼っているわけではないので、飼い主の方の痒い所に手が届く商品を開発し切れなかったのではないかと。

また、私自身が飼い主ではないために、 愛犬家の方々に対して情熱を伝え切れなかった部分もあると思います。飼い主の方の行動や心情を想定したマーケティングが、十分にはできませんでした。

一方、物販事業を行うために習得したECサイト構築の知見が周りに評価されるようになって、IT系のお仕事の依頼が増えてきました。

この事業の方が需要が大きく、自分自身のスキルでニーズに応えられると思い、 事業のピボットとペットグッズ事業の売却を決めました

そして「事業の売買」というキーワードで検索したところ、ヒットしたのがTRANBIでした。

譲渡価格が低額の案件でも取り扱ってくれるということでさっそく登録をすると、その日のうちに多くの方から「興味がある」と連絡をいただいて。 譲渡完了までに約2週間と、とてもスピーディーに事業売却ができました。

- 掲載後、どれほどの問い合わせがありましたか。
総申込数は35件でした。「どんな事業なのかが気になる」という浅い興味からの問い合わせの方もいたので、ペット事業に興味が強く、本気で購入を検討されていて「面談で詳しく話したい」と言ってくださった5~6名に絞りました。

面談はオンラインで行いました。事業についての説明をしつつ、相手の方がどのように事業を発展させたいというビジョンを持っているのかなどについてヒアリングを重ねて、選定しました。

というのも、犬を飼われている愛犬家で、情熱を持って運営を引き継いでいただける方に譲りたかったからです。

今回譲渡することに決めた買い手様は、オンラインミーティングの際も飼っている犬の姿を画面越しに見せてくださるなど、愛犬家だということがすごく伝わりました。

ペット市場でビジネスをしたいという熱意も持っておられたので、この方なら新しく面白いことを仕掛けながら事業を育ててくれるのではと期待できて、譲渡を決めました。

- 譲渡希望金額を30万円にしたのはなぜですか。
自分が納得できる金額が30万円だったからです。売上が黒字の事業であればもっとアグレッシブに希望金額を設定していたでしょうが、私の事業は売上よりも広告費の方が膨れ上がっていた状態だったので、高い金額は設定できないと思いました。

事業にはもちろん30万円以上の金額を投資してきましたが、初期投資を回収したいという気持ちもなく、失敗も含めて勉強代になったと解釈しているので、 「この金額なら譲ってもいいと納得できる」という観点だけで金額を設定しました。

「30万円ならローリスクだし購入したい」と思ってくださる方も多いのではと予想はしていましたが、 想定以上の申し込みをしていただけて良かったです。

事業売却は2回目でしたが、前回も今回も譲渡価格の低い小規模の案件で、さらなる値引きなどの価格交渉を迫られることもなかったため、スムーズに進みました。

- 引き継ぎはどのような状況ですか。
FacebookページとGoogle Analyticsのアカウントも含めて引継ぎを完了し、1ヵ月ほどの伴走サポートも終わったため、これからは運営を完全にお任せしようと思っています。

オンラインストアの運営方法はすでにレクチャーさせていただいています。買い手の方はメールやインターネットは利用するものの、オンラインストアの運営経験や知見をお持ちではなかったので「Shopify」の操作方法をお伝えしました。

今後、買い手の方が新商品を開発するのか、もしくは別の商品と組み合わせてラインナップを拡大しながら物販を充実させていくのかなどの方向性まではわかりませんが、どのように事業を育てていくのかを見守っていきたいと思っています。

【“どんな人に事業を譲りたいのか”、理想の買い手像を明確に】

- 今後、島袋さんはオンラインストアの構築などITサポート事業に軸足を移していかれるようですが、物販事業を行う中でどのようにスキルを身に付けたのですか。
物販事業を始めるときはコーディングの知識がなかったため、 まず「ノーコードでできるオンラインビジネス」というキーワードで検索して、Shopifyに出会いました。

物販で売上を上げていくためには、 商品を用意するだけでなくオンラインストアのUIをどうするかといった施策を立てることも必要ですし、裏側のシステムについての知見もあるに越したことはないので、知りたいことを次々と勉強していくうちにのめり込んでいきました。

大学時代にがっつり勉強に取り組んだことがあって、その時に思い通りの成果を出せたことから、 「時間を費やせば、必ずその分野で結果が出る」という成功体験が身に付いているからこそ、何かしらを学ぶために時間を費やすことを苦に感じない性格なのです。

-最後に、初めて事業売却に挑戦される方に向けて、アドバイスをいただけますか。
事業を売却する理由と、どんな方に譲りたいのかという希望を明確に持って売却に臨むことをおすすめします。

私の場合は、情熱を持って事業を運営してくれる方に引き継ぎたいという軸が第一にあったため、そういった思いを記載し伝えることでニーズに合う方に応募いただけましたし、買い手の方を選ぶ際も迷うことがありませんでした。

また、買い手候補の方は、1年間の売上やリピート率、会員数やメールマガジンの登録者数、オンラインストアならコンバージョンレート(CVR)などの数字が気になると思うので、そうした数字をすぐに説明できる準備はしておいた方がいいと思います。

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■島袋さんが売却した事業はこちら

「オンライン販売を行うペット事業」

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