2021-05-18

出版事業を600万円で買収!人脈が豊富なベテランPRマンの狙いとは?

買い手(法人):匿名

<中小企業の事業拡大を目指したM&A・買収事例>

 

パブリックアフェアーズやPRコンサルティングの支援を行う企業の代表を務めているIさん。今回600万円で出版事業の買収に成功しました。なぜ出版事業を選んだのでしょうか?出版事業を購入するメリット、出版事業の活用の秘訣などを伺ってきました。

【PRにおいて「出版実績」は有利に働く】

- まずは、御社の事業について教えていただけますか?
中央省庁や地方自治体のパブリックアフェアーズを中心に支援しており、加えて大企業のPRコンサルティングなども手掛けています

人脈が豊富であること、またどのような伝え方をすれば一人よがりにならず多くの方に共感いただけるかを考えてコミュニケーション施策を提案できることが当社の強みです。

- どんな経緯でM&Aに興味を持ったのですか?
今回は出版事業を買いましたが、当初から出版業に業種を絞ってM&Aを検討していたわけではありません。1000万円以下で買えて、現事業にシナジーを生める案件を探していました。初めてのM&A挑戦でしたが、周りにM&A経験のある知人が多いため、特段ハードルが高いとは思っていませんでした。

「最近では、事業の売買が手軽にできるようになっている」と聞いて、検索して見つけたのがM&AのマッチングプラットフォームであるTRANBIです。UIもわかりやすく、案件ごとの売却希望金額などが一目で見やすかったため、継続して使うようになりました。

PRに活用できるのではないかと思い、最初はインフルエンサーマーケティングに強いメディアなども視野に入れて案件を探していました。

- さまざまな案件を見る中で、出版事業に関心をもったのはどうしてですか?
PRやブランディングに携わっていると、「出版」という選択肢は常にツールの一つとして挙がります。書籍などを「出版している」ことで著者への社会的な信頼が高まりますし、情報の引用元として活用しやすいからです。

もちろん、運営元がしっかりしているWebメディアに掲載された情報であれば、情報ソースとして認められます。ただ、やはりWebメディアと比べて書籍の情報ソースとしての信頼度は圧倒的で。事業戦略上、出版事業を手掛けることは有利に働くと思ったため交渉に入りました。

出版事業と聞くと、なんとなくハードルが高いと思われる方もいるかもしれません。しかし、私の場合は出版という選択肢はもともと身近にあるもので、かつ出版や書籍流通の立て付けにもある程度の理解があったため抵抗はありませんでした。



(※写真はイメージです)

【ブランディング目的で出版事業を手掛ける企業は意外と多い】

- 出版事業の売り手は徳島県の企業で譲渡金額は600万円でしたが、交渉はどのように進みましたか?
コロナ禍で直接訪ねてお会いすることができなかったため、交渉はオンラインで進めました。私は2番手の立場だったそうですが、1番手の方から「半額にしてほしい」とリクエストがあったそうです。そのリクエストには応えられないからと早期に交渉の機会が訪れました

600万円という希望譲渡金額に納得したため、経営状況の確認や売買の流れを決めることがメインで2回、計2時間のオンラインミーティングのみでスムーズに話がまとまりました。

画面越しにお話ししていても、売り手様は非常に人当たりの良い方で、安心して交渉を進めることができました。数千万円以上の大きなM&Aではなかったため、デューデリジェンスも行っていません。

- 売り手様から事業譲渡の背景は聞いていますか?
売り手の企業様は複数の事業を行われているのですが、出版事業のみに専念できる従業員の方がいらっしゃらず、最近は出版事業に注力できていなかったため、売却を決意されたそうです。

ただ、単なる人手不足だけが理由ではないようです。というのも、出版事業を通して代表の考えを発信する活動がひと通り完了し、出版業でやりたいことは十二分にやれたという事情もあったようだからです。

出版事業は、活用方法が大きく2パターンあります。1つは、著者に本の執筆を依頼して制作し、販売するパターン。もう1つは自己ブランディングや自社ブランディングのために出版を行うパターンです。今回の売り手様は後者を目的として出版事業を展開しておられたため、ひと段落したタイミングで売却を決意したのだと思います。

- 自己や自社のブランディングのために出版を行う話は聞いたことがありますが、そのために自社で出版事業を持つこともあるのですね。
はい。もちろん自費出版をすることも一つの手段ですが、自身の考え方や自社の理念を社会に発信したいという場合は、出版事業を作ったり買収したりして展開されている企業も結構あるんです。



(※写真はイメージです)

【決め手は、書店流通へのネットワークと積み重ねられた事業年数】

- 他の出版事業や出版社の売却案件と比べた、今回の案件の魅力はどんなところにありましたか?
大きかったのは、出版業界における問屋である「取次店」とのネットワーク、つまり書店に流通させるルートを持っていたことです。そのルートを引き継げることは大きな魅力でした。

次に経営していた年月を引き継げることです。本を出す方は皆、「できれば設立したばかりの新興出版社ではなく、歴史ある出版社から本を出したい」と思うもの。歴史があったり名が知られていたりする出版社の方が、信頼も集めやすいですよね。

出版事業は、仕組みを知って出版事業に従事した経験のあるスタッフを雇えば、自社での立ち上げも難しくはないと感じます。出版社設立にあたっての特殊な条件も無いため、誰でも設立が可能ですし、今回の買収金額である600万円以下で立ち上げることもできるかもしれません。

ただ、ISBNや書籍JANコードの取得もゼロから行うのは難しそうに感じますし、書店に流通させるための取次店とのネットワークづくりにおいては、信用度の調査や事業継続の可能性を確認されるような審査も発生するようで、新規参入には敷居が高いものです。

取次店とのネットワークがあったこと、新興出版社ではなく積み重ねられた事業年数があり、すでにブランドが確立されていることを踏まえると、M&Aがベストな選択肢だと思いました。



(※写真はイメージです)

【これまでの人脈を生かして、営業活動を行う】

- 今後はどのような体制で営業や書籍制作を進めていきますか?
私自身がジャーナリストや政治家のネットワークを持っているのですが、彼らの中には書籍を出版したいという方も多くて。そのため、営業に関しては私が彼らに企画を持っていき、出版を勧める形で行っていこうと思います。

編集者など書籍制作に携わるメンバーは外部へ業務委託を行いますが、すでに依頼できるメンバーも見つけています。制作した書籍は、デジタルコンテンツとしても配信する予定です。

他に、「本屋を持ちたい」というビジョンもあって。もちろん実店舗も持ちたいところですが、まずはWeb上に本を売るプラットフォームを作りたいと考えています。

- 最後に、これからM&Aを考えている方へ向けてメッセージをお願いします。
オンラインのマッチングプラットフォームを利用すれば、こんなに手軽でスピーディーにM&Aができるのかと驚きました。最近では、これまで仲介会社経由でM&Aを行っていた知人にもTRANBIを勧めていますよ。手軽にM&Aができる時代だからこそ、気張らずにチャレンジしてみるといいのではないでしょうか。


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  • 倉本祐美加
  • ライター紹介倉本祐美加

    関西学院大学卒業後、クラウド製品を扱うIT企業のインサイドセールス職を経て2016年にライターとして独立。企業取材を中心としたインタビュー原稿の制作に従事していますが、エンタメ・スポーツ・文化等幅広く好みます。