2022-01-25

成約金額は出来高報酬制!?市場に出回ることが少ない、貴重な法律事務所案件を引き継いだM&A

買い手(法人):法律事務所(匿名)

<中小企業の事業拡大を目指したM&A・買収事例>

 

TRANBIでも譲渡に出されることが少ない「法律事務所」事業。数少ない貴重な案件に買い手として立候補し、見事ご成約いただいたのは、同じく弁護士資格を持つS法律事務所(匿名)でした。

弁護士業界で事業拡大する際には、新たな弁護士を事務所で雇っていくのが一般的で、M&Aを活用する事例は少ないそうです。すでにご自身の事務所だけでも順調に経営を拡大されているなか、あえてM&Aで事業拡大を図ったのにはどのような狙いがあったのでしょうか?今回はS法律事務所で代表を務めるTさんにお話を伺ってきました。

【新たな顧客を開拓したい、運よく出会った法律事務所案件に即申し込み】

- T様のこれまでのご経歴を教えてください。
学生時代に法律を勉強し、卒業してから弁護士資格を取得しました。最初は別の法律事務所に勤務し、7年ほどたってから独立しました。全てを自分の裁量でやれるほうが、自分に合っていると思ったことがきっかけです。

クライアントは中小企業の方が多く、海外の渉外に関わる事象が主な自分の業務領域となります。東京で自分の事務所を持ってから4年がたちまして、今では6~7人のスタッフを雇えるようになりました。顧問先は30~40社ぐらい獲得できており、数だけで良し悪しが図れるものではないですが、ある程度はうまくいっていると感じています。

- 今回の「法律事務所」に興味を持たれたのはどういう点ですか?
新規顧客の開拓を加速していかなければならないと思っていまして、M&Aで買収をすることで売り手様の顧問先を獲得したいという狙いがありました。

ただ、どのM&Aプラットフォームを見ても法律事務所が売りに出されているなんて、ほとんどないですね。とても珍しい案件でしたが、たまたまTRANBIに訪れたときに偶然見つけることができました(笑)。

- それは本当に巡り合わせというか、幸運でしたね(笑)。案件を見つけた後、交渉はどのように進んでいったのでしょうか?
案件情報を見た限りは希望に沿っていたので、もっと細かく中身を知りたいと思って交渉メッセージを送り、やりとりを深めていきました。間に仲介の方が入っていましたので、トップ面談で初めて直接売り手の方とお話をしました。

同じ弁護士なので、お互い信頼できる部分が多かったので、面談ではほとんどが雑談でした(笑)。「どこの出身ですか?」「どんな事件を扱っているんですか?」といったことが主ですね。ただ、健康上の理由で早期に売却したいようでした。

他にも買い手として立候補している方がいたようですが、あまり気にすることはしませんでした。私としては法律事務所を買うという方自体も少ないだろうと見込みがありました。法律に詳しい、もしくは弁護士資格を持っているとなると、そうはタイミングよく出てこないだろうなと。



(※写真はイメージです)

【成約金額は初期支払い+出来高報酬】

- 最終的にはどうやって成約を決断したのですか?
面談をして少し考えてすぐ決断しました。期間としては交渉開始から約1か月間で基本合意までいたったのではないでしょうか。ただ買収金額については、少し条件をつけさせていただきました。

売り手様の最初の譲渡希望金額はご提出いただいた資料通りの売り上げが確保できるのであれば妥当かと思っておりましたが、蓋を開けてみるまではわからないというリスクを踏まえ、初期報酬をいくばくかお支払いし、その後出来高報酬という形で売り上げが上がるごとに譲渡金額を追加で比例させる方式をとることにしました。

買収後に当初の売上高まで達すれば、当初の譲渡希望金額になりますから、お互いにとっていいモデルかなと思いました。



(※写真はイメージです)

【大幅な売上増が可能に、ものにできるかは自分次第】

- 決断まで踏み切れた一番のポイントは何だったのでしょうか?
誰もが知っているような知名度の大きい会社が顧問先として入っていることが一番大きいですね。名のあるお客様との窓口ができれば、今後10年にわたって、大幅な売り上げが入ってくる可能性があります。ものにできるかは買い手の能力次第といえますね。

今回譲渡いただいた案件は6人ほどで運営されていましたが、普通に考えた場合、この規模でこれほどのビッグクライアントを獲得できるということはまずありえません。これは売り手の弁護士先生が長年にわたりかなりの仕事で信頼を培ってきた賜物なのかなと思います。

- ご自身の中で売り手様に選ばれた要因は何だったと思いますか?
なんでしょう、難しいですね(笑)。売り手様としては、現在の顧問先に迷惑がかかるため、譲渡後も法律事務所の名前をしばらく残したいと思っていたのですが、他の買い手の方は承諾されなかったようです。その条件で残ったのは私だけだったようです。



(※写真はイメージです)

【シナジーは考えず、事務所ごとに拡大を目指す】

- これからの運営はどのようにされる予定でしょうか?
売り手様含むご家族の方3名が抜けられるので、残った3名のスタッフを雇用する形となります。いったんは自分の持っている事務所、今回買収した事務所それぞれがこれまでどおり業務を回していき、別々で大きくなっていくことをイメージしています。私自身は買収先の実務には直接タッチせず、3名のスタッフにお任せし、売上を立ててもらう予定です。 ただ、売り手様が直接担当していた案件は重要な顧問先になるので、しばらくは売り手様にアドバイスをいただきながら私もともに事件を担当します。多少ジャンルが変わりますが、時間さえかければ問題なく引き継げるとおもいます。

- 今後もM&Aを継続していきますか?
今回の買収でビッグクライアントを含む新たな顧問先が10件加わりました。同時にスタッフ3名の雇用も増えたので、費用対効果で見たときによいと思えればどんどんM&Aを検討していく気持ちではいます。

***今回買収したTRANBI掲載案件はこちら****

「個人法律事務所・地方都市の法律事務所・勤務弁護士歓迎!営業36年、中央区の事務所」

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  • 倉本祐美加
  • ライター紹介倉本祐美加

    関西学院大学卒業後、クラウド製品を扱うIT企業のインサイドセールス職を経て2016年にライターとして独立。企業取材を中心としたインタビュー原稿の制作に従事していますが、エンタメ・スポーツ・文化等幅広く好みます。

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