レーマン方式とは?成功報酬の計算方法と最低手数料・基準額の違い、落とし穴まで解説
レーマン方式とは何か?M&A仲介会社の成功報酬の計算方法を、具体例を交えてわかりやすく解説。最低手数料(ミニマムフィー)や株価基準・EV基準など報酬基準額の違い、実質負担が増える落とし穴や注意点まで整理します。
- 01 レーマン方式とは(成功報酬の基本)
- 結論:報酬基準額に料率をかけて算出する(逓減制が基本)
- 「7億円×4%」ではない:段階計算が落とし穴になりやすい
- 計算例:成功報酬の目安を自分で出してみる
- まず確認したい3点:料率・最低手数料・報酬基準額
- 02 成功報酬は“何を報酬基準額にするか”で大きく変わる(最大の落とし穴)
- まず押さえる:報酬基準額=「料率をかける土台」
- 株価レーマン方式:もっともイメージしやすい基準
- 企業価値レーマン方式(EV基準):負債が大きいと差が出やすい
- オーナー受取額レーマン方式:役員借入金が絡むと要確認
- 移動総資産(移動資産)基準:広く拾う分、基準額が大きくなりやすい
- 比較のコツ:見積もりは「同じ土台」で並べる
- 不安に感じたら:その場で聞ける質問テンプレ
- 03 成功報酬だけでは決まらない。M&Aでかかる主な手数料と“実質負担”
- 着手金:成否にかかわらず発生する費用
- 中間金:基本合意時などに発生するケース
- リテーナーフィー:交渉期間が長いほど負担が増える
- 成功報酬:レーマン方式でも最低手数料に注意
- テイル条項:契約終了後も報酬が発生する可能性
- 利益相反の確認も重要な視点
- 総額で比較することが、もっとも現実的な判断基準
- 04 実務上の落とし穴チェックリスト(契約前に確認したいポイント)
- ① 最低手数料(ミニマムフィー)はいくらか
- ② 料金テーブル(逓減制)の“例外”はないか
- ③ テイル条項の期間と対象範囲
- ④ 利益相反の管理体制はどうなっているか
- ⑤ 小規模案件で“実質負担”が重くならないか
- ⑥ 契約書の「一文」を軽視しない
- 落とし穴は「確認すれば防げる」
- 05 仲介会社を選ぶポイントと、費用を抑えるもうひとつの選択肢
- ① 自社の規模と案件内容に合っているか
- ② 報酬とサポート内容のバランス
- ③ 複数社の見積もりを比較する
- ④ 小規模M&Aではスケールメリットが出にくいことも
- ⑤ 費用を抑えて進めるなら「プラットフォーム」という選択肢
- 国内最大級のM&Aマッチングプラットフォーム「TRANBI」
「レーマン方式とは何か?」「成功報酬はいくらかかるのか?」──M&A仲介会社への依頼を検討する際、多くの方が最初に気になるのが手数料の仕組みです。
レーマン方式は、報酬基準額に料率をかけて成功報酬を算出する代表的な計算方法ですが、株価基準か企業価値(EV)基準かといった報酬基準額の違いや、最低手数料(ミニマムフィー)の有無によって、実際の負担額は大きく変わることがあります。
同じ「レーマン方式」でも、仲介会社によって数百万円から数千万円の差が生じるケースも珍しくありません。
本記事では、レーマン方式の基本的な仕組みや成功報酬の計算方法を具体例とともに整理し、料金テーブルの見方、逓減制の考え方、見落としやすい落とし穴や注意点までわかりやすく解説します。
仲介会社に依頼する前に押さえておきたい実務ポイントを確認し、自社にとって納得できる選択ができるようにしていきましょう。
レーマン方式とは(成功報酬の基本)
レーマン方式とは、M&Aの成功報酬を算出する際に広く使われる計算方法です。基本は「報酬基準額 × 料率」で、取引金額が大きくなるほど料率が下がる逓減制(段階制)の料金テーブルが採用されることが多い点が特徴です。
ただし、同じ「レーマン方式」と説明されていても、報酬基準額の定義や最低手数料(ミニマムフィー)の有無などによって、最終的な実質負担が変わる場合があります。まずはレーマン方式の“型”を押さえたうえで、各社の条件を見比べることが大切です。
結論:報酬基準額に料率をかけて算出する(逓減制が基本)
レーマン方式は、報酬基準額に対して料率(パーセンテージ)をかけ、成功報酬を計算します。
料率は一定ではなく、金額帯ごとに段階的に設定されることが多くあります。
たとえば、以下のような料金テーブル(料率)が例として挙げられます。
- 5億円以下の部分:5%
- 5億円超10億円以下の部分:4%
- 10億円超50億円以下の部分:3%
- 50億円超100億円以下の部分:2%
- 100億円超の部分:1%
このような逓減制では、単純に「取引金額×一律◯%」で計算するわけではありません。金額帯ごとに“部分”を分けて計算する点が、よくある誤解ポイントです。
「7億円×4%」ではない:段階計算が落とし穴になりやすい
レーマン方式の注意点は、金額全体に同じ料率をかけないことです。たとえば報酬基準額が7億円の場合、5億円までは5%、残り2億円に4%が適用される形になります。
つまり、「7億円×4%」のように一発で計算すると、見積もりとズレる可能性があります。仲介会社の説明が短いと、この点が伝わりにくいことがあるため、料金テーブル(料率)と計算ロジックは必ず確認しましょう。
計算例:成功報酬の目安を自分で出してみる
ここでは、先ほどの料金テーブルを前提に、計算イメージを整理します。
実際の料率や条件は会社ごとに異なるため、あくまで「計算の型」をつかむための例です。
- 報酬基準額が7億円の例: (5億円×5%)+(2億円×4%)
- 報酬基準額が15億円の例: (5億円×5%)+(5億円×4%)+(5億円×3%)
成功報酬は高額になりやすいため、仲介会社の提示額が妥当かどうかを判断するには、まず自社側でも概算が出せる状態にしておくと安心です。
まず確認したい3点:料率・最低手数料・報酬基準額
レーマン方式で「想定より高い」と感じる原因は、計算式そのものではなく、前提条件にあることが少なくありません。
特に次の3点は、初期段階で確認しておくと比較がしやすくなります。
- 料金テーブル(料率):逓減制でも“段階”の切り方や数値が異なる場合があります。
- 最低手数料(ミニマムフィー):小規模案件ほど実質料率が上がりやすい要因になります。
- 報酬基準額の定義:株価基準なのか、企業価値(EV基準)なのかで金額が変わります。
次章では、最も差が出やすい「報酬基準額の違い(株価レーマン方式/企業価値レーマン方式など)」を整理します。
ここを押さえると、見積もりの比較が一気にラクになります。
成功報酬は“何を報酬基準額にするか”で大きく変わる(最大の落とし穴)
レーマン方式そのものは「報酬基準額 × 料率」というシンプルな計算です。ところが実務では、その“報酬基準額”に何を採用するかによって、成功報酬の金額が大きく変わる場合があります。
同じ「レーマン方式です」と説明されていても、仲介会社ごとに株価レーマン方式、企業価値レーマン方式(EV基準)、オーナー受取額レーマン方式、移動総資産(移動資産)基準など、基準の取り方が異なることがあります。
ここを見落とすと、見積もり比較が難しくなり、実質負担の差にもつながります。
まず押さえる:報酬基準額=「料率をかける土台」
報酬基準額とは、成功報酬の計算で料率をかける“土台”となる金額です。報酬基準額が大きくなるほど、料率が同じでも成功報酬は高くなります。
注意したいのは、報酬基準額が「譲渡対価(株価)」と一致するとは限らない点です。基準額の定義は、契約書や見積書の条件に明記されることが多いため、必ず確認しましょう。
株価レーマン方式:もっともイメージしやすい基準
株価レーマン方式は、株式譲渡であれば株式の譲渡対価(株価)を報酬基準額とする考え方です。譲渡金額がそのまま計算の土台になるため、買い手・売り手ともに理解しやすい方式といえます。
一方で、取引の実態として「株価に加えて役員借入金の返済がある」「負債引継ぎの影響が大きい」などの場合、別方式が採用されることもあります。株価基準かどうかは、早めに確認しておくと安心です。
企業価値レーマン方式(EV基準):負債が大きいと差が出やすい
企業価値レーマン方式(EV基準)は、報酬基準額を株価+有利子負債などで算定する考え方です。一般に、株式価値だけでなく、企業全体の価値(Enterprise Value)を基準にするイメージです。
EV基準は、ディールの構造や資金調達の状況を踏まえると合理的に見える場面もあります。ところが、有利子負債が大きい案件では、株価基準よりも報酬基準額が膨らみ、成功報酬が想定より高く感じられることがあります。
EV基準かどうかを見落とすと、「料率は同じなのに金額が合わない」という違和感が生まれやすいです。見積比較では、まず基準の違いを揃えることが重要です。
オーナー受取額レーマン方式:役員借入金が絡むと要確認
オーナー受取額レーマン方式は、報酬基準額を株価+役員借入金(返済額)などで捉える方式です。オーナーが取引によって受け取る経済的利益を基準にする、という考え方です。
中小企業のM&Aでは、役員借入金が残っているケースも珍しくありません。オーナー受取額基準が採用されると、株価だけを想定していた場合よりも基準額が上がることがあります。
役員借入金の扱いは、譲渡スキームや返済条件によっても変わります。見積書で「報酬基準額に何が含まれるか」を明確にしておくと、後のトラブルを避けやすくなります。
移動総資産(移動資産)基準:広く拾う分、基準額が大きくなりやすい
移動総資産(移動資産)基準は、報酬基準額を株価+負債総額など、より広い範囲の“移動する資産・負債”で捉える考え方です。採用される条件や定義は会社によって異なるため、表現だけで判断しないことが大切です。
移動総資産基準は、基準額が大きくなりやすい傾向があります。結果として、成功報酬が高額になったり、実質料率が想定より高く見えたりすることがあります。
とくに小規模案件では、最低手数料(ミニマムフィー)と組み合わさることで、体感コストが跳ねやすいです。基準額の定義と最低手数料はセットで確認しましょう。
比較のコツ:見積もりは「同じ土台」で並べる
仲介会社の見積もりを比較する際は、料率や料金テーブルだけでなく、報酬基準額の定義を揃えることが重要です。同じ取引でも、基準が違えば当然、成功報酬も変わります。
- 報酬基準額は何か:株価/EV基準/オーナー受取額/移動総資産などのどれに該当するかを確認します。
- 何が含まれるか:有利子負債、役員借入金、負債総額などが含まれるかを確認します。
- 最低手数料(ミニマムフィー)の有無:小規模案件ほど影響が大きい条件です。
この3点が整理できると、「高い・安い」の理由が説明できるようになります。比較がしやすくなるだけでなく、仲介会社への質問も具体的になります。
不安に感じたら:その場で聞ける質問テンプレ
報酬基準額は専門用語が多く、説明が短いと理解しづらいことがあります。不安な場合は、次のように“確認観点”として聞くとスムーズです。
- 「今回の成功報酬の報酬基準額は、株価基準ですか。それとも企業価値(EV)やオーナー受取額など別基準ですか。」
- 「報酬基準額に、有利子負債や役員借入金は含まれますか。含まれる場合は、どの範囲ですか。」
- 「最低手数料(ミニマムフィー)はありますか。ある場合、いくらですか。」
次章では、成功報酬以外にも発生しやすい着手金・中間金・リテーナーフィーといった手数料を整理します。M&A費用は“成功報酬だけ”で決まらないため、総額の見え方をここで押さえておくと安心です。
成功報酬だけでは決まらない。M&Aでかかる主な手数料と“実質負担”
レーマン方式の成功報酬はM&A費用の中心ですが、実際のコストは成功報酬だけで決まるわけではありません。仲介会社によっては、着手金・中間金・リテーナーフィーなどが設定されている場合があります。
そのため、提示された成功報酬率だけを見て「高い・安い」を判断するのは早計です。総額でいくらかかるのかという視点で整理することが、実質負担を把握する第一歩になります。
着手金:成否にかかわらず発生する費用
着手金は、仲介会社とのアドバイザリー契約締結時に支払う費用です。M&Aが成立しなかった場合でも返金されないケースが一般的です。
着手金を設定する理由としては、案件分析や企業価値算定、資料作成などの初期作業に一定のコストがかかるためと説明されることが多いです。
一方で、着手金を無料にしている仲介会社もあります。着手金があるかどうかは、初期コストの負担に直結するため、資金計画に影響します。
- 着手金の有無
- 金額はいくらか
- 返金条件はあるか
この3点は契約前に確認しておきたいポイントです。
中間金:基本合意時などに発生するケース
中間金は、基本合意締結時など、一定の進捗段階で発生する費用です。成功報酬の一部を前倒しで支払う設計になっていることもあります。
案件が進んだ段階で一定の報酬が発生することで、仲介会社側のリスクを軽減する意味合いがあります。ただし、最終的に破談となった場合でも中間金は返金されないことが一般的です。
成功報酬が低く見えても、中間金を含めると実質的な料率が上がるケースもあります。成功報酬との関係性をセットで確認しましょう。
リテーナーフィー:交渉期間が長いほど負担が増える
リテーナーフィーは、契約期間中に毎月支払う顧問料のような費用です。案件が長期化すると、その分コストも積み上がります。
特に交渉が難航しやすい案件や、デューデリジェンスに時間がかかる案件では、想定よりも負担が増える可能性があります。
リテーナーフィーが設定されている場合は、契約期間や更新条件も確認すると安心です。
成功報酬:レーマン方式でも最低手数料に注意
成功報酬は、最終契約締結・クロージング後に支払う費用です。多くの仲介会社でレーマン方式(逓減制)が採用されています。
ただし、最低手数料(ミニマムフィー)が設定されている場合、小規模案件では実質料率が高くなることがあります。
- 成功報酬率は何%か
- 最低手数料はいくらか
- 最低手数料とレーマン計算のどちらが優先されるか
これらを把握しておくと、想定外のコスト増を防ぎやすくなります。
テイル条項:契約終了後も報酬が発生する可能性
テイル条項とは、アドバイザリー契約終了後、一定期間内に紹介先と成約した場合に成功報酬が発生するという条項です。
例えば「契約終了後6カ月以内」などと定められることがあります。知らずに他経由で成約した場合でも、報酬請求の対象となる可能性があります。
テイル条項の対象範囲や期間は、契約前に確認しておくと安心です。
利益相反の確認も重要な視点
M&A仲介では、売り手・買い手の双方から報酬を受け取る両手取引が行われることもあります。
両手取引自体が直ちに問題となるわけではありませんが、条件交渉や情報開示のバランスに影響を与える可能性があるため、利益相反の管理体制を確認する視点も重要です。
報酬体系とあわせて、どのような立場でサポートを行うのかを理解しておくことで、納得感のある依頼がしやすくなります。
総額で比較することが、もっとも現実的な判断基準
M&A費用は、成功報酬だけではなく、着手金・中間金・リテーナーフィー・最低手数料などの組み合わせで決まります。
提示された数字が妥当かどうか判断するには、「総額でいくらになるのか」を整理することが重要です。
- 成功報酬の計算方法
- 最低手数料の有無
- 着手金・中間金・リテーナーの有無
- テイル条項の期間
これらを一度棚卸しすると、費用構造が見えるようになります。
次章では、実務上見落とされやすい“落とし穴”をチェックリスト形式で整理します。契約前に確認しておきたいポイントを具体的に見ていきましょう。
実務上の落とし穴チェックリスト(契約前に確認したいポイント)
レーマン方式や手数料体系を理解していても、実務では見落としやすいポイントがあります。トラブルの多くは「知らなかった」ではなく「確認していなかった」ことから生じます。
ここでは、契約前に確認しておきたい代表的な論点を整理します。いずれも、事前に質問すれば解消できる内容です。
① 最低手数料(ミニマムフィー)はいくらか
小規模なM&Aでは、レーマン計算よりも最低手数料(ミニマムフィー)が適用されるケースがあります。
たとえば、計算上の成功報酬が800万円でも、最低手数料が1,500万円に設定されていれば、支払額は1,500万円になります。結果として実質料率が大きく上がる可能性があります。
特に譲渡価格が数千万円〜数億円規模の場合は、最低手数料の影響が大きくなりやすいため注意が必要です。
- 最低手数料はいくらか
- どのタイミングで確定するのか
- 成功報酬とどちらが優先されるのか
この3点は、必ず確認しておきたい項目です。
② 料金テーブル(逓減制)の“例外”はないか
料金テーブル(料率)は公開されていても、例外的な加算や調整があるケースもあります。
たとえば、特定の業種や難易度が高い案件で料率が調整される場合や、追加業務が発生した際に別途費用が請求されるケースです。
契約書や見積書に「別途協議」「追加費用」などの文言がある場合は、具体的な条件を確認しておくと安心です。
③ テイル条項の期間と対象範囲
テイル条項は、契約終了後も一定期間、紹介先との成約に対して成功報酬が発生する条項です。
期間は6カ月〜1年程度に設定されることがありますが、対象範囲が広い場合、想定外の請求につながる可能性もあります。
- テイルの期間は何カ月か
- 対象となる相手先はどこまで含まれるか
- 他経由で成約した場合の扱い
このあたりを明確にしておくと、後の誤解を防ぎやすくなります。
④ 利益相反の管理体制はどうなっているか
M&A仲介では、売り手・買い手双方から報酬を受け取る両手取引が行われることがあります。
両手取引自体が直ちに問題になるわけではありません。ただし、価格交渉や条件調整の場面でどのように利益相反を管理しているのかを理解しておくことは重要です。
説明の透明性や情報開示の姿勢を確認することで、納得感のある取引につながります。
⑤ 小規模案件で“実質負担”が重くならないか
レーマン方式は、金額が大きくなるほど料率が下がるスケールメリットのある設計です。
しかし、取引規模が小さい場合はその恩恵を受けにくく、最低手数料や固定費の影響で実質負担が重く感じられることがあります。
自社の案件規模に対して、報酬体系が適しているかどうかを冷静に見極めることが大切です。
⑥ 契約書の「一文」を軽視しない
成功報酬率や最低手数料ばかりに目が向きがちですが、実務では契約書の細かな文言が影響することもあります。
たとえば、報酬基準額の定義、追加費用の発生条件、契約期間、自動更新の有無などです。
不明点があれば、遠慮なく質問する姿勢が、結果的に安心につながります。
落とし穴は「確認すれば防げる」
ここまで見てきたポイントは、特別な専門知識がなくても確認できる内容です。
見積書と契約書を読み合わせ、疑問点を整理し、比較検討する。それだけでも、多くのリスクは回避しやすくなります。
とはいえ、仲介会社を利用する場合、一定のコストが発生するのは事実です。小規模なM&Aや、まずは自分で進めたい場合には、別の選択肢を検討する余地もあります。
次章では、仲介会社に依頼する場合の選び方を整理したうえで、費用を抑えて進める方法についても紹介します。
仲介会社を選ぶポイントと、費用を抑えるもうひとつの選択肢
ここまで見てきたように、M&A仲介会社の報酬体系は会社ごとに異なります。成功報酬率だけでなく、最低手数料(ミニマムフィー)、報酬基準額の定義、着手金やリテーナーフィーの有無など、総合的に判断することが重要です。
ただし、「高い=悪い」という単純な話ではありません。
取引規模や目的によっては、専門家のサポートが合理的な選択となるケースもあります。
① 自社の規模と案件内容に合っているか
M&A仲介会社には、それぞれ得意とする規模や業界があります。大規模案件を中心に扱う会社と、中小企業の事業承継を得意とする会社では、体制やコスト構造が異なります。
自社の取引規模に対して報酬体系が適しているかどうかを確認することが大切です。小規模案件では最低手数料の影響が大きくなる場合があるため、特に注意が必要です。
② 報酬とサポート内容のバランス
成功報酬や各種手数料が高額であっても、それに見合うサポートが提供されるのであれば合理的といえる場合があります。
企業価値算定、候補先探索、交渉支援、契約書調整、デューデリジェンス対応など、どこまで支援してもらえるのかを具体的に確認しましょう。
費用だけでなく、何に対して支払うのかを明確にすることが重要です。
③ 複数社の見積もりを比較する
報酬の妥当性を判断するには、複数社から見積もりを取得する方法が有効です。同じ案件でも、報酬基準額の定義や最低手数料、料金テーブルの設計によって金額は変わります。
見積もりを比較する際は、成功報酬率だけでなく、次の点も並べて確認します。
- 報酬基準額の定義(株価/EV基準など)
- 最低手数料(ミニマムフィー)の有無
- 着手金・中間金・リテーナーフィーの有無
- テイル条項の期間
「総額でいくらになるのか」を把握できると、判断材料が揃います。
④ 小規模M&Aではスケールメリットが出にくいことも
レーマン方式は逓減制のため、取引金額が大きいほど料率が下がる設計です。
つまり、大型案件ほどスケールメリットが働きやすい仕組みといえます。
一方で、数千万円〜数億円規模のM&Aでは、その恩恵を受けにくく、最低手数料の影響で実質料率が高くなるケースがあります。
小規模案件では、仲介会社を利用する以外の方法も検討する余地があります。
⑤ 費用を抑えて進めるなら「プラットフォーム」という選択肢
仲介会社にフルサポートを依頼するのではなく、自分で相手先を探し、交渉を進めるという方法もあります。
その際に活用できるのが、M&Aマッチングプラットフォームです。
プラットフォーム型サービスでは、着手金や成功報酬が不要、もしくは大幅に抑えられる設計が多く、コストをコントロールしやすい特徴があります。
特に小規模な事業承継やスモールM&Aでは、仲介手数料の負担がネックになるケースもあるため、費用構造を比較して検討すると合理的です。
国内最大級のM&Aマッチングプラットフォーム「TRANBI」
国内最大級のM&AマッチングプラットフォームであるTRANBI(トランビ)では、売り手は月額費用・成約報酬ともに無料で利用できます。買い手も月額料金のみで案件探索が可能です。
自分で候補先を探し、必要に応じて専門家に個別相談する形で進めることで、仲介手数料の実質負担を抑えながらM&Aに挑戦するという選択肢もあります。
もちろん、複雑な案件や大型案件では専門家の関与が不可欠な場面もあります。重要なのは、自社の規模や目的に合った進め方を選ぶことです。
M&Aは特別な企業だけの選択肢ではありません。まずは情報収集から始め、自社にとって無理のない方法を検討してみてはいかがでしょうか。
FAQ:レーマン方式とM&A手数料のよくある質問
レーマン方式や成功報酬、最低手数料などについて、よくある疑問をQ&A形式で整理します。
Q1.レーマン方式とは何ですか?
レーマン方式とは、M&Aの成功報酬を「報酬基準額 × 料率」で計算する方法です。
取引金額が大きくなるほど料率が下がる逓減制(段階制)が採用されることが多いのが特徴です。
ただし、報酬基準額の定義や最低手数料の有無は会社ごとに異なるため、条件の確認が重要です。
Q2.逓減制とはどういう意味ですか?
逓減制とは、金額が大きくなるほど料率が下がる仕組みです。
ただし、全体に一律の料率をかけるのではなく、金額帯ごとに段階計算するのが一般的です。
例えば「7億円×4%」のように単純計算するのではなく、5億円部分と2億円部分を分けて計算するケースが多く見られます。
Q3.株価レーマン方式と企業価値レーマン方式(EV基準)の違いは?
株価レーマン方式は株式譲渡対価のみを報酬基準額とします。
一方、企業価値レーマン方式(EV基準)は株価に加えて有利子負債などを含めて基準額を算定する考え方です。
負債が大きい会社ではEV基準のほうが報酬基準額が大きくなりやすく、成功報酬に差が出る場合があります。
Q4.オーナー受取額レーマン方式とは何ですか?
オーナー受取額レーマン方式は、株価に加えて役員借入金の返済額などを含めたオーナーの実質受取額を基準とする方式です。
中小企業のM&Aでは役員借入金が絡むケースもあるため、報酬基準額に何が含まれるのかを確認することが重要です。
Q5.最低手数料(ミニマムフィー)とは何ですか?
最低手数料とは、レーマン計算で算出した金額が一定額を下回った場合でも、あらかじめ定められた最低金額を支払う仕組みです。
小規模案件では最低手数料が適用されることで、実質料率が高くなる場合があります。
Q6.成功報酬以外にかかる費用はありますか?
仲介会社によっては、着手金・中間金・リテーナーフィーなどが設定されている場合があります。
成功報酬率だけでなく、総額でいくらかかるのかを確認することが大切です。
Q7.テイル条項とは何ですか?
テイル条項とは、アドバイザリー契約終了後、一定期間内に紹介先と成約した場合に成功報酬が発生する条項です。
契約終了後も一定期間は報酬請求の対象となる可能性があるため、期間と対象範囲を確認しておきましょう。
Q8.両手取引は問題がありますか?
両手取引とは、仲介会社が売り手・買い手双方から報酬を受け取る形態です。直ちに違法となるわけではありませんが、利益相反の管理体制を確認することが重要です。
説明の透明性や情報開示の姿勢を見極めることで、安心して依頼しやすくなります。
Q9.仲介会社を使わずにM&Aを進める方法はありますか?
近年では、M&Aマッチングプラットフォームを活用し、自分で候補先を探して交渉を進める方法も選択肢の一つです。
案件規模や目的によっては、仲介手数料を抑えながら進める方法が適している場合もあります。
まとめ
レーマン方式は「報酬基準額 × 料率」で成功報酬を算出する方法ですが、株価基準か企業価値(EV基準)かといった報酬基準額の違いや、最低手数料(ミニマムフィー)、着手金・中間金などの有無によって、実際の負担額は大きく変わります。
料率だけを見るのではなく、総額でいくらになるのかを整理し、契約条件を確認することが重要です。
仲介会社に依頼する方法もあれば、プラットフォームを活用して自分で進める選択肢もあります。自社の規模や目的に合った進め方を選びましょう。
国内最大級のM&AマッチングプラットフォームTRANBIでは、案件情報を閲覧しながら、自分のペースでM&Aを検討できます。まずは情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。