2023-07-25

若手個人起業家がTikTokビジネスを売却!未経験から2か月で70万円の利益を叩き出したノウハウとは?

売り手(個人):森川 稜さん(20代)

<個人の選択と集中を目的としたM&A・事業売却事例>

 

大学院卒業後、独立してECコンサルティング業務を手掛けていた森川さん。ドロップシッピングというビジネスモデルに魅力を感じて、 「商品を買いたくなるような“バズる”動画を作る」という、TikToKと組み合わせたビジネスに取り組みます。

徹底的にリサーチを行い、成功する要素を詰め込んだ動画を制作した結果、ローンチからわずか2か月間で売上180万円を達成。手応えを感じたものの、別の新規事業に注力するため事業売却を行いました。

今回は森川さんに、ビジネスの成功要因や交渉において大切にしたこと、今後の展望について伺いました。

【リサーチを行い、ドロップシッピングビジネス×TikTokに注目】

- 森川さんは現在27歳とのことですが、はじめに森川さんの学生時代やこれまでのキャリアについて教えてください。
幼少期はアメリカで9年ほど住んでいました。日本に戻ってきた後、ドイツの大学院に進学してスポーツ科学を学び、スポーツ商品の開発に興味があったのでドイツのアディダスでインターンを経験しました。

大学院卒業後に独立をしたのは、ドイツのアディダスの商品開発のトップの方にキャリアの相談をしたときに、 「君は、独立して数年間、自分のチームを持つ経験をした方がいい」とアドバイスをいただいたからです。 そのため、修行のような気持ちで事業を開始しました。

独立後は、Amazonで物販事業をしている方向けのコンサルティング事業を行いました。広告の運用や、ページ作りの改善をアドバイスするものです。

アディダス以外にも、大学院時代にベンチャー2社でインターンをしていたので、そのときに得た知識を元にコンサルティングを行いました。

コンサルティング事業が軌道に乗る中で、「プロダクトを扱うビジネスがしたい」という思いが高まって、商材を探す中で見つけたのが今回売却した事業でした。

- どのように商材を見つけたのですか。
きっかけは、YouTubeで「ドロップシッピング」というビジネスモデルを知ったことです。

ドロップシッピングは、在庫を持たずに商品をオンラインで販売するもので、お客様から注文を受けたら、メーカーに依頼を行い、商品を直接発送してもらう仕組みです。利益がしっかり出そうなビジネスモデルだと思い、魅力を感じました。

今回はTikTokで集客を行い、商品を販売する手法を採ろうと思ったので、 まずは中国の巨大Eコマースである「Alibaba.com」の中からTikTokウケしそうな商品を30個ほどリストアップして。

その中で一番利益率が良く、動画映えしそうな商材が「インスタスピーカー」でした。

- インスタスピーカーとは、どのような商品ですか。
物に貼り付けることができる丸くて小さなスピーカーで、貼り付けるとその物が震えて音が出る仕組みになっていることが特徴です。

通常のスピーカーは、振動する部分と音を増幅させる箱の部分が一体化して構成されていますが、インスタスピーカーは振動部分のみで、くっつけたものが箱側の役割を果たす機能になっています。

たとえばティッシュ箱にくっつけると、ティッシュ箱の中の空気が震えて音が増幅する仕組みになっています。

どんな物にくっつけても音が出るのが面白いところです。机の表面に貼り付けると、下の空気が震えて机そのものがスピーカーになったように感じられます。ドアやPCにも付けられます。ガラスに付けたらキンキンした音が鳴ったり、柔らかい箱に付けたらボアボアした音が鳴ったりと、くっつける物の特徴によって音質が変わる点も魅力です。



(※写真はイメージです)

【“バズった”共通項を洗い出して動画を制作。2ヶ月で180万の売上を達成】

- この商品をTikTokで集客して販売するとのことですが、もともと森川さんはTikTokで多くのフォロワーを抱えていたのですか。
いえ、まったくです。今回のビジネスのために取り組みました。ただリサーチをする中で、 TikTokでインスタスピーカーを紹介する動画が一度バズれば売れるだろうということはわかっていました。

バズる動画を作るために、TikTokで同じように ドロップシッピングのビジネスを展開しているアカウントをまず100アカウントほどリストアップし、バズっている動画を1個1個見ていって。その中からバズった要因を抽象化して、自分の動画に生かせるノウハウを抽出しました。

- どんなノウハウが抽出されましたか。
TikTokでは当たり前のことかもしれませんが、最初の2秒で掴むこととカット分けを細かくすることです。

流れとしては、動画を最後までちゃんと見てもらって、興味を持った人が私のプロフィール欄にあるECサイトのリンクから商品を購入してもらうものになります。

30%ほどの人に最後まで見てもらうため、秒数ごとの視聴維持率の目標を定めて、2秒ごとにカットを切り替えることで飽きさせない構成にしました。

結果的に、最初の5本くらいでバズることができました。ただ、バズった商品100個のリサーチに1ヵ月ほどを要したので、費やした時間は多かったですが。特にバズったのは、インスタスピーカーをトイレに貼ることで、トイレが爆音で歌っているような状態が創り出せるという面白い動画でした。

- 商品はどのような売れ方をしたのですか。
売上の9割は、動画がバズった日から1週間の間に売れたものでした。ただ、動画が5本ほど溜まったタイミングで、Instagramのリール上でも動画がバズり出して。リールは、興味関心の近い方のおすすめ欄やタイムライン上で1ヵ月ほど再生されるため、リールからは継続的に購入されました。

結果的に、2023年2月にローンチして2ヶ月間で180万円を売り上げ、80万円の利益を出すことができたのです。



(※写真はイメージです)

【成功体験を得たことと新規事業の資金が必要なことから、早期の事業売却へ】

- わずか2か月間で、かつ成功したのに事業を売却すると決めたのはどうしてですか。
新規事業を立ち上げる資金を確保するためです。

その新規事業は、 海外のメーカーと独占契約を結んで商品を日本で販売する権利を得た上で、その商品をクラウドファンディングで販売するというビジネスです。

今もっとも興味があるのは、日本の文化商材を海外で販売すること。そのゴールに向けて、海外の商品を日本に引っ張ってきて売ったり、海外のビジネスモデルを学んだりしているので、こうした事業に興味を持ったのです。

そしてクラウドファンディング事業を実施したところ、ありがたいことにかなり商品が売れました。そのため仕入れ金額が膨大になり、キャッシュが必要になってしまったのです。というのも、クラウドファンディングは「サポーター」という買ってくれる方を集めてから海外メーカーに発注する仕組みですが、発注のタイミングで300万円が必要になったからです。

「クラウドファンディングで集めたお金を使えばいいのでは」と思われるかもしれませんが、集めたお金はキャンペーン終了から1ヵ月後に着金というルールなので、それでは間に合いませんでした。

独立2年目で300万円も貯金がなく、どうしてもキャッシュが必要だったため、M&Aという選択肢が浮かんだのです。

- 急ぎでそれだけのキャッシュが必要にならなければ、事業は売却しませんでしたか。
いえ。選択と集中が大切だと思うので、クラウドファンディング事業の方に注力するために売却をしていたとは思います。

挑戦してみたかったことはすべてやり切れましたし、手応えも得られたので。それに、ドロップシッピングのビジネスは友人と一緒に立ち上げたのですが「一緒に何かビジネスをやりたいね」と話していて取り組んだことだったので。

その約束も果たせて、満足しました。

- 事業を売るという選択肢に抵抗はありませんでしたか。
なかったです。将来的には、新規事業を次々と立ち上げて、軌道に乗せてから事業を売却していくことができたらいいなと思ってもいるので。

それに、以前Amazonの販売コンサルティングをしていた時期に、コンサルティング先の事業をTRANBIで売却したことがあったので、馴染みもありました。

- 12件ほどの申し込みがあったようですが、買い手様の選定にあたって大変だったことはありますか。
TikTokというトレンディなビジネスだったこともあってか、 購入する気がないのに「事業アイデアだけ聞きたい」というマインドで申し込みをしてくる人がいて。ただノウハウを盗まれて終わってしまう可能性があるので、慎重に対応しました。

そのような方は、メッセージでの挨拶が適当だったり、「興味があるので、お話させていただけませんか」という文言しか記載していなかったりといった特徴がありました。

本気で購入を検討している方は「購入を希望します」と書かれていたので、判断はしやすかったです。

また、今回は譲渡希望価格を150万円にしていたのですが、「2か月で80万円の利益を得た事業を150万円で買える」というのはかなりお得な話だと思うので、それに惹かれて申し込みをされた方も多かったのだと思います。

- その中で、どんな買い手様を選定して事業を売却されましたか。
買い手の方は、在庫買取事業などを展開されている法人様です。

実際にZoomでお話させていただいた5人ほどの中で、一番対応が丁寧かつレスポンスが速かったので、選定させていただきました。

売却後にトラブルが起こることは避けたいからこそ、しっかりとコミュニケーションを取れることが前提条件だったからです。

また、着金が早いことも魅力的でした。結果的に、掲載から2週間ほどで買い取っていただけたので、すぐにでもキャッシュが必要な私にとって好都合でした。



(※写真はイメージです)

【再現性のあるビジネスモデルなら、事業売却は成立しやすい】

- お渡しした事業がビジネスモデルとして再現性があることも重要だと思いますが、そのあたりはいかがですか。
再現性はあると思います。

バズっている100商品の動画をリストアップしたリサーチ資料もまるごとお渡ししたので、参考にしていただけるでしょうし、リサーチで得た抽象的な事象とオリジナリティを組み合わせることができれば、誰もがバズる動画を作ることができると思います。私は、顔出しも声の出演も一切していないので、個人のキャラクターや人気にも紐づきません。

ただ、買い手様は事業買取・販売事業も行われている企業様で、今回私がお渡しした事業もすぐにお客様に売却したようです。再現性があることを価値とみなして、購入していただけたのだと思います。

- 交渉を振り返って、困ったことはありましたか。
事業譲渡の契約書に目を通すことが初めてだったのですが、知識がないため、買い手様が一方的に有利な条項や、トラブルがあったときに私に全責任が押し付けられるような条項が盛り込まれていないだろうか、といった不安はありました。

気になるところは質問をした上で、自分で目を通してサインをしました。ただ、1対1だとうまくかわされてしまうこともあると思うので、専門家に確認してもらうのが確実だと思います。

- 森川さんの今後の展望を教えてください。
直近で一番やりたいことは、日本の文化商材を海外に届けることです。

たとえば、その一つが甘酒です。日本全国に提携蔵を持っている、甘酒を販売しているクライアントさんと一緒にビジネスを進めようとしています。甘酒のように、海外でまだあまり認知されていない日本の商材を、海外にPRしていくお手伝いができたらと思っています。

40代や50代になるかもしれませんが、いずれドイツのアディダスで裁量権のある役職に就いて、スポーツ商品の開発に携わりたい思いはあります。ただ、いざ独立してみると、やりたいことがたくさん浮かんできて楽しいので、どんなキャリアを歩んでいくのかはまだ決めていません。

- 今後、事業譲渡を検討されている方にアドバイスをいただけますか。
事業譲渡を行う上では、やはり再現性が大事になると思っていて。買い手様に「このビジネスなら自分たちにもできるし、成果があげられる」と思ってもらうことが重要ではないでしょうか。

そのために私は、「このような方法でリサーチをして、こうした要素を抽出して、そのエッセンスに独自性を加えたこうした動画を作りました」といった説明を行い、リサーチの過程をまとめた資料を共有しました。

ビジネスモデルによりけりだと思いますが、「再現性があるビジネスだ」ということが買い手様に伝わることを意識されると、譲渡が成立しやすいように思います。

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■今回森川さんが譲渡した案件はこちら

「TikTok6M再生、ローンチ2ヶ月で80万利益、EC事業」

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