2022-12-27

障がい者の働く場をつくりたい!せどり事業を買収し、ソーシャルビジネスを拡大へ

買い手(法人):合同会社4colors

<中小企業の事業拡大を目指したM&A・買収事例>

 

宮城県仙台市で障がい者の福祉サービスを手掛ける合同会社4colors。 市内に複数のグループホームを運営し、ご利用者様に安心・安全な日常の場を提供しています。

同社は今回、TRANBIを通じてAmazonの物販アカウントを買収しました。その目的は、 障がいによる「働きづらさ」を抱えた方々に、就労支援として物販の仕事に携わっていただくためです。

障がい者の支援を通じて、地元の中小企業の人材不足を解消したい――と語る代表の齋藤聡さん。このビジネスにかける思いや、物販の魅力・難しさなどを詳しく伺いました。


(従業員の方が働く様子①)

【「埋もれた人材」の働く環境を作り、人手不足の解消へ】

- まずは、齋藤さんが起業されたきっかけを教えてください。
私が障がい福祉事業を立ち上げたのは、今、地方に行くほど人手不足が課題になっているからです。

外国人労働者を呼ぶ動きもありますが、その前に国内で働きづらさを感じている方々、休職中の方々はたくさんいますよね。 そうした方々の働く環境を作ることが、人手不足の解消に役立つのではと考えました。

そして、働きづらさを感じている代表例の一つが障がい者です。

うつ病や引きこもり、障がいを持っていると言えるかわからないグレーの方々を含めて、 困難を抱えている「埋もれた人材」が働きやすい世の中を作りたいと思い、福祉ビジネスを始めました。

具体的には、障がい者のグループホームを運営しています。障がい者が働くには、まず心理的な安全・安心を担保しなければいけません。つまり、 食べて寝るための基本環境を整えることが必要です。

というのも、親御さんが高齢化して一人暮らしを余儀なくされたり、親子関係がうまくいかず精神的な病を患ったりするケースは非常に多いんですね。そういう方々の生活基盤を確保するために、グループホーム事業を展開しています。

- 「人手不足」に課題を感じるようになったきっかけは何でしょう?
私自身は本業として保険営業をしています。保険は簡単に売れる商品ではないので、お客様である地元の中小企業の方々と信頼関係を結ぶことが大切です。

そこでお困りごとを聞いているうちに、 中小企業の一番の悩みは人材不足だということがわかりました。

障がい福祉事業を行うために合同会社4colorsを含む会社を二つ経営していますが、 どちらからも全く報酬をもらっていません。ライフワークといったところでしょうか。もちろんいずれは収益化できればいいなと思っています。

- どちらの会社も、今のところ事業は順調でしょうか?
グループホームだけでなく福祉ビジネス全般に言えることですが、国の制度でお金をもらって運営していることもあり、利益率はそう高くありません。

固定費がそれなりにかかるため、ある程度規模を拡大しなければ利益体質にならない実態があります。定員が一桁というスケール感ではなかなか厳しいと言えます。

また、規模拡大と同時に事業の多角化も必要です。退去する可能性もあるので、1つの事業だけではなく、 複数の柱を持つことで初めて安定的な収入が得られます

そこで、多角化の一つとして就労継続支援事業を始めました。こちらはまさに働く場の提供です。 そこで働く習慣やスキル、社会性・協調性が身についた方を、人手不足の地元企業にマッチングさせていきたいと考えています。

- 齋藤さんご自身は、もともと障がい者とのつながりがあったのでしょうか?
いえ、ありません。あくまで障がい者の経済的な自立と、地域企業の人手不足解消に貢献したいといった気持ちでビジネスを始めました。

私ももう62歳。先ほどライフワークといいましたが、 年齢的に「もう好きなことをやってもいいのかな」というところからの挑戦ですね。



(従業員の方が働く様子②)

【せどりで重要な「目利き」も学べることが決め手に】

- M&Aという手段は以前から知っていましたか?
保険営業をする中で、人手不足とともに事業承継が課題になっていると感じていたので、その手助けができないかと思い、5年ほど前からTRANBIを見ていました。

地元の中小企業は「どうやって売るのかわからない」「金額の相場もわからない」「市場の動きもわからない」というのが実態です。

それぐらいはアドバイスできるよう、市場調査目的で日々チェックしていました。もしTRANBIでいい案件を見つけたら、 場合によっては逆に地元の中小企業で買収意欲の旺盛な方に推薦することもできるかなとも思っていました。

実際、4年ほど前に「一緒に事業をするパートナーを探してほしい」と話をいただいたこともありました。ですから、M&Aを一つの選択肢として考えていたところはありますね。

M&Aに挑戦する登録者数11万人以上、常時M&A案件数は2,700件以上を掲載中
「事業承継・M&Aプラットフォーム TRANBI【トランビ】」

 

- 今回のM&Aを、どのように障がい者支援と結び付けるのでしょうか?
就労継続支援事業において、障がい者への給与は事業の売上があってこそですから、事業をうまく軌道に乗せるために今回のM&Aを行いました。物販の事業なら、目利きの部分は重要ですが、学べば誰にとってもそう難しい仕事ではありません。

Amazon物販は以前から手掛けていたんです。ノウハウについては、外部講師を招いて職員がマスターし、障がい者の方に教えています。ちなみに海外輸入による自社ブランドも展開し、商品紹介ページは障がい者の方に作成してもらっています。

- 今回の案件で魅力に感じたポイントを教えてください。
これまでもAmazon物販に取り組んできましたが、正直、なかなか芽が出てこなかったんですね。 どんな商売でも必ず“下積み”があるものですが、そこから早く抜け出すには、すでに実績のある外部事業を取得する方法もあるなと。そこで今回の案件に目が留まりました。

Amazonアカウントの譲渡案件は他にもいくつかありましたが、金額の条件が合わなかったり、継続性に疑問があったり。その点でこちらは 「以前の商品をそのまま仕入れて、そのまま販売すればいい」という仕組みが整っていたことが魅力でしたね。

また、仕入れや販売方法について、売り手の方が2ヶ月程度講習してくれることも大きなメリットでした。

今回の案件は「せどり」の事業ですが、せどりの手法はあまり学んだことがなかったんです。これまで教わったのは、海外からの輸入商品を自社ブランド化して販売する方法。そのため、新たな手法を取り入れられる点もいいと思いました。

せどりは何より「目利き」の部分が肝です。独学でも不可能ではありませんが、失敗の繰り返しで時間がすごくかかるはず。そういう意味で、今回買収したAmazonアカウントは、ノウハウの講習がついていることが大きな付加価値だったと感じます。

あとは売り手様が これまでAmazon物販を継続して積み上げてきた販売実績によって、アカウント自体の強さ(店舗としての販売力)を持っていることも魅力的な要素でした。

ゼロからスタートするのではなく、既に販売力を持っている事業を取得するのはM&Aならではのメリットです。

- 売り手様と初めてお話しした時の第一印象はいかがでしたか?
オンラインで面談をしましたが、非常に丁寧に対応していただきました。

売買の交渉では、どうしても相手側の「いらない事業を高く売りたい」という気持ちが表れることがあります。自分のペースに乗せるために少し高飛車に出てみたり、他に候補がいるからと値段を上げてみたり。私も過去、交渉の途中で値段を上げられた経験があります。

もちろん仕方ない部分もあるとは思いますが、今回のM&Aではそういうことは一切なかったので、気持ちよく話を進められましたね。



(従業員の方が働く様子③)

【社会貢献・ソーシャルビジネスをしていることで交渉が有利に】

- 最終的には約275万円で成約に至っています。譲渡金額の交渉はしましたか?
いえ、提示希望金額のままです。過去の売上高や利益率などのデータを確認し、半年ほどで回収できる金額だったので決断しました。

回収まで1年以上かかると難しかったかもしれませんが、月利50万円、半年で300万円が見込めれば問題ないという判断です。

- 他にも候補者が複数いたようですが、売り手様から選ばれた理由は何でしょう?
ありのまま、普通に交渉しただけですね。ただ、売り手様としては「障がい者を支援するAmazon販売」という取り組みに関心を持っていただいたようです。 社会貢献、ソーシャルビジネスの要素があるという点が決め手になったのかもしれません。

単純に「Amazon物販のアカウントがもう1つ欲しいので買います」だけでは、特に決め手にならなかったのかなと思いますね。

- 全体を通して、想定外だったことや失敗したことがあれば教えてください。
交渉の過程については特に何もありませんでした。トラブルもなくスムーズに成約できたと思います。

ただ、せどりビジネスは継続性が難しいところがありますね。アカウントを引き継いだからといって、 同じ仕入れ先・同じ商品でずっと続ければいいわけではありません。商品は移り変わっていきますし、実際に交渉中にも販売が終了した商品がありました。ですので、最終的には自分たちの目利き次第です。

また、Amazonのようなサイトを通じて販売する場合、そのプラットフォームに依存する部分も多くなります。利用規約が変わったり、我々の扱う商品が変わると販売できなくなることもあります。

- 物販ビジネスの場合、売り手様が今後同じビジネスをする可能性も考えられますが。
そうですね、それはあると思います。ただ、先方からは「このビジネスはある程度資金を貯めるためだった、軌道に乗ってきたので今後は次の事業を始める」と聞きましたし、特に気になりませんでした。

【輸入販売で利益率の高い自社ブランド化を展開したい】

- これからの売上はどのように推移していくと予測しますか?
1ヶ月前にアカウントを引き継ぎ、実際に仕入れを始めたのは1週間ほど前からです。そのため、まだ何とも言えないのが正直なところです。我々の職員がどれだけ目利きができてくるかによって変わってくるかなとも思います。

先ほども言ったように商品は移り変わっていくので、うまく違う商品に乗り換えなければいけません。しかも最近はその移り変わりが早く、3〜4ヶ月前に売れていたものを仕入れようと思った際にすでに商品がないこともあります。

事業が育つまでは時間がかかる可能性があるため、年内は売り手様からアドバイスをもらいながら、具体的な商品も確認してもらいつつ進める予定です。 そうすれば300万円〜400万円の売上が立ち、月利で40万円〜50万円ぐらいになるイメージです。

- 今回引き継いだ事業について、今後の理想のイメージがあれば教えてください。
初めはせどりという手軽な手法かもしれませんが、今教わっていることをうまく活かしながら、 目利きのスキルを高めて、自社ブランドの輸入販売に展開できればと考えています。

せどりと輸入販売では利益率が全然違います。国内よりも海外から仕入れる方が利益幅を取れますし、そうすれば価格戦略も取りやすくなります。ただ、目利きは海外の方がシビアなので、その部分はこれから鍛えていきたいですね。

- 最後に、今後M&Aに挑戦する方へのアドバイスをお願いします。
私はこれまで7〜8件交渉を申し込んだうち、2件成約に至りました。「コツ」と言えるかは分かりませんが、相手を立てながら相手自身の話を引き出すこと、相手の条件を聞いてから自分の話をすることは心がけています。

これから挑戦される方は、まずは失敗を恐れずに声を掛けてみることではないでしょうか。たくさん声をかけた中でお互いの気持ちが合意すれば前へ進めますし、怖がりすぎず挑戦してほしいですね。

*************************

■合同会社4colors様が買収した案件はこちら

「仕入れ先付きAmazonアカウント」

*************************

 

<中小企業の事業拡大M&A・買収事例の記事を読みたい方はコチラ>


▶ M&Aは“料理のレシピ”、プロから学んでアレンジすることが正解の近道

▶ 突然の交渉ストップ、空白の半年からの大逆転!債務あり&後継者不足の会社を救った事業承継M&A

▶ 「今後20年が本当の人生」68歳の塾経営者が抱く野望とは?数々の出会いが紡ぐ事業成功へのストーリー

▶ 不動産仲介手数料が一律5万円!業界のタブーに切り込む新サービスを買収

▶ 廃業危機の妊活サロンを救ったM&A!きっかけは売り手からの魂の宿った熱いオファー

▶ 緻密な計算と数十回の粘り強い交渉で実現したクロスボーダーM&A~東南アジア市場開拓の重要拠点を買収!

▶ 「残すべき店を守るため」食べログ百名店に選ばれた讃岐うどん店をM&Aで買収!飲食業界の閉塞感を打破する

無料会員登録