2021-12-07

女性目線でレンタルスペースを改装!顧客の新たなニーズを発掘し、売上を3ヶ月で倍増!20代ラストイヤーで挑む新たな副業

買い手(個人):華井玲奈さん(20代)

<個人の副業を目指したM&A・買収事例>

 

IT企業のマーケティング職を経験しながら、キャリアアップを果たしてきた華井玲奈さん。企業に勤めながら、Webサイト運営の知見を生かした副業も行っていましたが、コロナ禍で副業の収入が減少。ちょうど20代ラストイヤーだったこともあり、副業で新規事業に挑戦しようと決意します。

華井さんが目を付けたのは、レンタルスペースの運営。興味を持ったレンタルスペースは地方都市にありましたが、華井さんは都内在住。しかし、予約サイトの情報だけでは把握できない現状を確かめるために、現地を訪問し、見えた課題がありました。そして、「改善すれば、ビジネスを伸ばせる」と確信したと言います。

実際、運営を始めて3か月で売上が倍増するなど、すでに目覚ましい結果が出ているそう。現地視察での目の付け所、交渉の進め方、女性ならではの視点を生かしたスペース改装について、華井さんにお話を伺いました。

【きっかけは、コロナ禍での副業の収入減。興味のあった空間作りの新規事業に挑戦】

- まずは、華井さんのこれまでのキャリアについて教えてください。
これまで3社に勤めましたが、いずれもIT系の会社で、賃貸住宅への入居検討者と不動産会社のマッチングを主としたWEBサイトの運用などに携わってきました。職種はマーケティング職で、集客やサイト改修、利用者にとって利便性の高いUIの実現などを得意としています。今勤めている会社はモビリティの会社で、内製アプリのプロダクトマネジメントを担当しています。

また、会社員として勤めるだけでは得られる経験値や伸ばせるスキルに一定限界があると思ったのと、学生時代からアントレプレナーシップを副専攻としていて自分で事業を作り出すことに関心があったため、4年前から本業と並行して副業も始めました

副業では、Webサイト運営の経験と知見を生かし、業務委託で企業のマーケティング支援を行っていて。アクセス解析を行い、Webサイトの課題を見つけ、新しい施策を企画・提案するような役割で、これまでに合計4社を支援させていただきました。今も1社支援しています。



(ご自身で0から立ち上げた池袋のレンタルスペース①)

- レンタルスペース業に興味を持ったのはどうしてですか?
4点理由があって、まず1点目はオンラインからの集客を基本としたビジネスであるため自分のマーケティング経験を生かしやすいという、スキル面でのシナジーがあると感じたからです。2点目は、これまで本業でWebサイトなどのプラットフォームの運営をしてきたため、次はエンドに寄って自分でリアルな空間や体験を作り上げて提供していくことに興味があったから。

そして3点目が、参入障壁が低く撤退がしやすいビジネスモデルであること。在庫やパートナーを必要としないため、万が一の時のリスクが低いと思いました。

そして4点目が、市場の成長性です。レンタルスペース業界は、コロナ禍で逆風を受けている状況ですが、一定の期間さえ我慢すれば人々の外出がまた増加し、需要が戻ってくるだろうと。本業でモビリティの仕事をしているため、そうした世の中の動きも見込めました。こうした理由から、レンタルスペース業を始めようと思ったのです。

- レンタルスペース業を始めるにあたって、M&Aという手法を選んだのはどうしてですか?
最終的には利用に至らなかったのですが、事業承継関連の補助金制度があると知って、M&Aという選択肢を検討し始めました。

M&Aのメリットは、既存のアセットをそのまま使えるところだと思います。内装を作り込んだり、女手ひとつで家具を組み立てたりするのはなかなか大変なので。

また、現在の業績や評価が一定可視化されていて確認できることも、M&Aの魅力だと思います。運営中のレンタルスペースは、レビューやお客様の評価を見ることができるので、事業の展望を考えたり、実際にその場所で貸し会議室を運営したときにどのような感じになりそうかといった、イメージが湧きやすかったりするところがいいなと。

ただ、イチから空間作りをすることにも興味はあって。そのため、M&Aでレンタルスペースを購入したのと同じタイミングで、池袋の物件を借りてパーティーや撮影用の貸しスペースを始めたんです。そちらは、物件選びから空間作りまですべて自分で行っています。



(ご自身で0から立ち上げた池袋のレンタルスペース②)

【視察して気付いた課題は「清潔感」!】

- TRANBIで案件を探すにあたり、重視していた条件はありますか?
現時点である程度レンタルスペース自体の市場需要がなければ厳しいと思っていたので、エリアは首都圏もしくは地方の大都市で検討していて。「駅の乗降人数が●人以上」といった条件を設けて、案件を探していました。

私は東京在住ですが、貸し会議室の用途がメインのレンタルスペースは、パーティースペースなどに比べると緊急対応が必要なケースは少ないと思っていて。清掃をお願いできる方さえいれば運営できると思っていたので、地方都市も含めて検討していたんです。

金額感は、初期費用が100万円以下、ランニングコストが10万円以下で収まるものが理想でした。ただ、物件の広さや立地によっては、多少上がっても柔軟に検討しようと思っていました。

今回購入した物件は、ターミナル駅からのアクセスが良くて、譲渡金額も予算内かつ柔軟に対応してくれそうな雰囲気だったため、申し込みを決めました。



(今回購入されたレンタルスペースのbefore⇒after①)

- 申し込み後は、どのようなステップで検討を進めていきましたか。
最初に、売り手様から売上などの情報がまとまった資料と、レンタルスペースを掲載している予約サイトの情報を提供いただきました。

1年半ほど運営していたレンタルスペースでしたが、オープンが最初のコロナ感染拡大と被ってしまったタイミングだったこともあり、赤字続きだったようで。

ただ、それでも最初の3か月は単月黒字が出ていたため、課題を見つけ改善すれば、需要が回復する頃には売上や利益を上げられるだろうという予測もできたのです。そこで、次は現地視察をさせていただきました。

- 現地視察ではどのようなポイントを確認しましたか。
空間の広さや内装、駅からのアクセス、近隣の駐輪場や駐車場の有無、遮音性、共用部分の状態などを確認しました。どれも、予約サイトの写真や情報だけでは判断しづらいため、実際に視察すべきだと思ったのです。たとえば壁が薄くて音が聞こえやすいと、機密性の高い話ができず、企業への会議室貸し事業としては致命的になってしまいますよね。

視察前は、「コロナ禍とはいえ、なぜこれほどアクセスの良いレンタルスペースが、経営に苦戦しているんだろう…」と思っていたのですが、視察してみると、建物の築年数が古いこともあり、清潔感が無かったんです。「これでは、女性が二度目の利用を控えそう…」と感じました。

企業が打ち合わせの用途で使うケースが多い一方で、今後売上を上げるためにはYouTubeの配信や撮影、マッサージの練習など別の用途でも利用いただけるレンタルスペースを目指すべきだと考えていて。特に新たなターゲットを獲得するために女性利用が増えることを考えると、「今のままではいけない、内装を改善しなくては」と思ったんです。

ただ、課題が明確になって、かつそれが自分で改善できることだとわかったために、このビジネスはもっと伸ばせるはずという手応えも得られて。それで、購入を決意したんです。



(今回購入されたレンタルスペースのbefore⇒after②)

- 売り手様との交渉は、どのように進みましたか。
内見をした後、オンラインで打ち合わせをして一気に条件面を詰めました。

実は、売り手様も前のオーナーから物件を買っていた背景があって。当時の譲渡額が100万円程度だったこともあり、最初は50~60万円の譲渡金額を希望されたんです。

ただ、現状の数字を踏まえても、内装を変えることを考えても、その譲渡金額では高額だと感じたため、「もし、私の提示する金額でお譲りいただけるのであれば、月内に契約を固めて早々にこちらで運営します」とお話しさせていただいて。

赤字が出ていたため、売り手様も早期に手放したかったようで、その申し出をしたら納得してくださって。最終的な譲渡金額は、もともとの希望譲渡価格の半額ぐらいの金額帯で落ち着きました。いただいた売上やコストのデータを参考に、こちらの許容できる投資回収期間に基づいて設定しようと考えると、この金額感が妥当だと思ったからです。

当然ながら、売り手様は赤字幅を取り戻すためにも、「できるだけ高く買ってほしい」と思っています。その中で、いかにしてこちらの提示する金額が妥当かを示さなければなりません。TRANBIが提示している株式価値算定参考価値も活用して、「ご希望の金額は、こちらの参考価格よりも少し高い状態です」といったことをお伝えさせていただきました。

- 交渉過程で難しかったことはありますか。
初めてのM&Aであるため、契約書に盛り込む内容についてはかなり悩みました。あらゆる観点から、盛り込むべきと考えられることを自分の中で出し尽くしたものの、これで十分なのかが不安で…。

だからこそ、TRANBIが用意している契約書のテンプレートは役に立ちました。テンプレートと照らし合わせながら、抜け漏れがないかを確認して。売り手様から前回譲渡時の契約書を共有いただいていたので、そちらも参考にしながら項目として抜け漏れの無い契約書を作成することができて、安心して取引ができました。



(今回購入されたレンタルスペースのbefore⇒after③)

【女性目線での改装・新たなニーズ発掘・SEO対策により、3か月で売上が倍増】

- 交渉成立後、レンタルスペースの内装をどのようにリニューアルしましたか。
何も張ってなかった床にはフロアシートを張りました。また、椅子などをしまってあるスぺースや靴箱に埃が溜まっていて汚れていたので、掃除をして敷物を敷き、古い部分は隠すようにしました

殺風景だったトイレも大幅に変えました。女性は清潔感を気にしますし、人を招待する上で最低限のおしゃれさは必要ですから。私はインテリアコーディネーターの資格も持っていないし、内装に関する知識も無いので、「こんな雰囲気だったら、また使いたくなるかな」という一般消費者の感覚を大事にしてリニューアルをしました。

加えて、YouTubeの撮影用スペースとしても活用していただくことも大きなニーズがあると想定していたので、撮影に必要な機材も一式買い揃えました。最終的に譲渡費用や賃貸契約費用・内装改装費も含めた合計の初期費用は50万円程度となりました。

- 華井さんの強みであるマーケティングスキルをどのように生かしていますか。
レンタルスペースを予約してもらうためには、まず知ってもらうことが大事で、そのためには露出を増やさなければなりません。予約サイト上やGoogleマップ内検索において上位掲載されるために、キーワード対策や分析、その結果を踏まえての施策を行いました。

一つひとつの作業は地味ですが、それだけでもかなり結果が変わるもので。現在は狙い通り上位掲載がされるようになりました。そして、運営を始めて3か月で当初よりも売上が倍増して、単月黒字も出ています。想定より早いペースで伸ばせていますね。これまで通りの会議室利用に加え、新規顧客として撮影や美容関連の施術練習での利用が増えています。

- 事業は順調なようですが、想定通りにいかなかったことはありますか。
私と同じく首都圏に住んでいた売り主様は、問い合わせ対応や清掃等の業務を代行業者に任せていたので、私も最初はその代行業者との契約を継続させてもらっていました。

しかし、掃除に入っていただいているはずなのに清潔感が保てていなかったり、問い合わせ対応も部分的にしか行っていなかったり、こちらが依頼内容をまとめた上で作業をお任せしていた予約サイトの修正もミスが多かったりして…。かえって工数が掛かってしまったので、「自分でやってしまった方が早い」と思い、2か月で契約を終了させていただきました。

その後、問い合わせ対応や予約サイトの更新は自分で、掃除は地元にお住まいの方をアルバイトとして雇ってお任せするようになったのですが、今の体制になってから売上も伸びました



(今回購入されたレンタルスペースのbefore⇒after④)

【レビューサイトが引き継げず。譲渡内容はしっかり確認すべし!】

- 今後の展望を教えてください。
利益率を高めるために、自社サイトからの集客を強化し、オンライン予約サイトでの手数料負担を減らせるようにしていきます。他にもキャッシュポイントが作れないかも検討しています。

いずれは、レンタルスペースを運営した知見を生かして、同じようにレンタルスペース運営を始めようとしている方向けのコンサルティング業ができたらと考えています。特にパーティ用途のレンタルスペースを運営していると、トラブルも起こりやすく、運営に知見が求められると感じるので。

私も、レンタルスペースのオーナーさんが集まるコミュニティに参加して、トラブル対応や対策について学んだ上で運営をしているので、そうして得た知見や自分の経験が誰かの役に立てばいいなと思っています。



(今回購入されたレンタルスペース)

- 最後に、副業やM&Aを検討中の方に向けてメッセージをお願いします。
副業で新規事業を始めて、あらためて自分の行動がすべて数字で返ってくるのでわかりやすく、かつモチベーション高く仕事ができると感じていて。時には大変なこともありますが、本業やこれまでの副業では得られない経験もできているので、新しいことに挑戦できている充実感があります。

調べれば事業承継の補助金制度なども見つかりますし、そうした制度利用をきっかけに商工会議所のような相談できる第三者に出会えることもあります。私も最近、商工会議所にお世話になっているのですが、客観的な意見をいただけるので参考になりますよ。

M&Aにおいてアドバイスをするなら、「契約の握りは明確にしておくべき」ということですかね。

資産をすべてきちんと引き継ぐことができるかどうかはよく確認したほうがいいです。私の場合、本来であればオンライン予約サイト自体も引き継げる契約でしたが、のちに代行業者さんが管理権限を持っていたことが判明し、結局新たにつくったためお客様からのレビューという資産を引き継げませんでした

あとは今回の私のように参入しやすいビジネスモデルの場合は、売り手様が同様のビジネスを近場で始められることがないかなども含めて、慎重に確認しておくに越したことはないと思います。

 

****今回華井さんが買収したTRANBI案件****

「JR博多駅前の貸し会議室業。大型ホワイトボード、プロジェクターを装備。2面窓で空気循環良好。」

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  • 倉本祐美加
  • ライター紹介倉本祐美加

    関西学院大学卒業後、クラウド製品を扱うIT企業のインサイドセールス職を経て2016年にライターとして独立。企業取材を中心としたインタビュー原稿の制作に従事していますが、エンタメ・スポーツ・文化等幅広く好みます。

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