M&Aでスピーディーに起業とは?会社を買う方法・流れ・費用を解説

M&Aでスピーディーに起業とは?会社を買う方法・流れ・費用を解説

M&Aで起業する方法を、ゼロからの起業との違いからわかりやすく解説します。すでに顧客・設備・従業員がそろった事業を引き継ぐことで、立ち上げ期間ゼロでスピーディーに経営者になれるのが最大の魅力です。いくらから始められるか、案件の探し方・流れ・メリット・リスク・成功事例まで紹介します。

目次

「いつかは独立・起業したい。でも、ゼロから会社を立ち上げるのは時間もリスクも大きすぎる」——そう感じている方にこそ知ってほしいのが、M&A(会社・事業の買収)で起業するという選択肢です。すでに顧客・設備・従業員・ノウハウがそろった事業を引き継ぐことで、ゼロからの起業では数年かかる立ち上げ期間を一気に飛ばし、買収したその月から事業を動かせる
——この「スピード」こそが、M&A起業の最大の魅力です。

本記事では、M&Aで起業する仕組みとメリット・デメリット、いくらから始められるのか、案件の探し方から買収・引き継ぎまでの流れ、成功のポイントを、これからM&Aで独立・副業を目指す個人の方に向けてわかりやすく解説します。とくに「なぜM&A起業はこれほどスピーディーなのか」を軸に、実際の成功事例も交えて掘り下げます。

会社員からの独立、副業としての事業オーナー、第二の人生としての経営——どんな入り口であっても、M&Aは有効な手段になります。M&Aの基礎から知りたい方はM&Aの記事も、サラリーマンの個人M&Aはサラリーマンが会社を買うにはもあわせてご覧ください。

M&Aで起業するとは?ゼロからの起業との決定的な違い

「起業」と聞くと、ゼロから会社を設立し、商品やサービスを開発して売り出すイメージを持つ方が多いでしょう。しかし、すでに存在する会社や事業を買収して、その経営者になるという起業のかたちがあります。これがM&Aによる起業です。

M&Aは個人の起業・独立の手段になっている

M&Aは、大企業や中小企業など法人だけが行う取引ではありません。個人が起業や副業に取り組む手段としても広く使われるようになっています。

大企業のM&Aでは億単位の資金が動きますが、小規模なM&Aであれば数十万円〜数百万円で買収できる会社や事業、場合によっては無償で譲受が可能な事業も数多くあります。会社員が貯蓄や融資で用意できる範囲でも、十分に「事業のオーナー」になれる時代です。近年は、こうしたスモールM&Aを活用した起業・副業が着実に増えています。

ゼロ起業との決定的な違いは「スピード」

ゼロからの起業とM&A起業の最大の違いは、事業が動き出すまでのスピードです。ゼロから起業する場合、事務所探し・設備の購入・人材の採用と教育・商品やサービスの開発・顧客の開拓と、事業を軌道に乗せるまでに数カ月から数年を要します。その間、収益はほとんど生まれず、自己資金を取り崩し続ける「立ち上げ期間」が続きます。

一方、M&Aで事業を買収すれば、顧客・設備・従業員・ノウハウ・取引先といった、事業に必要なものがすべてそろった状態でスタートできます。極端にいえば、買収が成立した翌日から事業は回り続け、初月から売上が立つことも珍しくありません。「立ち上げ期間ゼロ」で経営者になれる時間的アドバンテージこそ、M&A起業を選ぶ最大の理由です。

ゼロ起業とM&A起業の違い(イメージ)
・ゼロ起業:準備(数カ月〜数年)→ 開業 → 集客 → ようやく黒字化
・M&A起業:買収 → 初月から事業が稼働・売上が立つ → 改善で上積み

なぜ今、M&Aによる起業が増えているのか

M&Aによる起業・独立は、ここ数年で大きく広がっています。その背景には、「売り手」と「買い手」双方の事情があります。

後継者不足で「売りたい会社」が増えている

日本では経営者の高齢化が進み、後継者が見つからずに廃業を検討する中小企業が数多く存在します。中小企業庁の資料などでも、後継者不在を理由に、黒字でも廃業を選ばざるを得ない企業が一定数あることが指摘されています。

こうした会社の中には、技術・顧客・立地など確かな価値を持ちながら、継ぐ人がいないだけで失われようとしている事業が数多くあります。買い手にとっては、こうした事業を引き継ぐことが、そのまま「価値ある事業のオーナーになるチャンス」になっているのです。

M&Aプラットフォームで個人でも買えるようになった

かつてM&Aは、仲介会社を通じて行う「大企業のもの」というイメージがありました。しかし近年は、インターネット上で売り手と買い手が直接つながれるM&Aプラットフォームの登場により、個人でも手軽に小規模な案件を探し、交渉できるようになりました。

数十万円〜数百万円の案件も豊富に掲載され、会社員が副業や独立の一歩としてM&Aを選ぶケースが増えています。「会社を買う」という行為が、特別な人だけのものではなく、個人のキャリア選択肢のひとつとして定着しつつあるのです。

働き方の多様化と「時間をかけずに経営者になりたい」ニーズ

副業解禁や働き方の多様化により、「会社員を続けながら事業を持ちたい」「定年後に経営者として活動したい」といったニーズも高まっています。こうした人にとって、準備に何年もかけられないからこそ、スピーディーに事業を始められるM&Aは合理的な選択になります。時間という限られた資源を有効に使う手段として、M&A起業が選ばれているのです。

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M&A起業の最大の魅力|圧倒的な「スピード」の正体

M&A起業のメリットは数多くありますが、その本質は、ゼロ起業では決して得られない圧倒的な「スピード」にあります。ここでは、なぜM&A起業がこれほどスピーディーなのか、その正体を具体的に分解していきます。

立ち上げ期間をまるごと飛ばせる

ゼロから起業する場合、事業が回り始めるまでに必要なステップをひとつずつ踏まなければなりません。物件を探して契約し、内装や設備を整え、人を採用して教育し、商品やサービスを作り、認知を広げて顧客を獲得する——
これらを順番にこなすだけで、数カ月から数年が過ぎていきます。その間、売上はほとんど立たず、資金だけが出ていきます。

M&A起業では、この立ち上げ期間をまるごとスキップすることができます。すでに営業している事業を引き継ぐため、買収が完了した瞬間から、店は開き、商品は売れ、サービスは提供され続けます。「準備して、ようやくスタートラインに立つ」のではなく、すでに走っている事業の運転席に座るイメージです。この差が、起業の成否を分ける時間的アドバンテージになります。

初月から売上・キャッシュフローが生まれる

ゼロ起業で最も苦しいのが、売上がないにもかかわらず固定費(家賃・人件費・仕入れ)だけが出ていく赤字の期間です。多くの起業家が、この期間に資金が尽きて事業を畳みます。

M&A起業なら、既存の顧客と売上をそのまま引き継ぐため、初月から売上とキャッシュフローが生まれます。もちろん引き継ぎ直後は注意が必要ですが、「収益ゼロからのスタート」ではないという事実は、精神的にも資金的にも大きな安心材料です。事業が生み出すキャッシュを、次の成長投資に回す余裕も生まれます。

許認可・取引先・ブランドも「時間をかけずに」手に入る

事業によっては、営業に許認可が必要だったり、取引先との信頼関係の構築に長い年月がかかったりします。飲食店の営業許可、建設業の許可、長年かけて築いた仕入れルートやブランドの信用——
こうした「お金だけでは買えない、時間が必要なもの」も、M&Aなら事業ごと引き継げます

とくに株式譲渡で会社ごと引き継ぐ場合、許認可や取引契約は原則そのまま継続するため、「ゼロから信用を積み上げる時間」を丸ごと節約できます。これも、スピーディーに事業を始められるM&A起業ならではの価値です。

M&A起業のその他のメリット

立ち上げ期間ゼロというスピード以外にも、M&A起業には見逃せないメリットがあります。

売り手の経験・ノウハウを引き継いで失敗を避けられる

M&Aでは、人材・設備・特許などの経営資源だけでなく、売り手がこれまでに積み重ねてきた経験やノウハウ、過去の失敗からの学びもまとめて引き継げます。ゼロ起業では自分で試行錯誤しながら少しずつ学ぶしかありませんが、M&Aならすでに確立された成功パターンの上に立って、さらに改善を加えられます

実際、経営経験ゼロの会社員が事業を買収し、売り手の経験や反省点を活かして売上を大きく伸ばした事例もあります。先人の知見をベースにできる分、成長のスピードも速くなります。

自分の取り組み次第で収入を大きく伸ばせる

会社員の給与は、努力しても大きくは上がりにくいものです。一方、事業のオーナーになれば、自分の工夫と努力が、そのまま収益に反映されます。引き継いだ事業に新しい販路やサービスを加えたり、無駄なコストを削ったりすることで、買収前より大きな利益を生み出せる可能性があります。

価値ある事業を存続させ、社会に貢献できる

後継者不在で廃業の危機にある事業を引き継ぐことは、そこで働く従業員の雇用を守り、その事業を必要としている顧客や地域を守ることにもつながります。とくに地方では、ひとつの事業の廃業が地域経済に与える影響は小さくありません。M&A起業は、自分の独立を実現しながら、社会的にも意義のある選択になり得ます。

M&Aで新規事業を始めるメリットとは?「時間を買う」戦略を徹底解説
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M&Aで新規事業に参入する最大のメリットは、立ち上げにかかる「時間を買える」ことです。ゼロから始めるより速く・低リスクに事業を展開できる理由、買収で獲得できる経営資源、異業種参入・同業種の事業拡大の進め方、株式譲渡と事業譲渡それぞれのメリットまでわかりやすく解説します。

M&A起業のデメリット・注意すべきリスク

スピーディーに起業できるM&Aですが、メリットばかりではありません。スピーディーに始められる一方で、引き継ぐ事業に潜むリスクも一緒に背負うことになります。代表的な注意点を理解しておきましょう。

簿外債務・偶発債務を引き継ぐリスク

とくに会社ごと引き継ぐ株式譲渡では、帳簿に表れていない簿外債務(未払い残業代、保証債務、訴訟リスクなど)も引き継いでしまう恐れがあります。買収後にこうした債務が発覚すると、想定外の損失になりかねません。

これを防ぐには、買収前のデューデリジェンス(買収監査)でリスクを洗い出し、最終契約書に表明保証条項を盛り込むことが有効です。なお、必要な資産だけを選んで引き継ぐ事業譲渡であれば、こうした債務を引き継ぐリスクを避けやすくなります。

従業員・取引先が離れてしまうリスク

事業の価値の多くは「人」と「関係性」にあります。経営者が代わったことで、キーパーソンとなる従業員が離職したり、取引先が取引を見直したりすると、買収した事業の価値が大きく損なわれてしまいます。「スピーディーに引き継げた」はずの事業が、引き継ぎ後に空洞化しては元も子もありません。後述する丁寧な引き継ぎ(PMI)が重要になります。

高値づかみ・のれんの過大評価リスク

「早く事業を持ちたい」という焦りから、実態以上の価格で買ってしまう「高値づかみ」には注意が必要です。とくに、ブランドや将来性といった目に見えない価値(のれん)を過大に評価すると、回収に何年もかかる買収になってしまいます。スピードは大切ですが、価格の妥当性は冷静に見極めましょう。価格の考え方は年買法企業価値評価の記事も参考になります。

経営スキル不足によるリスク

事業を引き継いでも、経営できなければ成長させられません。とくに未経験の業種に飛び込む場合、業界知識や経営スキルの不足が課題になります。これは後述するように、案件を探しながら少しずつ学んでいくことで補えますが、「買えば終わり」ではないことは理解しておきましょう。

M&A起業はいくらから?予算別に狙える事業

「会社を買う」というと多額の資金が必要に思えますが、個人でも数十万円〜数百万円から始められることがスモールM&Aの特徴です。予算別に、狙える事業のイメージを見てみましょう。

数十万〜100万円台|まず経験を積む

この価格帯では、小規模なWebサイト事業・レンタルスペース・小さな店舗などが狙えます。中には、後継者不在で「無償でもいいから引き継いでほしい」という案件もあります。利益はまだ小さくても、「経営者として事業を回す経験」を低リスクで積めるのが、この価格帯の最大の価値です。まずはここから始め、経営の勘所をつかむ人が多くいます。

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数百万円台|本格的に事業オーナーになる

数百万円を用意できれば、選択肢は大きく広がります。飲食店・小売店・エステサロン・学習塾・調剤薬局・小規模な製造業など、すでに顧客と売上のある事業を引き継げます。自己資金だけで足りない場合も、後述する融資を活用すれば、この価格帯の事業は十分に手が届きます。

個人でも買収しやすい代表的な事業
飲食店/小売店/エステ・サロン/学習塾/フランチャイズ店/調剤薬局/クリニック/小規模製造業/Webサイト事業/訪問介護事業 など

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なぜ小規模案件から始めるのがおすすめなのか

経営未経験の個人は、まず小規模な案件から始めるのが定石です。国内のM&Aは売り手以上に買い手が多い場面もあり、好条件の大型案件には企業の買い手が高額で名乗りを上げるため、個人が競り勝つのは簡単ではありません。

一方、小規模案件であれば個人でも交渉のテーブルにつきやすく、スピーディーに成約に至れる可能性が高まります。まず小さく始めて経営経験を積み、実力をつけてから次のステップへ——これが、無理なく着実にM&A起業を成功させる王道です。個人でも買収しやすい飲食店のM&Aもあわせてご覧ください。

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M&A起業の流れ|案件探しから引き継ぎまで

M&Aで起業する場合、案件探しから始まり、交渉・契約を経て、事業の引き継ぎへと進みます。全体の流れを把握しておくことで、スピーディーかつ着実に進められます。M&A全体の進め方はM&Aの流れもあわせてご覧ください。

基本の5ステップ

個人によるM&A起業は、おおむね次のステップで進みます。

  1. 案件探し・マッチング:M&Aプラットフォームなどで、予算・業種・地域の条件に合う案件を探す
  2. 交渉・面談:気になる案件の売り手に交渉を申し込み、面談でビジョンや条件をすり合わせる
  3. 基本合意・デューデリジェンス:大筋で合意したら、財務・契約・簿外債務などを調査する
  4. 最終契約の締結:株式譲渡または事業譲渡の契約を結び、対価を支払う
  5. 引き継ぎ(PMI):従業員・取引先・顧客を引き継ぎ、経営をスタートする

このうち、案件探しから成約までは、条件が合えば数週間~1カ月程度で進むことも珍しくありません。ゼロからの起業準備に比べれば、はるかに短期間で「経営者」になれます。

M&Aプラットフォームを使えばスピーディーに探せる

個人が無理なく買収できる規模の案件を探すには、インターネット上で売り手と直接つながることができるM&Aプラットフォームが便利です。多数の案件から、予算やキーワードで条件に合うものを効率的に絞り込め、気になる案件があればその場で交渉を申し込めます。

仲介会社を介する従来型のM&Aに比べ、探す・交渉する・成約するまでのスピードが速いのが、プラットフォームを使う大きな利点です。スピードを重視するM&A起業の入り口として、相性のよい手段といえます。

案件を探しながら進める「買収の準備」

会社や事業は、買って終わりではありません。引き継いだ事業を成長させ、収益を得るには、案件探しと並行して、経営の準備を進めておくことが大切です。準備ができていれば、良い案件に出会ったときにスピーディーに動けます。

経営スキルを少しずつ身につける

会社を経営するには、一定のスキルが必要です。経営スキルは大きく、決算書の見方・税務・労務といった実務スキルと、市場分析・資金計画・リスク管理といった分析・判断能力に分けられます。

すべてを完璧にする必要はありませんが、最低限の管理スキルは経営者として欠かせません。書籍やセミナー等で学びつつ、案件を見て「自分ならどう経営するか」を考える習慣をつけることで、実践的な力が養われます。買収後に売り手から一定期間サポートを受けられる案件も多く、走りながら学ぶことも可能です。

事業計画書を作成する

事業計画書は、買収後にどう事業を運営し、成長させるかを示した設計図です。コンセプト・商品やサービス・財務計画などをまとめます。これは売り手に「この人になら任せたい」と思ってもらうための重要な材料であり、後述する融資審査でも必ず求められます。熱意と具体性のある事業計画書は、交渉を有利に進める武器になります。

資金調達|融資も活用できる

自己資金だけで足りない場合は、金融機関からの融資も活用できます。日本政策金融公庫や民間金融機関では、創業・事業承継に関する融資制度があります。

ポイントは、すでに収益を上げている事業を買収する場合、ゼロからの起業より金融機関の信頼を得やすいことです。事業に実績(売上・利益)があるため、返済原資の見通しを立てやすいからです。融資を申し込む際は、買収資金だけでなく、運転資金(人件費・家賃・仕入れ)も含めて計画しましょう。ここでも事業計画書が欠かせません。

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会社・事業を買う代表的な手法|株式譲渡と事業譲渡

個人がM&Aで起業する際、よく使われる手法が「株式譲渡」「事業譲渡」です。起業の視点から、それぞれの特徴と注意点を見ていきましょう。手法全体の比較やその他の手法についてはM&Aの種類もご覧ください。

株式譲渡|会社を丸ごと、スピーディーに引き継ぐ

株式譲渡は、対象会社の株式を買い取ることで、会社を丸ごと引き継ぐ手法です。会社が持つ有形無形のすべて(許認可・取引契約・従業員・ブランド)をそのまま引き継げるため、スピードを重視するM&A起業と最も相性のよい手法といえます。許認可の取り直しや契約の結び直しが不要な分、スピーディーに事業を始められます。

ただし前述のとおり、会社ごと引き継ぐため簿外債務のリスクには注意が必要です。デューデリジェンスと表明保証でリスクに備えましょう。

事業譲渡|必要なものだけを選んで引き継ぐ

事業譲渡は、事業の一部または全部について、必要な資産や契約だけを選んで引き継ぐ手法です。個人事業主が売り手の場合(株式が存在しない場合)にも使えます。

不要な負債や簿外債務を引き継がずに済むためリスクを限定できるのが利点です。一方で、引き継ぐ資産や契約を個別に名義変更する必要があり、許認可も買い手が取り直す必要があるため、株式譲渡に比べて手続きに手間と時間がかかる点には注意が必要です。スピードを重視するか、リスク限定を重視するかで使い分けましょう。

起業視点での使い分け
株式譲渡:許認可・契約ごと丸ごと引き継げてスピーディー。ただし簿外債務リスクに注意
事業譲渡:必要なものだけ選べてリスク限定。ただし手続きに手間と時間がかかる
包括承継とは?特定承継との違いやM&A手法別のメリット・注意点を解説
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包括承継とは?特定承継との違いやM&A手法別のメリット・注意点を解説

包括承継とは何かを定義から解説し、特定承継(個別承継)との違い、合併・会社分割・株式譲渡などM&A手法別の承継範囲とメリット、簿外債務・偶発債務やCOC条項などの注意点、DDや契約でのリスク管理まで整理します。

面談・交渉と、失敗しないための注意点

良い案件に出会ったら、売り手との面談・交渉に進みます。ここでの進め方が、成約の可否と買収後の成功を大きく左右します。

面談ではビジョンを伝え、信頼を得る

売り手は、大切に育てた事業を「信頼できる相手」に託したいと考えています。面談では、買収後にどう事業を伸ばしたいかというビジョンを熱意をもって伝えましょう。明確なビジョンは、他の買い手候補との差別化になり、価格以外の面で選ばれる決め手にもなります。実際、価格で上回る相手がいても、熱意とビジョンで選ばれて成約した事例は数多くあります。

経営理念・社風を尊重する姿勢を見せる

買収後にいきなり自分のやり方を押し通すと、従業員の反発や離職を招きます。面談の段階から、対象事業の経営理念や社風を理解し、尊重する姿勢を見せることが、円滑な引き継ぎへの第一歩です。「すべてを変える」のではなく「良いところは残し、必要な部分を改善する」スタンスが信頼を生みます。

スピードと冷静さのバランスを取る

M&A起業ではスピードが武器になりますが、焦って判断を誤る「高値づかみ」や「リスクの見落とし」は禁物です。「早く決めたい」気持ちと、「冷静にリスクと価格を見極める」姿勢のバランスを取りましょう。デューデリジェンスを省略せず、価格の妥当性を確認したうえで、スピーディーに意思決定することが理想です。

引き継ぎ(PMI)を丁寧に行う

契約成立はゴールではなくスタートです。買収後、従業員・取引先・顧客を丁寧に引き継ぐことで、初めて事業の価値を維持・成長させられます。従業員には適切なタイミングで説明し、不安を取り除くこと。取引先には現経営者の協力を得て早めに挨拶すること。こうしたPMI(買収後の統合)を怠ると、せっかくスピーディーに手に入れた事業が空洞化してしまいます。

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M&Aによる起業・副業の成功事例

実際にM&Aで起業・副業を実現した事例を見てみましょう。いずれも、スピーディーに事業オーナーになったケースです。

3つの事業を立て続けに買収して起業

自己資金で無理なく用意できる50〜100万円台の案件を中心に探し、レンタルスペース・エステサロンを買収。その後、海外拠点に魅力を感じて350万円のコールセンター事業も取得した事例です。「損失が出なければOK」と考え、スピード感を重視して積極的にアプローチしたことで、経営未経験ながら短期間で3事業のオーナーになりました。買収を通じた経営者との人脈づくりにも成功しています。

個人事業主が洋菓子店を破格で承継

販促スキルを持つ個人事業主が、廃業寸前の洋菓子店を800万円で買収した事例です。ゼロから菓子店を作るには3,000万〜5,000万円かかるところ、人材も売上もそろった店を破格で引き継ぎ、立ち上げ期間ゼロでスタート。地元で愛されてきた味と雇用を守りつつ、自身の独立も実現しました。スピーディーに事業を始めるM&A起業の典型例です。

好立地のレンタルスペースを副業として購入

会社員が、自宅近くの好立地なレンタルスペースを110万円で買収し、副業として運営を始めた事例です。他にも買い手候補がいるなかで、「将来ゲストハウスを運営したい」という熱意とビジョンを伝えたことで選ばれました。備品もそのまま使える状態だったため、買収後すぐに運営を開始。会社員を続けながら、スモールスタートで経営経験を積んでいます。

より多くの事例はM&A成功事例14選でも紹介しています。

M&A起業に関するよくある質問(FAQ)

M&Aによる起業について、よく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。

M&A起業は本当にゼロ起業より早いのですか?

はい。ゼロからの起業は、物件・設備・人材・顧客をそろえるのに数カ月〜数年かかりますが、M&Aではそれらがそろった事業を引き継ぐため、買収後すぐに事業を動かせます。案件探しから成約まで数週間~数カ月で進むことも多く、「立ち上げ期間」を大幅に短縮できることが最大の特徴です。

経営未経験の会社員でもM&A起業はできますか?

できます。実際に、経営未経験の会社員が小規模な事業を買収し、オーナーになった事例は数多くあります。ポイントは、まず小規模な案件から始めて経営経験を積むこと、そして売り手から一定期間サポートを受けられる案件を選ぶことです。走りながら学べる環境を整えれば、未経験でも十分に挑戦できます。

M&A起業はいくらから可能ですか?

数十万円から可能です。小規模なWebサイト事業やレンタルスペースなどは数十万〜100万円台、飲食店や小売店などは数百万円台から狙えます。後継者不在で「無償でも引き継いでほしい」という案件もあります。また、自己資金で足りない分は融資等も活用できます。

会社員のまま副業としてM&Aできますか?

はい、副業としてM&Aを行う会社員は増えています。レンタルスペースやWebサイト事業など、運営に手間がかかりにくい事業を選べば、本業と両立しやすくなります。ただし、勤務先の副業規定は事前に確認しておきましょう。

M&A起業で一番気をつけることは何ですか?

スピードを重視するあまり、リスク確認をおろそかにしないことです。簿外債務や、従業員・取引先が離れるリスクを見落とすと、せっかく引き継いだ事業の価値が損なわれます。デューデリジェンスを省略せず、価格の妥当性を冷静に見極めたうえで、スピーディーに意思決定するのが理想です。

まとめ|M&Aはスピーディーに起業できる手段

M&Aによる起業は、ゼロからの起業では数年かかる立ち上げ期間を飛ばし、すでに動いている事業を引き継いで、買収したその月から経営者になれる——立ち上げ期間ゼロでスタートできる、スピーディーな起業手段です。本記事のポイントを振り返ります。

  • M&A起業の最大の魅力は圧倒的なスピード。立ち上げ期間ゼロで、初月から売上が立つ
  • 後継者不足とM&Aプラットフォームの普及で、個人でも数十万円から事業を買える時代
  • 一方で簿外債務・人材離職・高値づかみなどのリスクもあり、デューデリジェンスが重要
  • 株式譲渡はスピーディー、事業譲渡はリスク限定。目的に応じて使い分ける
  • 面談ではビジョンと熱意を伝え、買収後はPMIを丁寧に行うことが成功の鍵

「いつか起業したい」と考えているなら、ゼロから時間をかけて積み上げる道だけでなく、M&Aでスピーディーに経営者になる道も検討してみてください。すでに価値ある事業を引き継ぐことは、あなたの独立を早めるだけでなく、その事業を必要とする人々を守ることにもつながります。

会社や事業の買収を検討するなら、「TRANBI(トランビ)」のような事業承継・M&Aプラットフォームの活用がおすすめです。数十万円から買える小規模案件も多数掲載されており、起業・副業の第一歩を踏み出せます。

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記事監修: 株式会社トランビ 代表取締役CEO 高橋 聡
【プロフィール】
アスクホールディングス株式会社代表取締役社長、中小企業庁中小M&Aガイドライン作成委員。アクセンチュアを経てアスクホールディングス株式会社を先代から事業承継。中小企業におけるM&A活性化の必要性を痛感しトランビを創業。
著書: 「起業するより会社は買いなさい」サラリーマン・中小企業のためのミニM&Aのススメ
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