飲食店のM&Aとは?個人向け相場・売却・買収・引き継ぎの流れを解説
飲食店のM&Aは相場100万〜250万円と他業種より安価で、個人でも実現しやすいM&Aの代表格です。買い手向けの買収相場・価格の決まり方・売り手向けの売却相場・案件の探し方・M&Aの流れ・事例までわかりやすく解説します。
「飲食店を買いたいけど、個人でも本当にできるのか?」「売却の相場はどのくらいなのか?」——飲食店のM&Aに興味はあるけれど、何から始めればいいかわからないという方に向けて、この記事では飲食店M&Aの相場・手順・事例をわかりやすく解説します。
飲食店のM&Aは、相場が100万〜250万円程度の案件が多く、他業種より安価で、個人でも実現しやすいM&Aの代表格です。後継者不足や人手不足を背景に売り案件が増えており、スモールM&Aを検討するなら今が参入のチャンスといえます。
買い手側の手順・価格の決まり方はもちろん、売り手(売却)側の相場と進め方についても詳しく解説します。
飲食店のM&A市場の現状(2026年)
飲食業界を取り巻く環境は、構造的な変化の局面にあります。M&Aの市場においても、その変化が如実に表れています。まずは飲食店M&Aの最新動向を整理します。
後継者不足・物価高騰が加速させる飲食店の事業承継ニーズ
飲食業界では、オーナーの高齢化と後継者不足が深刻な問題となっています。「自分の代で閉めるしかない」と考えていたオーナーが、M&Aによる事業承継という選択肢を知り、閉店ではなく売却を選ぶケースが増えています。
加えて、食材の原材料費高騰・人件費上昇・光熱費の値上がりが重なり、収益を維持することが難しくなった飲食店オーナーが売却を検討するケースも増加しています。こうした構造的な課題が、飲食店M&Aの売り案件増加につながっています。
インバウンド需要の回復と個人・スモールM&Aの拡大
2024年以降、インバウンド(訪日外国人)需要は力強く回復し、飲食業界全体の売上は改善傾向にあります。好立地の飲食店舗を確保したい事業者・個人投資家にとって、M&Aは店舗取得の有力な手段として定着しつつあります。
また近年はM&Aプラットフォームの普及により、かつては大企業間の取引だったM&Aが個人や中小企業でも手軽に参加できる「スモールM&A」として広まっています。数十万円〜数百万円規模の飲食店案件も多く、ハードルは年々下がっています。
なぜ開業ではなくM&Aなのか
これから飲食店を始めようと考えたとき、「ゼロから開業する」のではなく「M&Aで引き継ぐ」という選択肢が注目されています。その理由を整理します。
エリア・ターゲット選定ミスのリスクがない
何もないところから飲食店を開業する場合、ターゲットの設定・エリアの選定・競合調査など、多くの時間と労力が必要です。それでも「開業してみたら思ったより客が来なかった」というリスクは拭えません。
一方、M&Aによる飲食店の買収であれば、すでにターゲットが決まっており、固定客がいます。店舗も収益が見込めるエリアにあるため、自力でゼロから探す必要はありません。買収直後から売上が立つ可能性があり、開業リスクを大幅に抑えられます。
ブランド力・評判・人材をそのまま引き継げる
開業したての飲食店にはまだ歴史がなく、ブランド力もありません。M&Aによって既存の飲食店を引き継げば、その店が長年かけて築いてきた歴史・ブランド・顧客との信頼関係をまるごと取得できます。
例えば、創業50年の老舗洋食店が地域に根付かせたポジションは、一から作り上げるのは並大抵のことではありません。M&Aであれば、そのポジションをそのまま引き継ぐことが可能です。また、ブランド力のある飲食店には優秀なスタッフが定着しているケースも多く、人材確保の面でも有利です。
飲食店のM&Aが個人にも人気の理由|買収相場と価格の決まり方
飲食店のM&Aが個人にも選ばれる最大の理由は、他業種と比べて買収相場が安価で、M&Aプラットフォームの普及によって個人でも手軽に案件を探せる環境が整っている点にあります。
なお、TRANBIに掲載されている飲食店案件には、厨房設備・内装・備品がそのまま活用できる「居抜き形態」の案件も多数あります。スケルトン状態から内装工事を行う場合と比べて初期費用を大幅に抑えられるため、個人が参入しやすいのも特徴のひとつです。ただし居抜きで入居した物件でも、退去時にスケルトン戻し(原状回復)が必要な契約になっているケースがあるため、デューデリジェンスの段階で契約条件を必ず確認しましょう。居抜き物件の活用・店舗売却については店舗売却コラムでも解説しています。
ほかの業種よりもM&A相場が安価
大規模なM&Aは数億円を超える高額の買収価格で成立し、ニュースで取り上げられるような事例もあります。一方、飲食店のM&Aであれば相場は100万〜250万円と、他業種と比べて安価なのが特徴です。
自力で飲食店を開業するためには、物件取得費・内装工事費・厨房設備費・運転資金などを合わせると少なくとも約800万円以上の初期費用がかかります。これと比べると、M&Aは大幅に低コストで飲食店を始められる手段といえます。
M&Aプラットフォームの「TRANBI(トランビ)」には、0円で譲り受け可能な飲食店や100万円で買収できる創業40年の飲食店など、個人でも現実的な金額の案件が多数掲載されています。
飲食店のM&A価格の決まり方
飲食店の売買価格は「時価純資産+実質営業利益の3〜5倍」が目安です。ただし実際の価格は複数の要素によって変動します。
- 立地・アクセス:駅近・交通量の多い幹線道路沿いなど好立地ほど高くなる傾向
- 業態・ブランド:焼肉・寿司など人気業態や知名度の高い店舗は高評価
- 店舗規模・設備の状態:厨房機器の新しさや客席数が評価に影響
- 収益性・キャッシュフロー:利益が安定している店舗ほど高値がつく
- 顧客基盤・リピート率:固定客が多い店舗は高評価
また、「飲食店 バイアウト」とも呼ばれるMBO(経営陣による買収)や、スケルトン物件の居抜き取得が絡む案件では、上記の目安より大きく変動することもあります。相場の詳細については「M&Aの価格の相場はいくら?一般的な評価方法や価値を決める要素」もご覧ください。
飲食店を売却する側の視点|売却相場と進め方
飲食店のM&Aは買い手だけのものではありません。「後継者がいない」「事業を続けるのが難しい」「別のことに集中したい」という売り手(オーナー)にとっても、M&Aは有力な出口戦略です。
飲食店の売却相場
飲食店の売却価格は買収価格と同様、「時価純資産+実質営業利益の3〜5倍」が基本の算定方法です。ただし売り手側の立場から見ると、以下の要素が評価を高める主なポイントです。
- 売上・利益が安定していて財務状況が良好
- 立地が良く、既存の固定客が多い
- レシピ・接客マニュアルなど無形資産が整備されている
- 従業員が継続雇用に同意している
- 店舗設備が比較的新しい・維持管理が行き届いている
逆に、売上が低下している・設備が老朽化している・スタッフが固定化されていないなどの場合は評価が下がる可能性があります。売却前に財務状況を整理し、無形資産を文書化しておくことで、買い手に刺さる案件作りができます。
飲食店の売却・譲渡の詳細については「店舗売却を成功させるには。居抜き売却とM&Aの違いも解説」もあわせてご覧ください。
売却を検討するタイミングと進め方
飲食店の売却を成功させるためには、「売りたい」と思ったらなるべく早めに動くことが重要です。業績が下がり始めてからでは評価額が落ちてしまうため、業績が安定している・または回復傾向にあるタイミングでの売却が理想です。
進め方の基本的な流れは以下の通りです。まずM&AプラットフォームやM&A仲介会社に相談し、案件として登録・掲載します。次に興味を持った買い手と秘密保持契約(NDA)を締結した上で情報開示を行い、店舗視察・トップ面談・価格交渉を経て最終契約・クロージングとなります。
後継者がいない場合の事業承継手法については個人の事業承継コラムもご参照ください。
飲食店のM&Aにはどのような案件があるのか
M&A市場に出回る飲食店案件は、業態・価格帯・エリアもさまざまです。「どんな事情で売りに出ているのか」「どの業態が人気なのか」を理解することで、自分に合った案件を見つけやすくなります。TRANBIには飲食店だけでも多数の案件が掲載されており、条件を絞って探せます。
売上低下・後継者不在に悩む飲食店
M&A市場に出る飲食店案件のうち、特に多いのは「後継者がいない」「売上が低迷している」という背景を持つ案件です。オーナーが高齢で引退を考えているが後継者がいない、あるいは人手不足で現状維持が難しくなったため売却を決めた、というケースが増えています。
「業績が好調でこのまま続けていけば何も心配ない」という状態の飲食店が売却されるケースはそう多くありません。M&Aを行い利益の出る飲食店へ成長させるには、売り手と買い手それぞれが持つ有形・無形の資産を活かすのがポイントです。例えば、買い手がSNSマーケティングのノウハウを持っていれば、既存の人気メニューを効果的に発信して売上アップを狙えるかもしれません。
注目が集まるジャンルは?
飲食店の中でも特に需要が高いのは「焼肉」「寿司」「ラーメン」「日常食業態」です。焼肉は年間を通じて繁閑の差が小さく、収益が安定しやすいのが魅力で、既に飲食店を展開している企業による買収も目立ちます。
焼肉店のM&Aについては焼肉店のM&Aとは?相場・売却・買収・居抜き案件の特徴と流れを解説にて、居酒屋のM&Aについては居酒屋のM&Aとは?相場・売却・買収・許認可の引き継ぎ・流れをわかりやすく解説で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
需要の高いテイクアウト・デリバリー対応の飲食店
テイクアウトやフードデリバリーに対応した飲食店も引き続き人気の高い業態です。消費者のライフスタイル変化により、テイクアウト・デリバリー需要は定着しつつあります。
テイクアウト専門の飲食店やゴーストレストランのM&Aを検討する場合は、固定客の多さに加えてショッピングモールへの卸・イベント出店実績・デリバリープラットフォームへの登録状況などがポイントです。悪天候や時間帯による売上低下のリスクを分散できる体制が整っているかも確認しておきましょう。
フードデリバリー事業のM&Aについてはフードデリバリー事業のM&Aコラムでも解説しています。
飲食店のM&Aを実現させるには
「M&Aに興味はあるけどどこから動けばいいかわからない」という方に向けて、案件の探し方から交渉・契約・引き継ぎまでの全体像を整理します。最初の一歩は案件を探してみることです。気になる案件があれば問い合わせるだけでOK、そこからM&Aは始まります。
案件の探し方
飲食店のM&A案件を探す主な方法は以下の4つです。
- M&Aプラットフォーム・マッチングサイト:売り手と買い手が直接交渉できる。案件数が多く個人でも参加しやすい
- M&A仲介会社:売り手・買い手双方の間に立ってサポート。専門的なアドバイスが得られる
- 金融機関(銀行・信金等):M&Aに特化した部署を持つ金融機関が案件を持っていることがある
- 事業承継・引継ぎ支援センター:国が設置する相談窓口。特に売り手側の相談に幅広く対応している
個人が飲食店のM&Aに挑戦するなら、国内最大級のM&Aプラットフォーム「TRANBI(トランビ)」
がおすすめです。会員登録後すぐに案件を検索でき、飲食店だけでも数多くの案件が掲載されています。希望エリア・業態・価格帯で絞り込みができ、自分に合う案件が見つかりやすい環境が整っています。M&Aの進め方(買い手)
飲食店のM&Aの流れは他の業種とほぼ同様ですが、「客として入店しての店舗視察」が飲食店ならではのステップです。M&Aの流れ11ステップの詳細は専用コラムをご覧ください。
大まかな流れは以下の通りです。まずマッチング後に秘密保持契約(NDA)を締結し、資料の開示を受けます。次に店舗視察を実施した後、意向表明書の提出・トップ面談・基本合意書の締結・デューデリジェンス(買収調査)を経て、最終契約・クロージングで完了です。
飲食店のM&Aで用いられる主な手法は「株式譲渡」(会社を丸ごと引き継ぐ)と「事業譲渡」(事業の一部または全部を引き継ぐ)です。事業譲渡の場合は引き継ぐ資産・負債を個別に指定する必要があるため、必要な資産が確実に含まれているか確認が重要です。
無形資産の引き継ぎが欠かせない
飲食店には店舗・厨房機器以外にも、「メニューのレシピ」「接客スキルのノウハウ」「仕入れ先との関係」「常連客リスト」など多くの無形資産があります。買収した飲食店をスムーズに引き継ぐには、こうした無形資産の引き継ぎを確実に実行することが不可欠です。
小規模な飲食店では、これらのノウハウがマニュアル化されていないケースも多く、前オーナーと一定期間並走しながらノウハウを習得する期間を設けることが重要です。条件が合うなら、一定期間サポートとして残ってもらう契約にするのも有効な方法です。
飲食店のM&A事例
実際にTRANBIを通じて飲食店のM&Aを実現した事例を2つ紹介します。どちらも個人・異業種からの参入で、「自分にも実現できるかもしれない」というイメージを持っていただける事例です。
立ち退きを迫られた讃岐うどん店を承継
うどん店の店主は、店舗が入居していたビルの取り壊しにより立ち退きを求められていました。自身が高齢なこともあり、M&Aによる売却を決意。
一方、買い手はおいしいうどんとスタッフの仕事ぶりを高く評価し、買収を決定しました。席数の増加や人件費の見直しにより、売上アップの余地があったこともポイントです。
買収金額自体は手頃な価格でしたが、M&A後に新店舗を開店する必要があり、追加投資が必要でした。デメリットを事前に正確に把握していたことで、スムーズに交渉が進んだ事例です。詳細は讃岐うどん店の成功事例をご覧ください。
唐揚げ・もつ煮店を500万円で承継し異業種参入
ECサイトを運営する買い手は、かねてより飲食店経営に興味を持っていました。M&Aプラットフォーム「トランビ」を活用し、わずか1カ月で魅力的な案件と出会うことができました。
売り手は新たな店舗のオープンに向けて売却を決意。唐揚げともつ煮が名物のこの飲食店は、もともとテイクアウトやデリバリーによる売上が多い業態で、業績は安定していました。
好条件の飲食店を500万円で買収できるという点に惹かれた買い手は、試食会や売り手との深い対話を通じてビジョンを伝え、競合他社を押さえて交渉成立となりました。詳細は唐揚げ店の成功事例をご覧ください。
飲食店のM&Aに関するよくある質問(FAQ)
飲食店のM&Aについて多く寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。相場・個人でもできるか・売却の進め方など、検討の入口で気になるポイントを中心に回答しています。
飲食店のM&Aの相場はいくらですか?
飲食店のM&A相場は100万〜250万円が一般的な目安です。ただし業態・立地・収益性・ブランド力などによって大きく変動します。価格算定の基本的な考え方は「時価純資産+実質営業利益の3〜5倍」で、立地の良さや固定客の多さが評価を高めます。0円で譲り受け可能な案件から数千万円規模の案件まで幅広く存在します。
個人でも飲食店のM&Aはできますか?
はい、個人でも飲食店のM&Aは十分に実現可能です。飲食店は他業種と比べてM&Aの相場が安価(100万〜250万円が目安)なことや、M&Aプラットフォームの普及により個人でも手軽に案件を探せる環境が整っています。自力で開業するより低コストで、既存の顧客基盤やブランドをそのまま引き継げる点が個人に人気の理由です。
飲食店を売却したい場合はどうすれば良いですか?
飲食店を売却したい場合は、M&AプラットフォームやM&A仲介会社に早めに相談するのがおすすめです。業績が安定しているうちに動くことで、より高い評価額での売却が期待できます。売却の流れは「案件登録→買い手とのマッチング→NDA締結→情報開示→店舗視察→交渉→最終契約・クロージング」が基本です。
飲食店のM&Aでよくある失敗は何ですか?
主な失敗パターンとして以下が挙げられます。第一に無形資産の引き継ぎ不足(レシピ・接客ノウハウ・仕入れ先との関係が引き継げずにリピーターを失う)。第二にデューデリジェンスの不足(財務状況や設備の老朽化を見落とす)。第三に資金計画の甘さ(買収後のリフォーム・設備更新・運転資金を過小評価する)。事前の十分な調査と計画が成功の鍵です。
飲食店のM&Aで注目される業態は何ですか?
現在特に注目されているのは焼肉・寿司・ラーメン・テイクアウト専門店・フードデリバリー対応店です。焼肉は年間を通じた収益の安定性が高く、企業による積極的な買収が続いています。テイクアウト・デリバリー対応店は消費者ニーズの変化を受けて引き続き需要が高い業態です。
まとめ
飲食店のM&Aは、相場が100万〜250万円と他業種より安価で、個人でも参入しやすいM&Aの代表格です。後継者不足・人手不足・物価高騰といった構造的な課題を背景に売り案件は増加しており、買い手にとっては選択肢が広がっています。
本記事のポイントは以下の通りです。
- 飲食店のM&A相場は100万〜250万円が目安。自力開業(800万円以上)より大幅に低コスト
- M&Aなら既存の顧客・ブランド・立地・スタッフをそのまま引き継げる
- 売り手側の売却相場も「時価純資産+実質営業利益の3〜5倍」が基本。業績が安定しているうちに動くのがポイント
- 注目業態は焼肉・寿司・テイクアウト専門・フードデリバリー対応店
- 買収後の成功には無形資産(レシピ・ノウハウ・人間関係)の引き継ぎが不可欠
- M&Aプラットフォームを活用すれば、個人でも短期間で案件と出会える
飲食店のM&Aを検討しているなら、まずはM&Aプラットフォーム「TRANBI」で案件を検索してみましょう。飲食店だけでも多数の案件が掲載されており、条件に合う案件がきっと見つかるはずです。