【2025年版】農業の事業承継とは?流れや補助金、税金対策まで徹底解説
農業の事業承継を検討中の方へ。2025年版として、親子承継・第三者承継の違いから具体的な進め方、補助金・税金対策まで、農業ならではのポイントをわかりやすく解説します。
農業経営の持続性に対する関心が高まる中、「後継者が見つからない」「事業承継の具体的な進め方や税務処理がわからない」といった深刻な課題に直面している経営者やM&A担当者の方も多いのではないでしょうか。
農業の事業承継は、単なる農地や設備の移転にとどまらず、長年培った栽培ノウハウ、独自の販路、そして地域社会との信頼関係といった、目に見えない無形の価値を引き継ぐ、極めて重要な経営戦略です
この記事では、まず日本の農業が直面する後継者不足の現状と課題を整理し、それを解決する手段としての事業承継、特に親子間承継および第三者承継(M&A)の具体的な方法と法務・税務手続きの流れを徹底的に解説します。
さらに、承継時の資金負担を大幅に軽減できる各種補助金・助成金制度の詳細や、承継スキームの設計において最も重要となる贈与税・相続税対策についても、専門的な視点から詳しくご紹介します。
本記事を最後までお読みいただくことで、農業の事業承継の全体像と実務的な論点を体系的に理解し、貴社の状況に最適な承継プランニングとM&A戦略の策定に向けた、具体的な第一歩を踏み出すことができるでしょう。
農業の後継者不足の現状と問題点
日本の農業は今、深刻な後継者不足と、それに伴う従事者の高齢化という二重の課題に直面しています。
農林水産省の調査によれば、2020年時点の基幹的農業従事者(主に農業に従事する者)は約136万3千人で、これはわずか5年前の2015年と比較して22%もの大幅な減少を示しています。
さらに深刻なのは、その年齢構成です。同年の農業従事者のうち、65歳以上が全体の約70%を占める一方、経営の将来を担うべき49歳以下の若手・中堅層は、全体のわずか11%に過ぎません。
この農業従事者の急速な高齢化と減少は、単に労働力が不足するという問題にとどまりません。長年培われてきた高度な栽培技術や経営ノウハウが断絶するリスク、管理されなくなった優良な農地が遊休化・荒廃する問題、そして地域の農業生産力の低下が食料安全保障や地域経済全体に及ぼす影響など、多層的な問題を引き起こしています。
一方で、異業種からの参入や新たなビジネスモデルに関心を持つ層も存在し、「今後農業をやってみたい」と答えた割合が23.2%に上るというデータもあります。
この意欲ある新たな担い手と、事業承継を必要とする既存の農業経営者をいかに効率的かつ円滑に結びつけるかが、今後の日本農業界の持続可能性を占う大きな鍵となっているのです。
農業の事業承継とは何か:親子・第三者承継の概要
農業の事業承継とは、農業経営者がその生涯をかけて築き上げてきた有形・無形の経営資源を、次世代の後継者へ円滑に引き継ぐ一連のプロセス全体を指します。
ここでの経営資源には、農地、トラクターなどの農業機械、ビニールハウスといった有形資産だけでなく、独自の栽培技術、長年の経験に基づく経営ノウハウ、JAや卸売市場・飲食店などの販路、そして地域社会や取引先との信用関係といった無形資産も含まれます。
これは単なる資産の移転ではなく、農業経営という「事業」そのものの継続と発展、ひいては地域の食料供給や経済を支える重要な取り組みです。
承継の方法は、伝統的に「親子承継(親族内承継)」が主流でしたが、前述の後継者不足を背景に、近年では親族以外の意欲ある第三者(個人または法人)へ、M&Aや専門のマッチングサービスを通じて事業を引き継ぐ「第三者承継」のケースが著しく増加しています。
承継の形態が個人事業主か、あるいは農業法人かによっても、必要となる法務・税務の手続きや留意点が大きく異なります。
跡継ぎ不足が社会問題化する現代において、M&Aを含む第三者承継は、リタイアを考える経営者にとっては事業の存続と創業者利益の確保を、新たに農業経営を始めたい参入者にとっては初期投資を抑えたスムーズなスタートを可能にする、双方にとって有効なソリューションとなり得るのです。
農業の事業承継の方法
農業の事業承継は、主に「親族内承継」と「第三者承継」の2つの方法に大別されます。それぞれの特徴、メリット、デメリットを深く理解し、経営状況や後継者の有無、経営者のビジョンに応じて最適な手段を選択することが重要です。
親族内承継
親族内承継は、経営者の子供や孫、あるいはその他の親族に事業を引き継ぐ、従来から最も一般的で、心情的にも受け入れられやすい方法です。
最大のメリットは、経営理念や長年培ってきた「暗黙知」とも言える技術・ノウハウ、そして地域社会との信頼関係を、時間をかけてスムーズに引き継ぎやすい点にあります。
後継者が幼少期から農業に触れている場合、経営や技術の習得が比較的容易であることも大きな利点です。
一方で、後継者となる親族がいない、あるいは承継の意思がないケースが近年増加しており、これが後継者不足の根本的な要因となっています。
また、仮に後継者候補がいても、経営方針を巡って親子間で対立が生じることも少なくありません。
さらに、相続人が複数いる場合には、農地や自宅などの資産分配を巡って「争続」トラブルに発展する可能性もあり、贈与税や相続税の専門的な対策を含めた、極めて計画的な準備が不可欠となります。
第三者承継
第三者承継は、親族以外の個人や、M&A(合併・買収)によって他の法人に事業を引き継ぐ方法です。後継者不在に悩む農業経営者にとっては、事業の継続と廃業の回避、従業員の雇用維持、そして事業の価値に見合った創業者利益を確保するための、現実的かつ強力な選択肢となります。
一方、新たに農業への参入を目指す個人や異業種企業にとっては、初期投資(特に農地や大型設備)を大幅に抑えつつ、既存の経営基盤(農地、設備、販路、技術)を一括で取得できるM&Aは、極めて魅力的な戦略です。
近年では、国や地方自治体、JA、さらには民間のM&A仲介会社が、後継者を探す農業経営者と新規参入希望者を結びつけるマッチング支援事業(農業経営承継事業など)にも力を入れています。
ただし、第三者承継では、従業員の雇用維持の条件、地域との関係性再構築、既存の取引先との調整など、親族内承継以上に丁寧な引継ぎプロセス(PMI)が求められます。
農業の事業承継のメリット
農業の事業承継は、事業を引き継ぐ「買い手側(後継者)」と、事業を託す「売り手側(現経営者)」の双方にとって、多くの戦略的メリットをもたらします。
特にM&Aを含む第三者承継においては、これらの利点を最大化する戦略的な計画が重要です。
買い手側のメリット
買い手側にとって、事業承継はゼロから農業を始める(新規就農)場合に比べて、経営リスクと初期コストを大幅に低減できる点が最大の魅力です。
【初期設備や経営基盤をまとめて活用できる】
ゼロから優良な農地を探し、トラクターやコンバイン、ビニールハウスといった高額な初期設備を一つ一つ導入するには、莫大な初期投資と時間が必要です。
事業承継(M&A)では、これらの経営基盤一式を「事業」として一括で引き継げるため、初期投資を数分の一に圧縮し、承継初年度から収益を生み出す経営、すなわち早期の黒字化を目指すことが可能になります。
【既存の販路やブランド価値を引き継げる】
農業経営において、生産技術と並んで重要なのが「販路の確保」です。どれだけ良い作物を作っても、安定的に販売する先がなければ収益にはなりません。
事業承継では、前経営者が長年かけて築き上げたJA、卸売市場、地域のスーパー、特定の飲食店、あるいは個人の消費者といった多様な取引関係(販路)や、地域で認知された農園の屋号(ブランド価値)をそのまま引き継げます。
これにより、承継直後から安定した収益基盤の上で経営をスタートできます。
【技術ノウハウと地域との信頼関係を承継できる】
農業は、その土地の気候や土壌に適した独自の栽培技術やノウハウの蓄積が収益性を左右します。事業承継では、一定期間の引継ぎ(OJT)を通じて、前経営者からの実践的な技術指導を受けることができます。
また、農業は地域コミュニティとの連携(水路の管理、農道の共同利用など)が不可欠であり、前経営者が築いた地域との信頼関係を引き継げることは、新規参入者が直面する最も大きな障壁の一つをクリアできるという点で、非常に大きなメリットとなります。
売り手側のメリット
売り手側(現経営者)にとっては、後継者不在による廃業という最悪のシナリオを回避し、築き上げてきた経営資産を次世代につなぐことができる点が大きなメリットです。
【後継者不在による廃業を回避し事業を継続できる】
自分の代で終わりにしたくないという思いは、多くの経営者に共通しています。大切に育ててきた農地や事業が、後継者がいないために廃業となり、優良な農地が荒廃してしまうことは、経営者にとって大きな負担となります。
事業承継、特にM&Aによって意欲ある第三者に事業を託すことで、経営を継続させ、優良な農地や雇用、そして地域の食文化を守ることができます。
【M&Aによる創業者利益の確保(老後資金)】
第三者承継(M&A)が適正な価格で成立した場合、経営者は事業の価値(営業権や純資産)に見合った対価(譲渡益)を現金で得ることができます。
これは、リタイア後の生活資金(老後資金)の不安を解消するだけでなく、新たな挑戦への元手ともなり得ます。
自身の事業を正当に評価してもらい、経済的な対価を得ることは、経営者自身のハッピーリタイアを実現する上で非常に重要な手段となります。
【従業員の雇用維持と地域経済への貢献】
もし廃業を選んだ場合、長年苦楽を共にしてきた従業員を解雇しなければなりません。これは経営者にとって非常に辛い決断です。
事業承継によって経営が継続されれば、原則として従業員の雇用は守られます(M&Aの条件交渉で雇用維持は最重要項目の一つとなります)。
これは、従業員とその家族の生活を守るだけでなく、地域の雇用維持という観点からも、経営者が果たせる大きな社会的貢献と言えます。
農業の事業承継のデメリット
一方で、農業の事業承継には特有のデメリットや、乗り越えるべきリスクも存在します。
これらを事前に認識し、契約や計画の段階で対策を講じることが、承継後のいわゆる「こんなはずではなかった」という事態を防ぐために不可欠です。
買い手側のデメリット
買い手側は、既存の経営資源を活用できる反面、農業特有のリスクや、M&Aに潜在する「目に見えない負債」を引き継ぐ可能性に注意が必要です。
【天候不順などによる収入の不安定リスク】
農業経営は、台風、旱魃(かんばつ)、長雨、冷夏といった天候不順や自然災害によって、収穫量や品質が大きく変動するリスクを本質的に抱えています。
承継によってどれほど優れた農地や技術を引き継いでも、この自然条件のリスクからは逃れられません。これにより、年度ごとの収入が不安定になる可能性は、事業計画を策定する上で常に織り込んでおく必要があります。
【高度な技術の習得に時間がかかる】
前経営者が長年の経験と勘で培ってきた高度な栽培技術や、地域の気候を読む知見は、マニュアル化が非常に難しい「暗黙知」です。
特に異業種からM&Aで参入した場合、前経営者と同等の品質や収量を維持できず、一時的に収益が落ち込むリスクがあります。
これを防ぐためには、前経営者に一定期間技術顧問として残ってもらうなど、十分な引継ぎ期間を契約に盛り込むことが重要です。
【簿外債務や老朽化した設備の引継ぎリスク】
M&Aの買収監査(デューデリジェンス)が不十分な場合、帳簿には表れない債務(簿外債務)や地域との隠れたトラブル、あるいは想定以上に老朽化が進んだ農業機械を引き継いでしまうリスクがあります。
これらは近い将来、高額な修繕費や更新費が発生する原因となり得ます。特に個人事業主からの承継では、財務諸表が十分に整備されていないケースも多く、資産・負債の精査には専門家の目が必要です。
売り手側のデメリット
売り手側にとっては、希望通りの条件で承継が進まないリスクや、長年育てた事業が変質してしまうといった精神的な側面でのデメリットが考えられます。
【必ずしも希望条件(価格・時期)で譲渡できるとは限らない】
M&Aによる譲渡価格は、客観的な事業価値評価(バリュエーション)と、譲受候補者の戦略(シナジーの評価)によって決定されます。
経営者が期待する「想い入れ」を含めた価格と、市場が評価する客観的な価格にはギャップが生じることが多く、希望額での売却が難航する場合があります。
また、最適なマッチング先が見つかるまでには相応の時間がかかり、希望する時期でのリタイアが実現できない可能性もあります。
【経営理念や長年の技術が引き継がれないリスク】
事業を譲渡した後、新しい経営者(特に異業種の法人など)がコスト削減や効率化を最優先するあまり、これまで大切にしてきた経営理念、品質へのこだわり、従業員の待遇、地域との関係性が失われてしまうリスクがあります。
これは、売り手側にとって「売らなければよかった」という後悔につながる、精神的に大きな苦痛となる可能性があります。これを防ぐには、価格面だけでなく、理念を共有できる相手先を選ぶことが重要です。
【交渉や手続きの負担と専門知識の必要性】
M&Aによる第三者承継は、秘密保持契約の締結から始まり、事業価値評価、候補先との交渉、デューデリジェンスへの対応、複雑な最終契約書の締結など、法務・税務・財務に関する専門的な交渉と手続きが連続するプロセスです。
信頼できるM&Aアドバイザーや専門家を見つけ、これらのプロセスに対応していくことは、日常の経営を行いながら進める経営者にとって、非常に大きな時間的・精神的負担となる場合があります。
農業の事業承継に活用できる主な補助金・助成金
農業の事業承継や、承継を機とした新規就農に際しては、国や自治体が提供する多様な補助金・助成金制度を活用できます。これらは資金面の負担を大幅に軽減するため、M&A担当者や経営者として必ず押さえておきたい情報です。
経営開始資金
経営開始資金は、独立・自営就農を目指す「認定新規就農者」に対して、経営開始初期の資金的な不安を緩和するために交付される支援金です。
これは設備投資ではなく、主に就農後の所得が安定するまでの生活費を支援する目的が強い制度です。農業経営を軌道に乗せる上で非常に重要な役割を果たします。支援内容は、交付期間中(最長3年間)、年間最大150万円(夫婦で就農する場合や特定の条件を満たす場合は増額あり)が交付されます。
対象となるには、原則として就農時の年齢が49歳以下であること、市町村から「認定新規就農者」として経営計画の認定を受けること、特定の所得要件や独立・自営就農の条件を満たすことなどが求められます。
農林水産省公式サイト:就農準備資金・経営開始資金
就農準備資金
就農準備資金は、都道府県が認める農業大学校や先進的な農業法人、地域の研修機関などで、就農に必要な実践的な技術や経営ノウハウを学ぶ研修生に対して支援される資金です。
これも経営開始資金と同様に、認定新規就農者向けの支援策の一環と位置付けられています。
支援内容は、研修期間中(最長2年間)、年間最大150万円が交付されます。対象となるのは、原則として就農予定時の年齢が49歳以下であり、研修終了後1年以内に独立・自営就農または雇用就農することを目指す者とされています。
M&Aで農業法人を引き継いだ後、新たな従業員が高度な技術研修を受ける際などにも活用が検討できるでしょう。
農林水産省公式サイト:就農準備資金・経営開始資金
経営発展支援
経営発展支援は、新規就農者が経営規模の拡大や新たな取り組み(例:スマート農業の導入、6次産業化のための加工設備導入など)を行う際に必要な、機械・施設の導入費用や果樹や茶の新植、改植などを支援する補助金です。
経営開始資金の交付対象者が、経営のステップアップを図るために活用できます。
補助対象経費の上限は最大1,000万円で、都道府県の判断でさらに上乗せされる場合もあります。補助率も都道府県が設定し、通常は補助対象経費の3/4以内とされています。
自営就農(独立・自営)であること、年齢要件(原則49歳以下)などを満たす必要がありますが、M&Aによる承継後の積極的な設備投資と経営革新を後押しする、最も強力な支援策の一つです。
農林水産省公式サイト:「初期投資への支援(世代交代・初期投資促進事業、経営発展支援事業)」
事業承継・引継ぎ補助金
「事業承継・引継ぎ補助金」は、中小企業庁が管轄する、事業承継やM&Aを全国的に促進するための補助金であり、農業分野の事業承継にも広く活用されています。この補助金は、親子承継と第三者承継の両方に対応している点が大きな特徴です。
支援類型には、M&A(第三者承継)を実行する際にかかる専門家活用費(M&A仲介手数料、デューデリジェンス費用、弁護士・税理士への相談費用など)を補助する枠(「専門家活用枠」)や、事業承継後の経営革新(新たな設備投資、販路開拓、システム導入)を支援する枠(「経営革新枠」)などが設けられています。
補助率は事業類型や経費内容によって異なります。例えば、専門家活用費用(買い手側・売り手側双方)の1/2〜2/3程度が補助される場合があり、M&Aを実行する際のコスト負担を大きく軽減できます。
公募回によって要件や対象経費、申請スケジュールが変動するため、常に経済産業省や中小企業庁の最新の公募要領を確認することが不可欠です。
独立行政法人 中小企業基盤整備機構公式サイト:「事業承継・M&A補助金」
農業の事業承継の流れ:親子・第三者ごとの手続き
農業の事業承継を円滑に進めるためには、場当たり的ではなく、計画的なステップを踏むことが不可欠です。特に親子間承継と第三者承継(M&A)では、後継者の選定プロセスや法務・税務手続きにおいて、進め方が大きく異なります。
STEP1:現状把握と後継者選定
承継の第一歩は、現在の経営状況を客観的に把握し、「見える化」することから始まります。
資産(農地、設備、在庫)と負債(借入金など)のバランス、年間の収益性、栽培技術や販路といった自社の強み・弱みを明確にする「経営分析」を行います。
親子承継の場合は、この現状分析を基に、後継者候補である親族と「本当に継ぐ意思があるのか」という点を含め、経営方針や承継の時期について真剣な対話を開始します。
第三者承継(M&A)の場合は、この分析結果が、M&A仲介会社に提示する資料(ノンネームシート、企業概要書)の基礎となり、譲渡価格や承継条件を検討する上での土台となります。
同時に、M&A仲介会社やマッチングプラットフォームへの登録、あるいは地域のJAや商工会議所への相談を通じて、承継先となる第三者候補の選定(ロングリスト・ショートリストの作成)を秘密裏に進めます。
STEP2:承継計画・手続き準備
後継者(候補)が具体的に決定したら、承継に向けた詳細な「事業承継計画」を作成します。
この計画書は承継のロードマップであり、承継の具体的な時期、承継後の経営目標、将来のビジョン、承継する資産の範囲(自宅や関連資産をどうするか)、従業員の処遇などを明記します。
特に重要なのが、この段階で補助金の活用計画と税務対応スキームを固めることです。
例えば、親子承継であれば贈与税の納税猶予制度を活用するのか、M&Aであれば事業譲渡と株式譲渡(法人の場合)のどちらが税務上・法務上有利なのかを、この段階で税理士や中小企業診断士などの専門家を交え、徹底的にシミュレーションし、最適なスキームを検討します。
同時に、農地法に基づく権利譲渡の許可申請準備(農業委員会との事前相談)、各種契約書類(贈与契約書、事業譲渡契約書、株式譲渡契約書など)のドラフト作成、法務局への登記準備など、実務的な手続きの準備を並行して進めます。
STEP3:承継実行・法務登記
承継計画に基づき、最終的な契約を締結し、実際の承継を実行します。
親子承継(贈与)の場合は、資産の名義変更、贈与契約の締結、および税務署への贈与税の申告(納税猶予の適用申請を含む)を行います。
第三者承継(M&A)の場合は、最終的な条件交渉とデューデリジェンス(買収監査)を経て、事業譲渡契約や株式譲渡契約を締結し、契約で定められた日(クロージング日)に代金決済と資産の引渡し(経営権の移転)を実行します。
個人事業主の場合、現経営者の「廃業届」と後継者の「開業届」(および青色申告承認申請書など)を税務署に提出することが同時に必要となるケースが多いです。
また、農業承継において最大のハードルとも言えるのが、農地の所有権や賃借権を移転するための農業委員会の許可(農地法第3条または第5条)です。
この法務手続きを確実に完了させ、各種許認可(例:JAS認定など)の名義変更を終えることが、承継の最終的な完了ステップとなります。
農業の事業承継の跡継ぎ不足解消方法
農業の事業承継における最大の課題は、依然として「跡継ぎ不足」です。親族内に後継者が見つからない場合、廃業を選択する前に、外部の意欲ある第三者へ事業を引き継ぐ道を積極的に模索する必要があります。
ここでは、その構造的な課題を解決するための具体的な解消方法として、公的支援から民間のマッチングサービス、専門家の活用までを詳しく解説します。
公的機関・地域連携による跡継ぎ募集
跡継ぎ不足を解消する第一歩は、身近な公的機関や地域ネットワークへの相談です。地域のJA(農協)や自治体の農政課、農業委員会は、地元の就農希望者やUターン・Iターン希望者の情報を把握している場合があります。
また、「全国新規就農相談センター」や各都道府県の就農支援センターでは、農業を始めたい新規就農希望者向けの研修制度や支援策(前述の経営開始資金や就農準備資金)の情報提供と、後継者を探す経営者とのマッチングを積極的に行っています。これらの制度を活用し、まずは研修生として受け入れた後に、適性を見極めて後継者として事業承継する、といった長期的な育成プランも有効な選択肢です。
M&Aマッチングサービスの活用
より広範かつスピーディーに後継者候補を探す方法として、民間のM&Aマッチングサービスの活用が急速に普及しています。
M&Aプラットフォームや、広く中小企業のM&Aを扱う大手のマッチングサービスには、農業への新規参入や規模拡大(スケールメリットの追求)を目指す、意欲的な企業や個人が多数登録しています。
これらのサービスは、後継者を探す農業経営者と譲受希望者をオンライン上で効率的に結びつけます。
M&Aマッチングサービスを選ぶ際は、単なる登録案件数だけでなく、農業分野の特性(農地法、各種補助金、特有の技術承継の難しさなど)に精通したアドバイザーが在籍しているかが、重要な選定基準となります。
また、利用料金体系(着手金・中間金の有無、成功報酬の料率)や、サポートの範囲(企業価値評価、交渉、契約書作成支援など)を慎重に見極める必要があります。
M&A専門家による支援の活用
M&Aによる第三者承継は、法務・税務・経営に関する高度な専門知識が不可欠であり、経営者一人の力で完結させることは困難です。特に跡継ぎ不足解消の切り札としてM&Aを成功させるためには、専門家の支援活用が鍵となります。
農業M&Aの支援実績が豊富な仲介会社やコンサルティングファームは、事業価値評価(バリュエーション)から交渉戦略の立案、クロージング(最終契約)までを一貫してサポートします。
税務面では、M&Aの最適なスキーム(株式譲渡か事業譲渡か)策定に強い税理士の関与が必須です。また、「事業承継・引継ぎ補助金」の複雑な申請サポートについては、中小企業診断士や認定経営革新等支援機関が頼りになります。
最も重要なのは、これらの専門家が連携してチームを組み、経営者のビジョン(価格や時期、従業員の処遇など)に沿った最適な承継プランを構築・実行することです。その結果として、跡継ぎ不足という課題を確実に解決していくことが期待できます。
農業の事業承継における注意点
農業の事業承継は、計画から実行、そして承継後の経営安定化まで、多くの注意点が存在します。
特に補助金の申請や、農業特有の法務・税務手続きには、専門的な知見に基づいた「落とし穴」の回避が求められます。
補助金申請時の注意点
農業関連の補助金(経営発展支援や事業承継・引継ぎ補助金など)は、人気が高く予算にも限りがあるため、採択率を上げるには周到な準備が必要です。最大の注意点は、申請書類の不備をなくすことです。
公募要領を隅々まで徹底的に読み込み、定められた要件を全て満たした、具体的かつ説得力のある事業計画書を作成することが求められます。
特に事業計画書では、「なぜその投資(設備導入やM&A)が必要なのか」「それによって経営がどう改善・発展するのか(売上高、利益率、雇用など)」を、客観的な数値目標と共に論理的に示す必要があります。
また、ほとんどの補助金は「後払い(精算払い)」が原則です。つまり、一度全額を自己資金(または融資)で支払い、事業完了後の検査を経て、数か月後に補助金が振り込まれます。
申請から採択、事業実施、そして実際の入金までには、1年近くかかるケースも珍しくありません。したがって、その間の資金繰り計画(つなぎ融資など)も非常に重要です。
税務・法務手続きの落とし穴
農業承継特有の「落とし穴」として、農地法の手続きと、税務上の特例の複雑さが挙げられます。
第一に、農地の売買や賃借には、いかなる場合も市町村の農業委員会の許可(農地法第3条または第5条)が必須です。この許可が得られなければ、農地の移転ができず、M&A契約の履行に重大な支障が生じるおそれがあります。
特に、買い手側が農地法上の要件(例:農地所有適格法人であること)を満たせるかは、M&Aの初期段階で確認すべき最重要事項です。
第二に、税務面での「農地等の納税猶予」などの特例は、適用要件が非常に厳格であり、かつ承継後も継続的な報告が義務付けられます。
もし承継後に要件(例:農業経営の継続、一定の農業従事)を満たさなくなると、猶予されていた高額な税額全額を納付しなければなりません。その際には、高率な利子税も合わせて一括納付となるため、非常に重いペナルティとなります。
これらのリスクを回避するためには、承継計画の初期段階から農業に精通した税理士や行政書士の関与が不可欠です。
承継後の経営安定化
事業承継は、資産や権利の移転が完了すれば終わりではありません。むしろそこからが本当のスタートです。
特に第三者承継(M&A)の場合、後継者がいかに早く新しい経営者として従業員や地域の信頼を獲得し、前経営者の「暗黙知」である技術やノウハウを習得するかが、その後の経営を左右します。この承継後の統合プロセスをPMI(Post Merger Integration)と呼びます。
承継後の経営安定化のためには、一定期間(例えば1〜3年)、前経営者に顧問やアドバイザーとして残ってもらい、技術指導や主要な取引先への引継ぎをサポートしてもらう体制を整えることが非常に有効です。
また、承継を機に、前経営者とは異なる視点で新たな販路開拓に取り組んだり、スマート農業を導入して効率化を図ったり、6次産業化(加工・販売)へ挑戦するなど、既存の経営資源を活用した新たな成長戦略を描き、実行していくことが重要です。
農業の事業承継時の税務・贈与税対策
農業の事業承継において、税務対策、特に贈与税・相続税への対応は、承継プランそのものを左右する最も重要な課題の一つです。
農地や設備といった資産価額が非常に大きいため、対策の有無が後継者の経営基盤に致命的な影響を与えかねません。
贈与税・相続税の基本
親子間などで農地や農業用設備を無償または低額で譲り渡す(生前贈与する)場合、原則として後継者に高額な「贈与税」が課税されます。経営者が亡くなった際に資産を引き継ぐ(相続する)場合は「相続税」の対象となります。
農業経営は土地(農地)や設備など多額の資産を必要とするため、これらの税負担が後継者の資金繰りを圧迫し、承継を断念させる最大の要因の一つとなってきました。
この問題を解決するため、農業に関しては「農地等の贈与税・相続税の納税猶予及び免除制度」という、他の業種にはない極めて強力な特例制度が設けられています。
この制度は、一定の要件(後継者が認定農業者である等)を満たす後継者が農地等を承継した場合、課税される贈与税や相続税の納税をいったん猶予する仕組みです。
後継者が一定期間農業経営を継続するなどの条件を満たせば、猶予されていた税額が全額免除される可能性があります。ただし、適用要件が非常に厳格であり、承継後も継続的な報告義務があるため、適用には農業に精通した税理士との綿密な計画が不可欠です。
※参考: 国税庁サイト「農業相続人が農地等を相続した場合の納税猶予の特例」
承継に伴う所得税・青色申告
個人事業主として農業を営んでいる場合、事業承継は所得税の観点からも重要な手続きが伴います。
事業を承継(贈与または相続)した場合、後継者は前経営者とは別人格となるため、原則として「青色申告」の承認申請を税務署に新たに行う必要があります(承継後一定期間内)。
実務上は、前経営者が「廃業届」を提出し、後継者が「開業届」を提出するという手続きを踏むのが一般的です。
この際、減価償却資産(機械や設備)の引継ぎ価額(簿価か時価か)や、前経営者から引き継いだ在庫(棚卸資産)の評価額の計上など、後継者の所得計算に大きく影響する専門的なポイントが多数あります。
また、農業経営を法人化(農業法人)している場合は、承継は「株式」の承継(贈与または相続)となります。
この場合、非上場株式の評価(株価算定)や法人版の事業承継税制(納税猶予)の活用など、個人事業主とは全く異なる論点が生じます。
内容は高度で複雑なため、ここでも専門家の知見が不可欠です。
※参考: 農林水産省「農業経営者のみなさん - 青色申告」
経営承継・税務調整のポイント
M&Aや第三者承継を検討する場合、税務上の調整(タックスプランニング)はさらに複雑になります。
例えば、法人のM&Aにおいて、「株式譲渡」スキーム(会社の所有権を丸ごと移転)を選ぶか、「事業譲渡」スキーム(特定の事業や資産だけを選んで売買)を選ぶかによって、売り手側の法人税(または所得税)や、買い手側の消費税・不動産取得税の負担が全く異なってきます。
M&Aの交渉初期段階で、承継対象となる資産と負債を正確に把握し、過去の決算書や各種証憑(契約書や領収書など)を整理・整備しておくことが、円滑なデューデリジェンス(買収監査)と適正な事業価値評価(バリュエーション)の絶対的な前提となります。
売り手側・買い手側双方にとって税負担を最小化し、かつ法務リスクを回避できる最適な承継スキームを選択するためには、農業分野とM&A税務の両方に精通した税理士のサポートが極めて重要です。
TRANBIを活用した農業の事業承継の事例
後継者不足が深刻な課題となっている農業分野においても、M&Aプラットフォーム「TRANBI」を活用した事業承継が行われています。
大切な農園やノウハウを、熱意ある第三者へスムーズに引き継いだ事例は、多くの売り手様にとって参考になります。
ここでは、異業種から参入した法人と、未経験から挑戦した個人の2つの具体的な事例をご紹介します。
300万円で「畑とノウハウ」を獲得。M&Aで農業にスピード参入
自動車関連事業などを手掛けるA社は、将来性を見据えた事業多角化の一環として、第一次産業への参入を検討していました。しかし、農業は全くの未経験であり、社内にノウハウがないことが最大の課題でした。
そこで、「ノウハウが得られ、スピーディーに参入できること」を条件に、M&Aプラットフォーム「TRANBI」で案件を探し始めます。ほどなくして、「畑とノウハウ」をセットで譲渡するという、まさに希望通りの案件を発見しました。
売り手様も「スピーディーに事業譲渡をしたい」という意向を持っていたため、交渉は迅速に進展。買い手であるA社は、複数社を経営する安心感と交渉のスピード感を評価され、最終的に選ばれました。
結果として、面談からわずか2週間弱という驚異的な早さで事業譲渡契約を締結しました。300万円という低リスクな投資で、農業参入の足掛かりを得ることに成功しました。
A社の代表は、「M&Aを活用せずにゼロから農業を始めるとなると、行政手続きや各種許認可の取得だけでも膨大な時間と手間がかかり、実現しなかった可能性もある」と語ります。
この事例は、ノウハウや許認可といった「目に見えない資産」も承継できるM&Aが、いかに新規参入のハードルを下げるかを示しています。
農業の売り手様にとって、ご自身の畑や苦労して培った技術を、熱意ある異業種の企業にスピーディーに託せる点は、TRANBI活用の大きなメリットと言えるでしょう。
譲渡からわずか5か月で、買い手は近隣の休耕地も引き受けて作付面積を8倍に拡大しており、承継した事業がさらに発展している好事例となっています。
◆成約インタビュー:300万円で「畑と農業のノウハウ」を獲得!M&Aを活用して異業種から農業に新規参入
経験ゼロから農家に挑戦。後継者を探す農園を引き継いだフリーアナウンサー
フリーアナウンサーとして活躍するB氏は、コロナ禍で自身の仕事を見つめ直した結果、「農業を正しく学び、発信したい」という想いを強くしました。そんな折、知人を通じて「後継者がおらず、今年で辞めようと考えている」という、みかん農家の方と出会います。
「やり方は教えるし、毎日来なくてもいいからやってみる?」という軽い誘いに、「やってみたいです!」と即答。B氏の「やる!」と決めたら貫き通す性格もあり、子育てと両立しながら経験ゼロで農業の世界に飛び込みました。
しかし、2年目、3年目はイノシシの被害で売上がほぼゼロになるなど、現実は厳しいものでした。それでも農業を続けられたのは、勉強会を通じて出会った仲間の農家たちの「大丈夫?」といった温かい支えがあったからだと言います。
その後、経営的な視点からみかん農園の継続を断念しますが、その経験を活かし、新たに後継者を探していた「かぼす農園」を引き継ぐことを決意しました。現在ではかぼす農家として売上も安定し、規格外品を使った商品開発にも挑戦されています。
B氏は、「もし一人でイチから始めていたら、不安で挫折していたと思う。環境を引き継ぎ、ノウハウを教えていただけたからこそ不安はなかった」と、事業承継のメリットを語ります。
「苗から育てると収穫まで3〜4年かかるが、後継者を求めている農園を引き継いだ方がメリットは大きい」と、経験者だからこその実感を口にされています。
この事例は、農業の売り手様にとって、たとえ買い手様が経験ゼロの個人であっても、その熱意と人柄を信じて託すことで、大切な農園が未来につながっていく可能性を示しています。TRANBIは、こうした「想い」の承継もサポートしています。
◆成約インタビュー:経験ゼロから農家に挑戦したフリーアナウンサー 兼 子育てママ!農業の魅力と、農園を引き継ぐメリットを聞いてみた
農業の事業承継に関するよくある質問
農業の事業承継に関して、経営者やM&A担当者から寄せられることの多い、実務的な質問とその回答をまとめました。
親子承継で利用できる補助金は?
はい、親子承継であっても、第三者承継と同様に利用できる補助金はあります。代表的なものが「事業承継・引継ぎ補助金」です。
この補助金は、親族内承継であっても、承継(贈与や相続)を機に後継者が主体となって新たな経営革新(新しい設備の導入、スマート農業への投資、販路開拓の取り組みなど)を行う場合の費用を支援する「経営革新枠」が設けられています。
また、後継者が認定新規就農者の要件(原則49歳以下など)を満たせば、前述の「経営開始資金」(生活支援)や「経営発展支援」(設備投資補助)といった、新規就農者向けの強力な支援制度も併用できる可能性があります。
重要なのは、単なる資産の引継ぎだけでなく、「承継を機に経営を発展させる」という明確な事業計画を示すことです。
申請には詳細な事業計画書の作成が必要となるため、中小企業診断士や認定支援機関などの専門家の支援を受けることをお勧めします。
贈与税・相続税対策はどう進める?
農業経営における贈与税・相続税対策の王道は、「農地等の納税猶予及び免除制度」をいかに安全に活用するかです。
この特例を適用するためには、後継者の要件(認定農業者であること、一定の農業従事日数など)や、対象となる農地の要件などを、承継前から承継後まで継続して厳格に満たす必要があります。
対策を進める第一歩は、現状の資産(特に農地)の評価額(路線価や倍率)を正確に把握し、仮に今相続が発生した場合の概算税額をシミュレーションすることです。
その上で、納税猶予制度の適用が現実的か(要件を満たせるか、リスクはないか)、あるいは暦年贈与や相続時精算課税制度、M&A(事業譲渡)による現金化など、他の方法が有利かどうかを、農業に強い税理士と共に徹底的に比較検討します。
特例の適用には農業委員会への申請など複雑な手続きが伴うため、計画は5〜10年単位で早めに開始し、プロに依頼すべきポイント(税務シミュレーション、特例適用の判断、申告手続き)を明確にすることが重要です。
跡継ぎ募集・第三者承継はどう進める?
親族内に後継者がいない場合、まずは公的な支援機関に相談することから始めます。
地域のJA(農協)、農業委員会、自治体の農政課、または都道府県の「農業次世代人材投資事業」の窓口(就農支援センターなど)が最初の相談先となります。
これらの機関が、地域の就農希望者やUターン希望者、「農業経営承継事業」などの公的マッチング制度を紹介してくれる場合があります。
より積極的にM&A(事業売却)として、自社の価値を評価してもらい、創業者利益を得たいと考える場合は、農業分野に支援実績のあるM&A仲介会社や、中小企業専門のマッチングプラットフォームに登録するのが最も効率的です。
これらのサービスを利用する際は、そのサービスが農地法や農業特有の事情(技術承継の難しさ)にどれだけ精通しているか、料金体系(特に成功報酬)は明確か、秘密保持は徹底されているか、といった点に注意して、信頼できるパートナーを選定する必要があります。
いずれの場合も、譲渡したい経営の強みや資産状況を、企業概要書などの形で分かりやすく資料化しておくことが、良いマッチングへの第一歩となります。
まとめ
農業における事業承継は、後継者不足という深刻な課題を乗り越え、日本の食料生産と地域経済を守るための重要な経営戦略です。
本記事で解説したように、親子間承継、第三者承継(M&A)のいずれを選択するにせよ、早期の計画着手、正確な現状把握、そして税務・法務の専門的対策が成功の鍵を握ります。
特に、親族内に後継者が見つからない場合、M&Aやマッチングサービスを通じた第三者承継は、もはや特別な選択肢ではなく、現実的で有力な選択肢の一つとなっています。売り手側には創業者利益の確保と事業存続を、買い手側には初期投資を抑えた迅速な事業展開を可能にします。
こうした第三者承継を効率的かつ透明性高く進める上で、「TRANBI(トランビ)」のようなM&Aマッチングプラットフォームを活用することは非常に有効です。TRANBIには、農業分野を含む多様な業種のM&A案件が登録されており、意欲ある買い手(企業・個人)と直接コミュニケーションをとることが可能です。
農業の未来を次世代につなぐため、まずはTRANBIでどのような農業案件が求められているのか、どのような譲渡希望が出ているのかを確認し、自社に合う選択肢がないか検討するところから始めてみてください。
