後継者不足はM&Aで解決できる|事業承継の進め方をわかりやすく解説

後継者不足はM&Aで解決できる|事業承継の進め方をわかりやすく解説

後継者不足は、国内企業の約半数が直面する課題です。本記事では、後継者不在率や黒字廃業・後継者難倒産といった最新データをふまえ、親族内承継・社内承継・M&A(第三者承継)の3つの解決策を比較。後継者がいなくても、M&Aで会社を残し雇用を守る方法を、進め方とともにわかりやすく解説します。

目次

「会社は黒字なのに、継いでくれる人がいない」——後継者不足は、いま多くの中小企業の経営者が直面する深刻な課題です。帝国データバンクの調査では、2024年の後継者不在率は52.1%、2025年は50.1%と改善傾向にあるものの、依然として約半数の企業に後継者がいません。一方で経営者の高齢化は止まらず、後継者がいないまま廃業や倒産に至るケースも後を絶ちません。

本記事では、後継者不足の最新の現状とその原因、放置した場合のリスク、そして解決策としての「M&A(第三者承継)」を、後継者問題に悩む経営者の方に向けてわかりやすく解説します。とくに、親族や社内に後継者がいなくても、M&Aを利用することで会社や事業を残し、従業員の雇用や取引先との関係を守れるという点を、具体的な進め方とともに掘り下げます。

「自分の代で会社を畳むしかないのか」と悩む前に、ぜひ最後までご覧ください。M&Aの基礎から知りたい方はM&A、事業承継全般は事業承継の記事もあわせてご覧ください。

中小企業の後継者不足の現状

まずは、後継者不足が現在どのような状況にあるのか、最新のデータから見ていきましょう。「改善している」という側面と、「依然として深刻」という側面の両方を押さえることが大切です。

後継者不在率は約半数|改善傾向だが依然高水準

帝国データバンクの調査によると、全国の後継者不在率は2024年に52.1%、2025年に50.1%でした。後継者不在率はここ数年改善が続いており、調査開始以来の低水準を更新しています。事業承継の相談窓口や支援制度が全国に普及し、その重要性が広く認知されてきたことが、改善の背景にあるとされています。

とはいえ、依然として国内企業の約半数には後継者がいない状態です。改善のペースも近年は鈍化傾向にあり、後継者不足が解消に向かったと安心できる状況ではありません。

参考:全国「後継者不在率」動向調査(2025年)|株式会社 帝国データバンク

経営者の高齢化が進み「待ったなし」の状況

後継者不足を深刻にしている最大の要因が、経営者の高齢化です。社長の平均年齢は年々上昇を続けており、2024年時点で60歳を超えています。とくに団塊の世代が後期高齢者となる「2025年問題」を迎え、引退時期に差しかかった経営者が急増しています。

事業承継には、後継者の選定・育成も含めると一般に数年〜10年程度の準備期間が必要とされます。高齢になってから準備を始めても、病気や不測の事態で間に合わないリスクが高まります。後継者不足は、「時間との戦い」という側面を持つ、待ったなしの経営課題なのです。

親族承継は減り「第三者承継(M&A)」が増加

かつて中小企業の事業承継は、経営者の子どもなど親族が継ぐ「親族内承継」が当たり前でした。しかし近年は、少子化や価値観の変化により、子どもや親族が承継するケースは減少しています。実際、後継者候補として最も多いのは「非同族」であり、親族間での承継は消極的な傾向が続いています。

その結果として存在感を増しているのが、M&Aや外部招聘といった「第三者承継」です。血縁にこだわらず、社外の第三者へ経営を引き継ぐ「脱ファミリー化」が加速しており、M&Aは後継者不足を解決する現実的な選択肢として定着しつつあります。

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なぜ後継者不足が起きるのか

そもそも、なぜこれほど後継者不足が広がっているのでしょうか。背景には、いくつかの構造的な要因があります。

少子化と価値観の変化で「親族が継がない」

最大の要因は、少子化と価値観の多様化です。子どもの数自体が減っているうえ、子どもが別のキャリアを選び、家業を継がないケースも増えました。「子が親の会社を継ぐのが当たり前」という時代ではなくなり、親側も「無理に継がせたくない」と考えるようになっています。

事業の将来性への不安・後継者の負担

経営者自身が事業の将来性に不安を感じ、後継者に引き継ぐのをためらうケースもあります。先行き不透明な事業や、多額の借入金・個人保証を、子どもや従業員に背負わせることへの心理的なハードルは小さくありません。後継者候補がいても、こうした負担を理由に承継が進まないことがあります。

後継者の育成には時間がかかる

仮に後継者候補がいても、経営を任せられる人材に育てるには、長い時間と計画が必要です。経営知識・リーダーシップ・取引先や金融機関との関係構築などを身につけるには数年単位の準備が要ります。経営者が高齢になってから慌てて準備を始めても間に合わず、結果として後継者不在のまま時間切れになってしまうケースが少なくありません。

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後継者不足を放置するとどうなるのか

後継者不足を解決しないまま経営者が引退時期を迎えると、会社や事業は深刻な事態に陥ります。具体的にどのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。

黒字でも「廃業」せざるを得ない

後継者不足の最も残念な結末が、黒字でも廃業に追い込まれる「黒字廃業」です。経営状態に問題がなく、利益が出ていても、引き継ぐ人がいなければ事業は続けられません。

帝国データバンクの調査では、2024年の休廃業・解散は約6.9万件と過去最多を記録しました。70代以上の高齢経営者によるものが6割超を占め、経営者の高齢化と後継者不足が廃業を後押ししている実態がうかがえます。廃業すれば、長年築いた技術・顧客・ブランドはすべて失われてしまいます。

参考:全国企業「休廃業・解散」動向調査(2024年)|株式会社 帝国データバンク

「後継者難倒産」のリスク

後継者がいないことで事業継続が困難になり、倒産に至る「後継者難倒産」も深刻です。帝国データバンクによると、2024年度の後継者難倒産は507件と、過去2番目の高水準でした。その多くは「経営者の病気・死亡」がきっかけであり、後継者を決めないまま不測の事態を迎えるリスクを物語っています。

「まだ元気だから大丈夫」と先延ばしにしているうちに、突然の病気や事故で事業が立ち行かなくなる——これは決して他人事ではありません。

参考:後継者難倒産の動向調査(2024年度)|株式会社 帝国データバンク

従業員・取引先・地域への影響

会社の廃業や倒産は、経営者だけの問題では終わりません。従業員は職を失い、取引先は重要な仕入先や販売先を失います。とくに地域の雇用を支えてきた企業の廃業は、地域経済全体に大きな影響を及ぼします。長年培ってきた技術やノウハウが失われることは、社会全体にとっても損失です。だからこそ、後継者不足は「自社だけの問題」ではなく、早めに手を打つべき課題だといえます。

後継者不足の解決策|3つの承継方法を比較

後継者不足を解決し、事業を次の世代へ引き継ぐ方法は、大きく3つに分けられます。それぞれの特徴を理解し、自社に合った方法を選びましょう。

①親族内承継|子どもや親族へ引き継ぐ

経営者の子どもや親族へ引き継ぐ、従来からの方法です。関係者の理解を得やすく、早くから準備・育成ができるのがメリットです。一方で、前述のとおり少子化や価値観の変化で、継ぐ意思のある親族がいないケースが増えています。後継者候補がいる場合でも、育成に時間がかかる点は考慮が必要です。

②社内承継|役員・従業員へ引き継ぐ

会社の役員や従業員へ引き継ぐ方法です。事業をよく理解した人材に任せられる強みがあります。しかし、後継者候補に株式を買い取る資金力がないことや、経営者の個人保証を引き継ぐ負担が障壁になりやすく、実現のハードルは決して低くありません。

③M&A(第三者承継)|社外の相手へ引き継ぐ

親族にも社内にも後継者がいない場合に、最も有力な選択肢となるのがM&Aによる第三者承継です。株式譲渡事業譲渡といった手法で、会社や事業を社外の第三者へ引き継ぎます。

かつてM&Aには「身売り」といったネガティブなイメージもありましたが、現在は後継者不足を解決する前向きな手段として広く受け入れられています。実際、後継者候補は「非同族」が最多となり、M&Aや外部招聘による「脱ファミリー化」が事業承継の主流になりつつあります。

3つの承継方法の比較
親族内承継:理解を得やすいが、継ぐ親族がいない/育成に時間
社内承継:事業を理解した人に任せられるが、資金力・個人保証が障壁
M&A(第三者承継):候補がいなくても広く相手を探せる。売却益も得られ、廃業を回避できる
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M&Aで後継者問題を解決するメリット

親族や社内に後継者がいない場合でも、M&A(第三者承継)であれば事業を残せます。後継者不足に悩む経営者にとって、M&Aには次のような大きなメリットがあります。

廃業を回避し、会社・事業を存続できる

最大のメリットは、廃業せずに会社や事業を残せることです。後継者がいなくても、M&Aで意欲ある第三者へ引き継げば、長年築いた技術・顧客・ブランドを次の世代へつなげます。「自分の代で終わらせたくない」という経営者の想いを実現できる、前向きな選択肢です。

従業員の雇用と取引先との関係を守れる

廃業すれば従業員は職を失いますが、M&Aで事業を引き継げば、従業員の雇用を守れます。中小企業のM&Aでは、買い手が従業員の継続雇用を望むケースが多く、働く場所を残せます。取引先との関係も維持され、長年支えてくれた関係者への影響を最小限に抑えられます。

創業者利益(売却益)を得られる

廃業では、資産の処分や原状回復などでむしろコストがかかることもあります。一方、M&Aで会社や事業を譲渡すれば、その対価(売却益)を受け取れます。これは、引退後の生活資金や新たな挑戦の原資になります。長年経営に注いできた努力を、最後に「創業者利益」として回収できるのは、M&Aならではのメリットです。

個人保証(経営者保証)から解放される

多くの中小企業の経営者は、会社の借入金に対して個人保証(経営者保証)を負っています。M&A(とくに株式譲渡)で会社を引き継ぐ際、この個人保証を買い手や金融機関との交渉で解除できれば、経営者は重い保証の負担から解放されます。後継者候補が個人保証を嫌って承継をためらうケースが多いなか、これは大きな利点です。

買い手の経営資源で事業がさらに成長することも

引き継ぎ先の買い手が持つ資金力・販路・ノウハウによって、これまで実現できなかった事業の成長が期待できる場合もあります。後継者不足で先細りが心配だった事業が、新しいオーナーのもとで再び活気を取り戻すことは珍しくありません。従業員にとっても、より大きな成長機会が生まれます。

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M&Aによる事業承継の進め方・流れ

実際にM&Aで後継者問題を解決するには、どのように進めればよいのでしょうか。基本的な流れを見ていきましょう。M&A全体の進め方はM&Aの流れもあわせてご覧ください。

基本の5ステップ

後継者不在の会社・事業のM&Aは、おおむね次のステップで進みます。

  1. 準備・自社の整理:自社の強み・財務・譲渡条件を整理し、譲渡の希望(価格・従業員の雇用維持など)を明確にする
  2. 相手探し・マッチング:M&Aプラットフォームや支援機関で、引き継いでくれる買い手を探す
  3. 交渉・面談:買い手候補と面談し、価格や引き継ぎ条件、事業への想いをすり合わせる
  4. 基本合意・デューデリジェンス:条件に合意したら、買い手によるデューデリジェンス(買収監査)を受ける
  5. 最終契約・引き継ぎ:株式譲渡または事業譲渡の契約を結び、従業員・取引先へ引き継ぐ

準備から成約まで、一般に半年〜1年程度かかることが多いですが、案件によってはよりスピーディーに進むこともあります。いずれにせよ、経営者が元気なうちに、早めに動き出すことが成功の前提です。

引き継ぎ先(買い手)はどう探す?

後継者となる買い手を探す主な方法は次のとおりです。

  • M&Aプラットフォーム:インターネット上で、全国の買い手候補と直接つながれる。小規模でも使いやすく、後継者を探す売り手と、事業を引き継ぎたい買い手をマッチングできる
  • 事業承継・引継ぎ支援センター:各都道府県に設置された公的機関。後継者人材バンクなどで個人の買い手とのマッチングも支援
  • 金融機関・専門家:取引のある金融機関や顧問税理士などから、買い手を紹介してもらう

とくに近年は、M&Aプラットフォームの普及で、中小・小規模事業者でも全国の意欲ある買い手と出会えるようになりました。後継者を探す経営者にとって、選択肢は大きく広がっています。

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M&Aの成功へ向けて、各ステップについての注意点や必要期間の目安までを網羅的に解説します。まずはM&Aの全体像を把握し、成功への第一歩を踏み出しましょう。

後継者不足のM&Aを成功させるポイント・注意点

後継者問題をM&Aで解決するために、売り手(経営者)が押さえておきたいポイントと注意点を整理します。

とにかく早めに動き出す

最も重要なのは、経営者が元気なうちに、早めに準備を始めることです。M&Aは相手探しから成約まで時間がかかるうえ、高齢になってからでは交渉途中で不測の事態を迎えるリスクもあります。「まだ早い」と思う段階から動き出すことが、納得のいく承継につながります。

自社の強みを整理して「魅力」を伝える

買い手は「引き継ぐ価値のある事業か」を見ています。技術・顧客・立地・人材・許認可など、自社の強みを整理して言語化しておきましょう。たとえ赤字でも、買い手にとって価値ある資産があれば引き継ぎ手は見つかります。自社の魅力を正しく伝えることが、良い相手・良い条件での承継につながります。

譲れない条件(従業員の雇用など)を明確にする

「従業員の雇用を守ってほしい」「屋号を残してほしい」など、承継にあたって譲れない条件を事前に明確化しておきましょう。価格だけでなく、こうした条件を共有できる相手を選ぶことが、後悔しないM&Aの鍵です。面談では、買い手の事業への想いや方針をしっかり確認しましょう。

専門家・プラットフォームを活用する

M&Aには、価格算定・契約・デューデリジェンスなど専門的な知識が必要です。金融機関・専門家・M&Aプラットフォーム・事業承継引継ぎ支援センターなどのサポートを活用すれば、不慣れな経営者でも安心して進められます。とくにプラットフォームは、全国の買い手と効率的に出会える有力な手段です。

後継者不足・M&Aに関するよくある質問(FAQ)

後継者不足とM&Aについて、よく寄せられる疑問をQ&A形式でまとめました。

後継者がいない会社でもM&Aで引き継いでもらえますか?

はい。後継者不在こそ、M&A(第三者承継)が最も役立つケースです。親族や社内に後継者がいなくても、M&Aプラットフォームや支援機関を通じて、全国の意欲ある買い手を探せます。技術・顧客・立地など自社の強みがあれば、引き継ぎ手は十分に見つかります。

赤字の会社でも買い手は見つかりますか?

はい、赤字でも売却・承継は可能です。買い手は、現在の利益だけでなく、顧客・技術・立地・人材・許認可といった「事業の価値」を評価します。経営改善で黒字化できる見込みがあれば、赤字企業にも買い手はつきます。まずは自社の強みを整理することが大切です。

M&Aで従業員の雇用は守られますか?

多くの場合、守れます。中小企業のM&Aでは、買い手が事業の担い手である従業員の継続雇用を望むケースが多いです。とくに株式譲渡では、雇用契約はそのまま引き継がれます。雇用維持を譲渡の条件として交渉に含めることもできます。

経営者の個人保証はどうなりますか?

M&Aの交渉のなかで、個人保証(経営者保証)の解除を金融機関や買い手と協議できます。近年は「経営者保証に関するガイドライン」などにより、保証解除の取り組みも進んでいます。個人保証から解放されることは、経営者がM&Aを選ぶ大きな動機の一つです。

後継者問題の相談はどこにすればいいですか?

取引先の金融機関・顧問税理士、各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センター、M&Aプラットフォームなどが相談先になります。まずは情報収集から始め、自社に合った方法を検討するのがおすすめです。早めの相談が、選択肢を広げます。

まとめ|後継者不足はM&Aで解決できる

後継者不足は、国内企業の約半数が直面する深刻な課題ですが、M&A(第三者承継)という有効な解決策があります。本記事のポイントを振り返ります。

  • 後継者不在率は約半数。改善傾向だが、経営者の高齢化で「待ったなし」の状況
  • 放置すれば黒字廃業や後継者難倒産のリスク。従業員・取引先・地域にも影響が及ぶ
  • 少子化・価値観の変化で親族承継は減り、M&Aによる「第三者承継」が主流に
  • M&Aなら、廃業を回避し、雇用を守り、売却益を得て、個人保証からも解放され得る
  • 成功の鍵は「早めに動く」「自社の強みを整理する」「専門家・プラットフォームを活用する」

「後継者がいないから廃業するしかない」と諦める前に、M&Aで会社や事業を残す道を検討してみてください。あなたが長年育てた事業には、引き継ぎたいと考える買い手がきっといます。

後継者を探す事業承継・M&Aを検討するなら、「TRANBI(トランビ)」のような事業承継・M&Aプラットフォームの活用がおすすめです。全国の後継者を探す売り手と、事業を引き継ぎたい買い手が多数登録しており、後継者不在の課題解決を後押しします。まずはどんな買い手がいるか、案件を見てみることから始めてみましょう。

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記事監修: 株式会社トランビ 代表取締役CEO 高橋 聡
【プロフィール】
アスクホールディングス株式会社代表取締役社長、中小企業庁中小M&Aガイドライン作成委員。アクセンチュアを経てアスクホールディングス株式会社を先代から事業承継。中小企業におけるM&A活性化の必要性を痛感しトランビを創業。
著書: 「起業するより会社は買いなさい」サラリーマン・中小企業のためのミニM&Aのススメ
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