2026年度版 M&Aの税制優遇・減税措置|中小企業が使える制度と活用ポイント
M&Aで使える税制優遇・減税措置を解説。株式取得額の一定割合を損金算入できる中小企業事業再編投資損失準備金(通常枠70%・拡充枠90〜100%)、合併などの組織再編税制、贈与・相続で使う事業承継税制の違いと要件、2027年に迫る期限、活用の流れまでわかります。
- 03 M&Aに関する税制措置を利用するメリット
- メリット① 当期の法人税等の支払いを抑えられる
- メリット② キャッシュフローの改善に寄与
- メリット③ M&A直後の資金繰りに余裕をもたせやすい
- メリット④ 将来のリスクに備える資金余力を確保しやすくなる
- メリット⑤ DDや契約の補償と組み合わせてリスクに備える
- 04 M&Aに関する税制措置を利用する際の注意点
- 注意点①:適用条件を事前に確認する
- 注意点②:計画の認定・実施後の報告・税務申告などが必要
- 注意点③:誤適用による追徴リスクがある
- 注意点④:デューデリジェンスが不可欠
- 注意点⑤:制度改正に常に注意が必要
- 05 中小企業事業再編投資損失準備金を活用する流れ
- 手順①:活用可能な税制を調べる
- 手順②:適用要件を満たすか確認
- 手順③:専門家と活用方法を検討
- 手順④:必要な書類を準備・提出
- 手順⑤:株式取得後の報告と税務申告
M&Aを検討する際、「税金の負担はどの程度か」「税金を抑える方法はないか」と悩む方は多いのではないでしょうか。M&Aに関連する税制を正しく理解し、使える優遇措置を活用することで、税負担を抑えたり、課税の時期を繰り延べたりして、M&Aの効果を高められる場合があります。
本記事では、M&Aに関する税制の全体像から、合併・会社分割などに適用される「組織再編税制」、中小企業のM&Aを支援する「中小企業事業再編投資損失準備金」、贈与・相続による承継で使われる「事業承継税制」まで、わかりやすく解説します。
自社が使える制度と、その要件・期限・注意点を知り、M&Aを有利に進めるための準備に役立ててください。
M&Aに関する税制とは?
M&Aに関する税制には、株式譲渡・事業譲渡にともなう課税や、合併・会社分割などに適用される組織再編の税制(組織再編税制)、一定の株式取得を支援する準備金の制度などがあります。本記事では、そのうち課税の繰延べや優遇措置を中心に解説し、贈与・相続などによる承継で利用される事業承継税制との違いも整理します。
M&Aの取引形態によって課税される税金の種類や計算方法は異なるため、自社の状況に合った税制を正しく理解し、活用することが重要になります。
M&Aに関する税制の種類と優遇措置
M&Aを円滑に進めるため、国は様々な税制優遇措置を設けています。これらを活用することで、M&A実行時の税負担を軽減し、投資効果を高めることが可能です。
ここでは、M&Aで中心となる代表的な優遇措置の概要を解説します。
組織再編税制(課税の繰り延べ・繰越欠損金の引継ぎ)
組織再編税制は、合併や会社分割などの組織再編に適用される制度です。合併や会社分割などが「税制適格」の要件を満たす場合、移転する資産などを税務上の帳簿価額で引き継ぐなど、課税が繰り延べられる取扱いがあります。適格の要件は、再編の種類や当事者間の資本関係などによって異なります。
また、適格合併では、一定の条件のもとで被合併法人の繰越欠損金を引き継げる場合があります。ただし、支配関係の期間などに応じた制限があるため、適格合併であれば必ず引き継げるわけではありません。通常の株式取得では、対象会社の欠損金は対象会社に残ります。
うまく活用すれば、M&Aの実行時の税負担とキャッシュアウトを抑えられますが、租税回避を防ぐための制限も設けられています。
中小企業事業再編投資損失準備金(経営資源集約化税制)
ここでは、M&Aによる経営資源の集約化を支援する税制措置のうち、「中小企業事業再編投資損失準備金」を取り上げます。要件を満たす法人が、M&Aのために他の法人の株式を取得した場合、その取得価額の一定割合を「準備金」として積み立て、その事業年度の損金に算入できる制度です。通常枠で損金に算入できるのは、取得価額の70%が上限です。2024年度税制改正では、特別事業再編計画にもとづく拡充枠が設けられました。要件を満たす場合、同一の認定計画にもとづく対象のM&Aの1回目は取得価額の90%、2回目以降は100%を上限として準備金を積み立て、損金に算入できます。
M&Aにともなう将来のリスクに備えつつ、足元の法人税等の支払いを抑えられる、中小企業にとって心強い制度です。利用するには、通常枠では経営力向上計画、拡充枠では特別事業再編計画の認定が必要です。認定を受けるだけでなく、法人の規模や株式取得の内容など、各枠の税制上の要件も満たす必要があります。個人が自分の名義で株式を購入する場合に適用される制度ではありません。
なお、通常枠と、2024年度改正で新設された拡充枠(特別事業再編計画にもとづく枠)の主な違いは、次のとおりです。
| 項目 | 現行枠 (経営力向上計画) |
拡充枠 (特別事業再編計画) |
|---|---|---|
| 積立率 | 取得価額の70% | 1回目90%/2回目以降100% |
| 取得価額 | 10億円以下 | 1億円以上100億円以下 |
| 据置期間 | 5年 | 10年 |
| 必要な計画 | 経営力向上計画 | 特別事業再編計画 |
| 主な対象 | 中小企業者等 | 過去5年以内にM&A実績のある中堅・中小企業 |
現行枠は2027年(令和9年)3月31日までに経営力向上計画の認定を受けた株式取得が対象です。拡充枠は、過去5年以内にM&Aを実施した中堅・中小企業が、複数回のM&Aを集中的に行う場合を後押しするための枠組みです。いずれも適用には計画の事前認定が必要です。
制度の延長や要件の変更については、税制改正の要望段階と、成立した制度を区別して確認しましょう。活用の際は、最新の情報を専門家や中小企業庁の公表資料で確認してください。
事業承継税制
事業承継税制は、後継者不足に悩む中小企業の円滑な世代交代を支援するため、非上場株式などを贈与・相続などで後継者へ引き継ぐ際の贈与税・相続税の納税を猶予する制度です。一定の要件を満たせば、猶予された税額が免除される場合もあります。特に現在の「特例措置」では、対象の株式にかかる贈与税・相続税の全額が納税猶予の対象となります。この特例措置を利用するには、2027年9月30日までに「特例承継計画」を都道府県に提出して確認を受け、2027年12月31日までに株式の承継(贈与・相続など)を実行する必要があります。贈与・相続などにともなう都道府県知事の認定や、税務申告などの手続きも必要です。
計画の提出期限は令和8年度税制改正で1年6か月延長されましたが、実際に贈与・相続を行う期限は延長されていません。提出期限を目一杯まで使うと、実行までに約3か月しか残らない計算になるため、実行日から逆算した準備が欠かせません。
なお、個人事業主を対象とする個人版事業承継税制では、「個人事業承継計画」の提出期限が2028年9月30日、実行期限が2028年12月31日となっています。制度の要件や取消リスクの詳細は、事業承継税制の要件と失敗リスクの記事で解説しています。
法人版事業承継税制は、親族内の承継に限らず、従業員など親族外の後継者が贈与・相続などで株式を取得する場合にも、要件を満たせば利用できます。一方、対価を支払って株式を購入する通常のM&Aは、この制度の対象ではありません。株式の売買による承継と、贈与・相続などによる承継を分けて検討する必要があります。
ただし、利用には以下の様な主要な条件を満たす必要があります。
- 「特例承継計画」の提出:事前に都道府県へ計画を提出し、確認を受ける必要があります。
- 事業の継続:承継後5年間は事業を継続しなければなりません。
- 雇用の維持:承継後5年間の平均で、承継時の従業員数の8割を維持することが求められます。ただし特例措置では、8割を下回った場合でも、必要な報告などを行うことで猶予を継続できる場合があります。報告には認定支援機関の所見が必要で、経営悪化などを理由とする場合には、同機関による指導・助言も求められます。
- 代表者の継続:後継者が会社の代表として5年間業務に従事する必要があります。
この制度は、贈与・相続などによる承継時の納税資金の負担を抑えるうえで役立ちます。ただし、5年経過後も、株式の保有や税務署への継続届出など、猶予を続けるための要件があり、一定の事由に該当すると猶予税額と利子税の納付が必要になる場合があります。5年間が経過するだけで自動的に免除される制度ではありません。
M&Aに関する税制措置を利用するメリット
M&Aに関する税制優遇措置を活用すると、税負担を抑えたり、課税の時期を繰り延べたりすることで、資金の余力を確保しやすくなります。
ここでは、主に中小企業事業再編投資損失準備金を例に、具体的なメリットを見ていきましょう。
メリット① 当期の法人税等の支払いを抑えられる
準備金を損金に算入すると、課税所得を圧縮し、当期の法人税等の支払いを抑えられる場合があります。M&Aという大きな投資を行う年に、税金の支払いを抑えられるのは大きな利点です。ただし、準備金は将来の取崩しの時に益金に算入されるため、基本的な効果は課税の繰延べです。税負担への影響は、積立額だけでなく、課税所得や適用税率などによって異なります。
メリット② キャッシュフローの改善に寄与
当期の納税額が減る場合は、その分だけ手元に残る現金(キャッシュ)を確保しやすくなります。
M&Aの直後は、PMI(統合作業)など追加資金が必要になる場合もあります。税制優遇によって確保できたキャッシュは、こうした追加投資や運転資金に充当でき、企業の財務基盤を安定させ、より円滑な経営統合を後押しします。
メリット③ M&A直後の資金繰りに余裕をもたせやすい
準備金の損金算入で当期の納税額が減る場合、M&Aの直後の資金繰りに余裕をもたせやすくなります。課税の繰延べの効果を活かし、統合の作業や運転資金に必要な資金を確保しておきましょう。税負担の見通しが立つことで、成長に向けたM&Aの計画も立てやすくなります。
メリット④ 将来のリスクに備える資金余力を確保しやすくなる
M&Aでは、事前のデューデリジェンス(買収調査)で発見できなかった簿外債務が、あとから判明するリスクがあります。準備金の損金算入によって当期の法人税等の支払いを抑えられる場合、その分の資金を手元に残し、予期せぬ支出に備えやすくなります。
ただし、準備金そのものが現金や損失の補償を意味するわけではありません。準備金を取り崩しても、それ自体で現金が生まれるわけではなく、原則として取崩額を益金に算入します。
メリット⑤ DDや契約の補償と組み合わせてリスクに備える
偶発債務とは、将来の特定の条件しだいで発生する可能性のある債務(例:訴訟にともなう損害賠償など)です。こうしたリスクへの対策は、準備金だけに頼らず、DDによる調査、契約上の補償、資金の確保などを組み合わせて検討することが大切です。
買収先に生じた債務と、買い手が保有する株式の価値の低下は、別のものとして整理しておきましょう。
M&Aに関する税制措置を利用する際の注意点
M&Aの税制優遇措置は魅力的ですが、利用には大切な注意点があります。見落とすと期待した効果が得られず、追徴課税などのリスクもあります。
ここでは、制度を安全かつ効果的に活用するために、事前に必ず確認しておくべき5つの注意点を解説します。
注意点①:適用条件を事前に確認する
各税制優遇措置には、対象となる企業の規模、M&Aの目的、取得する株式の割合など、詳細な適用条件が定められています。たとえば、中小企業事業再編投資損失準備金では、通常枠は経営力向上計画、拡充枠は特別事業再編計画の認定が必要で、各枠の税制上の要件も満たす必要があります。
これらの条件をひとつでも満たしていない場合、制度を利用することはできません。計画前に、自社のM&Aが対象かを、専門家と確認することが重要です。
注意点②:計画の認定・実施後の報告・税務申告などが必要
税制優遇を受けるためには、単に条件を満たすだけでなく、計画の認定、M&Aの実施後の報告・確認、税務申告など、定められた手続きを行う必要があります。たとえば、準備金の損金算入では、法人税の確定申告書に、明細書や認定書・確認書などの必要書類を添付します。
手続きを忘れると、要件を満たしても優遇措置は受けられないため、申告時のチェック体制を整えておくことが重要です。
注意点③:誤適用による追徴リスクがある
もし適用条件を満たしていないにもかかわらず、誤って優遇税制を適用して申告してしまった場合、後日の税務調査でその誤りが指摘される可能性があります。その場合、本来納めるべきだった税金(本税)に加えて、過少申告加算税や延滞税といった追徴課税が発生します。
意図せずペナルティを受ける恐れがあるため、要件の解釈には注意が必要です。
注意点④:デューデリジェンスが不可欠
税制面だけでなく、M&Aの成功にはデューデリジェンス(DD)が欠かせません。DDを通じて、買収対象の企業の財務状況や法務リスク、そして税務上のリスク(過去の申告漏れなど)を洗い出します。特に、簿外債務や偶発債務の有無は、価格や契約の条件を考えるうえで大切な情報です。拡充枠では、M&Aの前の事前調査の内容も手続きに関わります。
注意点⑤:制度改正に常に注意が必要
税制は、経済情勢や政策の変更に伴い、毎年のように改正が行われます。M&A関連ルールは変化し、一度の知識が数年後に古くなる可能性があります。
M&Aを検討する際には、常に最新の法令や通達を確認し、専門家から最新の情報を得るよう心がけることが大切です。
中小企業事業再編投資損失準備金を活用する流れ
ここでは、経営力向上計画にもとづく通常枠の手続きを例に説明します。拡充枠や他の税制では、必要な計画・書類・申請先が異なります。
申請からM&Aの実行、事後の税務処理までの流れを、5つの手順に分けて解説します。
手順①:活用可能な税制を調べる
まず最初のステップは、自社が検討しているM&Aのスキームにおいて、どのような税制優遇措置が利用可能かを調べることです。企業規模や業種、目的に応じて、適した制度を選びます。
この段階で、M&Aアドバイザーや税理士に相談し、選択肢を整理するのが効率的です。
手順②:適用要件を満たすか確認
次に、リストアップした税制優遇措置の具体的な適用要件をひとつひとつ確認し、自社のケースが条件を満たしているかを精査します。例えば、経営力向上計画の認定が必要な場合は、その計画に盛り込むべき内容や達成すべき目標などを具体的に検討します。確認作業を怠ると後の手続きが無駄になる可能性があるため、慎重に進めましょう。
手順③:専門家と活用方法を検討
適用要件を満たせそうだと判断できたら、税理士や公認会計士などの専門家と、具体的な活用方法について詳細な検討に入り、準備金の積立額とタイミングを資金計画と照らし合わせてシミュレーションします。
税務リスクを抑える会計処理や契約条項についても助言を受けます。
手順④:必要な書類を準備・提出
計画が固まったら、申請に必要な書類の準備に取り掛かります。通常枠では、「経営力向上計画に係る認定申請書」や、M&Aの具体的な内容を示した「事業承継等事前調査に関する事項」などの書類を作成します。
通常枠では、経営力向上計画の認定を受けてから最終契約を締結する必要があります。DDの実施時期も含め、基本合意の段階から税理士や申請先とスケジュールを確認しましょう。
手順⑤:株式取得後の報告と税務申告
株式取得後は、M&Aの実施と事前調査の内容に関する報告・確認など、必要な手続きを行い、認定書や確認書などの必要書類を添えて税務申告します。準備金は、通常枠では5年間、拡充枠では10年間の据置期間のあと、原則として5年間で均等に取り崩して益金に算入します。ただし、株式の売却や帳簿価額の減額など、所定の事由に該当すると、それより前に取崩しが必要になる場合があります。長期の資金計画に組み込んでおきましょう。
経営者・担当者が最初に押さえるべきこと
M&Aの税制について理解を深めることは大切ですが、それと同時に忘れてはならないのが、M&Aの本質的な成功要因です。それは、自社に合ったパートナーを見つけることです。税制優遇措置があっても、シナジーがない相手や文化が異なる相手とのM&Aは成功しにくくなります。
そこで、まず経営者や担当者が第一歩として取り組むべきは、情報収集です。例えば、国内最大級のM&A・事業承継プラットフォームである「TRANBI(トランビ)」の活用は非常に有効です。
TRANBIの掲載案件を比較すると、業種・地域・事業規模ごとの売却希望条件を把握でき、候補探しを具体的に進められます。掲載価格は成約価格や自社の評価額とは異なりますが、税制の確認と並行して情報収集を始めることで、候補の比較や専門家への相談をスピーディーに進められます。
M&Aに関する税制のよくある質問
M&Aに関する税制は専門的な内容が多いため、多くの経営者や担当者から様々な質問が寄せられます。
ここでは、特に頻繁に寄せられる疑問について、Q&A形式で分かりやすくお答えします。
中小企業事業再編投資損失準備金の仕訳方法は?
準備金の処理は、採用する会計上の方法によって異なります。税法上は、損金経理による積立てのほか、所定の期限までに剰余金の処分により積立金として積み立てる方法も認められています。後者では純資産の中の積立てとなり、税務申告で損金算入の調整を行います。適用する会計基準や税効果会計の要否も踏まえ、具体的な仕訳は税理士・公認会計士に確認してください。
経営資源集約化税制と他の制度の違いは?
中小企業事業再編投資損失準備金の特徴は、M&Aで取得した株式の価値が下がるリスクなどに備える準備金を、損金に算入できる点にあります。設備投資の減税が投資の促進を目的とするのに対し、この制度は、M&Aにともなう将来のリスクに備えつつ、課税の時期を繰り延べられる点が特徴です。また、通常枠では経営力向上計画、拡充枠では特別事業再編計画の認定が必要な点も特徴です。
買収後の繰越欠損金はどうなる?
税制適格の要件を満たす合併の場合、一定の条件のもとで被合併法人の繰越欠損金を引き継げる場合があります。ただし、合併の当事者どうしの支配関係が生じてからの期間などによって引継ぎが制限されることがあり、どの欠損金を使えるかは個別に確認が必要です。株式を取得するだけの場合は、欠損金は買収した会社には移らず、対象会社に残ります。
優遇税制の対象となるスキームはどれか?
この記事で紹介する中小企業事業再編投資損失準備金は、要件を満たす株式などの取得が対象です。事業譲渡による事業・資産の取得には、この準備金の制度は適用されません。他の税制措置の適用の可否は、別に確認が必要です。
現行枠と拡充枠(特別事業再編計画)の違いは?
現行枠は、経営力向上計画の認定を受けた中小企業が、取得価額10億円以下のM&Aで取得価額の70%を準備金として積み立てられる制度です(据置5年)。一方、2024年度税制改正で新設された拡充枠は、特別事業再編計画の認定を受けた中堅・中小企業が対象で、複数回のM&Aを想定し、積立率が1回目90%・2回目以降100%、取得価額の上限が100億円、据置期間が10年に拡充されています。同一のM&Aについて両方を重複して適用することはできません。自社がどちらの対象になるかは、専門家に確認することをおすすめします。
まとめ|M&Aの税制は「使える制度を知る」ことから始まる
本記事では、M&Aに関する税制の全体像から、具体的な優遇措置までを解説しました。M&Aの税制には、合併・会社分割などに適用される「組織再編税制」、中小企業の株式取得を支援する「中小企業事業再編投資損失準備金」、贈与・相続などによる承継で使われる「事業承継税制」などがあります。これらの制度を自社の状況に合わせて活用することで、税負担を抑えたり、課税の時期を繰り延べたりして、M&Aの投資効果を高められる場合があります。
ただし、各制度には複雑な適用要件があり、改正の可能性もあるため、独断での判断は禁物です。まずはM&Aプラットフォームで情報収集し、早めに税理士へ相談して税務の方針を立てることが、成功への一歩になります。
- 組織再編税制は、適格の要件を満たせば課税の繰延べが可能。欠損金の引継ぎは適格合併などで別の条件がある
- 中小企業事業再編投資損失準備金は、通常枠で取得価額の70%、拡充枠で1回目90%・2回目以降100%を上限に損金算入できる(課税の繰延べ)
- 事業承継税制は贈与・相続などによる承継が対象。特例措置は、計画提出が2027年9月30日、承継の実行が2027年12月31日で締切
制度を調べる作業と並行して、実際にどのような会社や事業が売買されているかを見ておくと、検討が一気に具体化します。M&A案件一覧では、業種や地域、譲渡価額などの条件で絞り込みながら、常時数千件の案件を無料で閲覧できます。自社に近い規模の案件を眺めるところから始めてみてください。
