廃業する会社を買うメリット|探し方・価格の相場・注意点を徹底解説
後継者がいないという理由だけで終わろうとしている事業があります。設備も従業員も取引先も残ったまま引き継げるのが、廃業予定の会社を買うという選択肢です。倒産・休眠会社との違い、探し方、価格の決まり方、選ぶときのチェックポイント、買収事例まで解説します。
後継者が見つからず、廃業を選ぼうとしている会社があります。設備も、技術を持った従業員も、長年の取引先も残っているのに、引き継ぐ人がいないという理由だけで事業が終わろうとしている。買い手の立場から見れば、それは事業を手に入れる機会でもあります。
本記事では、廃業する会社を買うという選択肢について、倒産した会社や休眠会社を買う場合との違い、黒字でも廃業が選ばれる理由、買うメリットと価格の考え方、案件の探し方と選び方、注意すべきリスク、実際の買収事例までを解説します。
会社や事業を買って新しく始めたい方、廃業予定の案件に関心のある方に向けた内容です。
廃業する会社を買うとは?倒産・休眠会社を買う場合との違い
「廃業する会社を買う」と言っても、その会社がどういう状態にあるかで話はまったく変わります。まずは混同されやすい3つのケースを整理します。
廃業予定の会社とは、事業を続けられるのにやめようとしている会社
廃業とは、経営者が自ら事業を終了することを指します。一方の倒産は、一般に資金繰りの悪化などによって事業の継続が困難になった状態を指す言葉です。
廃業を選ぶ理由は、後継者がいない、経営者の高齢や病気、本業に集中したいといったものが多くみられます。また、会社や事業そのものに大きな問題がなくても、後継者不在などを理由に廃業を選ぶケースもあります。
だからこそ、買い手にとっては意味があります。廃業予定の会社を引き継げば、動いている設備、技術を持った従業員、既存の取引先を、事業が止まる前に受け取ることができます。
倒産した会社・潰れた会社を買う場合との違い
倒産は、支払いが滞って事業の継続ができなくなった状態です。法的整理に入っていれば、裁判所や管財人の手続きの中で資産や事業が処分されます。
倒産した会社の事業を引き継ぐ形もありますが、通常のM&Aとは進め方が変わります。債権者との調整が必要になり、手続きの主導権も買い手側にはありません。すでに営業が止まっていれば、顧客も従業員も離れた後です。
廃業予定の会社は、まだ事業が動いている状態で交渉できる点が大きく異なります。倒産処理の案件を待つより、廃業を検討している経営者と直接話すほうが、引き継げるものが多くなる可能性があります。
休眠会社を買う場合との違い
休眠会社は、登記は残っているものの事業活動を止めている会社です。買う目的も変わってきます。事業を引き継ぐのではなく、法人格そのものを取得することが目的になる場合が多く、設立手続きを省けることなどを狙って取得されます。なお、会社が持っている許認可については、そのまま利用できるとは限らず、種類に応じて変更の届出や再取得が必要になる場合があります。
一方で、休眠期間中の未申告や、把握しきれない債務が残っている可能性もあります。事業を買いたいのか、法人格を買いたいのかで、見るべきポイントがまったく異なりますが、本記事で扱う題材は、事業が動いている廃業予定の会社を、事業ごと引き継ぐケースです。
黒字でも廃業を選ぶ会社がある理由
廃業する会社は経営が行き詰まっているから、と考えると見誤ります。利益が出ているにもかかわらず廃業を選ぶ会社があり、買い手にとってはそこが狙い目になります。
黒字廃業が起きる仕組み
黒字廃業とは、利益が出ている状態のまま会社をたたむことを指します。会社の業績とは別のところに理由があるため、赤字による撤退とは分けて考える必要があります。
経営者に後継者がいないケースが代表的です。子どもが別の仕事に就いている、従業員に引き継げる人がいない、親族に継ぐ意思がない。事業は回っているのに、次に持つ人がいないという状態です。
経営者の高齢や体調も理由になります。取引先との関係も技術も本人に紐づいていて、引退と同時に事業を閉じるしかないという判断です。
買い手にとって黒字廃業の会社が魅力的な理由
黒字のまま後継者不在などを理由に廃業を選ぶ会社の中には、収益力のある事業がそのまま残っているケースがあります。買い手が引き継げば、その事業が利益を生み続ける可能性があります。
再建が必要な赤字企業を買う場合、立て直しの手間と時間がかかります。黒字廃業の会社であれば、まずは事業を止めないことに集中でき、そのうえで自分の得意分野を足していくという進め方ができます。
ただし、その利益がどこから生まれているかは確かめる必要があります。経営者本人の営業力や人脈で成り立っていた場合、引き継いだ途端に売上が落ちることがあるためです。
廃業を検討している経営者が求めているもの
廃業を考えている経営者が重視するのは、金額だけではありません。従業員の雇用を守ってほしい、取引先に迷惑をかけたくない、屋号や技術を残してほしいといった思いを持っていることが多くあります。
買い手がこうした希望に応えられることが、相手選びや交渉の進み方に影響する場合があります。後述する事例では、譲渡金額がつかない形で成立したケースもあります。
後継者不在を背景としたM&Aについては「後継者不足はM&Aで解決できる」の記事にまとめています。
廃業する会社を買うメリット
廃業予定の会社を買うことには、ゼロから事業を立ち上げる場合にはない利点があります。順に見ていきます。
技術やノウハウを持つ従業員を引き継げる
新しく事業を始めるときに時間がかかるのが人材です。未経験の分野で採用しても、戦力になるまでには教育の期間が必要になります。職人の技術が必要な業種では、採用そのものが難しいこともあります。
廃業予定の会社を引き継げば、その分野で経験を積んだ人材に引き続き働いてもらえる可能性があります。廃業してしまえば散り散りになる人材を、事業が止まる前に迎えられるという点で、タイミングの意味も大きくなります。
低コストで事業を始めやすい
設備や店舗をゼロから用意する場合、まとまった投資が必要になります。事業を引き継ぐ場合、すでにあるものを使えるため、初期費用を抑えられることがあります。
廃業予定の会社では、売り手が事業の継続を優先していることも多く、条件面で折り合いをつけやすい傾向があります。ただし安く買うこと自体が目的になると判断を誤る場合があるため、次章の価格の考え方とあわせて見てください。
交渉がまとまりやすい
通常のM&Aでは、売り手が少しでも高く売りたいと考え、複数の買い手候補を比較することがあります。廃業を決めている会社の場合、期限が迫っていることも多く、条件よりも引き継いでくれる相手を見つけることが優先されるケースも多くなります。
結果として、交渉が短期間でまとまることがあります。ただし裏を返せば、買い手側にも早い判断が求められるということです。検討している間に廃業手続きが進んでしまえば、案件そのものがなくなります。
廃業する会社はいくらで買える?価格の決まり方
廃業予定の会社は安く買えるという話を聞きますが、実際にはどう決まるのでしょうか。価格の考え方と、金額だけで判断してはいけない理由を整理します。
価格は案件ごとに大きく変わる
譲渡価格に決まった相場はありません。同じ業種・同じ規模でも、資産の内容、利益の出方、売り手が何を優先しているかによって金額は変わります。
売り手が売却価格より事業の継続を重視している案件では、価格が抑えられることがあります。後述する洋菓子店の事例では約800万円、妊活サロンの事例では譲渡金額そのものがつかない形で成立しています。少額から検討できる案件が実際に存在するという点は、押さえておいてよい事実です。
売却価格はどのように算定されるか
中小規模のM&Aでは、時価に修正した純資産に、営業利益などの数年分を加えて価格の目安を考える方法が実務上用いられることがあります。帳簿上の金額をそのまま使うのではなく、資産や負債を時価に置き直したうえで計算する点がポイントです。
のれん代は、その事業が持つブランド力、顧客との関係、技術といった、帳簿に金額として現れない価値を指します。中小企業のM&Aでは、こうした超過収益力を簡便に評価するため、営業利益などの数年分を目安として加算する方法が用いられることがあります。この年数の置き方で総額が変わります。
この計算はあくまで交渉の出発点です。実際の金額は、調査の結果や売り手の希望を踏まえて動きます。企業価値の評価方法全般についてはバリュエーションとは? の記事をご覧ください。
安さだけで判断しない
価格が低い案件には理由があります。設備が古く買い替えが必要、主要な取引先が経営者個人とつながっている、有資格者が退職を予定している。こうした事情が金額に反映されていることがあります。
買収代金のほかに、引き継ぎ後の運転資金、設備の更新費用、専門家への依頼費用がかかります。買った後に必要になる金額まで含めて、出せる上限を決めておくことが判断の軸になります。
廃業する会社の探し方
廃業予定の会社は、表に出ないまま話が終わることも多くあります。どこで探せば出会えるのかを見ていきます。
M&Aマッチングプラットフォームで探す
買い手が自分で案件を探せるのが、M&Aマッチングプラットフォームです。業種や地域、金額の条件で絞り込め、興味のある案件に直接コンタクトを取れます。
廃業予定の案件を探す場合、条件の設定にコツがあります。譲渡理由が「後継者不在」「経営者の高齢」「体調」となっている案件、譲渡希望価格が低めに設定されている案件が、その候補になりやすいためです。
小規模な案件を扱う場は近年整ってきており、数百万円規模から検討できます。この規模のM&AについてはスモールM&Aとは?の記事にまとめています。
仲介会社・支援機関に相談する
M&A仲介会社やファイナンシャルアドバイザー(FA)に依頼する方法もあります。希望条件を伝えて案件を紹介してもらう形で、交渉の進め方についても支援を受けられます。
公的な窓口としては、各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターがあります。地域の中小企業から相談が集まるため、後継者不在の案件に出会える可能性があります。
ただし、依頼した場合は手数料が発生します。小規模な案件では手数料の負担が相対的に重くなることもあるため、案件規模との釣り合いを見て使い分けることになります。
案件は「待つ」より「動く」ほうが出会いやすい
廃業予定の案件は、期限が決まっている場合が多いことが特徴です。賃貸契約の更新時期、経営者の体調、廃業手続きの進行などの都合で、通常より短い期間で判断を求められることがあります。条件を決めて日常的に案件を見ておくことが結果につながります。
TRANBIでは、条件に合う案件が出たときに通知を受け取る設定もできます。良い案件を逃さないための備えとして使えます。
廃業する会社を選ぶときのチェックポイント
候補が見つかったら、引き継いだ後に事業を回していけるかを確かめます。廃業予定の案件だからこそ見ておきたい点を挙げます。
廃業する理由がはっきりしているか
最初に確認したい点が、なぜ廃業するのかです。後継者不在や経営者の体調が理由であれば、事業そのものには問題がない可能性があります。
一方、市場が縮小している、主要取引先を失った、法規制で事業モデルが成り立たなくなった、といった理由であれば、買い手が引き継いでも同じ壁にぶつかります。理由が事業の外にあるのか、事業の中にあるのかが分かれ目です。
財務の状態は健全か
直近数年の決算書を確認し、売上と利益の推移、借入金の額、資産の内容を見ます。廃業を選ぶ会社は必ずしも赤字ではありませんが、設備の老朽化や在庫の滞留が数字に表れていることがあります。
決算書に載っていない負債が隠れている場合もあります。この点は次章で詳しく扱います。
利益が誰に紐づいているか
安定した利益が出ていても、それが経営者個人の営業力や技術に依存している場合などは、引き継いだ後に続くとは限りません。
確認したい点は、主要顧客との関係が会社と結ばれているのか経営者個人なのか、技術が従業員に共有されているか本人だけが持っているか、という点です。経営者に一定期間残ってもらう形にできるかを、交渉の段階で話し合っておくと引き継ぎが安定します。
廃業する会社を買うときの注意点とリスク
条件が良く見える案件にも、引き継いだ後に表面化する問題があります。事前に把握しておきたい3点を扱います。
従業員が離れる可能性がある
従業員を引き継げることは大きな利点ですが、全員が残るとは限りません。経営者が変わることへの不安、待遇が変わるのではという懸念から、退職を考える人が出てきます。
廃業の話が社内に伝わっている場合、すでに転職活動を始めている従業員がいることもあります。引き継ぎの方針をどの段階で誰に伝えるかを、売り手と事前に決めておくことが対策になります。買収後の従業員への向き合い方は「M&Aで従業員はどうなる?」の記事で整理しています。
帳簿に表れない負債が隠れていることがある
会社ごと引き継ぐ株式譲渡では、決算書に記載されていない負債まで一緒に引き継ぐことがあります。未払いの残業代、退職金の積み立て不足、他社の借入に対する保証、係争中のトラブルなどがこれにあたり、これらは総じて簿外債務と呼ばれます。
これを見つけるための工程がデューデリジェンスですが、すべてを洗い出せるとは限りません。契約の中で売り手に事実関係を表明してもらい、後から異なる事実が判明した場合の負担の分け方を定めておく方法がとられます。
廃業予定の案件では期限が迫っていることが多く、調査に十分な時間を取りにくい場合があります。時間が足りない分をどう補うかを、条件面で設計しておく必要があります。
投資を回収できないこともある
安く買えたとしても、引き継いだ後に費用がかかります。設備の入れ替え、店舗の改装、システムの導入、人材の補充。廃業を控えた会社では、こうした投資が先送りされていることが少なくありません。
売上が想定どおりに立たない可能性もあります。前の経営者の人脈で成り立っていた取引が離れる、常連客が入れ替わりを機に離れる、といったことが起こり得ます。
失敗の原因と回避策については「M&Aはなぜ失敗する?」の記事で整理しています。
買う方法:株式譲渡と事業譲渡の選び分け
廃業予定の会社を買う場合も、使う手法は通常のM&Aと同じです。中小規模でよく使われる手法と、廃業案件ではどちらが選ばれやすいのかを見ていきます。
株式譲渡は会社ごと引き継ぐ
株式譲渡は、売り手の株主が持つ株式を買い手が取得し、会社の経営権を移す手法です。法人格が変わらないため、会社が当事者になっている契約や許認可は原則としてそのまま継続します(許認可によっては変更の届出が必要です)。従業員の雇用契約も会社との間で結ばれているため、個別に結び直す必要がありません。
一方で、会社をまるごと引き継ぐため、不要な資産や把握していなかった負債も付いてきます。簿外債務のリスクを最も受けやすいのがこの手法です。詳しくは「株式譲渡とは?」の記事をご覧ください。
事業譲渡は必要な部分だけを引き継ぐ
事業譲渡は、会社が営む事業の全部または一部を、資産や契約の単位で買い手に売却する手法です。会社そのものは売り手のもとに残ります。
引き継ぐ対象を選べるため、必要な設備や取引先だけを取得し、不要な資産や負債は対象から外せます。買い手が引き受けると決めたもの以外は原則として承継しないため、簿外債務を抱え込むリスクを抑えられます。
反面、資産や契約をひとつひとつ移す手続きが必要です。取引先との契約は個別に結び直すか相手方の承諾を得ることになり、従業員の労働契約も自動的には移らないため、承継する従業員本人の承諾を得たうえで、労働契約を買い手側へ承継する手続きが必要になります。許認可も引き継げないものが多く、買い手が改めて取得します。詳しくは「事業譲渡とは何か?」の記事にて扱っています。
廃業案件ではどちらが選ばれやすいか
廃業予定の案件では、事業譲渡が使われることが多くあります。会社の過去の債務を引き継がずに済むこと、個人事業として営まれていて株式が存在しないこと、店舗や設備だけを引き継げば足りることが理由です。
一方、許認可が事業の土台になっている業種では、それを維持できる株式譲渡が選ばれます。判断の分かれ目は、その事業を動かすために、会社が持っているものがどれだけ必要かです。
TRANBIで廃業予定の会社を買った事例
実際にTRANBIで成約した2件を紹介します。どちらも廃業が目前に迫っていた案件です。
廃業危機の妊活サロンを引き継ぎ、施術者に残ってもらった事例
大阪府吹田市の妊活サロンを、福祉事業を手がける経営者が事業譲渡で引き継いだ事例です。売り手は、病気で目に不安を抱えたことから事業の継続が難しくなり、譲渡を決意していました。
きっかけは、売り手からの直接オファーでした。買い手は「地域・医療・健康」といったキーワードで案件を探していたところ、オファーを受け取ります。TRANBI上で5回ほどメッセージを交わす中で、金銭よりも事業を続けたいという売り手の思いが伝わり、引き継ぎを決めています。
譲渡金額は0円でした。機材を含む譲渡資産には200万円以上の価値があったものの、契約上は無償で譲り受ける形にし、売り手とは雇用契約を結んで給与として支払う設計にしています。家賃や保証金などの費用は買い手が負担しました。
買い手はこの事例について、デューデリジェンスで把握できるのは7割程度で、残りは後から出てくるものだと語っています。そのうえで、期限を決めて完全に引き継ぐのではなく、売り手に一緒に働いてもらうことで補う方法を選びました。施術は引き続き売り手が担当し、経営面は買い手が引き受ける役割分担になっています。
◆成約インタビュー:廃業危機の妊活サロンを救ったM&A!きっかけは売り手からの魂の宿った熱いオファー
あと1〜2週間で廃業予定だった洋菓子店を、20代が引き継いだ事例
兵庫県の手作りフランス菓子店を、当時29歳の個人が事業譲渡で引き継いだ事例です。18年ほど地元で愛されてきた店で、売り手は親の介護のため経営の継続が難しくなっていました。
この案件は廃業までの期限が迫っていました。売り手は知人を中心に承継先を探したものの見つからず、最後の手段としてTRANBIに掲載。あと1〜2週間で話がまとまらなければ、設備や機器を売却して廃業する予定で、在庫を減らす準備も進めていました。
買い手は移住直後で、本来はもう少し検討期間を置きたい状況でした。それでも、一度閉店すると元に戻すのが難しいと判断し、引き継ぎを決めています。譲渡金額は約800万円。ゼロから菓子店を立ち上げると3,000万円から5,000万円の投資が必要だと事前に調べていたため、価格交渉はせずに提示額を受け入れました。
引き継ぎでは、従業員のパティシエ1名を継続雇用し、売り手には再雇用の形でアドバイザーとして残ってもらいました。店を閉めることなく営業を続けながら引き継ぎを進められています。買い手は商品開発や販促を得意としており、製造は職人に任せて自分は経営と販売戦略を担う役割分担にしています。
◆成約インタビュー:“あと1〜2週間で廃業”の洋菓子店を救った、20代若者の即断力
2つの事例に共通していること
どちらの事例にも共通する点が3つあります。
- 売り手が金額より継続を優先していた:だからこそ条件面で折り合いがついた
- 買い手が短期間で判断した:廃業の期限があるため、検討が長引けば案件は消えていた
- 売り手に残ってもらう設計にした:技術や顧客対応を引き継ぐ時間を確保できた
廃業案件は、価格の安さよりタイミングと引き継ぎの設計で成否が分かれることが分かります。
廃業する会社を買うことに関するよくある質問
廃業予定の会社の買収について、よく寄せられる疑問にお答えします。
Q. 廃業予定の会社は本当に安く買えますか?
A. 案件によります。安く買えることが保証されているわけではありません。
売り手が事業の継続を優先している場合、条件面で折り合いがつきやすい傾向はあります。ただし価格が低い案件には、設備の老朽化や取引先の引き継ぎ不安といった理由があることも多いため、買収代金と引き継ぎ後にかかる費用を合わせて判断する必要があります。
Q. 廃業予定の会社と、倒産した会社を買うのはどう違いますか?
A. 大きな違いのひとつは、事業の継続状況と手続きの前提です。
廃業予定の会社はまだ営業を続けているため、従業員も顧客も取引先も残った状態で引き継げます。倒産した会社は債権者との調整が必要になり、営業が止まっていれば人も顧客も離れた後になります。
Q. 個人でも廃業予定の会社を買えますか?
A. 買えます。本記事で紹介した洋菓子店の事例は、当時29歳の個人による買収です。
数百万円規模の案件も掲載されており、会社員が副業や独立の手段として事業を買う例もあります。進め方は「サラリーマンが会社を買うには?」の記事で詳しく扱っています。
Q. 廃業予定の会社の借金も引き継ぐことになりますか?
A. 選ぶ手法によって変わります。
株式譲渡では法人格が変わらないため、会社の借入金はその会社に残ります。買い手は、その借入金を抱えた会社の株式を取得することになります。事業譲渡では、買い手が引き受けると決めた資産や契約以外は原則として承継しません。負債を限定したい場合は事業譲渡が選択肢になります。
Q. 引き継いだ後、前の経営者に残ってもらうことはできますか?
A. できます。M&Aでは、前の経営者に一定期間残ってもらう方法もあります。
雇用契約や業務委託契約を結び、一定期間サポートしてもらう形になります。技術や顧客対応が経営者本人に紐づいている事業では、この設計が引き継ぎの成否を左右します。期間と役割は契約の中で取り決めます。
Q. 廃業案件はどのくらいのスピードで決まりますか?
A. 案件によります。廃業までの期限が決まっている案件では、短期間で判断や交渉を進める必要がある場合があります。
賃貸契約の期限や廃業手続きの進行といった事情で、売り手側に期限があるためです。本記事の洋菓子店の事例では、あと1〜2週間で廃業という状況でした。条件をあらかじめ決めておき、案件を日常的に見ておくことが備えになります。
まとめ|廃業する会社を買うのは「タイミング」の勝負
廃業する会社を買うということは、続けられるのに続ける人がいない事業を引き受けるということです。設備も従業員も取引先も残っている状態で受け取れるため、ゼロから立ち上げる場合と比べて始めやすく、黒字のまま廃業を選ぶ会社であれば利益が出ている事業をそのまま引き継げる可能性もあります。
一方で、従業員が離れる可能性、帳簿に表れない負債、引き継ぎ後にかかる投資といった課題もあります。廃業案件は期限が迫っていることが多く、調査に十分な時間を取りにくい点も踏まえておく必要があります。
紹介した2つの事例が示しているのは、価格の安さより判断の速さと引き継ぎの設計が成否を分けるということです。検討を進めるうえでは、次の3点を押さえておくと動きやすくなります。
- 廃業する理由が事業の外にあるのか、中にあるのか
- 利益が会社に紐づいているのか、経営者個人に紐づいているのか
- 買収代金のほかに、引き継ぎ後いくら必要になるのか
条件を決めたら、あとは案件に出会うことが出発点になります。TRANBIには全国の中小企業や個人事業の譲渡案件が掲載されており、業種や地域、金額のほか、譲渡理由からも探すことができます。廃業を控えた事業との出会いは期限との勝負なので、まずは実際の案件をご覧になってみてください。
