調剤薬局M&Aは戦略のひとつ|制度変化時代の選択肢とは?相場・流れ・成功のポイントを徹底解説
薬価改定や調剤報酬改定が続く中、調剤薬局M&Aは経営戦略の一つとして注目されています。本記事では相場、EBITDA評価、流れ、注意点、大手事例まで網羅的に解説します。
- 01 調剤薬局の現状
- 薬価改定・調剤報酬改定による収益構造の変化
- かかりつけ薬局・地域連携の重要性の高まり
- 門前薬局と医療モール型薬局の評価の変化
- DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応状況
- 薬剤師不足と人材確保の課題
- 02 調剤薬局のM&Aの相場・売却価格の決まり方
- 調剤薬局M&Aにおける基本的な価格相場
- EBITDAを用いた評価が注目される理由
- 処方箋枚数とその質が評価に与える影響
- 技術料・加算取得状況の重要性
- 立地特性(門前・医療モール)が価格に与える影響
- 薬剤師体制と人件費構造の評価
- のれん代の考え方と最近の傾向
- DX対応状況が評価に与える影響
- 05 調剤薬局のM&Aの流れ
- STEP1|M&Aの目的を整理する
- STEP2|案件探し・買い手探し、マッチング
- STEP3|秘密保持契約(NDA)の締結と情報開示
- STEP4|条件交渉・基本合意
- STEP5|デューデリジェンス(詳細調査)
- STEP6|最終契約の締結
- STEP7|引き継ぎ・運営移行(PMI)
- 06 調剤薬局のM&A成功のポイント
- 目的と判断軸を最後までぶらさない
- 数字だけでなく「中身」を整えておく
- 薬剤師・スタッフへの配慮を最優先する
- 集中率や立地リスクを正しく理解する
- DX・制度対応の現状を整理しておく
- 一人で抱え込まず、状況に応じて第三者を活用する
- M&A後の姿を具体的にイメージしておく
- 07 調剤薬局のM&Aに際して注意点
- 売却価格だけで判断しない
- 集中率・門前依存リスクを過小評価しない
- 薬剤師・スタッフ対応を後回しにしない
- 契約書の内容を十分に理解する
- デューデリジェンスへの対応を軽視しない
- M&A後の関与や働き方を曖昧にしない
- 制度変更リスクを前提に考える
- 08 実際のM&A事例から見る調剤薬局業界の動き
- アインホールディングスによるさくら薬局の買収(2025年)
- クオールホールディングスのM&A戦略
- 大手M&Aから読み解く評価ポイント
- 事例は参考、目的に応じたM&A設計が重要
調剤薬局を取り巻く経営環境は、ここ数年で大きく様変わりしています。
薬価改定や調剤報酬改定が継続的に行われる中、これまでと同じ経営を続けていくだけでは、将来への不安を感じる経営者も少なくありません。加えて、かかりつけ薬局・地域連携の推進、DXや電子処方箋への対応、薬剤師不足と人件費の上昇など、調剤薬局に求められる役割と負担は年々増しています。
こうした環境変化の中で、近年あらためて注目されているのが「調剤薬局のM&A」です。かつては一部の大手チェーンや特殊なケースに限られた選択肢というイメージがありましたが、現在では後継者問題の解消や経営基盤の強化、将来リスクへの備えとして、現実的な経営戦略の一つとして捉えられるようになっています。
一方で、「相場が分からない」「本当に売れるのか」「何から始めればいいのか」「従業員や患者への影響は大丈夫なのか」といった疑問や不安を抱え、具体的な一歩を踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。調剤薬局のM&Aは、制度や人材、地域医療と密接に関わるからこそ、正しい知識と判断軸が欠かせません。
本記事では、調剤薬局M&Aを検討するうえで押さえておきたい基礎知識から、相場、具体的な流れ、メリット・デメリット、注意点、さらにアインホールディングスやクオールホールディングスといった大手による実際のM&A事例までを網羅的に解説します。調剤薬局の将来を考えるための一つの材料として、ぜひ参考にしてみてください。
調剤薬局の現状
調剤薬局業界は現在、制度改定・経営環境・技術革新という三つの大きな変化の波に直面しています。
これまで安定収益モデルとされてきた調剤薬局経営は、薬価改定や調剤報酬改定を背景に、従来型の経営手法だけでは立ち行かなくなりつつあります。
薬価改定・調剤報酬改定による収益構造の変化
調剤薬局の収益環境に最も大きな影響を与えているのが、定期的に実施される薬価改定と調剤報酬改定です。厚生労働省は医療費抑制の観点から、薬剤費の適正化と技術料重視の評価体系へと舵を切っています。
その結果、単純に薬を多く処方するだけでは収益が伸びにくい構造となりました。
これにより、薬価差益に依存した経営モデルは年々厳しさを増しており、調剤報酬の中でも技術料や各種加算の取得状況が、薬局経営の安定性を左右する重要な要素となっています。
- 薬価改定による薬剤利益の縮小
- 調剤報酬改定による技術料重視への転換
- 加算取得状況が収益を左右
- 厚生労働省による制度誘導の影響
かかりつけ薬局・地域連携の重要性の高まり
現在の調剤薬局政策では、「かかりつけ薬局」や「地域連携薬局」としての機能が強く求められています。単なる処方箋応需の場ではなく、患者の服薬情報を一元的に管理し、地域医療の一翼を担う存在であることが評価される時代です。
この流れに対応できている薬局は、調剤報酬上の加算取得や、地域からの信頼獲得という点で優位性を持ちます。一方で、対応が遅れている薬局は、将来的な評価低下リスクを抱えることになります。
- かかりつけ薬局としての実績が評価対象
- 地域連携薬局の認定有無
- 服薬情報の一元管理体制
- 患者対応力の差が経営差に直結
厚生労働省 身近な健康の相談役「かかりつけ薬剤師・薬局」を持ちましょう」
門前薬局と医療モール型薬局の評価の変化
立地特性による評価も、近年大きく変わっています。特定の医療機関に強く依存する門前薬局は、処方箋枚数が安定しやすい一方で、集中率の高さがリスクとして見られるケースが増えています。
一方、複数の医療機関が集積する医療モール内の薬局や、面対応を意識した薬局は、処方箋の分散性や将来の持続性という観点から評価されやすくなっています。
- 門前薬局は集中率が評価ポイント
- 特定医療機関依存のリスク
- 医療モール型は分散性が強み
- 面対応薬局への評価上昇
DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応状況
調剤薬局業界でもDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性は急速に高まっています。電子処方箋の普及やオンライン服薬指導の解禁により、IT対応力が薬局の競争力に直結するようになりました。
しかし、システム導入にはコストと運用負担が伴うため、特に中小・個人経営の調剤薬局では対応が遅れがちです。
このDX対応の差は、将来的なM&A評価にも影響を及ぼす要素となっています。
- 電子処方箋への対応有無
- オンライン服薬指導の実施状況
- システム投資負担の大小
- DX対応が将来評価に影響
薬剤師不足と人材確保の課題
調剤薬局経営において、薬剤師の確保は依然として大きな課題です。
人材不足により人件費は上昇傾向にあり、特に地方や小規模薬局では採用難が深刻化しています。
薬剤師の人数や定着率は、日常の運営だけでなく、M&A時の評価にも大きく影響します。安定した人員体制を維持できているかどうかは、将来性を測る重要な指標です。
- 薬剤師不足による人件費上昇
- 採用難が経営リスクに直結
- 薬剤師の定着率が重要
- 人材体制はM&A評価にも影響
調剤薬局のM&Aの相場・売却価格の決まり方
調剤薬局のM&Aにおける売却価格は、一般的な中小企業M&Aとは異なる評価軸で決まります。
売上規模の大きさよりも、処方箋枚数の安定性や調剤報酬の中身、将来にわたる継続性が重視される点が特徴です。
調剤薬局M&Aにおける基本的な価格相場
調剤薬局のM&Aでは、営業利益を基準にした評価が主流となっています。
一般的には「実態営業利益の〇年分」という形で価格が算定されるケースが多く、そこにのれん代(営業権)が加味されます。
ただし、相場はあくまで目安であり、薬局の立地や経営状況によって大きく変動します。特に近年は、調剤報酬改定の影響を踏まえ、保守的な評価を行う買い手が増えています。
- 営業利益ベースでの評価が主流
- 年数倍率は薬局ごとに異なる
- のれん代を含めた総合判断
- 相場は一律ではない
EBITDAを用いた評価が注目される理由
近年、調剤薬局のM&Aにおいては、営業利益だけでなくEBITDA(利払い前・税引き前・減価償却前利益)を重視するケースが増えています。これは、調剤薬局の収益力をより実態に近い形で把握するためです。
調剤薬局では、設備投資やシステム導入に伴う減価償却費の影響が大きく、またオーナー経営の場合、役員報酬や賃借料に個人差が出やすい傾向があります。
EBITDAはこうした要素を調整した指標であるため、買い手・売り手双方にとって比較しやすい評価基準として活用されています。
- 営業利益だけでは実態が見えにくい
- 減価償却費の影響を除外できる
- オーナー報酬差を調整しやすい
- 買い手間の比較がしやすい
【調剤薬局M&AにおけるEBITDAの位置づけ】
EBITDAは、あくまで評価の「出発点」として使われることが一般的です。最終的な売却価格は、EBITDAに将来性やリスク要因を加味したうえで決定されます。
例えば、EBITDAが安定していても、集中率が極端に高い場合や、薬剤師体制に不安がある場合は評価が調整されることがあります。
一方で、EBITDAがやや低くても、かかりつけ薬局としての評価や加算取得状況が良好であれば、将来的な成長性を加味して前向きに評価されるケースもあります。
- EBITDAは評価の起点
- 集中率や立地リスクで調整
- 薬剤師体制の安定性も考慮
- 加算取得状況が将来評価に影響
【EBITDA倍率で語られる際の注意点】
一部では「EBITDA〇倍」という表現で相場が語られることがありますが、調剤薬局M&Aでは単純な倍率論だけで判断するのは危険です。
調剤報酬改定の影響を強く受ける業態である以上、将来の制度変更リスクを無視することはできません。
そのため、EBITDA倍率はあくまで参考値とし、処方箋枚数の推移や技術料比率、DX対応状況などと併せて総合的に判断することが重要です。
- EBITDA倍率は参考指標
- 制度変更リスクを考慮
- 処方箋枚数とのセット評価
- 技術料・DX状況も重要
処方箋枚数とその質が評価に与える影響
処方箋枚数は、調剤薬局の将来収益を測る最重要指標の一つです。ただし、単純な枚数の多さよりも「安定性」と「質」が重視されます。
特定医療機関からの処方箋に過度に依存している場合、集中率が高いと判断され、評価が下がる可能性があります。一方で、複数の医療機関から継続的に処方箋を受けている薬局は、将来リスクが低いと見なされます。
- 月間・年間処方箋枚数
- 処方箋枚数の推移
- 集中率の高さ・低さ
- 医療機関との関係性
技術料・加算取得状況の重要性
現在の調剤薬局M&Aにおいて、技術料比率と加算取得状況は非常に重視されるポイントです。薬価改定の影響で薬剤利益が縮小する中、技術料を安定して確保できている薬局は高く評価されます。
かかりつけ薬局関連の加算や地域連携薬局の評価を受けているかどうかは、将来の調剤報酬改定にも耐えうる体質かを判断する材料となります。
- 技術料比率の高さ
- かかりつけ薬局関連加算
- 地域連携に関する評価
- 加算取得の継続性
立地特性(門前・医療モール)が価格に与える影響
薬局の立地は、M&A価格を左右する重要な要素です。門前薬局は処方箋枚数が読みやすい反面、医師の異動や医療機関の方針変更によるリスクを内包しています。
一方、医療モール型や面対応型の薬局は、処方箋の分散性が評価されやすく、将来性という観点でプラスに働くことがあります。
- 門前薬局の安定性とリスク
- 集中率の評価
- 医療モール型の分散性
- 面対応の有無
薬剤師体制と人件費構造の評価
薬剤師の人数や勤務体制も、売却価格に直結します。
慢性的な人手不足に陥っている薬局や、特定の薬剤師に業務が依存している場合は、引継ぎリスクが高いと判断されます。
一方で、複数名体制が整っており、業務が属人化していない薬局は、買い手にとって安心材料となります。
- 薬剤師の在籍人数
- 正社員・パート構成
- 属人化の有無
- 人件費の適正水準
のれん代の考え方と最近の傾向
調剤薬局M&Aにおけるのれん代は、「将来にわたって生み出される超過収益」として評価されます。
かつては年商を基準とした単純な算定方法も見られましたが、現在はキャッシュフロー重視の考え方が主流です。
アインHDによる買収やクオールHDによるM&A事例でも、短期的な利益より、長期的な安定性と成長余地が重視されていることがうかがえます。
- のれん代は将来収益の対価
- 年商基準からの脱却
- キャッシュフロー重視
- アインHD・クオールHD事例の影響
DX対応状況が評価に与える影響
電子処方箋やオンライン服薬指導など、DX対応状況も徐々に評価項目として定着しつつあります。
現時点で売却価格に大きく影響するケースは限定的ですが、将来的な成長性を測る指標として注目されています。
特に大手チェーンは、DX基盤をグループ全体で統一する前提で買収を行うため、最低限のIT対応が整っているかどうかは重要な判断材料となります。
- 電子処方箋への対応状況
- オンライン服薬指導の実施有無
- システム運用の成熟度
- 将来成長性の評価材料
調剤薬局のM&Aのメリット
調剤薬局のM&Aは、単なる事業拡大や引退手段ではなく、経営課題を解決するための戦略的な選択肢として活用されています。
買い手側・売り手側それぞれに異なるメリットがあり、立場によってM&Aの意味合いは大きく変わります。
買い手側にとってのメリット
買い手側にとって、調剤薬局のM&Aは時間と確実性を重視した成長手段です。
新規出店では実現しにくいスピード感と安定性を、一度に手に入れることができます。
【短期間での処方箋枚数・商圏の獲得】
調剤薬局の新規開局には、医療機関との関係構築や処方箋枚数の立ち上がりまでに時間を要します。
M&Aであれば、すでに処方箋枚数が安定している薬局を引き継ぐことができ、即座に商圏へ参入することが可能です。
- 既存処方箋枚数をそのまま承継
- 商圏を短期間で確保
- 立ち上がりリスクの低減
- 事業計画の精度向上
【薬剤師人材の確保と組織力強化】
慢性的な薬剤師不足が続く中、M&Aによる人材確保は大きなメリットです。
すでに現場を理解している薬剤師をそのまま引き継げるため、採用コストや教育コストを抑えることができます。
- 薬剤師をまとめて確保
- 採用・教育コストの削減
- 現場オペレーションの即時安定
- 組織規模拡大による安定性
【スケールメリットを活かしたDX推進】
電子処方箋やオンライン服薬指導などのDX施策は、単独店舗では投資負担が重くなりがちです。
M&Aにより店舗数を増やすことで、システム導入や運用コストを分散し、効率的なDX推進が可能となります。
- 電子処方箋導入の効率化
- オンライン服薬指導の展開
- システム投資の分散
- DXによる競争力強化
【地域ドミナント戦略の実現】
特定エリアに複数店舗を展開するドミナント戦略は、調剤薬局経営において非常に有効です。
M&Aを活用することで、狙った地域に一気に拠点を構築することができます。
- 特定エリアでの認知度向上
- 物流・人材配置の効率化
- 医療機関との関係強化
- 地域連携の推進
売り手側にとってのメリット
売り手側にとってのM&Aは、「やめるため」ではなく「守るため」「つなぐため」の選択肢です。
経営者自身だけでなく、従業員や患者にとってもメリットがあります。
【後継者問題の解消と事業承継】
個人経営の調剤薬局では、後継者不在が大きな課題となっています。
M&Aを活用することで、廃業を避け、薬局を次の世代へ引き継ぐことが可能になります。
- 後継者不在問題の解決
- 廃業リスクの回避
- 薬局ブランドの継続
- 地域医療への貢献継続
【薬価改定・調剤報酬改定リスクからの解放】
薬価改定や調剤報酬改定は、個人経営者にとって大きな精神的・経営的負担です。
M&Aにより経営の第一線から退くことで、制度変更リスク等による心的負担から解放されます。
- 制度改定による不安の軽減
- 将来収益変動リスクの回避
- 経営判断の重圧からの解放
- 安定した生活設計
【のれん代を含めた資産の現金化】
調剤薬局M&Aでは、設備や在庫だけでなく、のれん代も含めた価格で売却できる可能性があります。
長年築いてきた処方箋枚数や地域での信頼を、経済的価値として回収できる点は大きなメリットです。
- のれん代の評価
- 長年の経営努力の可視化
- まとまった資金確保
- セカンドライフへの備え
【従業員(薬剤師)の雇用維持】
M&Aでは、多くの場合、従業員の雇用が引き継がれます。
廃業とは異なり、薬剤師やスタッフの働く場を守ることができる点は、経営者として大きな安心材料です。
- 薬剤師の雇用継続
- スタッフの生活維持
- 患者への継続的サービス提供
- 地域からの信頼維持
調剤薬局のM&Aのデメリット
調剤薬局のM&Aは多くのメリットがある一方で、すべてのケースで成功が保証されるわけではありません。
買い手側・売り手側の双方に特有のデメリットやリスクが存在しており、それらを正しく理解したうえで判断することが重要です。
買い手側にとってのデメリット
買い手側のデメリットは、M&A後に顕在化するケースが多く、事前の見極めと準備が不可欠です。
特に調剤薬局では「人」と「制度」に起因するリスクが大きな割合を占めます。
【薬剤師の離職リスク】
M&A後、経営母体が変わることに不安を感じ、薬剤師が離職してしまうケースがあります。
調剤薬局は人的資源への依存度が高いため、薬剤師の退職は処方箋応需体制に直接的な影響を与えます。
- M&Aによる心理的不安
- 労働条件変更への懸念
- キーパーソン薬剤師の退職
- 処方箋枚数減少リスク
【PMI(統合後運営)の難しさ】
M&A成立後のPMI(Post Merger Integration)がうまく進まない場合、想定していたシナジーが得られないことがあります。
また、業務フローや評価制度の違いが、現場の混乱を招く要因となる場合もあります。
- 業務フローの違い
- 評価制度・報酬体系の相違
- 現場オペレーションの混乱
- 想定シナジーの未達
【集中率リスクの顕在化】
買収後に改めて集中率が問題視されるケースもあります。
特定の医療機関への依存度が高い場合、医師の異動や診療方針変更により、処方箋枚数が急減するリスクがあります。
- 特定医療機関依存
- 医師異動による影響
- 処方箋枚数の急減
- 収益の不安定化
【制度改定リスクの引き継ぎ】
調剤薬局は、薬価改定や調剤報酬改定の影響を直接受ける業態です。
M&Aによって店舗数が増えるほど、制度変更の影響も拡大します。
- 薬価改定の影響拡大
- 調剤報酬改定への対応負担
- 厚生労働省の政策動向リスク
- 収益構造の変動
売り手側にとってのデメリット
売り手側にとってのデメリットは、M&A成立後に実感するものが多く、心理的な側面も含まれます。事前に整理しておくことで、後悔を防ぐことができます。
【経営の自由度を失うことへの戸惑い】
M&A後は、経営権を手放すことになります。
長年自分の判断で経営してきたオーナーにとっては、この変化が精神的な負担となることがあります。
- 経営判断権限の喪失
- 方針変更への適応
- 意思決定スピードの変化
- 心理的ストレス
【売却条件が希望通りにならない可能性】
M&Aでは、市場環境や薬局の状況によって、希望する売却価格や条件に届かないことがあります。
特に集中率や薬剤師体制に課題がある場合、価格調整が行われやすくなります。
- 希望価格との乖離
- 条件交渉の難航
- のれん代評価の差
- タイミングの重要性
【従業員・患者への説明負担】
M&Aを進める際には、従業員である薬剤師や患者への説明が不可欠です。
説明のタイミングや伝え方を誤ると、不安や不信感を招く恐れがあります。
- 薬剤師への説明責任
- 患者への周知対応
- 情報開示タイミングの難しさ
- 現場の混乱リスク
【売却後の役割や働き方の変化】
売却後も一定期間、薬局に残って勤務するケースがあります。
その際、立場や役割が変わることで、戸惑いを感じることがあります。
- 立場の変化への適応
- 権限縮小による違和感
- 勤務条件の変化
- モチベーション管理
調剤薬局のM&Aの流れ
調剤薬局のM&Aは、思いつきで進めるものではなく、段階ごとに意思決定を積み重ねていくプロセスです。
特に、制度や人材への影響が大きい業界であるため、各STEPで何を判断すべきかを理解しておくことが、納得感のあるM&Aにつながります。
STEP1|M&Aの目的を整理する
調剤薬局のM&Aにおいて、最初に行うべきことは「目的の整理」です。
売却なのか、事業承継なのか、あるいは将来リスクへの備えなのかによって、選ぶべき相手や条件は大きく異なります。
目的が明確になることで、価格を重視すべきか、従業員の雇用維持や地域医療の継続を優先すべきかといった判断軸が定まります。
このSTEPを曖昧にしたまま進めると、交渉途中で迷いが生じやすくなります。
- M&Aを検討する理由の整理
- 優先順位(価格・条件・将来像)
- 売却・継続・関与の有無
- 実現したいゴールの明確化
STEP2|案件探し・買い手探し、マッチング
目的が定まったら、次は具体的な相手探しです。
近年では、TRANBIのように売り手・買い手が直接案件を探し、マッチングできるプラットフォームを活用するケースが増えています。
まずは幅広く情報を収集し、市場でどのような条件で取引が行われているのかを把握することが重要です。この段階では、すぐに交渉を進める必要はなく、比較・検討が中心となります。
- 市場に出ている案件の確認
- 買い手・売り手候補の探索
- 条件感・相場感の把握
- マッチングの検討
STEP3|秘密保持契約(NDA)の締結と情報開示
具体的な交渉に進む前に、秘密保持契約(NDA)を締結します。
NDAを結ぶことで、財務情報や処方箋枚数、薬剤師体制などの重要情報を安全に開示できるようになります。
調剤薬局では、情報漏洩が従業員や患者に影響を与える可能性があるため、このSTEPは特に慎重に進める必要があります。
- NDAの締結
- 詳細資料の開示
- 財務・運営情報の共有
- 情報管理体制の確認
STEP4|条件交渉・基本合意
情報開示を踏まえ、売却価格や条件について具体的な交渉が行われます。
価格だけでなく、M&A後の運営方針や従業員の雇用条件なども重要な交渉ポイントです。
条件の大枠がまとまると、基本合意書(LOI)を締結し、次の詳細調査へと進みます。
- 売却価格・算定根拠の確認
- 雇用維持・運営方針の整理
- 基本合意書の締結
- 独占交渉期間の設定
STEP5|デューデリジェンス(詳細調査)
基本合意後、買い手によるデューデリジェンス(DD)が実施されます。
調剤薬局特有の薬事対応や調剤報酬関連の確認も含まれ、実態把握が行われます。
このSTEPで問題が見つかると、条件の再調整が行われることもあります。
- 財務・税務の確認
- 薬事・行政対応状況
- 労務・雇用契約の確認
- リスク・課題の洗い出し
STEP6|最終契約の締結
デューデリジェンスの結果を踏まえ、最終条件が確定し、最終契約が締結されます。
契約内容は、価格だけでなく、表明保証や競業避止、引き継ぎ条件なども含まれる重要なものです。
- 最終条件の確定
- 最終契約書の締結
- 対価支払い方法の確認
- 経営権・事業の移転
STEP7|引き継ぎ・運営移行(PMI)
M&Aは契約締結で終わりではありません。
調剤薬局の場合、引き継ぎと運営移行(PMI)が円滑に進むかどうかが成功を左右します。
薬剤師やスタッフ、患者が安心して利用できる体制を維持することが、結果として処方箋枚数や地域からの信頼を守ることにつながります。
- 従業員・薬剤師への説明
- 業務・システムの引き継ぎ
- 運営ルールの統一
- 安定運営に向けたPMI
調剤薬局のM&A成功のポイント
調剤薬局のM&Aを成功させるためには、価格交渉だけでなく、事前準備や進め方、M&A後の運営までを見据えた視点が欠かせません。特に、制度変更や人材への依存度が高い業界であるからこそ、押さえるべきポイントを理解しておくことが重要です。
目的と判断軸を最後までぶらさない
M&Aの成否を分ける最大のポイントは、最初に整理した目的を最後までぶらさないことです。
交渉が進むにつれて、価格や条件に目が向きがちになりますが、何のためのM&Aなのかを見失うと、納得感のない結果になりやすくなります。
特に、後継者問題の解消や従業員の雇用維持を目的とする場合は、短期的な条件よりも中長期的な視点での判断が求められます。
- M&Aの目的を明確に持ち続ける
- 優先順位を途中で変えない
- 価格以外の条件も重視
- 将来像から逆算して判断
数字だけでなく「中身」を整えておく
調剤薬局のM&Aでは、処方箋枚数やEBITDAといった数字が注目されますが、それ以上に重要なのが中身の安定性です。
加算取得状況や技術料の比率、集中率などは、将来の継続性を判断する材料となります。
また、数字の背景を説明できる状態にしておくことで、買い手からの信頼を得やすくなります。
- 処方箋枚数の安定性
- 技術料・加算取得状況
- 集中率の把握
- EBITDAの中身説明
薬剤師・スタッフへの配慮を最優先する
調剤薬局は、人によって支えられている事業です。
薬剤師やスタッフへの配慮を欠いたM&Aは、結果的に処方箋枚数の減少や評価低下につながります。
情報開示のタイミングや伝え方を慎重に検討し、不安を最小限に抑えることが重要です。
- 薬剤師への説明タイミング
- 雇用条件の明確化
- キーパーソンの把握
- 不安を与えない配慮
集中率や立地リスクを正しく理解する
門前薬局や医療モール型など、立地による強みと弱みを正確に理解しておくことが重要です。
集中率が高い場合は、そのリスクをどう補完するかを整理しておくことで、評価の下振れを防ぐことができます。
- 門前依存度の把握
- 集中率リスクの説明
- 医療機関との関係性整理
- 将来リスクへの備え
DX・制度対応の現状を整理しておく
電子処方箋やオンライン服薬指導など、DX対応は今後ますます重要になります。
すべてを完璧に整える必要はありませんが、現状と今後の対応方針を説明できる状態にしておくことが、安心感につながります。
- 電子処方箋対応状況
- オンライン服薬指導の有無
- DX投資の方針
- 調剤報酬改定への対応力
一人で抱え込まず、状況に応じて第三者を活用する
TRANBIのようなプラットフォームを活用することで、主体的にM&Aを進めることができます。
一方で、条件交渉や契約段階では、必要に応じて専門家の意見を取り入れることで、より安心して進めることができます。
すべてを任せるのではなく、「使い分ける」という視点が成功につながります。
- TRANBIで主体的に進める
- 必要な場面で専門家を活用
- 判断材料を増やす
- リスクを最小限に抑える
M&A後の姿を具体的にイメージしておく
成功するM&Aは、契約後の姿が具体的に描けています。
引き継ぎ期間や自身の関与、薬局の運営体制を事前に想定しておくことで、スムーズなPMIにつながります。
- M&A後の役割整理
- 引き継ぎ期間の想定
- 運営体制のイメージ
- PMIを見据えた準備
調剤薬局のM&Aに際して注意点
調剤薬局のM&Aは、正しく進めれば経営の選択肢を広げる有効な手段ですが、注意点を見落とすと後悔につながる可能性もあります。
特に、契約内容や情報開示、人材対応に関する部分は、慎重な判断が求められます。
売却価格だけで判断しない
M&Aを検討する際、どうしても売却価格に目が向きがちですが、価格だけで判断するのは危険です。調剤薬局の場合、売却後の運営方針や従業員の処遇によって、満足度は大きく変わります。 価格が高くても、雇用条件や運営方針が合わない場合、結果的にトラブルにつながることもあります。
- 売却価格と条件のバランス
- 雇用維持の可否
- 運営方針の一致
- 長期的な納得感
集中率・門前依存リスクを過小評価しない
門前薬局は安定した処方箋枚数が見込める一方で、集中率が高くなりやすいという特徴があります。
このリスクを十分に認識せずにM&Aを進めると、想定外の評価調整が行われることがあります。
- 集中率の正確な把握
- 医師異動リスク
- 医療機関との関係性
- 将来変動への備え
薬剤師・スタッフ対応を後回しにしない
調剤薬局のM&Aにおいて、薬剤師やスタッフへの対応は最重要項目です。説明のタイミングや内容を誤ると、不安や離職につながる可能性があります。 特に、キーパーソンとなる薬剤師の動向は、M&A全体の成否に直結します。
- 説明時期の見極め
- キーパーソンの把握
- 雇用条件の明示
- 不安を与えない伝え方
契約書の内容を十分に理解する
最終契約書には、表明保証や補償条項など、専門的な内容が多く含まれます。
内容を十分に理解せずに署名してしまうと、後から思わぬ責任を負うこともあります。
- 表明保証の範囲確認
- 補償条項の理解
- 契約不履行時の対応
不明点や疑問点がある場合、放置せず専門家等に確認を求めることも手段のひとつです。
デューデリジェンスへの対応を軽視しない
デューデリジェンスは、買い手が安心して引き継ぐための重要なプロセスです。
売り手も必要な資料を適切に準備し、誠実に対応することが、条件維持や信頼関係構築につながります。
- 資料準備の徹底
- 情報の正確性
- 説明責任の意識
- 信頼関係の構築
M&A後の関与や働き方を曖昧にしない
売却後も一定期間、売り手が現場に関与するケースは少なくありません。
その際、売り手側も自身の役割や期間を曖昧にしたままだと、双方にストレスが生じやすくなります。
- 売却後の役割整理
- 関与期間の明確化
- 権限範囲の確認
- 働き方の合意
制度変更リスクを前提に考える
調剤薬局は、薬価改定や調剤報酬改定といった制度変更の影響を避けることができません。
現時点の条件だけでなく、将来の制度変化を見据えた判断が重要です。
- 薬価改定の影響
- 調剤報酬改定リスク
- 厚生労働省の方針理解
- 中長期視点での判断
実際のM&A事例から見る調剤薬局業界の動き
調剤薬局業界では、M&Aが単なる規模拡大だけでなく、戦略的な事業再編として進んでいます。
ここでは、最近の代表的な事例として、アインホールディングスによるさくら薬局買収と、クオールホールディングスのM&A戦略を取り上げ、何が評価されているのかを整理します。
アインホールディングスによるさくら薬局の買収(2025年)
2025年8月、調剤薬局最大手のアインホールディングス(HD)は、業界4位の大手チェーン「さくら薬局」を運営するクラフトグループの全株式を取得・完全子会社化しました。買収金額は約591億円で、負債を含めると実質1,000億円を超える大型案件となっています。
この買収により、アインHDグループの調剤薬局事業は売上高5,000億円超、店舗数2,000店舗超という日本最大規模のネットワークへと拡大しました。
業界2位の日本調剤を大きく引き離す形となり、調剤薬局M&Aとしても規模・価値ともに画期的な事例として注目されています。
この大型M&Aは、単に店舗数を増やすだけでなく、以下のようなポイントでも参考になります。
- 規模拡大戦略の強さ:業界トップ企業がさらに事業基盤を固める動き
- 安定性評価の重視:さくら薬局の約800店舗という安定した処方箋源
- 事業統合によるシナジー:グループ全体での運営効率・人材配置の最適化
日本経済新聞 アインHD、さくら薬局グループを買収すると発表
クオールホールディングスのM&A戦略
クオールホールディングス(HD)は、全国に「クオール薬局」を展開する大手チェーンとして、積極的な M&A を実施してきた企業です。1990年代の創業以来、自社出店とM&Aを組み合わせて規模を拡大してきました。
【共栄堂の買収(2016年)】
クオールHDは2016年、新潟県を中心に調剤薬局を展開する「共栄堂」を子会社化しました。
この買収では、地域密着型の薬局網を取り込むことで、クオールHDの地方展開力の強化と、地域医療での信頼性向上を図る戦略がありました。
【藤永製薬の子会社化(2019年)】
同社は調剤薬局事業だけでなく、医薬品製造など関連事業の強化も視野に入れています。
その一環として、老舗医薬品メーカーの「藤永製薬」を子会社化し、事業の多様化を進めています。
これらの事例から、クオールHDのM&Aは以下の視点が見えてきます。
- 地域戦略ときめ細かなネットワーク構築:地方の調剤薬局を取り込むことで全国展開を強化
- 関連事業とのシナジー創出:医薬製造など隣接領域への拡大
- 安定収益基盤の構築:複数の事業軸を持つことで制度変更リスクを分散
大手M&Aから読み解く評価ポイント
これらの事例は、調剤薬局M&Aにおいて買い手側がどのようなポイントを重視しているかを示す良い例です。
特に、大手企業が注目する評価項目には次のような共通点があります。
- 規模と安定性:処方箋枚数や店舗ネットワークの安定性
- 収益の質:技術料・加算取得状況、EBITDAなどの評価
- 人材・運営体制:薬剤師体制や統合後のオペレーション
- 将来性とリスク管理:DX対応や制度改定への耐性
こうしたポイントは、大手企業だからこそ重視される側面だけでなく、中小・個人薬局がM&Aを検討する際にも有用な指標となります。
事例を知ることで、自身の薬局がどのような点で評価されやすいか、あるいは改善すべきかを具体的に考えることができます。
事例は参考、目的に応じたM&A設計が重要
もちろん、すべての調剤薬局がアインHDやクオールHDのような大型M&Aを目指す必要はありません。むしろ、自身の目的や薬局の特性に応じて最適な相手や条件を設計することが成功の鍵です。
TRANBIのようなプラットフォームを活用することで、多様な買い手・売り手候補と出会い、主体的に選択肢を比較・検討することが可能になります。
調剤薬局のM&Aに関するよくある質問
調剤薬局のM&Aを検討する際、多くの経営者が共通して抱く疑問があります。
ここでは、実務の現場で特に多い質問を中心に整理します。
門前薬局はM&Aで不利になりますか?
門前薬局だからといって、必ずしもM&Aで不利になるわけではありません。処方箋枚数が安定している点は大きな強みです。ただし、特定医療機関への依存度が高い場合、集中率リスクとして評価調整が行われることがあります。
重要なのは、リスクを正しく把握し、説明できる状態にしておくことです。
- 処方箋枚数の安定性はプラス
- 集中率が高いと評価調整の懸念あり
- 医療機関との関係性が重要
- リスク説明ができれば評価は安定
薬剤師が辞めてしまった場合、M&Aはどうなりますか?
薬剤師の退職は、M&A評価や条件に影響を与える可能性があります。特に、キーパーソンとなる薬剤師の離職は、処方箋応需体制に直接影響します。
そのため、M&Aを検討する段階から、薬剤師体制の安定性や引き継ぎ体制を重視することが重要です。
- キーパーソン退職は影響大
- 処方箋応需体制の確認
- 引き継ぎ計画の重要性
- 雇用条件の整理
電子処方箋やオンライン服薬指導に未対応でも売却できますか?
現時点では、電子処方箋やオンライン服薬指導に未対応であっても、M&Aが成立しないわけではありません。ただし、DX対応状況は将来性の評価材料として見られる傾向があります。
未対応の場合でも、今後の対応方針を説明できる状態にしておくことが重要です。
- 未対応でも売却自体は可能
- DXは将来評価の要素
- 対応予定・方針が重要
- 買い手のDX戦略との相性
売却価格はいつ確定しますか?
売却価格は、STEP4の条件交渉・基本合意の段階で大枠が定まります。ただし、STEP5のデューデリジェンス結果によって調整されるケースもあります。
最終的に確定するのは、最終契約締結時となります。
- 基本合意で価格目安が決まる
- デューデリジェンスで調整される場合もある
- 最終契約時に確定
- 条件変更の可能性を理解しておく必要がある
EBITDAが低くてもM&Aは可能ですか?
EBITDAは重要な指標ですが、それだけで判断されるわけではありません。処方箋枚数の安定性や技術料、加算取得状況、地域での役割などが総合的に評価されます。
EBITDAが低い場合でも、改善余地や将来性が評価されるケースはあります。
- EBITDAはあくまで指標のひとつ
- 処方箋枚数・加算が重要
- 将来性が評価される場合がある
- 総合評価が基本
M&Aを検討していることは、いつ従業員に伝えるべきですか?
従業員への説明タイミングは非常に重要です。一般的には、条件がある程度固まった段階で伝えるケースが多く、早すぎても遅すぎても問題が生じやすくなります。
状況に応じて、慎重に判断することが求められます。
- 早すぎる説明は不安を招く
- 遅すぎる説明も不信感につながる
- キーパーソンへの配慮
- タイミング判断が重要
まとめ
調剤薬局を取り巻く環境は、薬価改定や調剤報酬改定を背景に大きく変化しています。
厚生労働省が推進するかかりつけ薬局・地域連携の流れや、DX、電子処方箋、オンライン服薬指導への対応など、求められる役割は年々高度化しています。その一方で、薬剤師不足や人件費の上昇、集中率リスクなど、経営上の課題も増えています。
こうした状況の中で、調剤薬局のM&Aは「特別な選択肢」ではなく、経営戦略の一つとして現実的な位置づけになりつつあります。売却か継続かという二択ではなく、将来を見据えた柔軟な選択肢として検討される時代です。
本コラムでは、調剤薬局M&Aの相場や評価の考え方、EBITDAの位置づけ、メリット・デメリット、具体的な流れ、成功のポイント、注意点、そして実際のM&A事例までを整理してきました。
これらに共通して言えるのは、「数字」だけでなく「人」や「将来性」が重視されているという点です。
M&Aを成功させるためには、まず目的を明確にし、自身の調剤薬局の現状を正しく把握することが欠かせません。そのうえで、案件探しやマッチングを通じて選択肢を広げ、条件や相手を比較しながら主体的に判断していく姿勢が重要です。
TRANBIのようなプラットフォームを活用すれば、売り手・買い手が直接つながり、自分のペースで情報収集や検討を進めることができます。必要に応じて専門家の力を借りながら、無理のない形でM&Aを進めることが、納得感のある結果につながります。
調剤薬局のM&Aは、終わりではなく次のステージへのスタートです。将来に向けて後悔のない選択をするためにも、早い段階から情報を集め、選択肢を知っておくことが何よりの備えとなります。
- 調剤薬局を取り巻く環境は構造的に変化している
- M&Aは経営戦略の一つとして現実的な選択肢
- 評価は売上ではなく処方箋枚数・技術料・EBITDA・人材が鍵
- 成功のポイントは目的の明確化と事前準備
- TRANBIを活用することで主体的なM&A検討が可能