M&Aに付随するリスクとは?適切なリスク管理のポイントを解説

M&Aに付随するリスクとは?適切なリスク管理のポイントを解説

M&Aは事業の売り手・買い手どちらにもメリットがあるものの、注意点もあります。M&Aに付随するリスクを把握し、安全に取引できるように準備しておくことが大事です。M&Aにおける代表的なリスクと、リスク管理のポイントを解説します。

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M&Aに付随するリスクは?

M&Aは近年、中小企業や個人事業間でも盛んに行われており、特に後継者問題に悩んでいる事業の承継方法として注目されています。売り手・買い手ともにメリットが大きい手法ですが、M&Aに伴うリスクも理解しておかなければいけません。

売り手・買い手の双方にリスクがある

M&Aは事業の売り手にとっては売却益を得られるほか、後継者のいない事業を引き継いでもらえるなどのメリットがあります。買い手にとっては、効率的に事業を成長させられる点がメリットです。

しかしどちらの立場であっても、互いの事情や事業内容をよく把握した上で契約に至る必要があり、事業が譲渡されるまでに多くのプロセスを経なければいけません。

M&Aは完了までに多くの時間や手続きを要するのに加えて、途中で問題やトラブルが起こる場合もあるため、どういったリスクがあるかをよく把握し、しっかり対策を立てておく必要があります。

M&Aにおける代表的なリスク

M&Aにおけるリスクは、以下のように『財務リスク』『経営リスク』『法務リスク』『人材リスク』の4種に分けられます。

  • 財務リスク:買収する企業の簿外債務やM&Aによって偶発的に発生する債務などに関するリスク
  • 経営リスク:従業員の労務管理問題や会社の経営、事業戦略において発生しうるリスク
  • 法務リスク:買収先企業の許認可や取引先との契約に関して、何らかの問題が起こるリスクなど
  • 人材リスク:事業主が替わることによる従業員のモチベーションやモラルの低下、取得した資産やノウハウを自社の人材で使いこなせないリスクなど

これらの多くは事業の買い手が想定しなければならないリスクですが、売り手側も不要なトラブルを避けるために、どういったリスクがあるか知っておかなければいけません。

売り手側が意識すべきリスク

まずは、事業の売り手側が意識すべき代表的なリスクを、具体的に確認しましょう。事前に情報収集を徹底し、譲渡後に混乱が起こらないように社内の調整をしておくことが大事です。

人材や取引先が離れてしまう可能性がある

M&Aに関する情報が社内に広まった場合、中には解雇されるのではないか、職場環境が大きく変わってしまうのではないか、といった不安を覚える従業員が出てくる可能性があります。

経営者が替わることをきっかけに離職する人も出てきて、企業価値を損なう恐れもあるでしょう。

またM&Aの交渉を進めるにあたって、取引先に自社のM&Aに関する情報が漏れてしまい、得意先が離れてしまったり、取引条件が変更されたりする恐れもあります。M&Aに着手する前に、社内はもちろん、できるだけ取引先の理解を得ておくことも大事です。

M&Aに着手する前に、社内はもちろん、取引先との調整を済ませておくことが大事です。

想定外の安値で買収されるリスクがある

M&Aによって自社の本来の価値よりも、安値で買収されるリスクもあります。買い手側はできるだけ費用を抑えて安く事業を買い取りたいと考えるので、売り手側が自社の価値を正確に認識しておかないと、買いたたかれる恐れがあります。

特に未上場の企業の場合、上場企業のように株価を基準に企業価値を算出できません。そのため、類似事業の譲渡価格などを参考に、相場を把握しておく必要があります。

損害賠償を請求される恐れがある

M&Aの完了後、偶発債務や簿外債務などの存在によって買い手に損害が発生した場合、買い手から賠償請求をされる可能性があります。当然、そういった債務の存在を認識していながら買い手に伝えないのは、信義上許される行為ではありません。

しかし製品やサービスを通して顧客に損害を与えてしまうなど、売り手側も予期していなかった事情によって賠償問題に発展する可能性もあります。

事業の売却後、できる限り問題やトラブルが発生しないように、買い手に対して債務の状況や詳細をしっかりと説明しておくことが重要です。

買い手が現れないリスクもある

M&Aの実行にはさまざまなリスクが伴いますが、売り手はそもそも事業に買い手が付かない状況も想定しておかなければいけません。

たとえ買い手候補が現れても、好条件の相手が見つからなかったり、他の売り手が出現し破談になったりするケースも考えられます。

事業の売却先を見つけるには、取引先からの紹介や仲介業者を利用する方法がありますが、個人事業をはじめとしたスモールビジネスの場合、マッチングサイトを利用するとよいでしょう。

M&Aのプラットフォームである『TRANBI』ならば、未経験者による成約率も非常に高く、個人事業主でも使いやすいのでおすすめです。

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買い手側が意識すべきリスク

次に、M&Aにおける事業の買い手側が想定すべきリスクを解説します。事業の買い手側は、売り手以上に買い取る事業に関して時間をかけて調査し、買収後に問題が起こらないようにしなければいけません。

以下のリスクに注意しながら、信頼のおける売り手から事業を引き継ぐことが大事です。

事業を過大評価してしまう可能性がある

買収を検討している事業を実際よりも高く評価してしまった結果、想定していた成果を上げられない場合があります。

買収資金を回収できない可能性もあるでしょう。さらに、買収金額に見合った事業ではなかった場合、自社全体の評価も下がってしまい、経営危機を迎える事態も考えられます。

相手の財務状況や事業としての将来性、従業員や取引先の状況など、できる限り詳細に調査した上で、本当に買収すべき事業なのか見極めましょう。

想定外の債務を引き継ぐリスクがある

偶発債務や簿外債務など、買収時には想定していなかった債務が発見され、返済義務を負ってしまうリスクもあります。

売り手が契約時には明らかにしていなかった債務はもちろん、従業員への残業代の未払いや有給休暇の未消化などの問題が発生した結果、買い手側が支払いを求められる可能性も考えられます。

売り手に損害賠償請求ができる場合はあるものの、ある程度の手間やコスト負担は避けられないでしょう。

経営統合がうまくいかない場合もある

M&Aが完了しても、買収した事業と既存事業との統合に失敗するリスクもあります。企業理念や風土などを含めて、具体的な業務内容や業務プロセスを統合していくには、相応の時間と手間がかかり、当初想定していた通りに統合が進まないケースは珍しくありません。

経営統合がうまくいかないと、M&A自体が無駄になってしまいかねないため、統合後のプロセス管理を徹底する必要があります。

M&A完了後の統合プロセスは『PMI(Post Merger Integration)』と呼ばれ、事業同士のシナジーを発揮させるための準備や内部統制、システムの統合から従業員のモチベーション維持まで、幅広く対応しなければいけません。

PMIについて詳しくは以下の記事で解説しています。

 PMIはM&Aの成否を分けるプロセス。重要性や必要な期間を解説
用語説明
PMIはM&Aの成否を分けるプロセス。重要性や必要な期間を解説

M&Aの成功の鍵を握るのは『PMI(統合作業)』です。急激な統合は従業員の混乱を招くため、現状を把握しながら計画的に進めていく必要があります。100日プランの立て方やPMIの準備を始める適切なタイミング・期間について解説します。

M&Aにおけるリスク管理のポイント

M&Aにおいて重要なのは、どういったリスクがあるか知った上で、しかるべき対策を施すことです。M&Aに必要なリスク管理のポイントを確認しましょう。

売り手側に必要なリスクマネジメント

事業の売り手側に必要なリスク管理としては、まずは自社の財務状況を整理し、正確に把握することです。

事業の譲渡後に買い手が問題を抱えないように、業務実態や管理体制の報告を正確にしなければいけません。事業主が把握していない問題や債務などが存在する可能性があるので、徹底した調査が求められます。

また、事業の価値を正しく把握するために、類似事業のM&A案件を確認し、相場観をつかんでおくとよいでしょう。スムーズに成約できるように、買い手側との信頼関係を構築しておくことも大事です。

買い手側に求められるリスクマネジメント

事業の買い手側は、買収対象事業の実態を契約前にできる限り正確に把握するため、『デュー・デリジェンス』を実施する必要があります。

デュー・デリジェンスとは、買収する事業の本質的な価値や財務状況、収益性、潜在リスクなどを洗い出すプロセスです。

事業全般に加え、財務、法務などの各観点から綿密な調査を行い、企業価値を適切に把握すれば、M&A後の事業統合プロセスもスムーズになります。売り手企業の決算書類も調査するため、売り手側との信頼関係の構築に努める必要があるでしょう。

さらに、業務プロセスの統合や社員の業務環境、人材配置など、M&A後にシナジーを発揮できるように取り計らわなければいけません。想定されるリスクを確認し、回避するための施策や計画を立てておきましょう。

なお、デュー・デリジェンスに関しては以下の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしましょう。

 デュー・デリジェンスでM&Aのリスク回避。かかる費用や期間など
手法
デュー・デリジェンスでM&Aのリスク回避。かかる費用や期間など

M&Aの最終合意に至る上で、デュー・デリジェンス(DD)は欠かすことのできない重要なプロセスです。資金に限りのある中小企業や個人事業主は、何をどのように実行すればよいのでしょうか?DDの種類や費用、期間について理解を深めましょう。

まとめ

M&Aは事業の売り手側・買い手側の双方にメリットがあるものの、さまざまなリスクも伴います。事業の譲渡後に問題が起こらないように、事前調査を徹底しましょう。想定されるリスクをしっかりと把握し、適切な対策を立てる必要があります。

また、買い手側は統合後の業務プロセス管理に関しても、しっかり計画を立てておかなければいけません。

事業主自身がプロセス管理にコミットするとともに、必要に応じて専門家の力も借りながら、スムーズに事業の引き継ぎができる体制を構築しましょう。