M&Aの相談は誰に頼む?相談先の選び方・料金を徹底解説!
M&Aの成功は、自社の状況や目的に合う適切な相談先を見つけられるかに左右されます。自社の現状を把握し、M&A成功のパートナーとなる相談先を見つけることから始めましょう。
M&Aを検討し始めたものの、「何から手をつければいいか分からない」「誰に相談すれば良い?」など悩みを抱えていませんか。M&Aの成功は、自社の状況や目的に合う適切な相談先を見つけられるかに左右されます。
本記事では、M&Aの相談先の特徴や費用、メリット・デメリットを比較し、選び方のポイント、相談の流れ、事前準備までを徹底解説します。
読み終える頃には、最適な相談先が明確になり、自信を持ってM&Aを始められるはずです。
まずは自社の現状を把握し、M&A成功のパートナーとなる相談先を見つけることから始めましょう。
M&Aの相談内容は?
M&Aの検討段階では、企業価値評価や財務・税務、法務リスクなど多くの課題が生じます。
これらの課題は専門的な知識を要するため、多くの企業が専門家の支援を必要とします。
相談するタイミングは、M&Aの検討を始めた初期段階が理想的です。
早い段階で相談することで、自社の現状を客観的に把握し、適切な戦略を立てることが可能になります。
準備段階や相手先を選定する時には、専門的な助言が不可欠です。
M&A相談先の種類と特徴|費用・メリット・デメリット
M&Aの相談先は、専門分野や特徴、費用体系が異なります。
ここでは、M&A仲介会社、金融機関、公的機関、士業、M&Aプラットフォームという5つの主要な相談先について、その役割やメリット・デメリットを詳しく解説します。
自社の規模や目的、予算を踏まえて、最適な相談先を選ぶ参考にしてください。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、売り手と買い手の間に立ち、成立までを総合的に支援する専門家です。/p>
中小M&Aガイドラインでは、仲介者が関与する際の「利益相反」リスクに注意するよう求めています。
そのため、契約前には手数料体系や秘密保持の範囲、直接交渉の制限などの説明を受けることが重要です。/p>
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 主な役割 | 売り手と買い手の間に立ち、M&Aプロセス全体を支援・調整する仲介役。両者の利益を調整する立場のため、利益相反のリスクには留意が必要。 |
| ② サポート範囲 | M&A戦略の立案から相手探索、交渉仲介、契約書作成、クロージングまで一貫してサポート。契約前に重要事項(手数料、テール条項等)の説明を行う。 |
| ③ 費用・手数料の相場 | レーマン方式(取引金額に応じて料率5%から1%に段階的に下がる)による成功報酬が一般的。最低手数料が設定されている場合も多い。算出基準(譲渡価格か企業価値か)によって金額が変わるため事前確認が必要。 |
| ④ メリット | ・豊富な情報網と専門知識を持つ。 ・M&Aプロセス全般を任せられるため、本業に集中できる。 ・専門的な知見から交渉を円滑に進めてくれる。 |
| ⑤ デメリット | ・手数料が高額になる場合がある。 ・担当者のスキルや経験に質が左右されることがある。 ・仲介者との契約(専任条項など)によっては活動が制限されることがある。 |
| ⑥ 向いている企業・状況 | ・初めてM&Aを行う企業。 ・M&Aの専門知識を持つ人材が社内にいない企業。 ・最適な相手を効率的に見つけたい企業。 |
金融機関(銀行・証券会社など)
メガバンクや地方銀行、証券会社などの金融機関も、取引先向けにM&A相談サービスを提供しています。
融資など長年の取引関係がある企業にとっては、事業や財務の理解が深く、信頼して相談しやすい相手です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 主な役割 | 主に自行の取引先を対象に、M&Aの相手企業を紹介・仲介する。M&Aに関連する融資も行う。 |
| ② サポート範囲 | 相手企業の紹介が中心。一部、FA(フィナンシャル・アドバイザー)業務や仲介業務も提供する。 |
| ③ 費用・手数料の相場 | 仲介会社と同様の成功報酬型が多く、相談料や着手金は機関や案件規模で異なる。 |
| ④ メリット | ・長年の取引関係から、自社の事業への理解が深い。 ・広範な顧客ネットワークを持っている。 ・M&A成立後の融資や事業展開の相談もしやすい。 |
| ⑤ デメリット | ・必ずしもM&A専門の部署があるとは限らず、担当者の専門性に差がある。 ・自行の利益を優先する提案が行われる可能性もある。 |
| ⑥ 向いている企業・状況 | ・メインバンクとの信頼関係が構築できている企業。 ・M&Aと並行して資金調達も検討している企業。 |
公的機関(商工会議所・事業承継・引継ぎ支援センターなど)
中小企業庁管轄の事業承継・引継ぎ支援センターは、全国47都道府県に窓口を設置し、中小企業のM&Aや事業承継を支援しています。
後継者不在の相談からM&Aマッチング支援まで、中立的立場で原則無料相談のため、初期相談先として有用です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 主な役割 | 中小企業のM&Aや事業承継に関する相談対応、情報提供、専門家の紹介。 |
| ② サポート範囲 | 初期段階の相談から事業承継計画の策定、M&Aのマッチング支援まで幅広くサポート。 |
| ③ 費用・手数料の相場 | 原則無料 |
| ④ メリット | ・無料で気軽に相談できる。 ・国が設置した中立・公正な立場から助言を受けられる。 ・地域のネットワークに強く、地元の専門家を紹介してもらえる。 |
| ⑤ デメリット | ・直接的な交渉代理や契約書作成の代行は行わない。 ・主な役割は専門家への橋渡しやマッチング機会の提供。 |
| ⑥ 向いている企業・状況 | ・M&Aを検討し始めたばかりで、何から手をつければいいか分からない企業。 ・まずは情報収集から始めたい企業。 ・セカンドオピニオンを求めている企業。 |
弁護士・税理士などの士業
弁護士、税理士、公認会計士などの士業は、それぞれの専門分野からM&Aを支援します。
弁護士は法務デューデリジェンスや契約書作成、税理士は税務デューデリジェンスや税務計画など、特定フェーズで重要な役割を担います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 主な役割 | 弁護士は法務、税理士は税務、公認会計士は財務の専門家として、M&Aの特定分野を支援する。 |
| ② サポート範囲 | 弁護士:法務デューデリジェンス、契約書レビュー・作成 税理士:税務デューデリジェンス、M&Aのスキーム検討 公認会計士:財務デューデリジェンス、企業価値評価 |
| ③ 費用・手数料の相場 | タイムチャージ(時間単価)や、プロジェクト単位の固定料金が一般的。 |
| ④ メリット | ・法務、税務、財務に関する高度な専門知識を持つ。 ・潜在的リスクを洗い出し、トラブルを未然に防止できる。 ・M&Aアドバイザリー(FA)として、依頼者の利益最大化のために動いてくれる。 |
| ⑤ デメリット | ・相手探しや交渉など、M&Aプロセス全体をカバーしているわけではない。 ・M&A実績が豊富な専門家を探す必要がある。 |
| ⑥ 向いている企業・状況 | ・特定の専門分野(法務・税務等)で高度な助言が必要な企業。 ・デューデリジェンスを徹底したい企業。 ・顧問契約を結んでいる信頼できる士業がいる企業。 |
M&Aプラットフォーム・M&Aマッチングサイト
近年は、インターネットで売り手と買い手を直接つなぐM&Aプラットフォームが急速に普及しています。
登録案件から自ら相手企業を探し、直接交渉できます。
手数料を抑えられる反面、交渉や手続きは自社の責任で行う必要があります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ① 主な役割 | M&Aを希望する売り手と買い手をオンライン上でマッチングさせる |
| ② サポート範囲 | 主な提供内容は相手企業を探すためのプラットフォーム。一部サービスでは専門家サポートもオプション提供。 |
| ③ 費用・手数料の相場 | サービスにより方式が異なる 例1)TRANBI:売り手無料、買い手は月額制(成約手数料なし)。 例2)BATONZ:売り手無料、買い手は成約時に取引価額の2%(最低手数料あり)。 |
| ④ メリット | ・手数料を安く抑えられる可能性がある。 ・多数の候補から自ら相手を探せる。 ・時間や場所を選ばずにM&A活動ができる。 |
| ⑤ デメリット | ・相手探しから交渉、手続きまで、一定の手間と専門知識が求められる。 ・専門家サポートがない場合、リスクを見落とす可能性がある。 ・成約までの難易度が高い。 |
| ⑥ 向いている企業・状況 | ・M&Aに関する知識や経験が豊富な企業。 ・コストを抑えたい小規模M&A。 ・自社のペースで相手探しを進めたい企業。 |
M&A相談先を選定する際のポイント
自社に最適なM&A相談先を選ぶためには、いくつかの重要な視点から比較検討する必要があります。
ここでは、相談先を選定する際に特に重視すべき5つのポイントを解説します。
これらの基準をもとに、信頼できるパートナーを見極めましょう。
① 専門性・M&A実績が豊富
最も重要なのは、相談先の専門性と実績です。
M&Aは業界や事業規模で特性が異なるため、自社業界や類似案件での実績が豊富かを確認しましょう。
担当者の経歴や過去の案件事例を具体的に質問し、専門性を見極めましょう。
② 費用体系・手数料が明確
M&Aには多額の費用がかかるため、費用体系の明確さは非常に重要です。
どの業務に、いつ、いくら費用が発生するかを事前に確認しましょう。
成功報酬だけでなく、着手金や月額報酬、中間金の有無、算定基準まで書面で明示する相談先を選びましょう。
③ 秘密保持体制が整っている
M&Aの情報は、企業の経営を揺るがしかねないトップレベルの機密情報です。
情報が外部に漏れれば、従業員や取引先に動揺が広がり、事業価値が毀損する恐れがあります。
情報管理体制や秘密保持契約(NDA)の有無を確認し、徹底した体制を持つ信頼できる相談先を選定することが重要です。
④ スムーズな対応が可能
M&Aはタイミングが重要であり、交渉の過程では迅速な意思決定と対応が求められます。
相談への対応が早く、担当者と円滑にやり取りできるかは、プロセス全体のスムーズさに直結します。
初回相談時の対応や質問への回答の速さ・正確さで、相談先の対応力を見極めましょう。
⑤ 対応エリアやネットワークが豊富
自社の希望に合った最適な相手を見つけるためには、相談先の持つネットワークの広さが鍵となります。
特定の地域だけでなく、全国規模、あるいは海外にもネットワークを持つ相談先であれば、より多くの選択肢の中から相手企業を探すことができます。
求める相手企業の地域や規模に対応できるネットワークを持つか確認しましょう。
M&A仲介会社等の無料相談の活用法と注意点
多くのM&A仲介会社や公的機関は、契約前に無料相談の機会を設けています。
無料相談を活用すれば、M&A成功の可能性が高まります。
ここでは、無料相談のメリットや活用法、そして有料相談へ移行する際の注意点について解説します。
無料相談のメリット・利用可能な範囲
無料相談の最大のメリットは、コストをかけずにM&Aに関する基本的な情報収集や、自社の課題を整理できる点にあります。
自社の現状を伝え、M&Aの可能性やおおよその企業価値を専門家に聞けます。
ただし、無料相談の範囲は、契約前の一般的な助言や簡易な企業価値算定に限定されることが多いです。
有料相談・契約が必要となるケースとは
相手企業の紹介、詳細な企業価値評価、デューデリジェンス、条件交渉代理、契約書作成などの支援を受けるには、アドバイザリー契約を結び有料で依頼する必要があります。
どの段階から費用が発生するのかを、事前に明確にしておくことが重要です。
複数窓口を利用する際のポイント
M&Aの相談先は、1社に絞らず複数に相談するのがおすすめです。
複数の専門家から意見を聞くことで、提案を多角的に比較し、自社に最も合うパートナーを選べます。
ただし、複数の仲介会社と契約する際は、直接交渉の制限、専任条項(1社のみ契約可)、テール条項(契約終了後も手数料発生)の有無と範囲を事前に確認しましょう。
これらを確認しないと、思わぬトラブルに発展する可能性があります。
M&Aの相談の具体的な流れ・事前準備
M&Aの相談を実りあるものにするためには、事前の準備が欠かせません。
準備をしっかり行うことで、相談がスムーズに進み、より的確なアドバイスを得ることができます。
ここでは、相談前の準備から初回相談の進め方、その後のアクションまで、具体的な流れを解説します。
STEP1:相談前の自己分析・資料準備
まず、自社の状況を客観的に示すための資料を準備します。
具体例は、直近3期分の決算書、事業内容資料、主要顧客や商品の構成、組織図などです。
同時に、なぜM&Aを行うのか(売却・買収の動機)、譲渡後に経営にどう関わりたいか、今後の経営ビジョンなどを整理しておくことで、相談内容に深みが出ます。
STEP2:初回相談の進め方とヒアリング項目
初回相談では、準備した資料をもとに自社の状況を説明し、専門家からのヒアリングを受けます。
財務状況、組織体制、事業の強み・弱み、売却の動機、潜在的なリスクなどについて質問されることが一般的です。
包み隠さず正直に話すことが、適切な助言を受ける第一歩です。
STEP3:アドバイス内容の活用と次のアクション
相談後は、得られたアドバイスをもとに自社の課題を再整理し、今後の具体的なアクションプランを立てます。
例えば、詳細な企業価値算定の依頼、相手先候補リスト作成、デューデリジェンス準備などがあります。
どの専門家と契約し、次のステップに進むべきか、初回相談での感触や提案内容を基に慎重に判断しましょう。
M&Aの相談に関するよくある質問
M&Aの相談に関して、多くの経営者が抱く共通の疑問があります。
ここでは、特に頻繁に寄せられる4つの質問について、分かりやすく回答します。
相談内容はどこまで話していい?
多くの場合、まず秘密保持契約(NDA)を結び、その後に詳細情報を開示します。
M&A仲介会社に相談する場合は、契約前に渡される重要事項説明書で秘密保持の範囲や義務が明記されているか確認することが重要です。
この手順を踏めば、安心して相談を進められます。
トラブル時の相談先は?
M&Aの過程でトラブルが発生した場合は、契約内容に基づいて交渉します。解決が難しいときは、M&Aに詳しい弁護士への相談が最善です。
また、中小企業庁が管轄する「事業承継・引継ぎ支援センター」などでも、トラブルに関する相談に応じてくれる場合があります。
相手企業に相談内容が漏れるリスクは?
信頼できるM&A仲介会社や専門家は、厳格な情報管理体制を取り、許可なく相手企業に情報が漏れることはありません。
しかし、M&Aプラットフォームなどで自ら交渉する場合は、情報管理に細心の注意を払う必要があります。
交渉相手の信頼性を見極め、必要に応じてNDAを締結することが重要です。
M&Aマッチングサービスのおすすめは?
M&Aマッチングプラットフォームの利用を検討するなら、国内最大級のM&Aプラットフォーム「TRANBI(トランビ)」は、有力な選択肢の一つです。
年間成約数が529件(2025年3月期見込み)など実績も豊富で、多様な業種・規模の案件が日々登録されており、希望条件に合う相手を見つけやすいのが特徴です。
売り手は無料で利用できるため、まずは登録して情報収集から始めると良いでしょう。
まとめ
M&Aは、企業の成長戦略や事業承継において極めて重要な経営判断です。
そして、その成否を大きく左右するのが、適切なタイミングで、信頼できる専門家に相談することです。
M&Aの相談先には、仲介会社、金融機関、公的機関、士業、プラットフォームなど、それぞれに異なる特徴と役割を持つ選択肢が存在します。
まずは無料相談を活用して複数の専門家から話を聞き、自社の目的や状況に合ったパートナーを慎重に選ぶことが成功への鍵です。
本記事で解説した選定ポイントを参考に、貴社の未来を託せる最良の相談先を見つけ、M&Aの成功を実現してください。