2023-03-07

副業M&Aに約4000万円をかける個人投資家!「勝負を張れるチャンスは多くない」勇気をもって切り拓く

買い手(個人):Sさん(30代)

<個人の副業を目的としたM&A・買収事例>

 

今回初めてM&Aに挑戦したのは、現在33歳のSさん(仮名)。本業では企業へのコンサルティングに携わっており、自分自身でも事業を経営してみたいと、副業として大きな一歩を踏み出しました。

買収したのは、健康・美容に関わるトラブルに特化したサプリメントの通販事業。運営5年目にして、お客様のリピート率は9割を誇り、クレームは0だといいます。売上の90%以上が定期購入のため収益も安定していましたが、新規事業に注力するため譲渡を決意したそうです。

今回の買収にかかった費用は約4000万円と、大きな金額を投資したSさん。M&A成功には、ご家族からの心強い支援もあったようです。その経緯や、副業としてM&Aに挑む際の案件選びのポイント、必要な心構えなどを詳しく語っていただきました。

【株で貯めた資金の使い道として、M&Aへの投資を選んだ】

- はじめに、今回買収した事業について教えてください。
今回の事業では、 とあるウイルスに起因する健康・美容にかかわる症状の改善をサポートするサプリメントを販売しています。

実はこの症状に悩まされている人は、日本では1000万〜2000万人ほどいるんです。特に女性は周期的な体調の変化があるため症状が出やすく、この商品も40〜50代の女性をおもな対象としています。

このサプリメントを飲むことで、体調を整えて免疫力を回復させ、ウイルスを抑え込む効果が期待できます。体調がよければサプリや薬に頼らなくてもいいのですが、現代社会でいつも万全の体調とはいきませんよね。

そこで、体調を整えるためのアシスト剤として使われているのがこの商品です。

- 若くして大きな金額で成約されましたが、どのように資金を貯めていたのでしょうか?
今回は、最終的な金額としてはおよそ4000万円で成約となりました。譲渡価格は約3530万円でしたが、仲介業者が入ったため10%ほど上乗せになっています。

支払った金額のうち、3400万円は私自身の資金で、残りは父親からの借り入れです。 この3400万円は、おもに株の取引によって得た自己資金ですね。銀行からの借り入れは一切ありません。

私は大学生の頃からずっと、半分趣味のような形で米国株の長期取引をしてきました。そして、貯金も含めて3500万円に届きそうだなというタイミングで、M&Aに資金を使ったということです。

株のハウツーに関しては完全に独学です。コロナの影響で一時期株価が落ちましたが、チャートを見て戻ってくるだろうと確信し、 一気に当時の全資金の50%(1200万〜1300万円)を突っ込みました。

結果的にそれが倍になり、トータルで3500万〜3600万円になったイメージです。

ただ、会社を買うために増やしていたわけではないので、今回のM&Aがなければ、そのまま資産運用を続けていたのかなと思います。

- 今回、M&Aに挑戦しようと決めた動機についてお聞かせください。
まず、本業が企業へのコンサルティングであり、中小企業が後継者不足だという話は仕事上ずっと聞いていたので、なんとなくそのことが頭にありました。

そして、実はもともと転職を考えていたんです。米国公認会計士の資格を取ってから転職したいと思い、2年半ほど勉強。 結果的に取得には至らなかったものの、科目合格はしていたので会計の知識を一気に身につけることができました

米国公認会計士試験での挫折を通じてであらためて「自分は何をしたいんだろう」と考え直し、 ネットサーフィンをする中でTRANBIさんのサイトにたどり着き、「そういえばM&Aもあるな」と気付きました。

それが2022年6月頃のことです。もともと投資はすごく好きなので、 その後3か月ぐらい、毎日帰ってからTRANBIの案件を一件一件見ていました。検索条件でヒットした数百もの案件はほぼ全部見たんじゃないでしょうか。

その中で、今回の案件に興味をもち、金額的にもギリギリ買えなくはなさそうかなと。父親に相談してOKをもらい、600万を借りて買うことになりました。そこから3か月ぐらいで契約が成立し、今日まで引き継ぎなどを色々と進めている状況です。

- TRANBIを選んだ理由は、どんなところにありましたか?
他にもいくつか見ていましたが、案件数の多さは大きな理由の一つです。検索条件にかけて残った「分子」の数は、やっぱりある程度「分母」が多くないと増えないので。

利益のレンジが比較的細かく区切られていることも、検討する上ではありがたいポイントでした。あとはサイトが純粋に見やすかったこともありますね。

M&Aに挑戦する登録者数11万人以上、常時M&A案件数は2,700件以上を掲載中
「事業承継・M&Aプラットフォーム TRANBI【トランビ】」

 

(※写真はイメージです)

【「副業で本当にできるのか?」作業時間の短さがポイント】

- 案件を選ぶポイントとして、特にどのあたりを注意して見ていましたか?
私の場合は 「副業でできるかどうか」が大きなポイントだったので、掲載内容を見て、作業時間の短いビジネスモデルが構築されているかを見ていました。

案件によっては「自走可能」と書かれている場合もありますよね。そして私は、従業員がいないことも条件にしていました。 副業では人の管理が難しく、単純にハードルが高いなと感じたからです。

あとは、最終的な営業利益が分厚い事業を狙っていきました。ちなみに今回の案件は営業利益率でいうと55%ぐらい。なぜなら、ミスをしてもその営利の厚さの中に吸収できるからです。

ミスをしても赤字にならない、その余地をたくさんもったもの。 言い換えると固定費の低いもの、基本的には変動費だけで存在している事業がいいなと考えていました。

そういう事業形態は売上が下がっても費用が一緒に下がるので赤字になりにくく、事業が継続しやすいですから。

それを突き詰めていくと、おそらく「小さくて単価の高いもの」に集約されるんですよ。逆に「大きくて単価の低いもの」は、どうしても固定費や発送料、倉庫の費用でなかなか利益が取りにくい。

つまり、薄利多売になりがちな傾向があるのかなと思いました。ですので、積極的には買う対象とはしませんでしたね。

- 今回の案件以外に、何件ぐらい交渉の申し込みを入れましたか?
10件ぐらいでしょうか。そのうち7件ぐらいは、話を聞いてみて「やっぱりちょっと違うかも」と思い、辞退しました。特に最初の方は、M&Aの流れや相場感を把握したいという意図もありましたから。

残りはいい案件もありましたが、1件は私よりも先客がいたため、残念ながら成立せず。

もう1件の事業は、現状のPL(損益計算書)の数字が厳しい状況で、挽回するにはWebマーケティングに注力しなくてはならないと。

仕組みは整っていてすごく悩みましたが、私自身にWebマーケティングの経験がなく、約1000万円を投資する案件でしたが、勇気が出ずに見送りました。

- そんな中で、今回の案件に決めた理由はどんなところにありましたか?
まず、今回の案件はサブスクリプション型というか、定期販売の業種なので、固定のお客様がすでについていたことです。 ほぼほったらかしの状態でも大体55%の利益を稼ぎ続けられていると聞き、事業の安定性があると思いました。

この事業なら2〜3年で資金は回収できそうだし、 空いている時間と予算でWebマーケティングを学ぶいい機会だなとも考えました。やっぱりこの事業でもWebマーケティングは欠かせませんから。

もちろん商品に関しても、「その先に必要としてくれる人がいる」と思えることは、魅力に感じた一つのポイントです。 私も今回はじめてこの症状のことを知りましたし、もし困っている方々の役に立てるなら、と素直に思いました。

と同時に、マーケットとしてこの先消滅することなくあり続けるだろう、という見立てもありましたね。

- サプリメントを販売しているメーカーは他にもありますね。他社とどのように差別化しているのでしょうか?
まず一つには、そもそも海外の製品が多いこと。海外製品はサプリメントの一粒が大きいんです。 こちらは日本人の体型に合わせた大きさなので飲みやすいという利点があります

また、ほとんどの製品ではウイルスの働きを抑えるための成分だけが入っています。 しかしこの商品なら、乳酸菌やオリゴ糖、茶カテキンなど、美容と健康にいい他の成分もまとめて摂取できることも大きなウリです。

商標権も持っているので他社で全く同じ商品を売ることはできません。

ただ、私は正直、競合他社がいても全然構わないと思っています。マーケットが大きいので顧客を取り合うことはないと。1000万〜2000万人の潜在的なターゲットがいる中で、今抱えている顧客数はまだまだですし、あまり気にしていません。

サプリメントは人によって効果の表れ方や相性が異なります。「自分に合う」と思えば続けてくださいますし、実際にリピート率は9割です。だから、合う方をどうやって探していくかが課題になってきますね。



(※写真はイメージです)

【譲渡価格が半額に、逃さずアタック】

- 交渉時に「ここは絶対に確認しよう」と思っていた内容はありましたか?
個人保証や簿外債務、裁判を抱えていないかなどの点は確認しましたね。面談でも確認しましたし、最終的な契約書にも“ないことを証明する”と記載しています。ちゃんとヘッジできるような契約にはなっていますね。

それから、そもそもPLなどの記載内容が正しいのか。そしてPLに載ってこない部分、毎月の作業時間については何度も確認しました。先方からは、月に10〜15時間ぐらいと聞いています。あとは目下の経営課題ですね。

- 経営課題とは、具体的にどんな内容だったのでしょう?
他の案件もみんなそうでしたが、やはり広告ですね。Web広告をどうやってうまく運用するか。新規入会もあれば退会していくお客様もいるわけで、そのバランスをプラスにもっていけるだけの広告を打てていない状況でした。要は、じわじわと顧客が減っているということです。

- 最終的な金額はどう決まりましたか?
もともとは倍の値段で出していて、買い手がつかなかったので半額に下げたという経緯があるようです。たしか8000万ほどだったかと。さすがにその金額を出せる人はなかなかいないと言っていました。

3500万円という金額に特に根拠はなかったようですが、出してみて今回買い手がついたということだと思います。私としては、この話が全て本当ならば安いと感じました。

会計の勉強はしていたので、監査は自分で行いました。もし実態と大きく違ったら値下げの交渉をしようかなと思いましたが、誤差の範囲だったのでそのままGOを出した形です。

- 交渉の段階では他にもライバルがいたようです。その中でどう勝ち残っていったのでしょうか?
一つ目は「全額自己資金」が先方の希望だったことです。借入金で買う人はダメですと。これは、融資を申請してもGOサインが出るかはわからず、スピード感と確実性を重視したいからだと聞いています。

そして二つ目は、経営者の思いを引き継ぐ意思を示せたこと。創業した理念には共感する部分がありましたし、今後どうやって事業を大きくしていくのかもしっかり考えていました。

交渉では、お話をできるだけ聞き出して共感することは重要だと思います。

あとは、他の人よりも交渉が先に進んでいたという部分もあったのかもしれません。

- 引き継いだ後、具体的にどのように業務を進めていくイメージですか?
受注や発送関係は、すべて外部の業者さんに委託しています。全体の流れとしては、LPで注文を受けるほか、コールセンターでも注文を受けて、受注内容が小売専用のサイトにアップされ、私がその内容を確認し、倉庫兼発送会社に伝えるという感じです。

ただ、現状は私が1回間に入る必要があるので、今後は変えるかもしれません。本業の仕事がありますし、ダイレクトにやり取りしてもらった方がいいなと。そこは費用との兼ね合いで検討したいと思っています。
私のほうでは在庫管理と、商品が足りなくなったら製造業者さんへ発注すること、そしてWebマーケティング、それが主な業務になりますね。



(※写真はイメージです)

【経営には責任もあるが、そこに存在する自由には夢がある】

- 今回、お父様からの資金のほか、弟様も面談に同席されたそうですね。今後、ご家族はどのように経営に関わっていく予定でしょうか?
今回の事業承継にあたり、先方からは「株式会社をつくってください」と言われました。 この事業が、そもそも個人でできるものではないものですと。そこで株式会社を設立し、その代表取締役を父親にしています。

これは、私の勤務先の副業規定に引っかからないようにするためです。

ですので、 私は表には一切出ないけれども、実際の経営は全部やるというイメージですね。父親はすでに退職しているので、こういった形で関わることも問題ありません。

また、私の副業規定に引っかからないようにするために給料は出しません。 給料をもらわなければ、ただのボランティアという体裁になるので(笑)給料分も含めて利益はしばらく会社の内部留保として貯めていくつもりです。そして2社目、3社目を買っていきたいなと考えています。 弟は経営コンサルの会社に勤めているので、たまにアドバイスをもらうという形で関わってもらっています。

- 今後の売上を増やしていくために、どのように考えていますか?
やはり注力すべきはWebマーケティングですね。ここはやっていくしかありません。

もう一つは海外展開。 まだ海外向けに販売したことはないとおっしゃっていたので、例えば日本人と似た体型の韓国、台湾、香港あたりを狙っていけないかなとは考えています。実際に売れるかどうかはわかりませんが、やるよりほかないですから。

回収期間は2.5年と見ているので、まずは「売ってから考える」姿勢で進めていきます。

- M&A全体に対する感想をお聞かせください。
一言で言いますと、すごく夢が広がる話だと思います。やっぱり会社員だけでは給料や働く場所、労働時間、裁量などに制限がありますし、他の方にもすごくおすすめしたい。

自分の会社を買って、自分で経営して、自分で判断して大きくしていく。責任もありますが、そこに存在する自由が私はすごく好きです。

- Sさんはもともとそういう価値観をもっていたのでしょうか?
「起業したい」という思いがあったわけではありませんが、お金や自由に対しての執着は、おそらく人より何倍も強いかもしれません。

私の祖父は、父方も母方もどちらも会社の経営者だったんです。だから、これは半分遺伝的な部分かもしれませんね(笑) 人に言われて作業をすることがあまり好きではなく、自分で決めて、リターンも損失も自分で負いたいというタイプの人間です。

- 今後M&Aに挑戦する方に向けて、アドバイスがあればお願いします。
大事なのは、リスクをコントロールすることだと思います。リターンのコントロールはなかなか難しいものですが、リスクのコントロールは可能です。

例えば、投資する金額がいくらまでなら、自分の生活が脅かされないのか、あるいは多少脅かされてもいいから、お金を借りてでも買いたいのか。人によって、どこまでそのリスクを負う覚悟とコントロールする能力があるかは違います。そこを考えることが大事ですね。

勝負を張れるチャンスはそう多くありません。チャンスだと思って行動すること、そのためにずっとバッターボックスに立ち続けることがすごく大切ではないでしょうか。

投資のチャンスが来た時に、十分なお金がなければ投資できませんし、お金をもっていてもバットを振る勇気がなければ意味がない。勝負時を常によく見て、勇気をもって挑戦するしかないと私は思っています。

私自身も、どこまでリターンが出るかは正直わかりません。でも今回の案件について「ケガはするかもしれないけれど、大ケガはしないだろう」という自信はあります。今後もそのぐらいのリスクコントロールで臨んでいきたいですね。

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■Sさんが買収した事業はこちら

「【月利益約130万】リピート率9割のサプリメント定期購入サイト」

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