2022-12-20

「大学生の私にもM&Aができた!」理想の自習室を作るべく卒業までの“期間限定”でビジネスに挑戦

買い手(個人):Iさん(20代)

<個人の副業を目的にした起業M&A・買収事例>

 

東京都内の大学に通う、大学3年生のIさん。彼女は大学生ながら、2022年8月に東京・荻窪にあるレンタルスペースのM&Aを行い、レンタルスペースのオーナーになりました

決して、もともとビジネスに興味があったわけでも、起業願望があったわけでもありません。スペースの運営も大学卒業までの“期間限定”と想定しています。そんな彼女がM&Aに踏み切れたのは、「理想の自習室が欲しい」という思いが発端でした。

丁寧に段階を踏んで交渉を進め、M&Aに成功。引き継ぎ2か月目から大幅な黒字化に成功しています。 「お金は?」「時間は?」「周りからの反対は?」といった、学生ならではの障壁をどう乗り越えてきたかも含めて、Iさんにお話を伺いました。

【M&Aのきっかけは、「理想の自習室がないなら自分で作ろう」】

- 現在大学3年生のIさんが、どうしてM&Aに興味を持ったのですか。
きっかけは、理想の自習室が欲しいという思いからでした。 高校時代は塾の自習室で受験勉強をしていて、大学に進学してからは図書館やカフェを利用して勉強をしていたのですが、理想の自習室がなくて。 ないなら自分で作ろうという発想になったのです。

私の理想の自習室とは、朝早くから夜遅くまで開いていて、長時間勉強できて、飲み物が自由に飲めて、Wi-Fi環境と電源環境が完備されたような空間です。

- ちなみに、お金を掛けて自宅の環境を改装するのとは何が違うのでしょうか。
もちろん、それができるなら一番いいのですが、一人暮らしだと家族の監視の目もないですし、生活スペースなので、ついだらだらしてしまいがちです。

逆に自習室に対しては、「勉強する場所」というイメージを持っているので、そこに行ってわざわざSNSや動画を見る気分にはならず、脳が自然と切り替わって自習モードに入ります。

- なぜ、有料自習室を「利用しよう」ではなく「作ろう」という発想になったのですか。
周りの学生が、 長居が許されるカフェを見つけて勉強したり、「空いている教室を自習室として開放してもらえないか」と大学の管理側に交渉したりする姿も見ていたので、有料自習室のニーズがあるのではないかと思って。

物件探しから始めたのですが、自習室として利用してもいい物件がなかなか見つかりません。検索をしているうちに、 有料自習室のM&Aに成功した方の体験談が載ったTRANBIの成約事例にたどり着いたんです。「この方と同じようなことがやりたい」と思い、有料自習室のM&A案件を探し始めました。

■Iさんが見た記事はこちら
「生み出す」ではなく「コスト解消」のM&A!赤字自習室を格安で買収し、オフィス費用を解消」

最終的には、打ち合わせやオンライン会議の用途でよく利用されるレンタルスペースを購入しました。このビジネスを回しつつ、自分が思い描いている有料自習室の要素も足していければと思ったのです。

- レンタルスペースを運営するとなると、勉強の時間を割いてスペース運営を行う必要性がありますが、そこに抵抗はなかったですか。
確かに、スペース運営によって勉強の時間が減る可能性があることは、矛盾に思われるかもしれません。 そこに関しては、有料自習室について調べていく中で、 徐々にスペース運営というビジネス自体への興味・関心が増していったというのが正直なところです。

起業願望などは元々なかったのですが、誰かが望んでいるものを自分で作ったり提供したりして対価をいただくというサイクルはいいなと思いました。

 

(購入したレンタルスペース①)

【バイトで貯めたお金を購入資金に!想定されるトラブルと対策をまとめて両親を説得】

- M&Aに対しては、どんな印象を持っていましたか。
言葉は知っていたものの、大企業が行うものというイメージだったので、TRANBIを知って初めて個人でM&Aができることを知りました。

特に抵抗はなかったですし、売り手様とやりとりを重ねて細かい点を確認できたので、安心して進められました。

企業間の事業譲渡についてはもともとある程度は知識がありましたが、TRANBIのHPに書いてある内容を読んだくらいで、M&A自体の詳しい勉強はしていません。

M&Aに挑戦する登録者数11万人以上、常時M&A案件数は2,700件以上を掲載中
「事業承継・M&Aプラットフォーム TRANBI【トランビ】」

 

- M&A挑戦に対する、周りの反応はどうでしたか。
実は、家族に相談したのは成約に向けて話が進んだ終盤で。 両親は「あなたの好きなことややりたいことなら、やればいいよ」というスタンスで接してくれるので、M&Aに挑戦すると話した際も「自分でお金を賄えるのならやってもいいよ」と言われました。

ただ、譲渡そのものよりも、レンタルスペースの運営を始めてから利用者様やご近所の方とのトラブルに巻き込まれないかを心配されました。 説得するためにも、起こりうるトラブルと対処法をすべて書き出して説明しました。

- ご両親に相談されたのもM&Aの終盤だったとのことで、購入の決断は一人で行ったようですが、これまでにも大きな挑戦の経験はあったのでしょうか。
「他の人がやらないことをしよう」という発想はないものの、 自分がやりたいと思ったことは実行してきた性格です。

今回の購入資金はバイトで貯めた100万円なのですが、 もともとは海外旅行に行きたいという夢を実現するために貯めていたものでした。コロナ禍で実現は難しかったものの、海外旅行に詳しい先輩方がいる旅行サークルに入るなど、やりたいことの実現に向けては動いていました。

幸い、やりたいと思ったことを周りから止められる経験もなくて。基本的には、周りに発信しながら実現していくタイプではなく、自分ひとりで考え決断して実行するタイプです。



(購入したレンタルスペース②)

【入手した売上数字と客観的な予約状況を照らし合わせて二重チェック】

- 今回の案件のどんなところに魅力を感じましたか。
貸会議室もしくはレンタルスペースであること、エリアが都内であること、価格が予算の範囲内であることという条件で絞り込んだところ、合致したのが今回購入した荻窪のレンタルスペースでした。

案件の紹介文がとても丁寧かつ親切で。それを読むだけで、レンタルスペースの利用状況や1円単位での月々の売上、設備などについて知ることができたのです。 また、売り手様はレンタルスペース運営の知識やノウハウを豊富に持っておられる方だったので、学べることも多そうだなと。

広告費を掛けずとも、レンタルスペースの予約サイトに掲載しているだけで一定の売上が上がっているところも魅力に感じました。

- 売り手様との交渉過程について教えてください。
まず買い申し込みのメッセージを送る時には、丁寧かつ誠意が伝わるように意識しました。

私はこの案件に絞っていたので、購入意思がすでに固まっていることを伝えました。 学生なので資金の準備方法をしっかり伝えた上で、学生でも交渉が可能かどうかを最初に伺うようにしました。文面は、TRANBIのテンプレートを参考にしました。

売り手様は、荻窪以外でもいくつかスペースを運営されていました。1人で運営しているので手が回らないのと、ご自宅から荻窪が離れていて清掃に通うペースの維持が難しいという売却理由にも納得しました。

もちろん、レンタルスペースの下見もさせていただきました。ビルの中にあるとイメージしていたら、実際はマンションの1室に近い状態だったので、実際に現地に足を運んでみないとわからないなと思いました。

机や椅子やプロジェクタなどの設備が完備されている状態を見ると、 やはり自分でイチから物件を探して設備を購入するより、M&Aで購入した方が安価で理想の環境が手に入るなと。

ただ、複数人での利用を想定したレンタルスペースであり、一人で作業に集中できる環境ではなかったので、 いずれは座り心地の良い椅子に変えたり、周りの音を気にせず勉強や作業に打ち込めるように防音の壁紙を貼ったりしてもいいなと、今後の構想も膨らみました。

- 売上状況はどのように確認しましたか。
売り手様が予約サイトごとにまとめられている 売上の数字と、予約状況を照らし合わせて確認しました。予約状況については、Googleカレンダーで管理されていたので、そのデータを提供していただいて。

営業利益は赤字でしたが、物件の状況や設備に対して譲渡金額はかなり安価でした。 毎月発生する費用は家賃と光熱費と少しの備品補充代くらいですし、もともと貯金の100万円は初期費用と運営費用に充てようと思っていたので、予算内で運営していけると判断しました。

譲渡金額以外に掛かった費用は12万円程度で、不動産契約の名義書換に関連する費用や保証会社に支払う費用など、すべて賃貸借関連です。他に、Wi-Fiを新しく光回線に繋ぎ直したので1万円ほどが掛かりました。

- 契約の手続きはスムーズに進みましたか。
契約書は売り手様が用意してくださいました。

売り手様はレンタルスペース運営者のコミュニティに参加されていて、そこで共有されている、レンタルスペース譲渡の際によく用いられる雛形だそうで。 雛形なので信頼はしつつも、 契約書は自分で全部しっかり読んで、こちらに不利になることが書かれていないかは確認しました。

売り手様や案件概要をどれほど信用していいのか、不安がなかったわけではありません。

ただ、売り手様の会社を調べたところきちんと実在する会社だったので安心したのと、学生の私に対して「レンタルスペースを運営する余裕があるのか」と確認してくださったことなどから、信頼できる方だと判断しました。

おそらくM&Aの中で一番大変なのは、譲渡金額の交渉だと思います。ただ、私は今回かなりの低価格で譲渡していただきました。価格交渉の難しさがなかったので、スムーズに進められたのかもしれません。

売り手様とは、成約後に契約書や鍵の受け渡しのために一度お会いしたものの、交渉はすべてオンラインで完結しました。

【引き継いで2か月目で、大幅な黒字を記録】

- 9月から運営されていますが、状況はいかがですか。
引き継いで2か月で、売り手様から共有いただいてた過去の売上を超える売り上げがあがり、黒字になっています。

予約状況が好調なのは、おそらくレンタルスペース予約サイト内で「荻窪」と検索した際に、一番上に掲載される頻度が高いからなのかなと。広告出稿はしていませんし、検索のアルゴリズムもわからないのですが、予約サイト内での予約が多いと優先的に表示される仕組みなのではと思っています。

レンタルスペースの利用用途は、打ち合わせやオンライン会議などのビジネス用途が多いです。休日には、複数人でボードゲームをするために利用される方や個人の撮影のために利用される方もいて、ビジネス以外の用途での長時間予約も順調です。

- レンタルスペース運営を行ってみての、所感はいかがですか。
運営と学業の両立が大変ということはありません。

自宅が荻窪から離れていて毎日スペースを見に行くことは難しいので、週1~2回清掃に行っていますが、移動時間も含めて所要時間は4時間ほどなので。予約管理に関しては自動化できているので、手が掛からないのです。 ただ、予約がどれくらい入っているかや部屋の状態が綺麗に保たれているかが、気掛かりではあります。

利用者の方から「綺麗で使いやすかったです」とレビューをいただけるとうれしいですね。 以前、暑い時期に清掃に行った際に、次の利用者様のために冷房を付けておいたら「冷房を効かせてくださっていて良かったです」とメッセージをいただき、やりがいを感じました。

この前は、撮影の用途で利用したいという方に対して、あらかじめ照明の設備についてお知らせしたり、「他に揃えた方がいいものがあれば言ってください」と連絡したりしました。細かなところまで気になる自分の性格を、スペース運営に生かせたらと思っています。

- 今後の構想を教えてください。
まだまだレンタルスペースの存在を知らない方も多いと思っているので、 自宅以外で作業したいという用途を持ったビジネスマンに届くような広告を出していきたいです。

今の価格設定では、学生が長時間利用するのには向いていないかもしれませんが、 朝の1~2時間だけ、あるいは学校終わりや夜の1~2時間だけ勉強して帰りたいというニーズに応えられるように、快適な椅子や防音環境の整備も進めたいなと。

ただ、ニーズがないことをやっても仕方なくて。 「こんなスペースがあればいいな」や「こんな設備が欲しいな」と思われているものを提供できる人になりたいので、利用者の方の声をできるだけ反映させたいですし、望まれていることをきちんと汲み取ることができる人になりたいです。

大学卒業後は就職か大学院進学を考えているので、レンタルスペースの運営は大学卒業までのつもりです。

期間限定で運営しようということは、購入前から決めていました。今の計算だと、2~3年運営しなければ初期費用を回収できなさそうですが、 そこにもこだわりはなく経験を積むことを大事にできたらと思っています。

順調に運営を行って、TRANBIで譲渡先を探して次の方に託せたら理想的ですね。  

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■Iさんが運営しているレンタルスペースはこちら

「会議室おぎくぼん」

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