2023-09-05

会社員からLGBTQ向けのバーなど8店舗オーナーに!スタッフ問題を乗り越え事業売却、資産30億を目指す敏腕女性経営者

売り手(法人):株式会社LOTUS

<中小企業のM&A・売却事例>

 

大阪と東京で、セクシャルマイノリティーを対象としたコンセプトバーなどを経営する株式会社LOTUS。代表の全さんは、30歳の若手女性経営者として、立ち上げから多店舗展開までを成功させてきました。

事業は順調でしたが、新たな挑戦を行うにあたり、事業売却をすることに。 売却直前にトラブルにも見舞われたものの、誠実に向き合う姿勢に対する買い手様からの信頼もあり、あるバーは1500万円で売却が成立します。

自分が育ててきた事業を「買いたい」と言ってくれる人や企業の存在に気付けたことで、事業譲渡の可能性を知り、大きな夢も生まれたという全さん。起業の経緯やその経営手法、M&Aの過程や今後の展望についてお話を伺いました。

【レズビアンバーを開業し、事業が成功。飲食店も含めた8店舗のオーナーに】

- はじめに、全さんのキャリアと起業の経緯について教えてください。
大学卒業後は企業に就職して、1年半勤めて退職しました。転職も考えましたが、自分の学歴や当時の経験とスキルでは志望企業に転職するのが難しくて。それなら、脱サラをしてビジネスをしようと思い立ちました。

目を付けたのはコンセプトバーで、その中でもレズビアンバーです。 会社員時代は、休日にレズビアンバーへ通うことが楽しみのひとつで。小型の店舗なら100万円くらいで開けると知り、思い切って開くことにしました。

当時は同性愛者向けのお店というと、ゲイバーこそたくさんあったものの、レズビアンバーはかなり希少でブルーオーシャン状態。

他のレズビアンバーは、中年女性がお店に立って接客していたこともあり、 私がオーナーとして開業し、20代の女性をスタッフに雇えば、きっと集客には困らないだろうという自信もありました

- 実際にオープンしてからも順調でしたか。
2018年に7坪ほどの小型店舗を大阪に開業して、オープンから1~2週間で1日8~10万の売り上げがあがって、これは軌道に乗ると確信しました。

店舗運営のノウハウを持っていたわけではなく、勢いで開業したので、特別なことはしていません。ただドリンクの値段については、他店がソフトドリンク700円、アルコール1000円といった価格形態で提供しているのに対して、 当店では一律800円の明瞭会計にしました。

また、周りのお店はレジを導入していなかったり、現金支払いにしか対応していなかったりしたのですが、 当店ではレジを導入して、クレジットカードなどのキャッシュレス支払いにも対応しました。他の飲食店やバーが当たり前に実施していたことを行うだけでも、お客様にとっては喜んでいただける状況だったのです。

売上が伸びて、店舗展開を考えるにあたっては、大型の店舗を持つのはやめようと決めました。レズビアンバーは単価が低いので、リスクを抑えつつ、小さい店舗を着実に増やしていくべきだと思ったのです。

最終的には、レズビアンバーのようなコンセプトバーを大阪と東京で7店舗、そして餃子屋を1店舗経営していました。

- 2018年と比べて、現在の市場環境は変わりましたか。
2018年当時、レズビアンバーはブルーオーシャンでしたが、現在は店舗数がぐんと増えているので、 当時のノウハウだけでは絶対に集客ができません。今はどの店舗も、主軸となる人気スタッフの子がいないと、売上をあげるのが厳しいようです。

こうした背景もあって、お客様を飽きさせないように、 私が経営しているバーでは半年や1年でスタッフが入れ替わるようにしています。売上が落ちてきた子に対しては、「ごめんね」と断りを入れて、卒業イベントを実施しています。

もちろん、就職のタイミングや「お昼の仕事に就く」という理由でスタッフが抜けることもあるので、その度にSNSで募集したり、お客様に「スタッフになりませんか」と声を掛けたり、お客様から紹介をしてもらったりして、新しいスタッフを育てては軌道に乗せるということを繰り返してきました。

また、以前はゲイ限定やレズビアン限定というように、しっかりとコンセプトを分けているお店が好まれていたのですが、最近はLGBTが一般化して、クィアを含めた「LGBTQ」という言葉も広まっているからこそ、誰もが入店できるお店が好まれるようになっています。

当社でも、 性別や性的指向に関わらず入店いただけるミックスバーを運営しているのですが、そのミックスバーが現在は収益の柱になっています。



(※写真はイメージです)

【「水商売の事業譲渡」の前例が周りにないからこそ、苦労したことも】

- 競争激化の中でも、売上は順調に推移しましたか。
一時的に売上が落ちることはあったものの、長期間落ち続けることはなく、 基本的には一定もしくは右肩上がりで売上は推移しました。

こうした成果が残せたのは、口酸っぱく売上目標を店長やスタッフに共有してきたからかなと。店舗ごとに毎月の目標金額を設定して、売上が悪い日があればすぐにミーティングを開いたり、毎日グループLINEで進捗を話し合ったりしていました。

正直なところ、ガールズバーやキャバクラと違って競合店舗が少ない分、「出勤してるだけでいい」と甘えてしまうスタッフの子もいます。だからこそ、 数字のことや接客のレベル向上の必要性は、厳しく訴え続けていました。

お店が流行るためには知名度も大事ですが、一度来店してくれたお客様にリピートしていただくためには、お店に立っているスタッフがどれだけ素晴らしい接客をするかが大事だからです。

もし数字にストイックにならずに、「それぞれのペースで頑張っていきましょう」というマネジメント方法を敷いていたとしたら、今のように拡大はできず、1~2店舗の展開が限界だったと思います。

- 7店舗で拡大をやめたのはどうしてですか。
私は現在30歳ですが、28歳頃に「30歳のときには、水商売からある程度手を引いて、次のことに挑戦しよう」と決めました。

同じ頃、竹之内社長のYouTubeを見ていて「事業を売却した」と聞き、うちも意外と売れるのかもしれないと思って、事業売却について調べ始めたのです。

最初は仲介会社に相談したのですが、話がうまくまとまらなくて。他の方法を調べていたときに、TRANBIを見つけて、水商売関連の事業の売り買いもできると知ったので、活用させてもらいました。

- 仲介会社を活用した売却は、なぜうまくいかなかったのですか。
3人ほど買い手候補となる方がいたのですが、当社が顧問契約している税理士から「決算書を作るのに半年ほど掛かる」と言われてしまって、話が流れてしまったのです。

また、東京は展開している3店舗をまとめて売却したかったのですが、ある建物のオーナーが売却に難色を示されたこともあり、話がまとまらなかったのです。売却という行為は違法でも何でもないですし、「譲渡先の方の審査も行ってもらって大丈夫」と伝えたのですが。

特に新宿二丁目では、土地柄こういったことに厳しいのか、嫌悪感を示されて。「売却して儲けようという考えが悪だ」とも言われました。水商売でM&Aの前例があまり無いからこそ、抵抗のある方が多いのだと思います。



(※写真はイメージです)

【売却成立直前にトラブル発覚!事業譲渡後に迷惑を掛けないよう、誠実に説明】

- TRANBIに掲載いただいたあとどうなりましたか。
1店舗は無事に約1500万円で売却できました。餃子屋も掲載したのですが、こちらも契約締結はこれからであるものの、すでに譲渡の話はまとまっています。

ある大阪の店舗は、500万円ほどで決まりそうでしたが、こちらから辞退させていただきました。

真面目に出勤しないスタッフが多く目立ってきたため、売却しても買い手様に迷惑が掛かると考えたからです。

それでも「買いたい」とおっしゃっていただいていたので、2~3か月お時間をいただいて、スタッフにも改善を呼び掛けたのですが、状況は変わらずでした。

「お気持ちはありがたいですが、今の状態で引き渡してもご苦労されると思いますし、500万円が無駄になってしまうかもしれないので」とお断りして、TRANBIでの事業譲渡は取りやめました。

結局、その店舗に東京のスタッフを移籍させてテコ入れすると同時に、そこと東京の1店舗は同じスタッフに事業譲渡をするという形にしました。

まだ交渉は進んでいませんが、一番売り上げの大きい東京の店舗は、1億円越えの譲渡希望金額を提示して現在掲載中です。

- 交渉に臨む上での戦略や、心掛けていたことを教えてください。
譲渡先は、個人と法人でもどちらでもいいと思っていましたが、スタッフを大切にしてくれる方がいいなとは思っていました。

また、メッセージだけでやり取りをするのではなく、直接会うことを心掛けていて、私から会いに行きました。実際、その方が話がスムーズに進んだように感じます。

譲渡希望金額は、年間営業利益の3~3.5倍で設定しました。1500万円で売却できた店舗は、毎月50万円、年間600万円ほどの利益が出ていたので、当初は2000万円ほどでの売却を考えていましたが、最終的には「1500万円でいかがですか」とこちらから提案しました。

- 交渉を進める中で、トラブルはありましたか。
1500万円で成約したバーにおいて、店長の問題行動が発覚しました。防犯カメラを確認したり、スタッフに聞き込みを行ったところ、証拠も掴んでいました。

発覚したのは、契約成立直前のタイミングでした。この状況で引き継ぐのは申し訳ないため、買い手様に対しては赤裸々に状況を説明して、「申し訳ないので、いったん白紙にさせてほしい」と伝えました。

すると買い手様は、「もう買うと決めたので、スタッフの人数だけ集めていただければ大丈夫です」とおっしゃってくださって。

代わりの店長を雇用し、無事に成約となりました。売却して半年近くが経ちますが、その店舗は現在順調に運営できています。

- 譲渡の際に、引き渡したものはありますか。
基本的にはスタッフが自走してくれる形態なので、マニュアルなどは特に引き渡していません。その代わり、 「売却後も、一定期間は無料で相談に乗ります」といった条項を契約に盛り込みました。

また、店舗ごとにコミュニケーションを取っているグループラインや、稼働中のSNSアカウント、スタッフとの業務委託契約書のひな形などは引き渡しました。



(※写真はイメージです)

【ゼロから育て上げた事業が無事に売却成立。新しく芽生えた夢と野望】

- 事業売却後は、どのようなことに挑戦されるのですか。
新しく始めたいことは、今のところ3つあります。 1つは不動産事業で、以前バーで働いてくれていたスタッフと一緒に開業する予定です。仲介業から始めて、軌道に乗ったらビルやアパートを購入し、軌道に乗ったら事業売却をしようと考えています。

店舗運営をする中で、商売をさせてもらっている身として、 大家さんの力の強さを実感する機会があったことが、不動産に興味を持ったきっかけです。また、不動産は儲かるイメージもありました。もちろん苦労は多いと思いますが、不動産事業を通じて大きな金額を手に入れたいという野望が生まれました。

挑戦したいことの2つ目は、パーソナルジムです。需要も大きいですし、スタッフの中にパーソナルトレーニングを手掛けられる子もいるので、彼女と一緒に、最終的には3000~5000万円で売却できるような事業へと育てていきたいです。

そして3つ目は、M&Aの仲介業です。今回M&Aに挑戦してみて、自分は交渉が得意だとわかったので、自分の売却経験を生かして仲介業を手掛けられたらと思います。いずれも、今年の終わりから来年あたりには始めて、5~10年で事業を育てて売却しようと考えています。

- 事業を作り、育てて売却するということを、繰り返していかれるんですね。
実際に事業を売却してみて、売却という選択肢があることの素晴らしさに気付きました。

売上が良いときに売却すれば高値で売れるし、売上が悪いときに売却しても、赤字や損をそこで止めることができて、廃業するよりはお金を回収できるからです。

事業をゼロから立ち上げてイチにすることは、難しいもの。だからこそ、 最初の大変な部分だけ担って形にすることができれば、中小企業や大手企業も含めて、価値を感じて購入しようとしてくれるわけです。それなら、ゼロイチの部分を頑張ろうと思いました。

経営していたバーの事業もどんどん事業規模が拡大し、拡大すればするほどトラブルが増え、リスクも大きくなって、ここ数年は一人で抱え込むのが正直しんどい状態でした。だからこそ、 今回TRANBIで成約したときに、とても気持ちがスッキリしました。同時に、 「5億円や10億円の資産を持つこともできるのでは」という、新しい夢も生まれたのです。

- そのような資産目標について、これまで考えたことはなかったですか。
売却を考える前は、「将来、自分がどれくらいの資産を持てるだろう」などとまったく考えてなかったです。けれど、実際に自分が作った事業がTRANBIで1500万で売れたときに「夢がある」と思い、そこで初めて可能性に気付かされて。

周りのバーも、「売上があがらなくなったからタダで譲る」ところはあれど、きちんと利益が出ていて、利益の何倍もの金額で売却するような事例は聞いたことがなかったので、実際に売却できたことで、自分に自信も付きました。

今後は、40歳で資産10億、50~60歳で資産30億を目標に頑張りたいです。

- 事業売却を考えている人に向けて、アドバイスをお願いします。
高値で売却したいと思うと、つい良いことばかりを並べたくなりがちですが、 現状の問題点や今後発生しうるリスクがある場合は、最初から正直に話しましょう。そうすることで、買い手様は信頼してくれます。

その際に、 「問題が起きた際は、こうした対応をすればいいと思います」や「そのときには相談に乗ります」といったことまで付け加えて話すことができれば、買い手様により安心していただけると思います。

また、TRANBIで売却される場合は「M&A相談所」の利用をおすすめします。私も交渉の進め方がわからずオンラインで相談させてもらったのですが、今後の交渉の流れとやるべきことを教えていただいたおかげで理解が進み、スムーズに売却ができました。

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■今回株式会社LOTUSさんが譲渡した事業はこちら

高収益 芸能人の来店あり コンセプトBAR

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