2023-06-20

立地のよさが鍵に!老朽化したカフェがコンセプトと内装を一新し、射撃を楽しめるミリタリーカフェとして大変身

買い手(法人):株式会社グローバルトレーディング

<中小企業の事業拡大を目的としたM&A・買収事例>

 

大阪市浪速区でサバイバルゲームグッズやミリタリーグッズの輸入販売を行う、株式会社グローバルトレーディング。

飲食店の運営は未経験ながら、娯楽施設との位置付けで「ミリタリースタイルのカフェ&バー」を始めたいと考えていた、代表の土井さん。

TRANBIで気になる案件を見つけ、普段から付き合いのある、大阪商工信用金庫の営業店担当者に相談を持ちかけます。そして本部から承継支援課に所属している白尾谷さんを紹介され、一緒に初めてのM&Aを進めていきました。

2023年3月1日に念願の『SFBC Bar&Café』をオープン。本業とのシナジー効果が高まるだけでなく、より多くのミリタリーファンを増やしたいと語る土井さんに、今回のM&Aや新店舗について語っていただきました。



【お客様の声をきっかけに、動き出したミリタリーカフェ事業】

- まず、土井さんのキャリアについて教えてください。
オーストラリアに留学し、帰国後に輸入関係のアルバイトをしました。ここで、 個人でも海外からエアガンや軍服といった商品を仕入れることができることがわかったんです。1回やってみたところ、非常にうまくいきました。

2007年に株式会社グローバルトレーディングを設立し、2008年に実店舗をオープンしています。現在はネット販売や全国の小売店への卸売も手がけています。

弊社の理念は、“グローバル的に人々に感動と笑顔を与えたい”です。一般の方には、あまり馴染みのないエアガンも、ホビーとして一般の方への認知度が高まることを目指しています。

- 今回、M&Aという手段に興味を持ったのはなぜですか。
弊社で商品を購入されたお客様が「銃について語り合えるような場所があればいいね」と話されていました。

元々、ミリタリーカフェ事業について考えていたこともあり、いろいろと調べる中で事業を買うことができるTRANBIのサイトにたどりつきました。

- 今回の案件に関して、魅力に感じた部分を教えてください。
立地です。観光客が多く集まり、人通りが頻繁にある繁華街にあったという点がとても魅力的でした。あと全くの偶然ですが、本社から徒歩圏内の場所だとわかり、これはいいなと。近ければ管理もしやすいですから。

あと、よく質問されますが、財務状況などは、気にしていませんでした。 コンセプトをガラッと変える予定でしたから、あまり参考にならないなと。

これまでのやり方よりも、これから自分たちがどんな店にしていくか、未来のことを中心に考えていました。

- そして、大阪商工信用金庫の担当者さんに相談されたんですね。
はい、もっと詳しい話を聞きたいと思い、お付き合いの深い大阪商工信用金庫さんに代わりに問い合わせしてもらえないかと頼んだんです。その後、白尾谷さんに相談しながら、先方と交渉を進めていくことになりました。



(改装前のカフェチェーン店)

【売り手様が実はご近所さん!全面リノベーションで新装開店】

- 内覧の際の売り手様の印象について教えてください。
現在の場所で17年間カフェを経営されていましたから、いろいろと教えていただきました。親切な方という印象です。

- 売却の理由については、聞かれていますか。
売り手様は、今回のカフェ事業以外にも事業を行っているとのことでした。事業の選択と集中の一環として、カフェ店舗をどなたかに譲り渡したかったと聞いています。

数年前からTRANBIに掲載されていて、1回決まりそうになったものの、コロナ禍が直撃し、話が流れたと伺っています。

- 内覧時の印象についても教えてください。
正直に言いますと、建物や設備については、かなり古さを感じました。ただ全体的に見て、 内装をリノベーションすれば、結構いい店になるだろうと思いました。新装開店した今、改めて見ると、すごくいい雰囲気です。

- 内覧後、契約に至るまでの流れについて教えてください。
白尾谷さん:2022年の8月に内覧、11月に契約に至りました。売り手様は、お相手探しに苦労されていた印象でした。ただ、 土井社長がご近所の会社の方だと知り、安心感を持っていただけたことで、スムーズに話が進み、契約することができました



(左:改装前の店内の様子、右:改装後の店内の様子)

【初心者でも安全にエアガンを体験!非日常を楽しめるミリタリーカフェ】

- 『SFBC Bar&Café』の概要について教えてください。
1棟3階建て95席。ガラス張りでおしゃれな外装です。一見しただけでは、ミリタリーカフェとはわかりません。

1階はオシャレなカフェ、2階、3階と上がるにつれて、少しずつマニアックな雰囲気が出てきます。2階では、内装の一環として、銃も陳列しています。販売はしていませんので、購入希望の方には、本店をご紹介しています。

提供しているのは、軽食、ドリンク、アルコール類です。銃弾の形のグラスに入ったドリンクも好評です。

あとは、シューティングスペースも完備しています。シューティングは、銃レンタルの場合1,500円程度、自分の銃の持ち込みの場合、1回300円です。

弊社の従業員が指導しますので、初心者の方でも安全に体験できます。未成年の場合は、10歳以上から体験可能です。

- まさに非日常の世界が広がっているんですね。
はい、一般の方から「すごい」との声が上がると嬉しいです。また、コアファンの方には、ミリタリーについて語れる場、銃を持ってきてお互い自慢し合ったり、語ったりする場としても使っていただいています。

白尾谷さん:土井社長は、コアな人だけに楽しんでほしいのではなく、一般の方にも文化として広めたいとの気持ちが強い方です。

- トラブルや想定外なことはありませんでしたか?
想像していたよりも、備品が古く、使うことができませんでした。備品も引き継げるとの話でしたが、継続して使うことが難しく一新しました。椅子は、張り替えて今も使用しています。

- 引継ぎの段階で心配なことはありませんでしたか?
以前働いていたスタッフさんは、売り手様が別の事業に配置換えするという話でした。当初の条件で、スタッフさんは引き継がないことが決まっていたんです。

また、私が新しく始めるミリタリーカフェは、飲食の提供を行うものの、飲食店としての位置付けではないため、マニュアルも引き継いでいません。

そもそも、弊社はそれほど大きな会社ではありません。M&Aを考えた時点で、スタッフを引き継ぎ一から文化を教えて育てるよりも、自社スタッフを配置しようと思っていました。

- 集客について教えてください。
Twitter、インスタは既に始めており、今、ホームページの制作に取りかかっています。お客様の層は、本店のミリタリーショップ経由の方が半分、一般の方が半分です。

あと、観光客の方が増えている影響もあり、外国人の方も多くご来店いただいています。

いわゆる「オタロード」と呼ばれるエリアにあるため、観光途中で休憩のためにカフェに入る方も多いです。東京で言えば、秋葉原のようなイメージですね。

- 想定よりも家賃が上がったとお聞きしましたが、その分のコストは賄えそうですか。
オープンから3週目を迎えた段階のため、いろいろ試行錯誤している最中です。何年も経たないとわからない部分ではありますが、 以前のカフェと比べても、1日の売り上げは倍以上になっているため、おそらく問題はないと考えています。

- 初めての飲食店舗の運営ですが、感想を教えてください。
想像以上に大変でした。特に売り上げは、本業のミリタリーショップの10分の1ぐらいです。最初はショックを受けました。

ミリタリーショップは、良いときは1日100万円を売り上げますが、カフェは10万円いけば良い方です。その代わり、原価率は良いですね。

以前のカフェは2人で回していたと聞いていますが、今は4人です。ショップスタッフが、そのまま飲食店スタッフとして働いています。

スタッフも含め、飲食経験がない者が動いていますが、だからこそ先入観なく進められるのは、良いところだと思います。

- 周囲にカフェが多いと伺いましたが、差別化の方法を教えてください。
大きく分けると、周りのカフェとは全く異なる内装、シューティングができること、面白さの3点で差別化を図っています。

提供メニューは、アルバイトでも作れることを基本としています。飲食メインではなく娯楽性、付加価値としてのミリタリーカフェとしての表現方法を重視しています。

- 今後どのように経営を進めていかれる予定ですか?
本業のミリタリーショップとのシナジー効果を図っている最中です。

本店で銃を購入したお客様にも、カフェに銃を持ち込んで遊んでいただきたいですね。本店で一定額以上の商品をご購入いただいた際には、無料のコーヒー券をプレゼントしています。 これから10年の間に、ミリタリーショップ、カフェ、遊べるフィールド合わせて100店舗のオープンを目指しています。M&Aをうまく使えば、効率的に展開できそうです。



(改装後の店内の様子)



(改装後の外観の様子)

【業績の悪いカフェでも買収OK!まずは行動して後から修正】

- 今回のM&Aを振り返ってみていかがですか。
何より良かったことは、M&Aを経験できたことです。また、今回カフェとしてオープンしたことで、これまでのミリタリーファン、サバゲーファン以外の一般の方にも、目にしていただく機会が増えました。

初めてミリタリーカフェにご来店いただいた方が、射撃体験されることもあります。実際に銃に触れ、趣味の一環かつ「面白い」「ストレス解消」と、捉えてもらえれば嬉しいです。

白尾谷さん:土井社長は、日本橋のオタク文化、独自の文化をいろいろな人に知ってもらいたいとの熱い思いをお持ちの方です。売り手様にも、直接お会い頂いた際にさまざまな思いをお話しいたただきました。

だからこそ、売り手様も十年もの間やってきたカフェがコンセプトを持ったミリタリーカフェになることに対し、応援したいとの気持ちが芽生えてきたのではないかと思います。

実際、知り合いの方を紹介してくださったり、今後ミリタリーカフェがオープンするといった形でお客様に伝えてくださったりもしたと聞いています。

- 売り手様との関係は、今も継続しているのでしょうか。
はい、売り手様から、別事業で印刷業を手掛けているとの話があり、OEMでロゴ入りショップバックを発注しました。 売り手・買い手の枠を超え、新たな関係でお取引が続いています。

- M&Aを検討している方に、アドバイスをお願いします。
僕の場合、大事にしているのは想像力です。まず、想像。あとは、実行するかしないかだけ。僕は、とりあえずやってしまおうというスタイルで、問題に対しては、後から修正していきます。そう考えないと、いつまでも始められません。

特に今回は、初めてのジャンルでした。いくら飲食メインではなく娯楽性重視だとしても、やってみなければわからなかった部分は、大きいです。

- 次回もM&Aで新店舗を運営したいお気持ちはありますか。
TRANBIのサイトで、新しい案件を見つけましたので、また白尾谷さんに相談しながら、交渉を進めていく予定です。

また、一般的なM&Aは経営が厳しいため、売却を検討されているイメージがあります。ただ、利益を上げている店舗が何らかの理由で売られているなら、より積極的にM&Aでミリタリーカフェに変えていきたいです。

 

(改装後の店内の様子)

********************

■今回グローバルトレーディングさんが買収した案件はこちら

「なんばエリアにあるカフェチェーン店」

■今回グローバルトレーディングさんが運営しているカフェはこちら

Strike Force Bar & Café (SFBC)

********************

 

<中小企業の事業拡大M&A・買収事例の記事を読みたい方はコチラ>


▶ 従業員が買収・独立するMBOも最終的な出口にする”幸せ循環経営”!

▶ 売り手自ら、“買い手2人を引き合わせて共同経営を提案”。異例M&Aを3者で振り返り

▶ 「シナジーを目的としたM&Aはすべきでない!」売上10億円の異業種を買収した事業再生請負人が語るM&Aの極意

▶ 赴任すれば生徒が2倍になる伝説の塾経営者!迫る少子化を見据えた新たな一手とは?

▶ 「余命2か月」廃業寸前の工場を再生!ボロボロの母屋を“廃墟スタジオ”化して新たなビジネスへ

▶ 障がい者の働く場をつくりたい!せどり事業を買収し、ソーシャルビジネスを拡大へ

▶ M&Aは“料理のレシピ”、プロから学んでアレンジすることが正解の近道

▶ 突然の交渉ストップ、空白の半年からの大逆転!債務あり&後継者不足の会社を救った事業承継M&A

▶ 「今後20年が本当の人生」68歳の塾経営者が抱く野望とは?数々の出会いが紡ぐ事業成功へのストーリー

無料会員登録