2024-05-14

”都心では勝負しない”、地方のネイルサロンに見出した価値!本業の不安定さをカバーするM&A

買い手(個人):Iさん

<個人事業主の多角化を目的としたM&A・買収事例>

 

関東圏で行政書士として活躍中のIさん。以前からビジネスに興味のあったIさんは、行政書士としての収入が安定してきたタイミングで、M&Aを活用して事業を始めようと考えます。

今回Iさんが購入したのは、三重県にあるネイルサロン。予算感に合うことや顧客基盤があること、従業員の引き継ぎが可能であることなどの条件が合致し、惹かれたといいます。

また、三重県にゆかりはないものの、「地方」で事業を行うことに可能性と勝機を感じて、購入を決めました。

事業を引き継いだ後、経営者として売り上げの伸長やサロンの活性化に取り組んでいるIさん。M&Aのエピソードとあわせて、実際に経営者となって抱えているリアルな課題感や今後のビジョンについても伺いました。



(※写真はイメージです)

【独立して補助金申請代行で安定した行政書士業、1,000万円を売り上げる月も!】

- まずは、Iさんのキャリアについて教えてください。
大学卒業後は国家公務員としてキャリアをスタートしました。その後、国家公務員を辞めてコンサルティングファームに転職して働いていましたが、もともと持っていた行政書士の資格を生かそうと思い、退職して独立しました。

独立後は、実績作りのためにと安価で多くの補助金申請代行業務をクラウドソーシングを通じて受注しました。しだいに実績が上がって認知度が広まり、単価交渉もしやすくなりました。

お客様から次のお客様をご紹介いただくことも増えて、事業が軌道に乗り始めました。

- 行政書士のお仕事をしながら、M&Aに挑戦しようと思ったのはどうしてですか。
もともと、さまざまな事業を展開してみたいという思いはあって、2021年に会社を設立していましたが、特に事業は行っていませんでした。

行政書士として、多いときには1,000万円を超える月収を得られるようになり、資金に余裕ができたからこそ、新しい事業を始めてみようと思ったのです。

また、私は補助金申請代行業務をメインで手掛けていますが、補助金事業は国や地方自治体の制度の上で成り立っているものであり、毎年同じ補助金制度があるとは限りません

補助金制度自体がなくなることはないものの、現在の収益源となっている特定の補助金制度がなくなってしまう可能性はあるなど、行政書士の仕事には不安定さもあります

そのため、リスク分散のためにも、さまざまな事業を手掛けたいと思っていました。新規でゼロから立ち上げるより、M&Aで事業を買う方が時間も費用も抑えられることから、M&Aという手法を選びました。

幸い、コンサルティングファーム時代にM&A業務を経験していて知見もあったので、不安はありませんでした。

- どのようにして今回の案件を見つけられましたか。
M&Aに挑戦しようと決めてからは、TRANBIのようなM&Aプラットフォームで案件をチェックするようになりました。

購入予算は約300万円にしていました。というのも、購入後に掛かる運転資金を含めて500万円ほどなら新しい事業に投入してもいいと考えており、そうすると購入金額としては300万円ほどが妥当だと思ったからです。

将来的に事業を拡大する際には、融資なども検討するかもしれませんが、1件目のM&Aは自己資金で、かつリスクを許容できる金額の範囲内で行いたかったので、そう設定しました。

そして見つけたのが、今回購入した三重県にあるネイルサロンです。金額感にマッチしたこと、すでに顧客が付いており一定の売上が上がっていたこと、地方の案件だったことが希望とマッチして、購入を決めました。

【”地方の案件”だから差別化できる】

- 「地方」を重視していたのはどうしてですか。
競合が多い都心では、独自の価値を発揮して明確な差別化ができない限り、事業継続が難しいと思ったからです。

競合が少ない地方の方が、集客もしやすく、継続的に売上をあげられる見込みが高いと考え、三重県にゆかりがあったわけではないですが案件に興味を持ちました。

- あらためて、今回M&Aを行ったネイルサロンの概要を教えてください。
オープンしてから2年ほどですが、1500人以上の顧客基盤を持っており、リピーターも多いネイルサロンです。

ホットペッパービューティーのPV数が、地域の同業店と比べてかなり多いことも特徴です。価格帯も安価であるため、お客様にとっては気軽に通いやすいネイルサロンだと思います。

施術台はデスクとフット5席。マシンやジェル、これまで作り溜めたネイルサンプルをすべて譲渡していただけるという条件でした。買収金額は200万円です。

- 交渉はどのように進みましたか。
「従業員の引き継ぎができること」が購入にあたっての大事な条件だったため、まずはそこを確認して、問題ないということだったので具体的な交渉に進みました。

ネイルサロンの経営管理は、遠隔地からでもパソコン1台あればできるということだったので、安心しました

売り手様は経営管理もしっかりされていて、こちらが貸借対照表や試算表をリクエストするとすぐに送ってくださったため、交渉は非常にスピーディーに進み、申し込みから2か月で成約しました。

他の案件だと適切な資料を用意していないケースもあるので、今回の売り手様はとても優秀な方でした。

- 従業員の方への説明はどのように行いましたか。
現地に3回ほど足を運んで、従業員と一人ずつ、引き継ぎの了承を得るための面談を行いました。

事前に売り手様と、「引き続き働いてくれる従業員の方への説明はとても重要なので、譲渡理由をしっかりと伝えて、安心してもらえるようにしましょう」と打ち合わせをしていました。

そして、売り手様が事前に従業員に対して丁寧に説明をしてくれていたからこそ、面談はスムーズに進みました。

いくつかの買い手候補の中から売り手様が私を選んでくれたのも、「従業員を大切にしてくれる人に事業を託したい」という思いがあったからだと思うので、引き継ぎが無事に完了できて安心しました。



(※写真はイメージです)

【提案が活発な職場づくりを目指して、給与体系の見直しも検討中】

- 引き継がれてからの業績はいかがですか。
3月の収支は黒字でした。4月中旬からはアイラッシュサービスも開始したので、軌道に乗れば安定的に黒字になると予想しています。

アイラッシュサービスは、2代前のオーナーの時代に提供していたようで。しばらくはやめていましたが、もともとあった設備を活用できますし、他のサロンとの差別化にもなると思い、始めることにしました。

私は施術はできないですし、現場のことはスタッフに任せているので、経営者としてできることはスタッフの管理やコストの管理や集客といった部分になります。

だからこそ、現在活用しているHOT PEPPER、Instagram、LINE以外の集客チャネルを開拓したり、スタッフ第一の姿勢で彼女たちが働きやすい環境を整えていったりしていきたいです。

- 従業員の方は何名で、引き継ぎ後の仕事ぶりはいかがですか。
ネイルサービスの担当が業務委託を含めて8名で、アイラッシュの担当が2名の合計10名です。みなさん主婦の方で、家庭と両立しながら働かれています。

最初の面談のときから、スタッフには「やりたいことがあれば積極的に提案してほしい」と伝えています。

彼女たちが「これがいい」「自分はこれが好き」と思えるものを提供できた方が、仕事へのモチベーションが上がるのはもちろん、お客様にもより良いサービスを提供できると思うからです。

ただ、スタッフは「サロンのこれまでの環境が自分に合っていた」からこそ働き続けていたわけで、そうすると「現状維持で十分」という考え方のスタッフも、もちろんいます。事業を引き継いだ私がいきなり大きな変化を持ち込んだり、「こうしなさい」と強制してもいい方向には進まないと思うので、その辺りは経営者として葛藤している部分でもあります。



(※写真はイメージです)

【パソコン1台で運営可能、でも今は週1回三重へ遠征】

- そんな中でも、どんなことを心掛けて従業員とコミュニケーションを取っていますか。
円滑に意思疎通をしながら、職場の雰囲気をより良く変えていくためにも、週1回ほど関東から三重まで足を運んで、「調子はどう?」と声を掛けたり、面談を行って「何かあれば気軽に声を掛けて」と伝えたりしながら、スタッフとのコミュニケーションの頻度を増やしています。

また、スタッフのモチベーションの向上に繋がるのであれば、給与体系の見直しも有効かもしれないと検討を始めています。

現在は、時給プラス指名に応じた歩合制ですが、主体的に提案をしてくれたスタッフにはさらに歩合を付けるなど、向上心を持って働いているスタッフのお給料が上がる仕組みも取り入れていけたらと思っています。

さらに並行して、新規スタッフの採用も進めています。新規採用においては、「やりたいことをどんどん提案してくれる人に働いてほしい」という私の意向を伝えて、モチベーションの高いスタッフが集まる環境づくりを目指しています。

- 今後もM&Aに挑戦したいですか。
はい。今のサロンが軌道に乗れば、2店舗目としてネイルサロンやアイラッシュサロンをオープンするという選択肢も生まれます。一方で、リスク分散の観点から、まったく異なる事業に挑戦していきたいとも思っています。

今回のM&Aを通じて三重県と縁ができたので、三重県でさまざまな事業を展開していくのがいいのかなと思っています。地方で、地域住民の生活水準の向上に貢献できるようなサービスを提供していきたいです。

たとえば、ネイルも娯楽の一つじゃないですか。なくても生活には支障がないけれど、心の豊かさには繋がる。そういったものやサービスを提供していけたら理想です。

すでに娯楽に溢れている都心でそうした事業を展開しても価格競争に巻き込まれてしまうので、地方で勝負したいなと。

「地域創生」というと大げさかもしれませんが、都心への人口集中が進む中で、あえて地方にフォーカスすることへの可能性も感じています。

- 独立やM&Aを検討している方へのアドバイスをお願いします。
起業の助けとなる融資や補助金の制度も充実してきているので、その流れに乗って起業をしてみるのはアリだと思います。

また、会社員の傍ら副業を始める人も増えていますが、世の中の事業の中には「自分自身が現場に出たり、多くの時間を割いたりしなくても、ビジネスモデルを築くことができれば収益が上がる」事業もたくさんあるので、M&Aや事業承継を通じてそうした事業に挑戦してみるのもおすすめです。

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■今回Iさんが買収した案件はこちら

「好立地!地元で大人気のネイルサロン」

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