経済の大変動、国家が企業を支配する時代の終焉

コラム詳細

経済の大変動、国家が企業を支配する時代の終焉

1 経済の大変動近し

英国EU離脱決定後、英国の不動産ファンドの解約停止で不動産市場が急速に悪化しています。

解約をした不動産ファンド運用企業は、7月6日までに7社となり、金額としては180億ポンド(約230億ドル)と2008年のリーマンショック以降で最大で金融危機の引き金になる可能性があります。
2007年8月にBNBバリバによるサブプライムファンドの解約凍結から約1年後にリーマンショックがおこりました。金融センターとしてのロンドンが、凋落すれば、当然、ロンドンを中心とする不動産の価格も急落します。
商業不動産に関しては、買い手がいない状態であり、当面、価格の下落傾向が続くものと思われます。不動産関連債権のバブル崩壊が始まった事が想起されます。

英国のEU離脱自体は、世界の金融恐慌を起こすようなものではありません。しかし、これが引き金となり、従来、潜在的に存在してきたイタリアの不良債権問題や、ドイツ銀行の経営破綻問題が表面化してきます。
ドイツ銀行は国内支店2百を閉鎖すると発表しましたが株価は年初から4割下落。7月のドイツの景況感は12月以来の低水準です。ドイツ銀行はほぼ破綻ですが、分割案で動いているようです。

又、ポルトガル、スペインの金融も脆弱です。イタリアの銀行破綻をどうするのでしょうか?29日にモンテパスキはストレステストで自己資本比率がマイナスになり、実質破綻していることが確定しました。問題はモンテパスキだけではなく、欧州ユーロ圏市場全体の問題になります。銀行は銀行間での資金の貸し借りをしており、どこかの銀行が破綻すれば他の銀行にその影響が及びます。

NY市場では債務不履行率が上昇し、収益の減少で元利返済が続けられなくなった企業が増えています。ムーディーズは7月18日、アメリカ企業の債務不履行率は史上最高の水準に接近していると報じています。

中国のバブル崩壊の影響がアジアを中心に出始めています。中国当局が外貨に対する規制を強化したため、不動産価格の下落とデフレ傾向が見え始めています。

又、原油価格並びに国際商品相場が6月24日のブレグジット以降はっきり下落トレンドに転じています。原油価格と密接な関係のあるベネズエラの経済危機は着実に進行しています。ベネズエラの外貨準備が枯渇して財政破綻することで新興国リスクが改めて意識され、新興国を中心とした世界的な金融危機が生じるシナリオも、考えられます。

中国並びに先進国の中央銀行が金融緩和して株式市場を支え史上最高値を更新したアメリカ市場に代表されるように、ブレグジットの世界的な影響は一旦解消されたように見えます。

そのため大変動など来るはずがないと大半の方は考えていますが、早ければこの夏から兆候が現れ秋には大変動になるものと思われます。

[ロンドン/フランクフルト 29日 ロイター] - 欧州銀行監督機構(EBA)は29日、銀行51行の健全性審査(ストレステスト)結果を公表した。イタリアの大手銀、モンテ・デイ・パスキ・ディ・シエナ(モンテ・パスキ)の中核的自己資本(コアティア1)比率が、マイナス2.44%で最悪となった。
 

2 世界の流れは反グロ-バル 国家を企業が支配する時代の終焉

英国が欧州連合(EU)からの離脱選択後、西側メデイアが「世界経済危機」キャンペ-ンを展開してBregret or Regrexit「Brexit(ブレクスィット)】+【regret(リグレット=後悔)】なる造語まで作成して、英国叩きを行っています。
ポンド、ユーロ、ドルが軒並み売られ、S&P、フィッチなどの米国各付け機関が英国債の各付けを軒並み引き下げました。英国がEUから離脱すると英国国民にはよくてもグローバリズムに不都合が生じるからです。

世界の政治経済は、多国籍企業=グローバリズムが国という枠組みを超えてグロ-バルスタンダ-ドと称して世界を支配するという論理で動いています。国家を企業が支配するという構造です。米国、EUの背後にはこの多国籍企業が存在します。グローバリズムエリートが益々富を増し国民国家が貧困にあえぐ社会は必ず是正されます。悪法のISD条項付きTPPは、日本政府の上に多国籍企業が位置づけられているため彼らの言いなりです(日本国民は知らされていませんが・・・)。

世界の対立軸を簡易に捉えると以下のようになります。今後の流れは、前者を後者が駆逐していくモノと思われます。

・グローバリズムVSナショナリズム(国民国家)
経済帝国主義(国境をなくして資本が世界を駆け巡る)の崩壊
18、19世紀の植民地による帝国主義から世界大戦後独立国家の流れと近似する

・キリスト教VSイスラム教
自由平等博愛主義が世界に伝播しない

・エリートVS中産下層階級、労働者

*タブー(一国の中の少数者)が支配する人権という名の非常識
ドイツ(日本)にトルコ人(中国人)が移民として受け入れるとトルコ人(中国人)2世が小学校に入学する。クラスはトルコ人(中国人)の方が多くなりドイツ(日本)の子をいじめ、排斥する。教育委員会に駆け込むとドイツ(日本)人もトルコ人(中国人)も人権は同じだからと門前払い。社会はトルコ(中国)の風習がドイツ(日本)の伝統文化を凌駕する。ドイツ(日本)国の国民性が失われていく。ドイツを(日本)トルコ人を(中国人)と置き換えてみると日本の危うい将来が見えてきます。
 

3 アベノリスク

経済の上を、政治リスクが覆ってきました。日本では「アベノリスク」です。

英国のEU離脱、トルコの大規模な軍事クーデター、フランス南部ニースのテロ、ドイツミュンヘンの銃乱射事件、中国の南シナ領土問題、キャメロンの辞任とメイ首相の就任、トランプ候補の米共和党での指名など、世界の動きは激しくなってきました。
クリントン人気の低さから、トランプが米大統領になればドル安が襲います。日本の政権はクリントンに肩入れをしているようですが今秋トランプ大統領となれば、金融市場にとっては英国EU離脱以上の衝撃になるでしょう。世論調査の支持率から不人気率若しくは投票しない率を差し引くと実際の人気率が推し量られます。

「大胆な金融緩和」が行き詰まりを見せたことで、安倍首相は「大胆な経済対策」に舵を切ったようです。内容はバラマキと公共投資です。建設業はゼネコンが東日本の震災、熊本地震、オリンピック工事等で儲かりすぎて利益のでない工事に見向きもしない状況。
一億総活躍と称していますが労働者は文句を言うが仕事は熱心にやらない。不法な外国人が増えて物騒な世の中。TPPの早期承認手続の推進で世界の反グロ-バリズムとは正反対の道を進もうとしているのが現政権。所得格差が拡大すると商品が売れず経済成長が低下します。生産性の向上や新しい産業を興すように舵を切るべきなのに所得格差を生む政策に重点を置くアベノリスクです。

「安倍晋三首相は27日、福岡市で講演し、8月2日に閣議決定する経済対策について『事業規模で28兆円を上回る総合的かつ大胆な経済対策をまとめたい』と表明した。国と地方の財政支出(真水)や財政投融資を合計した財政措置は13兆円とする方針も示した。『真水』で6兆円超、財政投融資も6兆円超とする方向だ」(28日付日本経済新聞「事業規模28兆円」)

政府が8月2日に閣議決定する経済対策は、事業規模が28・1兆円
秋の臨時国会に提出する補正予算案は4・5兆円
低所得者に1万5千円を配る「簡素な給付措置」0・5兆円
来年度予算で手当てする事業も合わせると、国の負担は6・2兆円。
地方自治体の負担も含めると7・5兆円となる。
JR東海のリニア中央新幹線の全線開業前倒しなど、国が借りて民間に貸す「財政投融資」は計6兆円。
これを合わせた13・5兆円が「財政措置」の部分。
一方、日銀は29日、金融政策決定会合を開き、株価指数連動型の上場投資信託(ETF)の買い入れを現在の年3.3兆円から6兆円に増額する(賛成7人、反対2人)。

日銀は今回「マネタリーベース増加ペース(年間約80兆円)の現状維持とETF買入れ額倍増」という追加緩和策を打ち出しましたが、これは次のことを示しています。
① 異次元の金融緩和は限界
② 日銀の政策目標が「マネタリーベース」ではなく「株価」にあるという本音を暴露
(GPIFとタッグを組んで「異次元の相場介入」の領域に足を踏み入れたこと)

ETFの買入れ額を3兆円増やすのであれば、少なくともマネタリーベースの増加ペースを83兆円に拡大するべきなのです。
今回ETF買入れ額増額とともに決まった緩和策は「企業・金融機関の外貨資金調達環境の安定のための措置」です。この措置によって、国内企業や投資家のドル調達コストは低下する可能性が高くなります。他方それは海外投資家からみれば、円の調達コストが上昇するということになります。

マーケットも発表前の1ドル=104円台から追加緩和策が伝えられると一気に一時102円台に円高が進行、日経平均株価も一時300円以上下落するなど否定的な反応を示しました。今後の金融緩和は、ヘリコプター・マネーか永久国債の引き受け以外に手はないでしょう。

ヘリコプター・マネーとは、中央銀行が国債を政府から直接に買って、中央銀行の増発マネーで財政のファイナンスをすることです。
ヘリコプター・マネーによる財政出動になり、金融市場がインフレを予想するように変わったときの最大問題は、(1)大きな円安と、(2)国債の金利高騰です。

4 景気の現状 日本の景気はこの5月から一気に悪化

訪日外国人数は今年上半期に前年同期比で3割近く増えるも外国人の爆買いは減退。
都心のホテルの稼働率は同2・9ポイントの低下。
三越伊勢丹の4月から6月の売上が5%減少、営業利益が5割減の60億円前後。
6月の全国百貨店売上高は前年同月比3・5%減。6月のスーパー売上高0・5%減。4カ月連続減少。
6月の白物家電出荷は14カ月ぶり減少で同5・4%減
バイト時給は三大都市圏で過去最高となって人手不足継続
6月の輸出はリーマン危機以来の下落率で同7・4%減
4月から6月の電子部品の受注大手6社で同7%減
政府の7月の企業業況判断は引き下げ
上場3千6百社の企業年金債務91兆円に対して積み立て不足(企業の隠れ債務)が26兆円
日経消費DI:7月の景況判断は-18と4月より16ポイント悪化し、消費支出指数は2011年の震災直後依頼の低水準