2024-06-04

上場企業コレックが目指す非連続な成長とは?!シニアケア市場に見えた課題とM&Aの決め手

買い手(法人):株式会社コレック

<上場企業の新規事業を目的としたM&A・買収事例>

 

東証スタンダード上場企業であり、メディアプラットフォーム事業やアウトソーシング事業を手掛ける株式会社コレック。上場以来、「非連続成長」を目的としたM&Aに取り組んできました。

コレックが今回買収したのは、シニア用具のレンタルや販売を手掛けている企業。当初はまったく視野に入れていなかった業界でしたが、TRANBIで案件を見つけて市場について調べるうちに市場の可能性と課題に気付き、「自分たちのリソースやノウハウを生かして課題を解決できるのでは」という思いからM&Aに踏み切ったのです。

今回の案件を含めて、コレックのM&Aを主導している専務の花井様に、同社のM&A戦略やM&A交渉において大切にしている心掛けなどを伺いました。

【「自社の規模感や事業に沿う」M&Aをしていても、非連続成長は達成できない】

まずは

- まずは、コレック様の事業内容について教えてください。
当社はメディアプラットフォーム事業、アウトソーシング事業、エネルギー事業の3つをメインで展開しています。とりわけ売上のシェアが大きいのは、メディアプラットフォーム事業とアウトソーシング事業です。

メディアプラットフォーム事業では、不動産系のメディアやゲームメディアなどを運営しています。一方、アウトソーシング事業では、さまざまな商品や商材の代理店となってプロモーションや販売活動を担っています。

- M&Aの経験は、これまでにもありましたか。
上場した2018年頃からM&Aに注力していて、これまでに10件弱のM&Aの成約経験があります。M&Aブティックや大手M&A仲介会社、TRANBIのようなプラットフォームなど、あらゆる手段を活用してM&Aを行ってきました。

非連続成長のためにはM&Aが欠かせないと考えており、経営戦略の一つとして位置付けています。

- TRANBIなどのM&Aプラットフォームを活用するのはなぜですか。
まず、案件が豊富だから。そして、想像していなかった案件に出会えるからです。

たとえば仲介会社などは、「現在のコレックの規模感に適合するか」や「コレックの既存事業の延長線上にあるか」といった軸でセグメントした上で、当社に案件を紹介してくれます。

ただ、そうした条件で選ばれた案件だけを買収していたのでは、良くも悪くも成長予測がつきやすく、当社が目的としている非連続成長は成し遂げられません

だからこそ、精査されていない生の案件情報を探せる、TRANBIのようなM&Aプラットフォームを好んで活用しています。現場の責任者クラスのメンバーが、毎週M&Aプラットフォームにアクセスして新着案件を確認するルーティンを作っているほどです。

また、よく「既存事業とシナジーが生めるか」という軸で案件を探す企業様もいらっしゃいますが、シナジーを目的にして探そうとすると案件がぐっと絞られてしまうので、購入時点では「シナジーが生めるか」もほとんど気にしていません。

- とすると、M&Aプラットフォームで案件を探す際には、すべての案件が対象になりますか。
予算的には、数百万円の案件から50億円規模の案件まで、ほとんどが対象となります。

事業にもよりますが、黒字化していることを買収条件の一つとしていることは多く、赤字の案件は省いて見ているかもしれません。

他に条件を挙げるとすると、市場が拡大していることでしょうか。市場が拡大していれば、正しくビジネスを行うだけで事業成長が果たせるはずなので。

また、再現性があると判断できないものは、検討フェーズに持ちこまないようにしています。

たとえば、EC系の案件はM&Aプラットフォームでもよく売りに出されている案件であり、人気の市場ではあるが、我々のノウハウでは再現性高く収益をだせない=勝てないというジャッジをしています。

トップの方の実力や手腕に依存しているような案件にも慎重になります。一方で、誰が引き継いでも問題ないような仕組みがすでに整っているもの、もしくは当社が仕組みを作ることができると判断したものなら、検討対象になります



(コレック専務の花井さん)

【シニア業界に潜む”情報格差”を強みで解決できる!】

- あらためて、今回購入した案件の概要を教えてください。
今回、株式譲渡という形でM&Aを行ったのは、東京都の郊外でシニア用具のレンタルや販売、住宅改修工事を実施している企業です。顧客数は200名程度で増加傾向にあり、毎月15~20名ほど新規顧客を獲得できている状況です。

- どのような理由から、今回の案件に興味を持ちましたか。
正直なところ、最初はまったくの対象外でした。そもそも、シニア用具レンタルの市場自体をよく知らなかったので。ただ、市場を調べてみると、非常に課題が大きい市場だとお見受けしました。

たとえば、こうした用具のレンタルや購入には補助金を活用できるのですが、県や区や地域によっては、その情報が十分にお客様の元に届いていなかったりするような、情報の格差があるとわかりました。

国がシニア事業の支援に注力していこうとしているものの、まだまだうまく推進できていないような状態だということも知りました。

また、当社のアウトソーシング事業で培った経験を生かして、10社ほどのシニア用具メーカーにも直接連絡を取ってヒアリングを実施したのですが、その結果、「市場の拡大に伴ってメーカー側が次々と新商品を出すものの、その情報が顧客に十分に行き渡っていない」という課題も掴み取ることができました

これらの課題を知って、市場拡大の余地は大いにある業界だからこそ、地域密着型で商いを行ってきた当社の介在価値を発揮することが可能であり、より多くの困っている人へサービスを届けることができるのではないかと考えました。

さらに、当市場は温かいリアルなコミュニケーションが必要とされる分野でありながら、DX化により大きく業務効率が改善する見込みのある分野でもあります。

そのため、当社がパーパスとして掲げる「情報コミュニケーションに感性と温度を。」にマッチする分野であり、当社の強みが活きることも予見できました。

余談ですが、私は高校1年から大学4年まで、7年間老人ホームでアルバイトをしていたんですね。

現場の課題やニーズを身近に感じられたからこそ、その経験ともリンクして、この市場なら当社ができることがたくさんあるのではと感じられたことも理由の1つかもしれません。

- 「既存事業と接点のない領域の事業をM&Aしても、成功に導けるはず」と思えるのはどうしてなのでしょうか。
まず、当社はアウトソーシング事業を通じて、世の中のあらゆる業種や業界の商材を販売してきた経験があったからこそ、未知のジャンルへの抵抗感が薄いのだと思います。そしてもう一つは、これまでの成功体験があるからです。

実は当社は、創業期はNHKの受信料収納代行業務のみを手掛けていました。私が2期目に参画したときに、代表から「インターネット関連の事業を立ち上げてほしい」とリクエストされて、今のメディアプラットフォーム事業を開始した経緯があります。

コンサルティングファーム出身の私は、当時メディアに関するノウハウはまったく持っていなかったものの、エンジニアやデザイナーを採用してゼロからメディアを立ち上げ、SEO業界では名の知れたメディアへと育て上げてきました。

他にも、経験者ゼロから不動産店舗事業を立ち上げたこともあります。こうした経験があるからこそ、「正しい市場で正しい事業を選択すれば、できないことはないはず。」と捉えられるようになったのだと思います。



(コレックのHP)

【自社の持つ採用力と営業力を組み合わせれば、日本全国へ事業拡大が可能!】

- 交渉はどのように進みましたか。
私たちは基本的に、すべてのM&A案件において、売り手様とコンタクトが取れたら直接お会いしてお話をするというスタンスなので、面談は対面で行いました。

1回目の面談では、異業種である私たちが案件に興味を持った理由や、事業を伸ばせる理由などをお伝えして、本気でM&Aに臨んでいることを売り手様にアピールしました。

そして2回目の面談で重視したのは、売り手様の意志を伺うことです。私たちはいつもM&Aの面談の際に、売り手様が事業拡大の意志をお持ちなのかどうかと、拡大のためには何が必要なのかを話し合うようにしています。

- 売り手様の反応はいかがでしたか。
当初は「引き継ぎ手を探しているだけで、それほど拡大意志はないのかもしれない」と思っていた部分もございましたが、お話を伺ってみると、想像以上に事業拡大に対する強い意向をお持ちでした。

面談の中では「本当は日本全国に拡大したかったんです」とお話ししていただいて。そのような大志を抱いていらっしゃるのなら、ぜひご一緒したいなと。

売り手様も、「コレックの資本と仕組みと人的リソースを活用すれば、間違いなく拡大ができる」と確信してくださったようで、そこから交渉はスムーズに進みました。 /p>

- 譲渡金額はどのように決まりましたか。
ともに事業計画を立てていく中で自然と決まっていった印象です。

売り手様は、このお仕事を天職だと感じているようでした。事業を譲渡して引退というわけではなく、これからも引き続きご活躍いただけるからこそ、「ともに会社を大きくしていこう」という意識を共有しながら、お話ができたのかと思います。

【本気でM&Aをやるなら、自分たちで徹底的に全売却案件を見るべき】

- 引き継ぎ後に新しく変えられたことはありますか。
当社は東証スタンダードの上場企業であり、その管理基準に合わせていただく必要があったため、勤怠管理のデジタル化などを進めていきました。

もともと、今回のお話や市場を見ていて「ITを活用すれば会社も市場も良くなる」と感じており、実際に業務効率や生産性が上がっています。

売り手様には、デジタル化に対応しつつ、できるだけ今まで通り働いていただいています。改革については、当社の方で進めていきたいと考えています。

今回の事業にフィットする営業責任者も配置して、ケアマネジャーへの営業活動を強化していて、売上も順調に上がっています。

コレックは過去に40支店ほど、日本全国に支店を作って採用も教育も手掛けてきたので、そうした経験を生かして地場に根付いたネットワークを構築できれば、さらに拡大できると思います。

また、シニア用具の市場では、拡大する需要に対して供給が追い付いていないという課題もあります。

当社は採用力も非常に高いと自負しているので早期に活躍できる人材を採用できますし、今のメンバーの中から適性の高いメンバーをアサインできるところも強みです。

- TRANBIを活用してみての感想を教えてください。
M&Aは、仲介会社や交渉の代理人が介在することでスムーズに進むこともあれば、それぞれの意向や思惑が混ざり合って交渉が複雑化するケースもあります。

TRANBIでは売り手様と直接やり取りができるからこそ、私たちが重視している「会社や事業を拡大させたい意志はあるか/拡大のためには何が必要で、それは私たちが価値を発揮できることか」といった論点に集中しやすかったように思います。

また、TRANBIでさまざまな案件に触れるなかで、M&A市場における各案件の相場観も自然と身に付いてくるので、とてもメリットが大きいと感じました。

- これからM&Aに挑戦される方へのアドバイスをお願いします。
本気でM&Aに取り組むなら、「できることは全部やる」という姿勢で、M&Aの仲介会社とコンタクトを取り、TRANBIのようなプラットフォームに登録し、ダイレクトでソーシングすることをおすすめします。

思い付くすべての方法をやり切らなければ、なかなか良い案件には巡り会えませんし、案件同士の比較もできず、ミステイクの可能性が高まってしまうと思います。

私もM&A未経験のときから、あらゆる手段を活用してM&Aに取り組んでいくうちに、専門用語を理解できるようになり、交渉を上手く進められるようになったからです。

また、TRANBIは成果報酬型ではなく月額料金制だからこそ、社内に導入すれば、M&A担当者が定期的にTRANBIをチェックし、案件を精査して社内に報告するルーティンも生まれると思います。

ある意味、「本気でM&Aに臨む」きっかけにもなると思うので、M&Aを検討している経営者の方には、TRANBIを活用することをおすすめしたいです。

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■コレックが今回買収した案件はこちら

「シニア用具レンタル事業」

■コレックが現在運営している事業はこちら

「ココシア介護サービス」

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